清十郎真人間化計画

■ショートシナリオ


担当:ゆうきつかさ

対応レベル:フリーlv

難易度:普通

成功報酬:0 G 78 C

参加人数:7人

サポート参加人数:-人

冒険期間:05月31日〜06月05日

リプレイ公開日:2006年06月05日

●オープニング

●清十郎
 最近、問題ばかりが目に付く清十郎を更生させるため、於通が彼を連れて寺に行こうとしているらしい。
 この寺は芸の出来るカワウソとしても知られている、ごるびーも修行に行っていた由緒正しき場所である。
 しかし、人間的にもアレな清十郎とふたりっきりで寺まで行かせるわけにもいかないため、彼女の護衛ついでに清十郎の監視もお願いしたいと言うわけだ。
 それに途中で清十郎が逃げるかも知れないから、監視役もなるべく多い方が無難だろ?

●今回の参加者

 ea0046 志羽 武流(34歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 ea0443 瀬戸 喪(26歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea2890 イフェリア・アイランズ(22歳・♀・陰陽師・シフール・イギリス王国)
 ea4233 蒼月 惠(24歳・♀・忍者・人間・ジャパン)
 ea6764 山下 剣清(45歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 eb2545 飛 麗華(29歳・♀・武道家・人間・華仙教大国)
 eb3021 大鳥 春妃(26歳・♀・陰陽師・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

●於通
「‥‥於通様、覚えていただいておりますか? お久しぶりです」
 深々と於通に頭を下げた後、大鳥春妃(eb3021)が彼女のいる部屋に入ってきた。
 於通の部屋には他の冒険者達も集まっており、清十郎が真人間になるまでお菓子を食べて待っている。
「のんびりしていってくださいね。住職さんがとてもイイ人だったので、わたくしの場合は自由にして構わないそうなので‥‥」
 のほほんとした表情を浮かべ、於通がコクリとお茶を飲む。
 寺の住職に気に入られたせいか、於通だけは特別扱いされており、厳しい修行も受けていない。
「それにしても於通さんも狸‥‥じゃなかった狐だよなぁ。自慢の色気でカタブツの住職を骨抜きにしちゃうんだから‥‥」
 苦笑いを浮かべながら、山下剣清(ea6764)が彼女の肩をぽふりと叩く。
 普段の於通は天使のような性格をしているため、彼女の知らない者ならコロッと騙されてしまうだろう。
「おほほほほっ‥‥。狐だなんて、ご冗談を‥‥。わたくしは純粋な気持ちで住職さんに接しただけですわ」
 含みのある笑みを浮かべながら、於通が満足した様子で扇子を扇ぐ。
 本当の於通を知っている者達にとって、彼女の笑みは少し怖いものがある。
「とにかく清十郎が逃げ出さないように見張っておかないとなぁ‥‥」
 疲れた様子で溜息をつきながら、志羽武流(ea0046)が腕を組む。
 ちなみに清十郎は男色のため、武流が狙われてしまう可能性も高い。
「その事なら何も心配する必要はありませんわ。清十郎が逃げるとしたら、必ずここを通るはずだから‥‥」
 妖艶な笑みを浮かべながら、於通が瞳をキラリと輝かせる。
 彼女の場合は清十郎が途中で逃げ出したしまった方が色々と都合がいいため、監視にはそれほど力を入れていない。
「清十郎様だってわざわざ痛い思いをしてまで危険を冒す事は無いでしょう。於通様が原因で女嫌いになったと聞いていますから‥‥」
 持参した和菓子を器に山盛りした後、春妃が湯飲みにお茶に注いでいく。
 詳しい話は聞いていないのだが、清十郎が於通に弟子入りしていた時に、何か酷い事をされたのが原因で女嫌いになったらしい。
「しかも噂じゃ‥‥。いや、何でもない‥‥」
 於通がサディストな性格をしているという噂を思い出し、剣清がハッとした様子で口をつぐむ。
 ここで迂闊な事を口にすれば、於通に何をされるか分からない。
「‥‥今は一時の安らぎに身を委ねようじゃないか」
 於通の身体から凄まじい殺気が漂ってきたため、武流が剣清の身体を肘で小突く。
 彼女は自分の噂話に対してとても敏感なため、最悪の場合は噂を流した本人が海に浮かぶ事になる。
「それに清十郎様の監視をシフールの友人であるイフェリア様が手伝ってくださるそうなので、於通様はここで安心して待っていていただけると思いますわ。もし宜しければ、わたくしが占いでもいたしましょうか?」
 於通の顔を見つめてニコリと笑い、春紀が精神を集中させて占いをし始めた。
 しかし、予想外に悪い結果が出たため、春紀が困った様子で汗を流す。
「‥‥あら? 困りましたわ。今日は調子が悪いみたいですわね。近々、不幸な事が起こると出ていますわ」
 占いの結果を黙っているわけにも行かないため、春紀が言葉を選んで無難に答える。
「‥‥不幸な事ねぇ。清十郎には悪いけど、これってきっと運命なのかも知れないわ」
 先程の表情とはガラリと変わり、於通がサディスティックな笑みを浮かべて鞭を掴む。
 どうやら清十郎に八つ当たりするため、これから彼を捜しに行くらしい。
「ああ、お茶がおいしい」
 於通の身体から殺意のオーラが漂ってきたため、剣清が爽やかな笑みを浮かべて現実逃避をし始める。
 清十郎の身代わりとして八つ当たりされても困るため、どんな事があっても於通と目を合わそうとはしない。
「清十郎殿なら滝に当たっているはずです。これで清十郎殿が少しでも真人間になると良いですな、於通殿」
 そう言って武流が清十郎の居場所を伝え、仲間達を八つ当たりの危機から救うのであった‥‥。

