フンドシーゼ
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■ショートシナリオ&
コミックリプレイ
担当:ゆうきつかさ
対応レベル:フリーlv
難易度:普通
成功報酬:1 G 40 C
参加人数:4人
サポート参加人数:-人
冒険期間:07月06日〜07月19日
リプレイ公開日:2006年07月14日
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●オープニング
●ユーリ
「‥‥実はお前に頼みがあるっ! た、頼む! 話だけでも聞いてくれっ!」
地面に頭を擦りつけるようにして土下座をしながら、ユーリがふゆに対して頭を下げる。
ユーリと初めて会ったのは、数ヶ月前に引き受けた、とある依頼。
実の父親である春一番を故郷まで連れて帰るのが目的だった。
「一体、今度は何だ? どうせ下らない事だと思うが‥‥」
呆れた様子で溜息をつきながら、ふゆがジト目でユーリを睨む。
春一番に関した依頼なら、お断りだと目で訴えながら‥‥。
「‥‥金が無いんだろ? 今まで住んでいた所も焼けちまってさ」
ふゆの顔色を窺いながら、ユーリが妖しくニヤリと笑う。
ミンメイ堂が火事によって全焼した後、ふゆは住む場所を求めて旅をしていたらしいので、資金が尽きかけているのは間違いない。
「うぐっ‥‥。な、なぜ、それをっ!」
驚いた様子でユーリを見つめ、ふゆがダラリと汗を流す。
「ははっ、お前の事なら何でもお見通しさっ! 頼みって言うのは他でもない。春一番を貸してくれ。お前なら封印を解く事が出来るんだろ? 拘束具を外すための鍵を持っているんだからさ」
含みのある笑みを浮かべながら、ユーリがジリジリと迫っていく。
「お、お前は馬鹿かっ! ヤツは欲求不満で爆発寸前になっているんだぞっ!? 封印を解いたら最後っ! 男だろうがケモノだろうが関係ない! そこまでして一体、何をするつもりでいるんだっ!」
故郷で春一番が『断色の刑』に処されているため、ふゆが困った様子で愚痴をこぼす。
残念ながら春一番を止める事が出来るのは、己の欲望を満たした時か、大人の事情で描写が不可能になった時だけである。
「よく聞いてくれたっ! 実は船の墓場に隠されている秘宝を取りに行きたいんだが、海賊狩りの専門家がいるため手出しする事が出来ないって訳さ。リーダーの名はフンドシーヌ。海賊狩りを専門にした『フンドシーゼ』のリーダーさ。コイツは褌こそが紳士淑女の嗜みとか抜かしているヤツで、それ以外の着用を認めていない。しかもコイツは褌を自由に操る事の出来る史上最高の変態だ。褌を操るためならポロリも辞さないっ! 色々な意味でアレなヤツだ」
険しい表情を浮かべながら、ユーリがブツブツと愚痴をこぼす。
大人の事情で本当にポロリをしても、問題の無い方向性で修正されそうだが、色々な意味で恐ろしい相手である事は確からしい。
「とりあえず‥‥、断るっ!」
ユーリの顔をマジマジと見つめ、ふゆがキッパリと答えを返す。
色々な意味で面倒な依頼のため、引き受けるつもりが無いようだ。
「こら、待てっ! ちょっとは悩めっ! まぁ‥‥、予想はしていたけどさ。でも、お前には断れない理由があるっ! ‥‥何故ならお前の名前を使って、ごるびーを誘拐したからだっ! 今頃、お前を倒すため、冒険者達が集まっている頃だろうしな。俺に協力しなきゃ、誤解されたままデストローイって事さっ!」
高笑いを上げながら、ユーリが拳をガシィッと突き上げる。
実際はイカを餌にして海で釣りをしていた所、偶然ごるびーが釣れてしまったらしい。
