神隠し(大和)

■ショートシナリオ


担当:ゆうきつかさ

対応レベル:2〜6lv

難易度:難しい

成功報酬:2 G 3 C

参加人数:12人

サポート参加人数:-人

冒険期間:08月19日〜08月24日

リプレイ公開日:2006年08月27日

●オープニング

 大和の地で最近、神隠しが流行っているらしい。
 しかも被害に遭っているのは、年端も行かない女の子達ばかり‥‥。
村の者達は天狗の仕業だといっているが、この辺りで天狗を見たものは一人もいない。
 つまり天狗以外の者達が関わっているという事じゃ。
 その事を裏付けるかのように山賊達の姿をよく見るからな。
 娘達をさらって遊郭にでも売り飛ばしているんじゃろ。
 そこで山賊達を誘き寄せるための罠を張り、奴らの尻尾を掴んで欲しい。

●今回の参加者

 ea3952 エルウィン・カスケード(29歳・♀・ジプシー・パラ・イスパニア王国)
 ea5510 シーン・イスパル(36歳・♀・ジプシー・人間・エジプト)
 ea8755 クリスティーナ・ロドリゲス(27歳・♀・レンジャー・ハーフエルフ・イスパニア王国)
 eb1872 瓜生 ひむか(22歳・♀・陰陽師・人間・ジャパン)
 eb2007 緋神 那蝣竪(35歳・♀・忍者・人間・ジャパン)
 eb3556 レジー・エスペランサ(31歳・♂・レンジャー・ハーフエルフ・イギリス王国)
 eb4891 飛火野 裕馬(32歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 eb5073 シグマリル(31歳・♂・カムイラメトク・パラ・蝦夷)
 eb5228 斑淵 花子(24歳・♀・ファイター・河童・ジャパン)
 eb5400 椥辻 雲母(33歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 eb5431 梔子 陽炎(37歳・♀・忍者・人間・ジャパン)
 eb5484 千住院 亜朱(29歳・♀・僧侶・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

●囮役
「‥‥行方不明事件かぁ。天狗の仕業にされてるのは、やっぱり神隠しの方が納得する事が出来るからって理由なのかしら? まぁ、山賊の仕業である事は間違いないでしょうけど‥‥」
 険しい表情を浮かべながら、千住院亜朱(eb5484)が山を登っていく。
 村人達の話では天狗の仕業と言われているが、天狗の目撃例が全く無いため、その可能性は低くそうだ。
「この辺りに住む女の子達は幼い頃から働くのが当たり前になっているようね。山で採れた山菜を売って生活の足しにしているようだし、それが無くなると困るらしいの。ただ、そのせいで神隠しに遭っているのは、間違いないと思うけど‥‥」
 村で集めた情報を口にしながら、シーン・イスパル(ea5510)が溜息をつく。
 そのため神隠し事件が解決しなければ、日々の生活から危うくなってしまう。
「それにしても‥‥、年端のいかない女の子達を攫っていくなんて許せない! 絶対にとっ捕まえて、悪い事をした報いを受けさせなきゃ」
 不機嫌な表情を浮かべながら、エルウィン・カスケード(ea3952)が拳を震わせる。
 相手を油断させるために旅芸人の一座に成りすましているため、この事件の黒幕が山賊ならば間違いなく襲ってくるはずだ。
「やっぱり、力尽くで女性をどうこうしようなんて男はダメよねえ」
 警戒した様子で辺りを見回しながら、梔子陽炎(eb5431)が湖を探して歩く。
 神隠しが頻発しているのは湖の周辺なので、場合によってはそこに敵のアジトがある。
「とにかく、このまま頬っておくわけには行きません。あたし達の手でやっつけちゃいましょう!」
 興奮した様子で袖を捲くり、斑淵花子(eb5228)がピロピロと横笛を吹く。
 例え神隠しの犯人が天狗だったとしても、迷う事なく戦うつもりでいるようだ。
「‥‥ありました。ここですね」
 サーチウォーターを使って事件のあった湖を見つけ、瓜生ひむか(eb1872)が花子達を呼び寄せる。
 神隠しの頻発している湖はとても澄んでおり、そんな事件が起こっているとは思えないほど美しい。
「気持ちいい〜♪ お姉様方も如何ですか」
 日除けの傘を立ててニコリと笑い、ひむかが湖の中に入っていく。
「あまり興奮すると貧血になりますよ」
 苦笑いを浮かべながら、シーンがひむかにむかって声を掛ける。
 それと同時に、ひむかが青ざめた表情を浮かべ、顔面から湖の中に沈んでいく。
「きゃ〜〜〜!?」
 花子の悲鳴。
「ぬおおおおおおおおおおおお!」
 そして、野太い男達の悲鳴が続く。
 どうやら全裸の花子に驚き、山賊達が腰を抜かしてしまったらしい。
「か、河童だ。尻子玉ロマンス‥‥」
 謎の言葉を呟きながら、山賊達が這うようにして茂みに隠れる。
 どうやら河童に対してトラウマがあるらしく、思わず逃げてしまったらしい。
(「うっ‥‥、困った事になったわね。と、とりあえず‥‥」
 エルウィンが悲鳴を上げた。
 わざと大声を上げて‥‥。
「こ、こら! 黙らないか! ‥‥仕方ねぇ。コイツも一緒に連れて行け!」
 慌てた様子でエルウィンの口を塞ぎ、山賊の頭が手下に指示を出す。
 そのため、手下達は怯えた様子で花子を囲み、悲鳴を上げながら縄を使って自由を奪う。
「この娘達に手を出さないで!」
 わざと怯えたような素振りを見せ、陽炎が花子達を助けようとする。
 しかし、山賊の頭は河童以外の相手には強気なので、陽炎の手を振り払って胸倉を掴む。
「大人しくしやがれ! それとも、ここで酷い目に遭いたいのか?」
 いやらしい笑みを浮かべながら、山賊の頭がヨダレを拭う。
 何か邪な事を考えているのか、やけに山賊達の鼻息が荒い。
「ひ、酷い事をしないって約束してくれる?」
 怯えた表情を浮かべながら、亜朱がボソリと呟いた。
「おう! 約束するぜ! 大事な商品がキズモノになっちまったら、売り物にならねえからな!」
 含みのある笑みを浮かべながら、山賊の頭が亜朱の尻を撫で回す。
 どちらにしても山賊達を油断させる必要があるため、多少の事には目を瞑るしかなさそうだ。

