●リプレイ本文
●えろがっぱーず
「‥‥皆、聞いてくれ。どうやらえろがっぱの仲間達が温泉宿に捕まっているらしい‥‥。これは罠だ‥‥仲間達を助けに行けば僕達も危険に晒されるかも知れない。だが、僕達は同じえろがっぱーずの仲間として彼らを助けなければいけない。仲間達を助けなくて、何がえろがっぱかっ! 俺達は仲間を見捨てたりしない、それを奴らに思い知らせてやるのだっ!」
えろがっぱーずを集めて樽の上に立ち、雨森刹那(eb4842)が拳を握って演説をし始めた。
河童達は真剣な表情を浮かべて刹那の話に耳を傾け、ある者は感動のあまりボロボロと涙を流している。
「幾多のえろがっぱーずを葬り去った悪の本拠地でも、勇敢に散った仲間が助けを求めているなら、助けに行かねばなりませんね。例え、そこにどんな危険が待ち受けていようとも‥‥」
刹那の演説に心を打たれて使命に燃え、アルフレッド・ラグナーソン(eb3526)が河童達を引き連れ温泉宿にむかう。
河童達の囚われている温泉宿には既に冒険者達が待機しており、アルフレッド達が助けに来るのを待っている。
「河童どもを制するためには、彼らの実態を掴む必要があると思ったが、あまり参考になりそうに無いな。まぁ、乗りかかった船だから、きちんと役目を果たすつもりでいるが‥‥」
険しい表情を浮かべながら、デュラン・ハイアット(ea0042)が溜息をつく。
五輪祭で役立てるため河童の行動を探っていたのだが、色々とアレな事ばかりで参考にならない。「おっと‥‥、このままの格好じゃマズイですね。冒険者達に怪しまれないように変装しておかないと‥‥」
衣装を持って茂みの中でガサゴソと着替え、アルフレッドがマッサージ士に変装する。
この温泉宿ではエルフのマッサージ士自体とても珍しい存在なので、冒険者達に怪しまれないように気をつけねばならない。
「‥‥はて? 他の河童達が見当たらないな。一体、何処に行ったんだろう?」
不思議そうな表情を浮かべ、デュランが首を傾げて呟いた。
先程まで行動を共にしていた河童達が見当たらない。
「ま、まさか仲間達を助けようと思うがあまり、先走った行動を‥‥!?」
そう言ってアレフレッドが敵対する冒険者の部屋にむかうのたった‥‥。
●神の領域
「ただ、真っ向から突撃してしまっては敵の思う壷。ここは様子見がてらに覗きを慣行っパ」
やけにクールな表情を浮かべながら、牛久沼の璃球(eb5360)が茂みの中を突き進む。
河童達を助けたいのは山々だが、それ以前にやらなければならない事がある。
「まぁ、前は共に覗きをした仲だから助けてやりたいけどさぁ‥‥。俺は女湯を覗きたいんだよね。‥‥悪く思うな、同士よ。あくまでも俺の目的は覗きだから、えろがっぱーずは口実に過ぎないのさ」
爽やかな笑みを浮かべ、志羽翔流(ea0335)が迷う事なく女湯を目指す。
確かに仲間達の安否も気になっているのだが、それ以上に女湯が‥‥。
いや、女体が気になっているのである。
「まぁ、僕も覗くのだけが人生だからね。喜んでお供させていただくよ」
瞳をキラリと輝かせ、刹那が翔流の後をついていく。
散々、えろがっぱーずを煽っておいてナンだが、女湯を覗くためには多少の犠牲も必要である。
「‥‥忘れるな。我等えろがっぱーずの目的は、覗きをする事。犠牲は絶えなく、同志達の屍を超えねばならぬ時がある。‥‥振り返るな。それが、散っていった同志達へのせめてもの、はなむけなのだっパ‥‥」
河童達に言い聞かせるようにしながら、璃球が瞳に浮かんだ涙を拭う。
これは仲間達を失った悲しみというよりは、女湯を覗ける喜びから流れた嬉し涙である。
「いいか、みんな。覗きとは‥‥、漢の浪漫だ! 覗きをしなくて何がえろがっぱーずだっ! 覗きが目的の野郎共っ、いくぜっ!!」
魂の奥底に眠っている欲望がムックリと起き上がり、翔流が興奮した様子で鼻を鳴らして女湯を覗く。
女湯には若い娘達が浸かっており、無防備な姿を晒している。
「おおおおおお、し、尻が‥‥、ぷりんぷりんッパ!」
幸せそうな笑みを浮かべ、璃球が興奮気味に鼻を鳴らす。
ようやく女体を見る事が出来た感激のあまり、彼女達の身体がまるで宝石のようにキラキラと輝いて見えている。
