はじめてのゴブリン退治 グルメなゴブリン

■ショートシナリオ


担当:ゆうきつかさ

対応レベル:1〜3lv

難易度:やや易

成功報酬:0 G 65 C

参加人数:7人

サポート参加人数:-人

冒険期間:04月25日〜04月30日

リプレイ公開日:2006年05月01日

●オープニング

●とある村
 江戸から何日か歩いた場所に小さな村があるのだが、その村で飼われている闘牛がゴブリン達に狙われているらしい。
 ゴブリン達は闘牛の美味さに目覚めて近隣の村を襲っているため、いずれこの村にも襲撃を仕掛けてくる可能性が高くなっている。
 その上、この村の牛は数日後に隣村の牛と試合をしなくてはならないため、ここで怪我をさせるわけにもいかないようだ。
 そこで冒険者達に牛の監視とゴブリン退治をお願いしたい。

●今回の参加者

 ea8384 井伊 貴政(30歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea9150 神木 秋緒(28歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 eb2404 明王院 未楡(35歳・♀・ファイター・人間・華仙教大国)
 eb2473 ユーニ・ユーニ(17歳・♀・ジプシー・シフール・ノルマン王国)
 eb4891 飛火野 裕馬(32歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 eb4906 奇 面(69歳・♂・陰陽師・人間・ジャパン)
 eb4909 草薙 鰹雄(30歳・♂・僧侶・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

●村の様子
「闘牛に目を付けるなんて、有る意味『通』な小鬼達ね‥‥って、そんな事を言ってる場合じゃないわね。村のお百姓さんにとっては深刻な問題だし‥‥。手早く退治して、村人達を安心させて上げましょうか」
 ゴブリン達に狙われた闘牛を守るため、神木秋緒(ea9150)が依頼のあった村に向かう。
 村人達の話では、それほど遠くはない場所に村があるという話であったのだが、彼らの言った場所の近くに来ても、それらしき村が見当たらない。
「確か‥‥こっちでいいはずだが‥‥」
 ボロボロの紙に描かれた地図を広げ、奇面(eb4906)が目印を頼りに進んでいく。
 しばらくすると闘牛のいる村が姿を現し、奇達に気づいて村人達が集まってきた。
「皆さん、こちらですわよ」
 おっとりとした笑みを浮かべ、明王院未楡(eb2404)がニコリと笑う。
 どうやら未楡は奇達よりも早く村に着いていたらしく、温かい料理を作って村人達の士気を高めていたようだ。
「これなら安心して作業が出来そうね。みんながヤル気になっているうちに、罠を仕掛けてしまいましょう」
 闘牛の囲ってある厩舎とその周辺の状況を見回ってから、秋緒が村人達を引き連れ罠を仕掛けていく。
 村人達の話では小鬼達が襲撃に来るのは真夜中で、村人達が寝静まった頃だという答えが帰ってきた。
「悪さばかりする小鬼達に、みんなで一泡吹かせましょうか? 悪戯には‥‥悪戯、ですわ」
 含みのある笑みを浮かべながら、未楡が村人達と協力し合って落とし穴を掘っていく。
 落とし穴は厩舎から少し離れた場所にあり、小鬼達が油断し始める場所に掘ってある。
「‥‥何かあったら鬼面を叩いて連絡しよう‥‥。小鬼達の気が変わって、昼間に襲撃してくる可能性もあるからのぉ」
 小鬼達の奇襲を警戒し、奇がサウンドワームを発動させた。
 辺りからは鶏の鳴き声や、村人達の話し声が聞こえてくるが、小鬼達の気配はまったくない。
「出来るだけ早く作業を終わらせる必要がありますね」
 険しい表情を浮かべながら、未楡が落とし穴の中に逆竹杭を設置した。
「このくらいでいいと思いますわ」
 疲れた様子で汗を拭い、秋緒がホッとした様子で溜息をつく。
 厩舎のまわりにはたくさんの罠が仕掛けられているため、これ以上の罠を仕掛ける必要はない。
「本当は、襲撃自体が起こらなくて、こんな物が無駄になる方が良いのかも知れないわね」
 そう言って秋緒が冗談まじりに微笑んだ。

