●リプレイ本文
●えろがっぱーず討伐隊
「‥‥エロ河童退治もこれで一段落か? ‥‥ひとつやふたつ、アジトを潰したところで、どうにかなる連中とも思えんが‥‥」
頭に皿を乗せて腰蓑を被り、龍深城我斬(ea0031)が河童に扮して洞窟の中に入っていく。
この洞窟には、えろがっぱーずのアジトがあるらしく、河童のポコ太郎が道案内役を務めている。
「今回は温泉じゃないのが残念です〜。むぅ、えろがっぱーずならば温泉に住んでいてくれればよいのに〜。とりあえず〜、今回の棲家は潰しておきましょうか〜」
ションボリとした表情を浮かべ、槙原愛(ea6158)が溜息をつく。
えろがっぱーずのアジトがある限り、温泉を覗きに来る河童達が絶えないため、今のうちに叩いておく必要がある。
「そうですね〜。えろがっぱーずのアジトが、ここだけとは思えませんし‥‥」
含みのある笑みを浮かべながら、神田雄司(ea6476)がポコ太郎の耳元で囁いた。
ポコ太郎はビクッと身体を震わせ、気まずい様子でダラダラと汗を流す。
「‥‥わかっているだろうな? おかしな真似をしたら、ズンバラリンといくから覚悟しておけよ?」
警告まじりに呟きながら、我斬がポコ太郎に先頭を歩かせる。
ポコ太郎は引きつった笑みを浮かべ、『へけっ』と我斬に答えを返す。
「馬鹿な事は考えるなよ。嘘をついたら迷わず頭の皿をサンレーザーで割るからな。それとも拷問っぽく馬で引きずられる方がいいか? 好きな方を選ぶんだな」
未だにポコ太郎の事を信用する事が出来ないため、リフィーティア・レリス(ea4927)がぽふりと肩を叩く。
洞窟の中にはいくつかトラップがあったのだが、ポコ太郎を散々脅かしておいたおかげで、すべて解除されている。
「とにかく最後まで気を抜けないな。今回の一件にも冒険者達が絡んでいるんだろ? コイツだって私達を騙すために送られた刺客かも知れないぞ」
ようやく隠し扉の目印となっている神棚を発見し、キシュト・カノン(eb1061)がポコ太郎をジロリと睨む。
ポコ太郎は神棚にキュウリを供えると、拍手を打って隠し扉を出現させる。
「この先に、えろがっぱーずのアジトがあるのか。よし‥‥、行くぞ」
そう言って伊達正和(ea0489)が水馬の電撃号と共に、隠し扉を潜ってえろがっぱーずのアジトへとむかうのだった。
●えろがっぱーず
「ごきげんよう、諸君! 私がえろがっぱーず総統、デュランだ!!」
偉そうにポーズを決めて高い場所に立ち、デュラン・ハイアット(ea0042)が冒険者達を出迎える。
実際はえろがっぱーずの総帥ではなく単なる協力者なのだが、河童達も面倒臭がって誰も否定しようとしない。
「ま、まさか‥‥、あんたがえろがっぱーずの総帥だったとは‥‥。えーっと、誰でしたっけ?」
大袈裟に驚いた表情を浮かべた後、雄司が気まずい様子で頬を掻く。
[まさか私を知らぬ者がいたとはな。それとも、わざと気づかないフリをしているのか? どちらにしても心に刻んでおくがいい。えろがっぱーず総帥、デュランの名を‥‥」
クールな笑みを浮かべながら、デュランが自惚れ気味にポーズを決める。
本当は雄司の一言でかなり傷ついているのだが、総帥としてのプライドが許さないため、表情には出さない。
(「‥‥あれ? 誰も怪我をしてないや。まさかポコ太郎君が、おいらたちの事を裏切ったのかな? 何か理由がありそうだけど‥‥」)。
パラのマントを使って姿を隠し、チップ・エイオータ(ea0061)が忍び足を使って冒険者達の後ろに回る。
「そんなに殺気を放っていたら、忍び足を使っても意味がないと思いますよ?」
爽やかな笑みを浮かべながら、雄司がチップの腕をガシィッと掴む。