「ううっ‥‥、卑怯な真似を‥‥。ごるびーの居場所を教えてほしくば協力しろ、と言うわけか。わ、分かった。引き受けよう」
こうして、ふゆはユーリの依頼を引き受け、春一番の封印を解く事になる。
●リプレイ本文
●仮面の武道家
「仮面の武道家ほわいとしゃどう参上っす!」
ユーリの海賊船めがけて太丹(eb0334)が乗った大凧が降りてくる。
海賊達は敵の襲撃と勘違いしたまま、太を狙って一斉に弓矢を放つ。
「のわあっ! 自分は敵じゃないっすよぉ〜!」
大粒の涙を浮かべながら、太が激しく首を横に振る。
しかし、太の言葉は届いておらず、ユーリが甲板に手下を呼ぶ。
「さては、フンドシーヌの手下だなっ! 構わん! 撃って、撃って、撃ちまくれええ!」
船首に立って腕を組み、ユーリが手下に指示を出す。
太は大凧を操ってユーリの手下が放った弓矢を避けようとしているが、思うように大凧を操る事が出来ずにクルクル回る。
「ぬおっ! こっちに来るぞ! 逃げろおおお!」
驚いた様子で悲鳴をあげながら、ユーリ達が蜘蛛の子を散らすようにして逃げていく。
次の瞬間、太の乗った大凧がバランスを崩し、海賊船の甲板に落下した。
「し、死んだか‥‥?」
心配した様子で太の落ちた穴を覗き込み、ユーリが手下達と一緒にゴクリと唾を飲み込んだ。
「ひ、酷い目にあったっす」
ハァハァと息を吐きながら、太が穴の底から這い上がっていく。
「自業自得だっ! 俺の命を狙って無事でいられるとでも思っていたのか? 観念しろっ!」
不機嫌な表情を浮かべ、ユーリが太の喉元にナイフを突きつける。
「まっ、待つっす! 自分はマグロを取りに来ただけっすよ!」
そう言って太がユーリの船に乗った理由を話すのだった‥‥。
●封印
「やっぱり、ごるびー攫ったのは、お前さんだったか。まあ、そんなこったろうとは思ってたが‥‥」
ふゆから届いた脅迫状を握り締め、龍深城我斬(ea0031)がユーリを睨む。
ごるびーは鳥籠の中に入っており、悲しげにキューキューと鳴いている。
「‥‥ふん。何を言っているのか分からないねぇ。ごるびーを誘拐したのは、ふゆだろ? 俺には関係のない話さっ!」
不機嫌な表情を浮かべながら、ユーリがふゆを指差した。
「‥‥あのなあ、この嬢ちゃんは見た目が良いだけで、性格はガサツだし男勝りですぐ暴力に走って親父が救いようの無い究極変態という、どーしよーもない娘っ子だが‥‥ぐぼあっ!」
話している途中で背後から強烈な一撃を喰らい、我斬がげふっと血反吐を吐いて吹っ飛んだ。
「どーもようもない娘っ子は余計だっ! 今度、妙な事を言ったら、しばき倒すっ!」
我斬の顔をグリグリと踏みつけ、ふゆがプンスカと怒る。
「既にしばき倒されているんだが‥‥。と、とにかく、ふゆはミンメイ堂でごるびーをいつも可愛がってたんだよ。誘拐なんぞ絶対にするわけが無え!」
背後から突き刺さるような視線を感じつつ、我斬が必死になってふゆの事をフォローした。
迂闊な事を言って半殺しにされるのもアレなので、出来るだけ彼女の事を褒めながら‥‥。
「どうでもいいじゃないか、そんな事‥‥。どちらにしても、ごるびーを返して欲しくば俺達に協力するしかないんだからな」
いやらしい笑みを浮かべながら、ユーリがごるびーの入った籠を持ち上げる。
「うぐっ‥‥、汚い真似を‥‥。それじゃ、本気でヤツの封印を解くつもりなのか? 単なる冗談ではなく、本当に‥‥」
青ざめた表情を浮かべながら、我斬がボソリと呟いた。
我斬にとって春一番はあまり関わりたくはない相手なので、出来る事なら封印したまま海に沈めて欲しいほどだ。
