益荒男達の宴

■ショートシナリオ


担当:ゆうきつかさ

対応レベル:フリーlv

難易度:普通

成功報酬:0 G 78 C

参加人数:12人

サポート参加人数:-人

冒険期間:03月07日〜03月12日

リプレイ公開日:2006年03月16日

●オープニング

●死地へ
「ほ、本気か、兄者!」
 死地に旅立つ兄河童に気づき、弟河童がボロボロと涙を流す。
 昔から兄河童はこうと決めたら、迷わず突き進んでいく漢であった。
 例え、その先にどんな危険が待ち構えていたとしても‥‥。
「止めるな、弟よっ! いまさら尻子玉の疼きは止められん!」
 数多くの猛者から抜き取った尻子玉(何故か金色)を握り締め、兄河童がクールな表情を浮かべて弟河童の両手を振り払う。
「考えを改めるつもりは無いのか‥‥兄者!」
 祈るにも似た気持ちで兄河童の横顔を見つめ、弟河童が悔しそうに地面を叩く。
 これ以上‥‥、兄河童を止める事など出来はしない。
 兄河童は既に覚悟を決めているのだから‥‥。
「それじゃ‥‥、逝ってくる!」
 爽やかな笑みを浮かべて弟河童に別れを告げ、兄河童が力強い足取りで死地に向かう。
 数多くのえろがっぱーずが志半ばで倒れていった温泉を目指して‥‥。



●今回の参加者

 ea0448 レイジュ・カザミ(29歳・♂・ファイター・人間・イギリス王国)
 ea2564 イリア・アドミナル(21歳・♀・ゴーレムニスト・エルフ・ビザンチン帝国)
 ea3094 夜十字 信人(29歳・♂・神聖騎士・人間・ジャパン)
 ea9027 ライル・フォレスト(28歳・♂・レンジャー・ハーフエルフ・イギリス王国)
 ea9110 加賀 舞姫(41歳・♀・侍・ジャイアント・ジャパン)
 ea9342 ユキ・ヤツシロ(16歳・♀・クレリック・ハーフエルフ・フランク王国)
 eb0976 花東沖 槐珠(40歳・♀・僧侶・人間・華仙教大国)
 eb1061 キシュト・カノン(39歳・♂・ナイト・ジャイアント・ビザンチン帝国)
 eb1561 所所楽 杏(47歳・♀・僧兵・人間・ジャパン)
 eb2174 八代 樹(50歳・♀・陰陽師・人間・ジャパン)
 eb2655 旋風寺 豚足丸(27歳・♂・忍者・人間・ジャパン)
 eb4640 星崎 研(31歳・♂・忍者・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

●えろがっぱーず
「悪いな、みんな‥‥。俺の我侭に付き合わせてしまって‥‥。この恩は必ず返す‥‥。俺が生きて帰る事が出来た、その時には‥‥」
 必要以上にクールな表情を浮かべながら、河童(コードネーム:デバガメ)が仲間に頭を下げた。
 通常、えろがっぱーずは河童のみで構成されている事が多いのだが、一部の河童達が率先して異文化交流(詳細不明)を行っていた成果もあり、現在では河童7:人間3の割合になっている。
「‥‥河童。いや、デバガメ‥‥。貴様の信念、この俺がしかと見届ける‥‥」
 愛刀二振り(クレイモア&エスキスエルウィンの牙+1)を握り締め、夜十字信人(ea3094)が無駄に熱い言葉を吐く。
 姿形は違えども、志はただひとつ。
「‥‥エロ道とは死を恐れぬ覚悟。常に死と隣り合わせになる事で感じる緊迫感。命懸けだからこそ達成した時の喜びが大きいのだ」
 まったく罪の意識がないのか、デバガメが覗きについて熱く語る。
 この言葉を被害者達が聞いていたら、それだけでも袋叩きにされてしまうところだが、例え聞かれていたとしても怖くはない。
 えろがっぱーずとして戦場で死ねるのなら‥‥。
「デバガメさんの言葉‥‥、僕の心に響いたよっ! 必ず作戦を成功させて、みんなで一緒に帰ろうね♪」
 デバガメの言葉に感動し、レイジュ・カザミ(ea0448)が拳をギュッと握り締める。
 彼はデバガメと友好関係を築くため、紐で頭に皿をくくりつけ、河童の甲羅を背負って葉っぱ一枚で現れた猛者であり、デバガメも一目置いているほどだ。
 ある意味、戦場では最も自然体でありながら、最初に怪しまれるターゲット。
「とりあえず、このままじゃ目立つね。これを、こうして‥‥っと。よしっ! これで完璧な草に変身。決して恐れてはいけない。僕と葉っぱを信じろ!」
 自分とデバガメの身体にまんべんなく葉っぱを貼りつけ、ガサミは自信に満ちた表情を浮かべて胸を張る。
「‥‥覚悟はいいな。それじゃ、行くぞっ!」
 そう言ってデバガメが茂みを掻き分け、女風呂へと突き進む。
 期待に胸を躍らせて‥‥。

