●リプレイ本文
●えろがっぱーず・ぴゅあ
「‥‥ふっ、来たね。‥‥とうとう来たね。‥‥待っていたよ、この時をっ! ‥‥えろがっぱーずとして、女湯を覗く時をねっ! ‥‥思えば今まで男湯を覗かれ、見たいと言われて裸を見せれば、仇として付け狙われ散々だったけど、ようやく報われる日が来たようだね。さあ、覗こう女湯を覗こう一心不乱に迷いなく、只ひたすらに僕達の桃源郷を目指して‥‥。ついて来たまえ、同志達よ」
えろがっぱーずを前にして、雨森刹那(eb4842)が拳を握って熱く語る。
河童達は感動した様子で刹那の話に耳を傾け、手拭いを使って溢れ出る涙を必死で拭う。
「聞いたか、みんなっ! 漢なら、えろがっぱーずとして参加すべきだ! 覗き大いに結構! やらずして何とする! というワケでいくぜ、野郎共っ! 一人でも多くの裸を見るために‥‥」
えろがっぱーずの士気を高め、志羽翔流(ea0335)が拳をギュッと握り締める。
河童達にとって翔流達の存在は神にも近いため、両手を合わせて拝んでいる者までいるようだ。
「‥‥倒されても、又、立ち上がる。男とは、そう在りたい物です。私も軟弱な自分から生まれ変わる為に、えろがっぱーずとして、死地に赴きましょう」
翔流に続いて岩場の上に立ち、アルフレッド・ラグナーソン(eb3526)が自分の考えを語っていく。
それと同時に河童達の間から惜しみの無い拍手が送られ、みんなでアルフレッドの勇気を褒め称えた。
「そこに女湯がある限りっ! どんな困難があろうとも、自分達は負けないッパ。たとえ仲間を犠牲にしてでも、任務はまっとうするッパ!」
えろがっぱーずの精神を心に刻み、牛久沼の璃球(eb5360)が河童の代表として宣言する。
河童達は璃球をえろがっぱーずの首領にするつもりでいたため、彼の言葉に心を打たれて滝のような涙を流す。
姿形は違えども、志は皆同じ‥‥。
何故なら、彼らは誇り高き、えろがっぱーずなのだから‥‥。
●冒険者達
「‥‥エロ河童か。ジャパンには妙な団体がいるなぁ。同じ水に生きるものとして、そして男として奴らの気持ちは分からないでもないが、俺もナイトの端くれ。女性に仇なす奴に味方するワケにもいかん」
自分自身に言い聞かせるようにしながら、レンティス・シルハーノ(eb0370)が温泉に罠を張っていく。
既にえろがっぱーずと内通していた清十郎は捕縛してあるため、レンティス達には敵の動きが手に取るように分かっている。
「それにしましても、えろがっぱーずって‥‥どこから沸いて出たのでございましょう‥‥?」
不思議そうに首を傾げ、花東沖槐珠(eb0976)がボソリと呟いた。
「スケベな河童がいる限り、えろがっぱーずは滅びません。何度でも蘇り、女湯を覗く事でしょう。しかも最近ではえろがっぱーずに味方している冒険者までいるのです。これは一筋縄ではいきませんね」
険しい表情を浮かべながら、飛麗華(eb2545)が拳を握る。
えろがっぱーずが再結成するたび賛同していく冒険者達が増えているため、早めに退治しておかないと面倒な事になってしまう。
「とりあえず、河童が現れるまで、温泉でのんびりしませんか? いい湯ですよ〜」
満面の笑みを浮かべながら、槙原愛(ea6158)が手招きする。
一応、手拭いで胸元は隠しているが、だいぶリラックスしているようだ。
「まぁ、河童も現れていない事だし、のんびりと‥‥って、お、お、お、おお小野嬢!? ちょっ、ちょっと用事を思い出した。さ、さ、散歩に行ってもいいかな?」
女湯に於通が浸かっている事を知ったため、クリス・ウェルロッド(ea5708)が興奮気味に温泉宿を出て行った。