●荒行
「ぬおおおおおおおおっ! 冷たいのじゃあああああああああっ!」
 邪な心を取り除き真人間になるため、清十郎が褌一丁で気合を入れて滝に当たる。
 この時期の水はとても冷たいため、突き刺すような痛みが清十郎の身体を何度も襲う。
「えぇ〜? そんなに痛くないよぉ〜」
 清十郎を抱きついて滝の衝撃を緩和させながら、蒼月惠(ea4233)が冗談まじりに微笑んだ。
「のわああああああああああああああっ! いきなり胸を当てるなっ! 気持ちが悪いっ!!」
 悲鳴を上げて飛び上がり、清十郎が青ざめた表情を浮かべて惠を睨む。
 清十郎にとって女性は恐怖の対象でしかないため、惠が褌一丁でいても全く喜ばない。
「失礼ねぇ〜。普通、女の子がこんな格好をしていたら、泣いて喜ぶものなのよぉ?」
 納得がいかない様子で清十郎を睨みつけ、惠が大きく頬を膨らませる。
「そんなぽよんぽよんとしたモノを押し付けられても嬉しくないのじゃ。どうせならもっとガッチリとしたモノを押し付けぃ!」
 不機嫌な表情を浮べながら、清十郎が惠をジロリと睨む。
 清十郎の場合はむっちりぽよんな娘より、ガッチリムキムキな漢が大好きなため、色々な意味で期待はずれだったようである。
「ガッチリとしたモノって‥‥、まさか清十郎はつるぺた派? まぁ、気持ち的には分からない事もないけどねぇ‥‥」
 色々な意味で危険を感じ、惠が乾いた笑いを響かせる。
「こぉら、勘違いするではないっ! わしは純粋に男が好きなんじゃっ! それが何故、分からんのじゃあ! いいか、わしが筋肉の素晴らしさを教えてやろう」
 惠の肩をガッシリと掴んで雄叫びを上げ、清十郎が筋肉の素晴らしさについて語っていく。
 それと同時に漂う殺気‥‥。
 清十郎はこの殺気の主を知っていた。
「あ、あの‥‥、誤解なのじゃ‥‥」
 引きつった笑みを浮かべながら、清十郎が怯えた様子で後ろをむく。
「へぇ、誤解なの‥‥」
 天使のような笑みを浮かべ、於通がこめかみをピクピクさせた。
 於通から見れば清十郎が惠を襲っているようにしか見えないため、彼の返事次第では血祭りにあげるつもりでいるようだ。
「ひぃ〜ん、怖かったですよぉ〜。清十郎がいきなり私の事をぉ‥‥」
 わざとらしく於通に抱きつき、惠がワンワンと泣き始める。
 本当は泣くほど酷い事もされていないのだが、清十郎をからかってみたくなったらしい。
「う、裏切り者ぉ〜。わしは何もしておらんぞぉ〜!」
 大粒の涙を浮かべながら、清十郎が惠に文句を言おうとする。
「そのくらいにしておきましょうか? ‥‥死にたくなかったらね」
 警告まじりに呟きながら、於通が清十郎の首を掴む。
 清十郎を真人間にするため、本格的なお仕置きが必要だと思いつつ‥‥。