「‥‥当たり前だろ。俺の最終兵器だからな。危険な事は覚悟の上さっ!」
そう言ってユーリが含みのある笑みを浮かべるのであった‥‥。
●春一番
「アレだけやって、まだ生きてたのか‥‥春一番は‥‥」
呆れた様子で溜息をつきながら、三笠明信(ea1628)が春一番の閉じ込められている部屋に入っていく。
部屋の中には貞操帯をつけられた春一番が壁に貼りつけられており、猿轡を噛まされ両手両足を縛られている。
「グォォォォォォ!」
血走った瞳で唸り声を上げながら、春一番が興奮した様子で鼻を鳴らす。
「それ以上、近づかない方がいい。禁欲生活が長かったせいで、男でも見境なく襲ってくるぞ」
明信が春一番のテリトリー内にいたため、ふゆが警告まじりに呟いた。
「そ、それじゃ、拘束具を外した途端、わたくし達に襲い掛かってくる場合もあるというわけですか? さすがにそこまでアレな展開にはなりません‥‥よね? ‥‥ふゆさん??」
心配した様子でふゆを見つめ、明信がダラリと汗を流す。
色々な意味で身の危険を感じているため、ふゆから出来るだけ多くの情報を聞きたいようだ。
「いや、それ以上にアレだ」
気まずい様子で視線を逸らし、ふゆがコホンと咳をした。
「のおおお! カンベンして下さいよぉ〜! ただでさえ、ここに来る途中で、大量の黒猫が横切ったり、あちこちの紐がぷちんぷちんと切れていたりしたんですからああああ!」
青ざめた表情を浮かべながら、明信が悲鳴を上げて首を振る。
念のため貞操帯を装着してあるのだが、すぐにでも大活躍しそうな雰囲気が漂っているため、だんだん逃げ出したい気持ちが強くなってきているようだ。
「まぁ、貞操帯など飾りに過ぎないのだが‥‥。一般人にはそれが分からんようだな。とりあえず春一番に襲われたら、素直に身を預けるか、括約筋を大活躍させる事だ」
クールな表情を浮かべながら、ふゆが明信の肩をぽふりと叩く。
既に貞操帯を破壊された者でもいるのか、目の奥がまったく笑っていない。
「ううっ‥‥、まさかそこまで危険な存在になっていたとは‥‥」
そう言って明信が思いつめた表情を浮かべて部屋を出て行った。
●フンドシーゼ
「‥‥なるほど。『フンドシーゼ』とは『フンドシ・テーゼ』の略称で、計画に従い、故郷イギリス、そして、ノルマンにまで、フンドーシを広めた秘密結社の中枢機関の事なのですね。まさか、このジャパンで、彼らの存在を見つける事が出来るとは、幸運です。彼らを倒し、故郷をフンドーシから守る為、この槍を振るいましょう」
ミンメイ書房から出ている本を読みながら、ルーラス・エルミナス(ea0282)が納得した様子でユーリに協力する事を誓う。
ルーラスはフンドシーヌを討ち、世界をフンドーシの魔の手から救う事に燃えており、本に書いてある事が嘘である事に気づいていない。
「そこまで分かっているのなら話が早いっ! 一緒にフンドシーヌを討つため頑張ろうな!」
満面の笑みを浮かべながら、ユーリがルーラスの肩を抱く。
ルーラスの読んでいた本がハッタリばかりの胡散臭い本である事は気づいているが、あえてその事にはツッコまずに利用しようとしているらしい。
「‥‥ん? この本が何か?」
不思議そうな表情を浮かべ、ルーラスが本の表紙を見ようとする。
「い、いやぁ! な、何でもないぞ、本当に‥‥。だからお前はフンドシーヌを倒す事だけ考えておけばいいっ!」
慌てた様子でルーラスから本を奪い取り、ユーリが乾いた笑いを響かせた。
こうなったら意地でも誤魔化し通すしかないと思いつつ‥‥。
●フンドシーヌ