「‥‥何だか妙ですね。今頃、散歩に行くなんて‥‥。清十郎さん、えろがっぱーずと合流するついでに、クスリさんの様子を見に行ってもらえますか? ‥‥分かりますよね、この意味が‥‥」
含みのある笑みを浮かべながら、瀬戸喪(ea0443)が清十郎に指示を出す。
清十郎は怯えた様子でコクンと頷き、逃げるようにしてえろがっぱーずの元にむかうのだった‥‥。
●戦の前に‥‥
「今回の標的は小野於通という女の裸を見る事だ。えろがっぱーずの間では『鉄壁』と呼ばれている‥‥。今までにも何度かえろがっぱーずが彼女の裸を見るために命を懸けてきたが、みんな彼女の裸を見る事なく散っていった‥‥。尻にキュウリを挿されてな」
於通に挑戦して返り討ちに遭ってきた河童達の末路を語り、翔流が険しい表情を浮かべて溜息をつく。
えろがっぱーず達は改めて於通の恐ろしさを実感し、身体をガタガタと震わせている。
「す、素晴らしい。あなた達の生き様に、私は感銘を受けた!! 例え塵り行く運命とて、一瞬の美を求める君達を、私は尊敬する!! いや、戦友と呼ばせてくれ!!」
瞳をランランと輝かせ、クリスが翔流の両手をガッチリと掴む。
「あ、あんた‥‥、於通側の人間じゃなかったのか? なんでここにいるっ!」
すぐさまクリスの胸倉を掴み上げ、翔流が驚いた様子でツッコミを入れた。
「ひ、人違いじゃないのかな? 私は小野殿の裸を見るため、この世に遣わされた神の使徒っ! そして、あなた方の仲間ですっ!」
妙に爽やかな笑みを浮かべながら、クリスが真っ白な歯を輝かせる。
色々な意味で胡散臭さが漂っているため、河童達の間からも疑惑の目が向けられているが、その事にクリスはまったく気づいていない。
「あんた、あっちのスパイだな? 嘘をついたって分かるんだぜ! おい、誰か。コイツを縛って転がしておいてくれ」
クリスの胸倉を掴んだまま、翔流が河童達に対して指示を出す。
「まっ、待つのじゃ! クリスはわしらの味方じゃっ! だから酷い事はしないでくれっ!」
未だにクリスが小野側の人間であると思っているため、清十郎が慌てた様子で河童達の行く手を阻む。
「ふっ‥‥、まさか清十郎と共同戦線を張る事になろうとはね。私の足を引っ張らないでくれよ。ただでさえ、あなたは災いを呼ぶ性格だから‥‥」
クールな笑みを浮かべながら、クリスが髪を掻きあげる。
清十郎は何か言いたそうにしていたが、於通のお仕置きが怖いため口をつぐむ。
「まぁ、仲間はひとりでも多い方がいいでしょう。このままだと於通さんが温泉から出てしまいますし‥‥、お互い頑張りましょうね」
冗談まじりに微笑みながら、アルフレッドがクスリと固い握手をかわす。
河童達もアルフレッドの考えを理解したのか、満面の笑みを浮かべてクリスの背中をぽふりと叩く。
こうしてクリスはえろがっぱーずの一員として、厳しいミッションに参加する事になるのであった‥‥。
●温泉宿
「‥‥いよいよだな。当然、邪魔をするものもいると思うが、そんな物は気合と根性で切り抜けろ。‥‥理性は要らない本能で凌駕するのだ。自分の感を信じて突き進め。女湯の場所なら感じ取る事が出来るだろ? 何故なら僕等は『えろがっぱーず』なのだから‥‥。それじゃ、健闘を祈るっ!」
温泉宿をジロリと睨み、刹那が河童達に別れを告げる。
河童達は瞳にハートマークを浮かべながら、興奮気味に鼻息を荒くしながら温泉にむかう。
「‥‥ここまでは順調のようですね。みんなに連絡しておかねば‥‥」
茂みの中に隠れて河童達の様子を窺いながら、麗華がゴクリと唾を飲み込んだ。
河童達はギシィギシィと音を立て、まったく警戒していない。