●温泉
「ぷはぁ〜、初めて来たけど、温泉って気持ち良いね。まさに天上の極楽だよ」
 温泉に浸かって幸せそうな表情を浮かべながら、イリア・アドミナル(ea2564)が溜息を漏らす。
 普段はモンスター退治などをしているため、こうやってのんびり出来る時間はほとんどない。
「これで覗きさえなければ、もっと安心出来るんですが‥‥」
 荷物持ちとして連れてきた若い蒙古馬のブラウニーを近くに繋ぎ、ユキ・ヤツシロ(ea9342)が苦笑いを浮かべながら、ペットのスノードロップを抱きしめ温泉に入っていく。
 この温泉はえろがっぱーずの聖地として知られており、岩場にはたくさんの傷跡が刻まれていて痛々しい。
「ちょっと気にし過ぎじゃないかしら。見られても別に減るもんじゃないんだから、もっとリラックスしていてもイイんじゃない?」
 全裸で首から数珠だけをぶら下げた姿でクスリと笑い、所所楽杏(eb1561)がお酒とおつまみを持って温泉にのんびり浸かる。
「確かに見られても減るもんじゃないよねぇ。タダッてわけにはいかないケド‥‥。見せて魅せるって言葉もあるくらいだしねえ。多少ならイイんじゃない?」
 杏と一緒に酒をチビチビと飲みながら、加賀舞姫(ea9110)が冗談まじりに微笑んだ。
「はっ、恥ずかしいでござる〜」
 岩陰に隠れて頬を染め、旋風寺豚足丸(eb2655)が腹の肉をぷるんと揺らす。
 一応、本人は女性のフリをしているようだが、あからさまに怪しいため誰もツッコミを入れようとしない。
「‥‥何だか嫌な予感がするなぁ。念のため、これを持っていてくれる?」
 引きつった笑みを浮かべながら、イリアが持参したスクロールを配っていく。
 もちろん、豚足丸には渡さずに‥‥。
「ささっ、気を取り直して飲みましょうか」
 だんだん気まずい雰囲気になってきたため、花東沖槐珠(eb0976)がお酌をしてまわる。
「あ、これ美味しいわ〜」
 幸せそうな表情を浮かべ、杏がおつまみをパクついた。
「やっぱり温泉で飲む酒は回りが早いねぇ‥‥」
 身体が熱くなってきたため、舞姫が岩場に腰掛け微笑んだ。
 それと同時に茂みがゴソゴソと動き、何やら話し声が聞こえてくる。
「そう言えば、そろそろ来ている頃ですね」
 警戒した様子で茂みを睨み、ユキがペットのスノードロップと琥珀を避難させた。
「これから地獄を見る事になるんだから、少しぐらいイイ思いをさせてやるか‥‥」
 まったく気づいていないフリをしながら、舞姫が手のひらを上に向けて手を伸ばし、ゆっくりと人差し指から小指に向かって折り曲げ、また元に戻す仕草を繰り返す。
 この間、彼女の胸が丸見えになっているのだが、本人は全く気にしていない。
「………………………神罰が下ります」
 デバガメ達と目が合い凍りつき、槐珠がお経を読み始める。
「そこにいるよね、出歯亀さん?」
 自慢のスタイルを披露しながら、イリアが茂みにむかって歩いていく。
 途端に茂みがガソコソと動き、徐々にイリアから遠ざかる。
「‥‥仕方ありませんわね。こうなったら、実力行使ですわ」
 ペットの光流(若い鴨)と飛翔(鷹)に合図を送り、槐珠が茂みの中に隠れている何かを襲わせた。
「ぎゃあああああああああああ!!!!」
 それと同時に悲鳴が上がり、デバガメ達が転がるようにして逃げていく。
「まいっちんぐ♪」
 デバガメ達の前に立ち塞がり、豚足丸が可愛らしくポーズを取った。
「ぎゃあああああああああああ!!!!」
 色々な意味で驚きながら、デバガメが腰を抜かして悲鳴をあげる。
 金色に輝く尻子玉をポトリと落とし‥‥。