●追跡
「この様子じゃ、やっぱり山賊達の仕業だったようだな」
 物陰に隠れて山賊達の様子を窺いながら、クリスティーナ・ロドリゲス(ea8755)が溜息を漏らす。
 山賊達はクリスティーナ達の存在に気づいていないため、亜朱達の頭に麻袋を被せて隠してあった馬に乗る。
「‥‥神隠しは天狗のせい、と濡れ衣を着せられては天狗もたまったものではないな。まぁ、村人の自身の手では山賊達から取り戻せない。天狗の仕業とすれば人を越えた存在故に諦めもつく。そんな理由からかも知れないが‥‥」
 どこか寂しげな表情を浮かべ、シグマリル(eb5073)が山賊達の後を追う。
 しかし、山賊達が馬に乗っているため、なかなか追いつく事が出来ない。
「それに女を食いものにしか見てない男はサイテーよね。絶対に尻尾を掴んでやるんだから!」
 不機嫌な表情を浮かべながら、緋神那蝣竪(eb2007)が拳をギュッと握り締める。
 この辺りは山賊達の縄張りなので、油断しているとすぐに見失ってしまう。
「‥‥アカン。もう限界や。少しはこっちの事も考えてくれりゃあええのに‥‥」
 ダラダラと汗を流しながら、飛火野裕馬(eb4891)が愚痴をこぼす。
 幸い地面には陽炎の落とした色つきの石が置かれているため、それを頼りに山奥へと進んでいく。
「ほらほら、もう少しだから頑張って! このままじゃ、彼女達まで遊郭に売られちゃうよ」
 呆れた様子で溜息をつきながら、椥辻雲母(eb5400)が裕馬の腕を掴んで引っ張り上げる。
 山賊達の尾行には色々な意味で神経を使うので、少しでも気を抜けばすぐにでもバテてしまう。
「‥‥どうやら、ここのようだな」
 上空でエルウィンの鷲が旋回していたため、レジー・エスペランサ(eb3556)が警戒した様子で仲間達に合図を送る。
 山賊達のアジトは古びた小屋であったため、エルウィンの鷹がいなければ気づかなかったかも知れない。
「さっそく酒盛りを始めているようね? どうするの? このまま夜まで待っておく?」
 茂みに隠れて小屋の様子を窺いながら、那蝣竪がボソリと呟いた。
 山賊達は下品な笑みを浮かべて酒盛りを始めており、小屋の中から娘達の悲鳴が聞こえてくる。
「いや、そんな暇は無さそうだな。このまま放っておけば、彼女達の身が危ない‥‥」
 険しい表情を浮かべながら、シグマリルが小屋にむかおうとした。
「ちょい待ち。‥‥落ち着け! まずは小屋のまわりを囲むんや」
 シグマリルの肩をガシィッと掴み、裕馬がゆっくりと首を横に振る。
 予定ではシーンが小屋から抜け出してくるため、すぐに対応する事が出来るように手を打っておく。
「それじゃ、気合を入れて頑張らないとね」
 貴腐妖精から貰った酒を飲みながら、雲母が小屋の裏口にまわる。
 山賊達の小屋はそれほど広くは無いため、敵の数もそれほど多くは無さそうだ。
「待ってろ、麗しの乙女達。乙女の味方のレジーさんが直ぐ助けるからな」
 小屋の入り口に背を向けながら、レジーが仲間達にむかって合図を送る。
「さぁーて、実に一ヶ月ぶりの依頼だからな。気合入れていくぜ!」
 そう言ってクリスティーナが入り口の扉を蹴破った。