それと同時にチップが地面を蹴って飛び上がり、威嚇するようにして雄司に弓矢を放つ。
「ふっ、不意討ちとは卑怯でありますっ! 冒険者なら冒険者らしく、正々堂々と戦うでありますっ!」
不機嫌な様子でチップを指差し、凍瞳院けると(eb0838)がブツブツと文句を言う。
しかし、チップはけるとの言葉が聞こえていないのか、次々と弓矢を放っていく。
「む、もしかして計られましたか〜? えっとー‥‥こういう時はー‥‥ああ、計ったなかっぱー!! ‥‥といいながら特攻でしたか〜?」
手の平をポンと叩いた後、愛がニコリと微笑んだ。
「ふっ‥‥、私の部下が失礼したな。こちらも諸君らを迎え撃つため、最強の冒険者。そして‥‥最高の舞台を用意した! この『阿瑠帝滅斗露歪夜流』で決着をつけてやろう!」
含みのある笑みを浮かべて指をパチンと鳴らし、デュランがえろずっぱーずの精鋭達を並ばせる。
『阿瑠帝滅斗露歪夜流(あるてぃめっとろわいやる)』とは、とある国に伝わる究極の決闘法で神の見守る中で多くの強者が一同に会して戦う最も崇高で危険な決闘方らしい。
「剣に殉ずるか、愛に殉ずるか‥‥。いや、信念(または、エロ)に殉ずるのも道か‥‥。そうであろう? なあ、友よ」
人斬りの目をしたまま孤独な胸に火を灯し、夜十字信人(ea3094)がクールな表情を浮かべて剣を抜く。
彼の脳裏に過ぎるのは、散っていった戦友(河童限定)達‥‥。
志半ばで散っていった者達の悲しみが彼の心を支配する。
「皆、夜十字のソニックブームに気をつけろよ」
警戒した様子で後ろに下がり、正和がチィッと舌打ちした。
信人の恐ろしさを充分に理解しているためか、すぐさま電撃号に飛び乗り何時でも戦える準備をする。
「あ、あれは信人殿っ!? か、格好いいでありますっ!」
クールな雰囲気を漂わせている信人を見つめ、けるとが嬉しそうに駆け寄った。
「だっ、駄目だっ! そいつに近づくなっ! これは明らかに罠だっ!」
ハッとした表情を浮かべながら、キシュトが慌てて右手を伸ばす。
しかし、キシュトの右手は空を切り、けるとを捕まえる事が出来ない。
「‥‥残念だったね。これで彼女も私達の味方さ」
けるとを守るようにしてキシュトの前に立ち塞がり、クリス・ウェルロッド(ea5708)が薔薇にキスをする。
「まさか討伐隊の中にもスパイがいるとは〜。河童にキュウリで唆されましたね〜」
予想外の出来事に驚きながら、愛がビシィッとけるとを指差した。
「‥‥卑怯者め。そこまでして河童に味方する理由は何だっ!」
納得のいかない様子でクリスを見つめ、キシュトが拳をブルブルと震わせる。
どんな理由であれクリスを許すつもりは無いが、彼がえろがっぱーずに味方している理由を知りたいようだ。
「どんなに下等な種であろうと、絶滅にしては自然界の組織図が変わってしまう。私はそれを望まない。‥‥って、えろがっぱは種族じゃないか。だからと言って、お仕置部屋がトラウマになっているから一緒に行動する事が出来ないわけじゃないからね」
何処か遠くを見つめながら、クリスが必死になって言い訳する。
次の瞬間、キシュトのパンチが鳩尾に入り、クリスが血反吐を吐いて倒れ込む。
「‥‥ならば敵だ。死ぬ気でむかってくるんだな」
そう言ってキシュトが指の関節をパキポキと鳴らすのだった‥‥。
●戦い
「我が精鋭を一撃で倒すとは‥‥。随分と威勢がいいじゃないか。だが、いつまで、その勢いが続くかな?」
まったく動揺する事なく、デュランが指をパチンと鳴らす。
河童達は興奮した様子でキュウリを握り、キシュトにむかって攻撃を仕掛けていく。
「貴様を樽河童にしてや‥‥がふっ!」