●罠
「えろがっぱーずは、本当に来るのでしょうか?」
 冒険者ギルドの依頼を受け、星崎研(eb4640)がえろがっぱーずを捕まえるため、温泉のまわりに猟師セットで罠を仕掛ける。
 現時点では、えろがっぱーずがどのような方法を使って覗きに来るのか分からないため、隠れやすい場所を選んで罠を仕掛ける事にした。
「ああ、間違いなく‥‥ね。まぁ、男として気持ちは判るけど、紳士としてこのまま放っておく事は出来ないし、ひとり残らず仕留めておかないとね」
 心を鬼にして深い穴を掘っておき、ライル・フォレスト(ea9027)がミミズや納豆、目潰し用の粉を放り込む。
「間違って自分達が引っかからない様に気を付けないといけませんわね」
 自分達の仕掛けた罠に目印をつけていくわけにはいかないため、八代樹(eb2174)が冗談まじりに微笑んだ。
 あちこちに罠を仕掛けたせいで、自分でも何処に罠があるのか、分からなくなっている。
「確かにな。お互い気をつけないとね」
 最後の罠を仕掛け終わり、ライルが樹を見つめてクスリと笑う。
「‥‥おや? 妙にあちらが騒がしくありませんか?」
 30分おきにブレスセンサーを使っている途中で、温泉の方から仲間達の悲鳴が聞こえてきたため、樹が険しい表情を浮かべて汗を流す。
「ま、まさか!?」
 嫌な予感が脳裏を過ぎり、ライルが辺りを見回した。
 それと同時に同行していた犬が吠え、ライルを縦穴まで連れて行く。
 デバガメ達が覗きのプロである事を思い出し‥‥。
「やっぱり、そうだったのか。この温泉は昔からえろがっぱーずが利用している事で有名だって聞いていたから、まさかとは思っていたけど‥‥」
 案の定、ライルの目の前には穴があった。
 普段は岩のハリボテを使ってカモフラージュされていたが、えろがっぱーずの移動用通路として使用されていたらしい。
 そのためライルはすぐさま指笛を吹き、えろがっぱーずが温泉に現れた事を仲間達に伝えるのであった‥‥。

●戦い
「クッ‥‥、せっかく此処まで来れたのに‥‥、これまでかっ!」
 悔しそうな表情を浮かべながら、デバガメが拳をギュッと握り締める。
 何とか抜け道を使って温泉までは来たのだが、冒険者達が待機していたため、あっという間に囲まれた。
「せっかく来たのに、私みたいなおばさんが相手でごめんなさいね?」
 全く恥ずかしがる様子もなく、杏がニコリと微笑んだ。
「八代さんっ! 伏せてっ!」
 杏にむかって大声を出して警告し、イリアが高速詠唱を使ってアイスツヴァイ(アイスブリザード2連式)を炸裂させた。
「迎撃者か‥‥河童、俺が道を切り開く‥‥先に行け!!」
 岩を踏み台にして飛び上がり、信人がクレイモアでスマッシュEX+ソニックブーム+バーストアタックを放つ。
 ふたりとも実力があるため、なかなか致命傷を与える事が出来ないまま、木や岩が吹っ飛んでいる。
「女の敵は撲滅ですわよ‥‥急々如律令、急々如律令、いでよ雷!」
 ウェザーコントロールを使って雨雲を呼び出し、樹がヘヴンリィライトニングの巻物を使って裁きの雷を喰らわせた。
「クッ‥‥、行けっ!」
 樹の攻撃を喰らって膝をつき、信人がクレイモアを握り締める。
「逃がすかっ!」
 すぐさま犬と鷹を嗾け、ライルが目潰しの粉を投げつけた。
「河童お兄さんの志、しかと受け止めたよ。この僕に任せてよね。これでも数々の修羅場を潜り抜けて来たんだ、貴方の手伝いなんて、江戸城の上から投げられた団子を、地上に立って口で受け取るのより簡単!」
 デバガメが逃げる時間を稼ぐため、カザミがわざとライルの攻撃を喰らう。
「あらあら、ひょっとして年上が好きなのかしら? でも、ヒトでありながら、河童側につくなんて‥‥。あんまり褒められる事じゃないわ」
 含みのある笑みを浮かべながら、杏がスタンアタックを使って動きを封じ込めようとした。
「だって河童さんが可愛そうだったんだもん」
 寸前のところで杏の攻撃をかわし、カザキが股間の葉っぱをクールに揺らす。
「‥‥何をしている!? 行け、行ってその目に焼き付けて来い!! 俺達の‥‥俺達の掴み取るべき真実を‥‥!!」
 熱い涙をキラリと輝かせながら、信人が杏達の行く手を阻む。
「さ、この柔肌を覗き見たんだ。あたいらは高いよ?」
 そう言って舞姫がオーラエリベイションを発動させ、オーラパワーを使ってニヤリと笑うのだった‥‥。