「すっ、すげえ‥‥。天国って本当にあったんだな。俺‥‥、死んでもいいや‥‥」
予想以上の素晴らしさに感動しながら、翔流が心のアルバムを女体で埋めていく。
河童達も興奮した様子で両目をカッと見開き、両手を合わせて拝んでいる。
「た、確かに‥‥イイッ! だけど‥‥、不謹慎な事は言わない方がいいよ。こういう時って、決まって何かオチがあるはずだから‥‥」
嫌な予感が脳裏を過ぎり、刹那がボソリと呟いた。
その一言が現実になるとは思いもせずに‥‥。
●冒険者
「‥‥なんだか、凄く久しぶりだな」
しみじみとした表情を浮かべながら、鋼蒼牙(ea3167)が大きく息を吸い込んだ。
蒼牙の目的は覗きだが、簡単に倒されるつもりはないため、えろがっぱーずを退治する側にまわっている。
「‥‥おや〜? 蒼牙さんがえろがっぱーず退治ですか〜? ‥‥はっ!? もしかして河童側のスパイとして送り込まれているんじゃないんですか〜? そして、最後は河童に寝返るつもりなのでは!? ま、間違いありませんっ! 要注意ですー」
ハッとした表情を浮かべながら、槙原愛(ea6158)が物陰に隠れて口を開く。
「‥‥何だその目は。俺は基本的に今まで河童退治派だぞ。妙な疑いをかけるな」
えろがっぱーずとの関係を完全に否定し、蒼牙がこめかみをピクピクさせてツッコミを入れた。
いくら覗きがメインであるとは言え、途中で気づかれてしまうわけには行かない。
「‥‥本当だろうな? 嘘だったら容赦しないぞ?」
殺気に満ちた表情を浮かべ、リフィーティア・レリス(ea4927)が蒼牙の喉元に鬼神ノ小柄を突きつける。
「ほ、ほ、本当だって‥‥。う、う、嘘なんて‥‥ついてねえよ‥‥」
あからさまに瞳を泳がせ、蒼牙が気まずい様子で答えを返す。
ここで本当の目的が分かれば、間違いなく命はない。
「あははは、乙女の敵に天誅ですよー♪」
スコップを使ってせっせこと穴を掘り、ティア・プレスコット(ea9564)が蒼牙を埋めていく。
「こ、こらっ! 俺は河童のスパイじゃねえ! いい加減に信じろって!」
今にも泣きそうな表情を浮かべ、蒼牙が落とし穴から這い上がる。
まだ女湯すら覗いていないため、ここで埋められるわけには行かない。
「とりあえず今は信じてあげます。あくまで『今は』ですからね。この一言を絶対に忘れないでください」
いまいち蒼牙を信用する事が出来なかったため、飛麗華(eb2545)が警告まじりに呟いた。
「わ、分かっているって! それじゃ、まずは女湯だな。か、勘違いするなよ。一番、えろがっぱーずに狙われやすいからだからな!」
血走った瞳で仲間達を睨みつけ、蒼牙が興奮した様子で女湯にむかう。
己の欲望を満たすために‥‥。
●救出
「‥‥妙だな。冒険者達の気配がない‥‥」
何処かに囚われているはずの河童を捜すため、デュランが警戒した様子でブレスセンサーを発動させる。
温泉宿には宿泊客の姿はあるのだが、待機しているはずの冒険者達が何処にもいない。
「‥‥確かに妙ですね。それ以上に河童達がいなくなっている方が気になりますが‥‥」
いつの間にかデュランとふたりきりになっていたため、アルフレッドが気まずい様子で汗を流す。
「あいつら‥‥、途中で女湯を覗きに行ったな。わざわざ敵の罠に掛かろうとするとは‥‥おろかなヤツめ‥‥」
呆れた様子で溜息をつきながら、デュランが温泉宿の廊下を歩く。
この様子では冒険者達もえろがっぱーずを懲らしめるため、みんなで女湯へと向かっているのだろう。
「まぁ、そのおかげで私達が誰にも狙われる事なく、温泉宿を歩く事が出来るわけですし‥‥」
苦笑いを浮かべながら、アルフレッドが頬を掻く。
せっかくの変装が無駄になってしまったが、河童達には感謝をしておかねばならない。
「‥‥ん? ここか。ご丁寧に鳴子を仕掛けているようだが、こんなの子供騙しだな」
慣れた手つきで鳴子を外し、デュランが部屋の中に入っていく。
部屋の中には河童達が捕らえられており、何者か(ティア)によって目隠しがされている。
「ひ、酷い‥‥。皿がカラカラになってますね。‥‥可愛そうに」
彼らを縛っていた縄を解き、アルフレッドが水の入った瓢箪を渡す。