「おーほっほっほっほっ! ひさしぶりですわね、ユーリ! ここであったが百年目っ! 必ず貴女を捕まえますわ」
高笑いを上げながら、フンドシーヌがフンドシーゼ達を引き連れ、ユーリの海賊船に勝負を挑む。
ユーリの予想通り、船の墓場にフンドシーヌは潜んでいた。
多くの仲間達と共に‥‥。
「‥‥誰だ、お前?」
クールな表情を浮かべながら、ユーリがジト目でフンドシーヌを睨みつける。
‥‥特徴的なドリルヘアに褌姿。
胸元がドリルなヘアで隠れているが、胡散臭さが漂っているため、ユーリでなくとも関わりたくないと思うのが本音である。
「あ、あ、あ、貴女ねぇ! 親友の名前を忘れたの!?」
フンドシーヌの口から飛び出した言葉に、ユーリと愉快な仲間達が一斉に引いた。
変態の口から放たれた『親友』の一言は、ユーリ達の心に致命傷を与えるには充分な言葉である。
「つーか、親友だったか? ‥‥初耳だぞ」
信じられない様子でフンドシーヌを睨みつけ、ユーリが慌てた様子でツッコミを入れた。
‥‥夢ならそろそろ覚めてほしい。
後にユーリが語った言葉。
フンドシーヌの何気ない一言がユーリのトラウマになった。
「きー、悔しいっ! こうなったら貴女の心に私の名前を刻んであげるわっ!」
それを合図にフンドシーゼがユーリの船に次々と飛び移る。
まるで真っ白な雪が降るかのように‥‥。
「あいつらを倒せば、マグロが手に入るんっすね!」
フンドシーゼを見つめて瞳をランランと輝かせ、太がエクセレントマスカレードを投げ捨てた。
どうやら太は百貫のマグロを求めて、ユーリの船に乗り込んだらしい。
「フトシ、同調率四十割状態に移行っす!」
それと同時に太の目つきが鋭くなり、四つん這いになってスイカにむしゃぶりつく。
よほど腹が減っていたのか、スイカの皮ごと丸齧りだ。
「な、なんだ、コイツは‥‥。新手の変態か!?」
自分達の事は棚に置き、フンドシーゼが動揺する。
その間も太は瞳をギラつかせ、口元からスイカの汁をダラダラと垂らす。
「美味そうな奴らがいっぱいいるっすね‥‥」
飢えた目つきでフンドシーゼを睨みつけ、太が食べかけのスイカを放り投げる。
「ま、まさか!? 俺達を『喰う』つもりか? に、逃げろおおお!
青ざめた表情を浮かべながら、フンドシーゼが蜘蛛の子を散らすようにして逃げていく。
「‥‥逃がさないっすよ。いただきますっす〜」
スイカの種をぺペッと飛ばし、フンドシーゼの逃げ道を塞ぐ。
「うっ、うわあああ!」
そしてフンドシーゼの悲鳴が辺りに響くのだった‥‥。
「このまま一気に叩き潰すぞっ!」
気合を入れてフライングブルームに立ち乗り、我斬がフンドシーヌの乗った船めがけて飛んでいく。
次の瞬間、我斬が身に纏っていた服を脱ぎ捨て、褌一丁に下駄履き姿で甲板に降り立った。
「世のため人の為っつか個人的な事情だが、変態の野望を打ち砕く、わが名は我斬! この日輪の輝きを恐れぬならば、掛かって来い!」
フンドシーヌを睨んで啖呵を切り、我斬が仁王立ちになって褌を揺らす。
「おーっほっほっほっ! わたくしが何故フンドシーヌと呼ばれているのか、まだ気づいていないようですわね!」
高笑いを上げながら、フンドシーヌが我斬の褌を奪う。
一瞬、何が起こったのか分からぬまま、我斬がキョトンとした表情を浮かべて下半身を見た。
「ぬわあああっ!? いつの間に!!」
慌てた様子で股間を隠し、我斬が恥ずかしそうに悲鳴を上げる。
「さぁて、可愛がってあげますわよ。あなたから奪った褌で♪」
我斬の褌を素早く構え、フンドシーヌがニヤリと笑う。
まな板の鯉と化した我斬を見つめ‥‥。