●カザミ
「明日のために其之壱! 蹴るべし、蹴るべし、蹴るべし!」
 えろがっぱーずを殲滅するため、舞姫がカザミ達の股間を狙って蹴りを放つ。
「キャメロットの葉っぱ男、全力で河童さんを守ります!」
 しかし、カザミはオフシストを使い、舞姫の攻撃を華麗に避ける。
「ううっ‥‥、何だかマズイ状況になってきたようでござるな‥‥。こうなったら逃亡でゴザ〜ル」
 このままでは巻き添え(主に股間)を食らうため、豚足丸が竜巻の術を使って逃げだした。
「うっ、目が‥‥」
 大量の砂埃が舞った事で視界を奪われ、カザミが薄っすらと目を開け辺りを睨む。
「これで逃げる事が出来ませんね。それにしても、私の裸を見るなんて‥‥ひょっとして、○リコン?」
 ペットを抱きしめて身体を隠し、ユキがコアギュレイトを使ってカザミの動きを封じ込める。
「クッ‥‥、漢らしく負けを認めよう。僕は貴方達の手は借りないよ。だけど、葉っぱはめくんないで、恥ずかしいから♪」
 漢らしい負けっぷりを演出するべく、何とか動けるようになったから、カザミが葉っぱ一枚でそばの池にダイブしようと助走をつけ、石鹸を踏んづけ格好悪く冷たい池に飛び込んだ。

●信人
「覗きなど、軟派な真似は許さん! どうせならば、正々堂々と見に来るんだ!!」
 霞刀を構えて信人と退治しながら、キシュト・カノン(eb1061)が警告まじりに呟いた。
「久しぶりだな。‥‥生きていたのか」
 あまり多くは語ろうとはせず、信人がクレイモアを握りなおす。
「キシュト・カノンはあの日死んだ。今此処に居るのは、THE・ヴァレルマンだ!!」
 木刀と日本刀によるダブルアタック&カンターアタックを放ち、キシュトが信人の命を狙う。
「‥‥なるほどな。どうせ、もう死んでいる身だ。‥‥来い、ジャパンが剣客、夜十字信人が、示現流にて御相手いたす‥‥!」
 自嘲気味に笑みを浮かべ、信人がデッドorライブで身を張り、キシュトの一撃を受け止める。
「死ぬ事も恐れぬ、というわけか。やはりお前がすべて悪い。その河童をそそのかしたのも、お前だなっ!」
 えろがっぱーずの黒幕が信人であると断定し、キシュトが気合の入った一撃を放つ。
 それと同時に信人がクレイモアを振り下ろし、キシュトの頭をガツンと叩く。
「‥‥完璧な桜だ」
 満足した笑みを浮かべ、キシュトがその場にバタリと倒れる。
「終わった‥‥か」
 朦朧とする意識の中、信人は何とか立ち上がろうとした。
 しかし、槐珠にいきなり抱きついてきたため、信人の魂が口からにゅるりと外に飛び出した。

●デバガメ
「‥‥ふたりとも逝ったか。見せてもらったぜ、お前の『尻誇魂』を‥‥」
 どこか寂しそうな表情を浮かべ、デバガメが茂みを移動する。
 自らの瞳に多くの女体を焼き付けるために‥‥。
「そんなに油断していていいんですか。次はあなたの番ですよ」
 背後からロッドを構えて忍び寄り、研がスタンアタックを放とうとする。
 それと同時にデバガメが地面を蹴り、ギリギリのところで攻撃をかわす。
「大人しく逝けぇ!」
 すぐさま頭の皿を狙い、ライルがシュライク+ポイントアタックを叩き込む。
「うぐっ‥‥、ここまでか」
 拳をギッと握り締め、デバガメが意識を失った。
「河童さんのお皿にお酒を注いだらどうなるのかしらね?」
 デバガメの頭を撫でた後、杏が並々と酒を注いでいく。
 ‥‥悪くはない味だ。
 益荒男らしい味がする。
「それじゃ、覗きに効くお薬ですよ〜」
 満面の笑みを浮かべながら、イリアがデバガメの股間に備讃朕秘伝の薬学、去勢薬『男の涙』をかけておく。
「‥‥天罰ですわね」
 グッタリとしたデバガメを見つめ、樹がクスクスと笑う。
「何とか、えろがっぱーず様方を無事退治できてようございましたね。これでこの地にも平和が‥‥」
 ホッとした表情を浮かべ、槐珠がニコリと微笑んだ。
 こうして、えろがっぱーずは壊滅し、弟が新たに遺志を継ぐ事になる。
 えろがっぱとしての実力を磨いた上で‥‥。