「だ、駄目ッパ! そんなに堂々としていたら、敵に見つかってしまうッパ!」
あまりにも河童達が無防備だったため、璃球が驚いた様子で彼らを叱る。
「そこまでですっ! ここから先は通しませんっ!」
コアギュレイトを遣って河童の動きを封じ込め、槐珠が険しい表情を浮かべて行く手を阻む。
「お弁当はいかがですか? ホカホカで食べ頃ですよ!」
弁当売りの格好をして槐珠に迫り、アルフレッドがホーリーを放つ。
しかし、ホーリーは邪悪な者にしかダメージを与える事が出来ないため、そのまま槐珠の反撃を食らって動きを封じ込まれてしまう。
「あ〜、そういえば今回は河童退治の依頼でしたか〜。とりあえず覗きをするエッチな人には‥‥天誅!なのです〜。‥‥って、何をじろじろ見てるのですか〜?」
何やら入り口の方が騒がしかったため、愛が全裸のまま様子を見にやって来た。
「ぬおおおおおおおおおっ! こ、これは‥‥イイッ! えろがっぱーず万歳っ!」
感動した様子で愛の裸体を拝みながら、翔流が河童達と一緒に涙を流す。
河童達も予想外の収穫に喜び、翔流と抱き合っている。
「お、女性の裸を覗こうとするエッチな河童さんにはお仕置きなのです〜!」
恥ずかしそうに頬を染め、愛が河童達にポイントアタックを炸裂させた。
河童達は股間を押さえて悲鳴をあげ、血反吐を吐いて倒れ込む。
「どうしてこのような恥ずかしい事をなさるのですか? わたくし、哀しいです‥‥」
愛の身体に着物を着せて翔流を睨み、槐珠が再びコアギュレイトを発動させる。
それと同時に河童達が身代わりとなって、槐珠達の足止めをした。
「お、お前ら‥‥。死ぬんじゃないぞ!」
河童達の熱くて不純な思いを受け止め、槐珠が涙をキラリと輝かせる。
えろがっぱーずの目的を果たすため、槐珠も心を鬼にするしかない。
「‥‥おっと。ここから先には行かせないぜ! 於通さんに代って成敗するぜ!」
ニードルホイップを使って槐珠の動きを封じ、レンティスが魅惑の薔薇を咥えてニヤリと笑う。
槐珠は必死になって抵抗しようとしているが、レンティスのカウンターアタックスマッシュを喰らって気絶した。
「クッ‥‥、まさかここまで強固な守りとは‥‥。でも、負けるわけには行かないんだっ! 散っていったためにも‥‥」
決して後ろを振り向かず、刹那が女湯に飛び込んだ。
女湯には於通らしきシルエットが浮かんでおり、刹那が興奮気味に忍び寄る。
「‥‥遅かったね。てっきり全滅したかと思ったよ。でも、残念だったね。ここに於通さんはいないよ。僕の裸で良かったら見せてあげるけど‥‥」
冗談まじりに微笑みながら、喪が鞭を使って刹那の首を絞めていく。
「わ、罠だったのか!? み、みんな逃げるんだっ! じーく、えろがっぱ!」
仲間達が逃げる時間を稼ぐため、刹那が大声を上げて鞭を掴む。
「か、必ず戻ってきますから、それまで堪えてくださいねっ!」
大粒の涙を浮かべながら、クリスが温泉宿から逃げ出そうとする。
しかし、喪達によって虎猫が捕らわれている事に気づき、その場からまったく身動きが取れなくなった。
「ひ、卑怯な真似を‥‥」
悔しそうな表情を浮かべながら、クリスがワナワナと拳を震わせる。
「‥‥卑怯ですか。僕にとっては褒め言葉ですね。さぁ、観念してください。これ以上、酷い目に遭いたくなかったら‥‥」
自嘲気味に笑みを浮かべ、喪が指をパチンと鳴らす。
それと同時にクスリ達が捕らえられ、御仕置き部屋へと連行される。
ただひとりを除いては‥‥。
「ううっ‥‥、後の事は俺に任せておけっパ! 必ず仲間を連れて戻ってくるッパ!」
そして璃球は助けを呼ぶため、ひとりで温泉宿を後にした。
すべてが手遅れだった事に気づかぬまま‥‥。