河童達は瓢箪を奪い合うようにして水を飲み、何とも言えない表情を浮かべている。
「さて、帰るか。色々とうまく行き過ぎたが、こういう事があってもいいだろう‥‥」
苦笑いを浮かべながら、デュランが河童達に肩を貸す。
例え自分が倒れたとしても、目的を達成させるつもりでいたが、そこまでする必要は無かったようだ。
「それじゃ、私はもう少しマッサージ‥‥、いや河童達が残っていないか、温泉宿を調査してきますね」
そう言ってアレフレッドがデュラン達に別れを告げる。
その後、女性客に身体を触ってタコ殴りにされたアルフレッドがテルテルボウズのように吊るされ、しばらく軒先に飾られていたという噂が温泉宿で流れるのであった‥‥。
●戦い
「おっ‥‥、これはなかなか‥‥。ぬおおっ! 手拭いが邪魔だっ!」
興奮した様子で鼻息を荒くしながら、蒼牙が女湯の監視を続けていく。
しかし、だんだんボロが出始めているため、仲間達の間から疑惑の目が向けられている。
「‥‥何だか楽しそうだな。一応、喪から根こそぎお仕置きしてこいって言われたから、例え仲間といえども容赦はしないから覚悟しておけよ」
ジト目で蒼牙を睨みつけ、レリスが呆れた様子で溜息をつく。
しかし、蒼牙は女湯を覗く事に夢中で、レリスの話をほとんど聞いていない。
「も、もう少しで見えるのに‥‥。も、もうちょっと右だっ! イテッ!」
絶景の場所を探して岩場を移動し、蒼牙がゴチンと頭をぶつけて悲鳴を上げる。
「わ、悪い‥‥。女湯を覗くのに夢中で、つい‥‥って、ああああああああああ! お、おまえ達は!?」
申し訳無さそうな表情を浮かべた後、蒼牙が驚いた様子で指をさす。
なんと蒼牙が頭をぶつけた相手は、えろがっぱーずだったのである。
「ぼ、僕達は岩さ。意思のない岩‥‥、なんてね」
気まずい様子で身体を丸め、刹那が河童達と一緒に岩のフリをした。
「‥‥本当に懲りない人達ですね。そんな事で私達を騙す事が出来ると思っているのですか?」
爽やかな笑みを浮かべながら、麗華が根性棒を握り締める。
「ば、馬鹿っ! 逃げるぞ! うわああああ! あ、足が‥‥」
すぐさま刹那の腕を掴んで走り出し、翔流が落とし穴に転がり落ちた。
どうやらティアの掘った落とし穴に落下し、足を挫いてしまったらしい。
「‥‥悪いが、これも仕事なんでな。俺を恨まないでくれよ」
オーラエリベイションを発動させ、蒼牙が険しい表情を浮かべて翔流を睨む。
翔流達を殺すつもりは無いのだが、このまま逃げられてしまったら、のんびり女湯を覗けない。
「う〜ん、やっぱり看板を逆にしただけじゃ、引っかからなかったようですね〜」
ションボリとした表情を浮かべ、愛が逆向きにした看板を直す。
今回は囚われている河童達を救出するため、えろがっぱーずが事前に温泉宿の見取り図を手に入れていたので、案内用の看板で騙される事はなかったようだ。
「み、みんなの犠牲は無駄にしないッパ!」
大粒の涙を浮かべながら、璃球がダッシュで逃げていく。
それと同時にティアがウォーターボムを投げつけ、怯んだところで愛が急所を狙ってポイントアタックを叩き込む。
「な、なんで自分ばっかり酷い目に遭うッパ!」
納得のいかない様子で股間を押さえ、璃球がその場にガクッと崩れ落ちる。
「‥‥おまえだけじゃない。女湯を覗いたヤツは‥‥、すべて同罪だ‥‥」
サンレーザーを使って蒼牙を倒し、レリスが疲れた様子で溜息をつく。
「い、いつから気づいていた‥‥」
レリスの不意打ちに驚きながら、蒼牙が胸を押さえて倒れ込む。
女湯を覗くつもりでいたためか、すっかり油断していたらしい。
「‥‥最初からさ。おまえは奴らと同じニオイがした」
クールな表情を浮かべ、レリスが蒼牙の身体をきつく縛る。
「やっぱり大将は蒼牙だったのですか〜。だからこちらの情報が漏れていたんですね〜」
納得した様子で蒼牙を見つめ、愛がニコリと微笑んだ。
この様子では看板の罠に騙されなかったのか、蒼牙が裏で手を回していたからだと思っているのかも知れない。
「‥‥覚悟してくださいね。私のお仕置きはキツイですよ」
そう言って麗華が根性棒を握り締め、蒼牙達を御仕置き部屋へと連れて行くのであった。