●座禅
「はぁはぁ‥‥、酷い目に遭ったのじゃ」
 全身傷だらけになりながら、清十郎が本堂まで這って来た。
 於通からみっちりとお仕置きを受けたため、清十郎の身体には鞭でつけられた傷跡が残っている。
「どうやら於通さんからキツイ調教を受けていたようですね‥‥。ここまですると僕の出番がなくなっちゃいそうですが‥‥」
 苦笑いを浮かべながら、瀬戸喪(ea0443)が清十郎の背中を踏む。
 清十郎は『ぐげっ』と蛙が潰れたような声を出し、怯えた様子で身体をガタガタと震わせる。
「何をそんなに怯えているんですか? ひょっとして、これが怖いとか‥‥?」
 含みのある笑みを浮かべながら、喪が精神注入棒を突きつけた。
「い、いや‥‥、おぬしだけなら、わしも納得するんじゃが‥‥。なんでみんな持っているのじゃ!」
 今にも泣きそうな表情を浮かべ、清十郎がまわりにいる冒険者達を指差していく。
 どうやら誰も清十郎と座禅を受けるつもりが無かったらしく、みんな御仕置きする側にまわっている。
「そりゃ、当たり前やろがっ! 精神注入棒と言わず、ハリセンでビシバシとシバキ倒してもええんやで〜!」
 精神注入棒をブンスカと振り回し、イフェリア・アイランズ(ea2890)がニカッと笑う。
 イフェリアの使用する精神注入棒はシフールサイズに加工されているのだが、針のように鋭く尖っているため別に使い方も出来そうだ。
「そ、そんなの不公平なのじゃ! わしはたったひとりなんじゃぞ! みんなで突いたら痛いじゃろうがっ!」
 納得のいかない様子でイフェリア達を睨みつけ、清十郎がブツブツと文句を言う。
 清十郎としては一緒に座禅の苦しさを分かち合う相棒が欲しかったため、自分ひとりで座禅を行う事に関して納得する事が出来ないらしい。
「‥‥それは煩悩が濃すぎるせいよ」
 呆れた様子で溜息をつきながら、飛麗華(eb2545)が精神注入棒を振り下ろす。
 既に修行は始まっているため、清十郎が文句を言う度ビシバシ叩く。
「意外とストレス発散になりますね」
 クールな表情を浮かべながら、麗華がボソリと呟いた。
「こ、ここに鬼がいるのじゃ! だ、誰か助けてほしいのじゃあ〜」
 青ざめた表情を浮かべ、清十郎が這うようにして逃げていく。
「おやおや、もう終わりですか? 駄目ですねぇ。せめて真人間になってから部屋を出て行かないと‥‥」
 精神注入棒を使って清十郎の行く手を阻み、喪が彼の耳元で怪しく囁いた。
「うぐっ‥‥、そこまで言われたら、わしも腹を括るのじゃ。さぁ、わしがちょっとでも動いたら、肉なり焼くなり好きにするがいいっ!」
 覚悟を決めて座禅を組み、清十郎が雄叫びを上げる。
 それと同時に喪達が一斉に精神注入棒を振り上げ、気合を入れて清十郎の身体をピシパシ叩く。
「こ、こらっ! 待たんかっ! わしは動‥‥ごが‥‥げふっ‥‥」
 大粒の涙を浮かべながら、清十郎が精神注入棒の一撃を何度も喰らう。
「何を言っておるんや! ちぃっと動いたやろっ! うちが鍛えなおしてやるっ! 悪・即・斬っ!」
 上空から急降下して精神注入棒を振り下ろし、イフェリアが後ろに回って後頭部をフルスイングでブン殴る。
「げはっ‥‥、何をするのじゃ! だから‥‥げふっ!」
 文句を言おうとして立ち上がり、清十郎が精神注入棒の一撃を腹に喰らう。
「‥‥どうやら心に乱れがあるようですね」
 精神注入棒を清十郎に向けながら、麗華がジロリと彼を睨む。
「う、うるさいのじゃ! わしだって好きで動いているわけではないっ! お前らがそれで叩くから‥‥ぎゃふんっ!」
 不機嫌な表情を浮べて麗華の胸倉を掴み上げ、清十郎がイフェリアの一撃を股間に喰らって悲鳴を上げる。
「はぁ‥‥、仕方ありませんね。清十郎には色々と躾をしなければなりません」
 そう言って喪が清十郎に首輪をつけ、奥の部屋へと連れていく。
 於通と共に清十郎を躾けるために‥‥。