「こ、このままでは我斬さんがフンドシーヌによって、あんな事や、こんな事にっ!?」
ハッとした表情を浮かべながら、ルーラスがよからぬ想像をする。
フンドシーヌは褌の扱いに長けているため、我斬を使って何か酷い事をするかも知れない。
「こうなったら、わたくしが囮になるしかないようですね」
覚悟を決めて深呼吸をした後、明信が懐から竹筒を取り出した。
竹筒の中には唐辛子の粉、蜜、漆を混ぜた液体が入っており、腰には大量の蟻が入った袋が縛り付けてある。
「ま、まさか‥‥、『ソレ』を使う気ですか? ならば私もお供しますっ!」
すぐさま旅装束を脱ぎ捨て、ルーラスが越中褌姿で気合を入れた。
「大丈夫か、本当に‥‥」
ふたりとも妙にテンションが高いため、ユーリが心配そうな表情を浮かべている。
「止めても無駄です。‥‥行きますよっ!」
助走をつけてフンドシーヌの船に飛び乗り、ルーラスがパワーチャージを使って彼女を取り押さえようとした。
しかし、ルーラスの右手がフンドシーヌの胸を掴み、気まずい雰囲気を辺りに漂わせる。
「し、しまったあああああああああああ!」
ぶはっと鼻血を噴きながら、ルーラスが気絶しそうな勢いで雄叫びを上げた。
「だ、大丈夫ですか、ルーラスさん!」
このままではルーラスまで彼女の餌食になるため、明信が竹筒の中に入った液体をぶちまける。
「おーほっほっほっ! わたくしのために、そこでダンスを踊りなさい」
勝ち誇った様子で笑みを浮かべ、フンドシーヌがルーラスを蹴り飛ばす。
次の瞬間、ルーラスが明信を巻き込んで倒れ、蟻の入った袋が華麗に宙を舞う。
「ぎゃああああ!」
大量の蟻に身体を噛まれ悲鳴をあげ、明信達がのた打ち回る。
「‥‥やはり『アレ』を使うしかないようだな」
険しい表情を浮かべながら、ユーリがふゆに合図を送る。
ふゆはコクンと小さく頷き、刀を抜いて春一番の拘束具を切り裂いた。
「うおおお!」
雄叫びを上げながら、春一番が全身の筋肉を隆起させる。
禁欲生活が続いていたせいか、今にも爆発しそうな雰囲気を漂わせ‥‥。
「ぐおおお!」
春一番の雄叫びに反応し、太が襲い掛かってくる。
次の瞬間、春一番が太にタックルを浴びせて飛び上がり、フンドシーヌの船にドスンと降り立った。
「な、な、なんですの、アレは‥‥!?」
唖然とした表情を浮かべ、フンドシーヌが後ろに下がる。
それと同時に春一番がフンドシーヌに抱きつき、彼女の褌を奪い取ろうとした。
「こ、これを我斬さんに‥‥」
朦朧とする意識の中で、明信が我斬の褌をルーラスに渡す。
明信は全身を蟻に噛まれているせいで、今にも気絶しそうになっている。
「‥‥後の事は任せましたよっ!」
大声を上げて褌を放り投げ、ルーラスが崩れるようにして倒れ込む。
どうやら最後の力を振り絞り、我斬に褌を投げたらしい。
「お前達の思い‥‥、確かに受け取ったぞ!」
褌をガシィッと掴んで立ち上がり、我斬がフンドシーヌをジロリと睨む。
しかし、フンドシーヌは春一番から褌を取り戻すのに夢中で、我斬の視線にまったく気づいていない。
「‥‥愛する褌を武器として使う時点で間違っている。それこそ愚の骨頂! 喰らえ、奥義! 打射蛇庵胆駆羅津主(だいたあんくらっしゅ)!!」
次の瞬間、我斬が褌をしならせ、春一番ごとフンドシーヌをふっ飛ばす。
太の消えた青空めがけて‥‥。
その後、船の墓場に隠されていた秘宝がフンドシーヌの作り話である事が判明し、ようやくごるびーが解放される事となる。
そして、ごるびーはルーラスから手渡された手紙を握り締め、ミンメイのところに帰っていくのであった。