邪悪な笑みを浮かべて禍々しくポーズを決め、キシュトが台詞の途中で不意討ちを食らう。
「我が同胞達の為、此処でお前達を一人でも多く倒す‥‥。言は要らぬ。貴様らの覚悟‥‥、武で示せ!!」
虎落笛(スマッシュEX&バーストアタック&ソニックブーム)を放ってキシュトを睨み、信人が殺気に満ちた表情を浮かべて口を開く。
それと同時にキシュトの身体を覆っていた樽が砕け散り、その中から身体にピッタリとフィットした小さな樽が現れた。
「ここは俺に任せてくれ!」
友であり目標でもあった信人を止めるため、正和が電撃号に乗ったままソニックブームを放つ。
信人は正和の一撃を喰らってバランスを崩し、げふっと血反吐を吐いた。
「‥‥残念だったな。貴様の動きは見切っている」
修羅の如く殺気を放ち、信人が刀についた血を払う。
「ば、馬鹿な! いつの間にっ!」
真っ赤な花を散らせるようにして血を流し、正和が呻き声を上げて電撃号から転げ落ちる。
信人の攻撃が早過ぎたためか、正和の目には何も映らない。
「‥‥やるじゃないか。貴様に木っ端みじんにされてやる! あのレンジャーの様にな!!」
グッタリと倒れたクリスを見つめ、キシュトが挑発まじりにニヤリと笑う。
「ク、ク、クリリ‥‥もとい、クリスの事かぁーーー!! 吹き荒れろ、虎落笛!!」
烈火の如く怒り狂い、信人が虎落笛を炸裂させる。
しかし、キシュトは信人の攻撃を受け止め、彼の耳元で『男に言われると絶望的』な台詞を吐いた。
「ふんギャァーーーー!?」
次の瞬間、信人が絶望に打ちひしがれ、ヘナヘナとその場に倒れ込む。
「クッ‥‥、まさか信人まで倒されてしまうとは‥‥。ならば、こちらも本気を出す必要がありそうだな。逝け、河童達よっ!」
マントをバサリッと翻し、デュランが捨て駒とばかりに河童を嗾けた。
河童達は何の疑問も感じずキュウリを構え、冒険者達に攻撃を仕掛けていく。
「おっと‥‥、動くなよ? こっちには人質がいるんだから‥‥」
ポコ太郎を盾代わりにしながら、レリスがサンレーザーを放つ。
大半の河童はポコ太郎の事を無視して攻撃を仕掛けてきたが、レリスの放ったサンレーザーを喰らって次々と倒れていく。
「ポ、ポコ太郎君!」
すぐさま大量の蹴鞠を転がし、チップがポコ太郎を助け出す。
それと同時にレリスが派手に尻餅をつき、お返しとばかりにサンレーザーをお見舞いした。
「うわっ!? どうやらおいらもここまでのようだね。えっ、えろがっぱーずに栄光あれ!」
ポコ太郎の無事を確認した後、チップが最後の力を振り絞り、弓矢を放ってトラップを発動させる。
「ま、まさか洞窟が崩れてしまうんですか!?」
河童の急所めがけてポイントアタックを炸裂させ、愛がハッとした表情を浮かべて辺りを見回した。
「どうやらトラップを発動させて、アジトを支えていた柱を破壊したようだな。このままじゃ、俺達まで巻き込まれるぞ」
悔しそうな表情を浮かべながら、レリスが河童達から逃げていく。
河童達は洞窟が崩れている事に気づいていないのか、キュウリを構えてレリスの後を追いかける。
「たくっ‥‥、鬱陶しい奴らだな。これでも喰らえっ!」
祭りの屋台で処方してもらった薬をバラ撒き、我斬が口元を押さえて逃げていく。
河童達はその煙を吸い込んでゲホゲホと咳き込み、明後日の方向にむかって走り出す。
「‥‥これで、えろがっぱーずも終わりですね」
ようやく洞窟から抜け出し、雄司が後ろをむいて汗を拭う。
えろがっぱーずのアジトを壊滅させるため、多くの冒険者が命を落とし(?)てしまったが、これで河童達が妙な気を起こす事もなくなるはずである。
もちろん、本当にえろがっぱーずの本拠地が叩き潰されたのであればだが‥‥。