●山賊達
「な、なんだテメエらはっ!」
 驚いた様子で一斉に立ち上がり、山賊達がクリスティーナをジロリと睨む。
 どうやら山賊達は彼女達を襲うつもりでいたらしく、顔や胸にクッキリと足型が残っている。
「お前らに名乗る名前なんてないんだよっ! 大人しくお縄につきやがれ!」
 オフシフトを駆使して山賊達の攻撃をかわし、クリスティーナが渾身の蹴りを放つ。
 クリスティーナの一撃を喰らい、小屋の外まで吹っ飛ぶ山賊達。
「さあ、お仕置き開始だ、乙女達! ‥‥乙女達を酷い目に合わせた報いだ。手加減はしないぜ!」
 仲間達から預かっていた武器を放り投げ、レジーがシューティングPAEXを使って山賊達の目を狙う。
 次の瞬間、レジーの一撃を喰らった山賊が悲鳴を上げ、右目を押さえて囲炉裏の中に転がり落ちた。
「テ、テメエ! よくもやりやがったな!」
 すぐさま蛮刀を手に取り、山賊の頭が攻撃を仕掛けてくる。
 その隙にシグマリルがシーン達を助けに行く。
「ご、こめんなさい! 小屋に着いたら、いきなり襲い掛かってきたから‥‥」
 申し訳無さそうな表情を浮かべ、シーンがシグマリルに謝った。
 彼女も隙を見てインビンシブルを使うつもりでいたが、山賊達と一緒だったので術を使う余裕が無かったらしい。
「‥‥気にするな。こういう時に助け合うのが仲間だろ?」
 クイックシューティングを使って山賊達を攻撃しながら、シグマリルがシーン達の身体を縛っていた縄を解く。
 その間も山賊達が攻撃を仕掛けてきたが、雲母が両手に持った小太刀を使って敵を倒す。
「ふぅ‥‥、これで全部のようやな。オッサンも覚悟しいや!」
 疲れた様子で溜息をつきながら、裕馬が山賊の頭を縛り上げる。
 山賊達が思ったよりも弱かったため、仲間で怪我をしている者はいないようだ。
「ち、畜生! 覚えてやがれ! 必ず仕返ししてやるからな!」
 今にも泣きそうな表情を浮かべ、山賊の頭がブツブツと愚痴をこぼす。
 よほど負けた事がショックなのか、手下達と比べて往生際が悪い。
「世に悪事の栄えた試しなし、ってね。これで、おイタは御仕舞いよ。泣いて謝っても許してあげられないけど、そうやって反抗するつもりなら、こっちだって考えがあるのよ?」
 含みのある笑みを浮かべながら、那蝣竪が山賊の頭に風車をむける。
 そのため、山賊の頭は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべてガックリと肩を落とす。
「それにしても娘達を浚って遊郭に売りつけるなんて酷い人達よね。まさしく、仏敵だわ」
 両腕に残った縄の後を気にしながら、亜朱が山賊の頭をジロリと睨む。
「仕方ねえだろうが! こうでもしなきゃ、生活する事が出来ねえんだから‥‥」
 亜朱の顔を睨み返し、山賊の頭が文句を言う。
 それと同時に陽炎のかんざしが喉元を捉え、山賊の頭が青ざめた表情を浮かべて口篭る。
「それじゃ、女の子達を何処に連れて行ったのか教えてくれますか?」
 小屋の中に娘達の姿が無かったため、ひむかが山賊の頭に詰め寄った。
「し、知るか! 俺は何も喋らねえからな!」
 あからさまに動揺しながら、山賊の頭が気まずい様子で視線を逸らす。
 本当は娘達の居場所を知っているようだが、依頼主から口止めされているようだ。
「それじゃ、仕方が無いわよね? 花子さんに尻子玉を抜かれても♪」
 満面の笑みを浮かべながら、エルウィンが山賊の頭を脅す。
 もちろん、単なるハッタリだが、山賊達が滝のように汗を流している。
「久しぶりに頑張っちゃいますよ」
 瞳をキラリと輝かせ、花子が怪しく指を蠢かす。
 連れ去られた娘達を取り返すため、花子もやけに気合が入っている。
「わ、分かった。話すから! だから尻子玉を抜かんでくれ!」
 そして山賊達の悲鳴が辺りに響くのであった‥‥。