●闘牛
「べぇべぇべぇ‥‥。実家でべこ飼っとったのが、こないなトコで役に立つとは思わへんかったで」
 牛をあやす時に使う言葉を使い、草薙鰹雄(eb4909)が闘牛を落ち着かせようとする。
 闘牛は興奮気味に鼻を鳴らし、地面を蹴って鰹雄を睨む。
「そない怖い顔をしても、わいはここを動かへんで」
 厳しい表情を浮かべながら、鰹雄が闘牛をジロリと睨み返す。
 ここで弱いところを見せれば、闘牛が突撃してくる可能性があるため、どんな事があってもその場から決して動かない。
 しかし、その事が闘牛の闘争心に火をつけ、鰹雄にむかって体当たりを仕掛けてきた。
「いとうない‥‥怯えてただけなんやろ‥‥」
 あまりの激痛に表情を強張らせ、鰹雄が腹からダラダラと血を流しながらクスリと笑う。
 闘牛は鰹雄の対応に戸惑いながら、大きくフンと鼻を鳴らす。
「なぁに、驚く事はない。わいはキミの味方やから‥‥」
 ゆっくりと闘牛の角を引き抜き、鰹雄が囁くようにして呟いた。
 闘牛は鰹雄の顔をジィーッと見つめ、申し訳無さそうな表情を浮かべて頭を下げる。
「これでこっちは安心やな。後は頼むで‥‥」
 祈るような表情を浮かべ、鰹雄が未楡を見つめて呟いた。
 彼女に対して淡い恋心を抱きつつ‥‥。

●小鬼
「うお、逆竹杭もあるやん。間違って落ちたらえらい目にあうな〜」
 仲間達の指示を受けて村人達の設置した罠を確認した後、飛火野裕馬(eb4891)が冗談まじりに微笑んだ。
 厩舎のまわりには無数の罠が仕掛けられているため、きちんと場所を覚えておかないと危険である。
「裕馬さんも、冷めないうちにどうですか?」
 裕馬にむかって手招きしながら、井伊貴政(ea8384)が村人達の輪に誘う。
 村人達は未楡の作った料理に舌鼓を打っており、ほのぼのとした空気が流れている。
「おっ! やっぱり、べっぴんさん達が作る料理はホンマ美味いな〜』
 幸せそうな表情を浮かべ、裕馬が未楡の料理を絶賛した。
「鰹雄さんにも差し入れしてくるのぉ〜」
 闘牛と向かい合い魂の語り合いを始めている鰹雄の緊張を和らげるため、ユーニ・ユーニ(eb2473)がおにぎりを差し入れに持っていく。
 鰹雄は未楡を見つめて頬を染め、恥ずかしそうにおにぎりをパクついた。
「‥‥どうやら小鬼達が現れたようやな。みんな、準備はええか?」
 村の外からガサゴソと音が聞こえてきたため、裕馬が険しい表情を浮かべて辺りを睨む。
 小鬼達は料理の匂いに誘われたのか、クンクンと鼻をヒクつかせながら、茂みを掻き分け進んでいく。
「とりあえず村人達を避難させましょうか。小鬼を倒すのは、それからです」
 いくつもの冒険をこなしているためか、貴政が落ち着いた様子で村人達を避難させる。
 村人達は貴政の指示に従い、厩舎から離れた場所に避難した。
「よっしゃ! 小鬼達を倒しに行くでぇ!」
 気合を入れて小鬼達を睨みつけ、裕馬が日本刀を握り締める。
 しかし、小鬼達は無性に腹を空かせているため、唸り声をあげて裕馬達に攻撃を仕掛けていく。
「きゃ〜♪」
 わざとらしく悲鳴をあげながら、ユーニが落とし穴のある方向にむかって飛び始めた。
 小鬼達はユーニを見て美味そうに感じたのか、涎を垂らして追いかけていく。
「わっ、わっ、ユーニは食べ物じゃないよっ! だ、だからユーニを食べないで〜」
 瞳をウルウルとさせながら、ユーニがダラリと汗を流す。
 小鬼達は落とし穴があるのも分からず、唸り声を上げてユーニに飛びつこうとした。
 しかし‥‥、小鬼達は虚しく落とし穴に落ちていく。
 自分たちのみに何が起こったのかも分からぬまま‥‥。
「ふ〜、助かったぁ」
 ホッとした表情を浮かべながら、ユーニが地面にちょこんと着地した。
「どうやら僕達の出番はなかったようですね」
 苦笑いを浮かべながら、貴政が小鬼の生死を確認する。
 小鬼達は落とし穴の中に仕掛けられていた逆竹が身体に突き刺さり、アングリと口を開けたまま絶命しているようだった。
「まぁ、ええやろ。村にも被害がなかったんやから‥‥。これからみんなで祝杯やっ!」
 そう言って裕馬がニコリと笑い、村人達の避難した場所へとむかうのだった。