●リプレイ本文
●ぴゅあがっぱーず
「‥‥あれ? 玄武様って確か、とき和の旦那だよな。前に俺達が入っていた男湯を覗いていた時は、えろがっぱーずに混ざってた気がしたのだが、気のせいだったかな?」
険しい表情を浮かべながら、湯田鎖雷(ea0109)が腕を組む。
色々な意味で玄武がえろがっぱーずの首領だと思っていたため、ぴゅあがっぱーず側につくと聞いても信用する事が出来ない。
「‥‥玄武め。白虎の名まで地に落としかねない事をしていたとは‥‥。さぁて、どう料理してやろうか。‥‥楽しみだな」
邪悪な笑みを浮かべながら、南天輝(ea2557)が拳をぶるりと震わせた。
「よぉ! なんだ、ショッパイ顔をして! もっと元気を出せよ、皆の衆!」
輝の肩をポンポンと叩き、玄武が上機嫌な様子で鼻歌を歌う。
それと同時に輝のブラインドアタックが炸裂し、倒れた玄武の頭をガシィッと踏む。
「おっ、エロガッパの大将が堂々と偵察かい? ‥‥いい度胸だ。白虎の為・河童忍軍の名誉の為狩らしてもらおうか」
玄武の身体を縛り上げ、輝が堂々と啖呵を切る。
そのため、河童達が慌てた様子で止めに入り、輝に詳しい事情を説明した。
「ちっ! ‥‥本当か? 紛らわしい事させるなよ、玄武の大将さんよ」
残念そうに玄武を見ながら、輝がチィッと舌打ちする。
しかし、玄武は輝の一撃を喰らい、未だに意識が戻らない。
「む〜、というかえろがっぱーずとぴゅあがっぱーずの見分けがつかないような〜」
いまいち両者の違いが分からないため、槙原愛(ea6158)が困った様子で首を傾げる。
どちらも同じ河童である事もあり、目印でもなければ見分けがつかない。
「河童がエロだとか、エロじゃないとか、そんな事はどうだって良いんですよ。ただ道徳的に良くない事をしているモノを捕まえてお仕置きする事が出来るのであれば‥‥」
含みのある笑みを浮かべながら、瀬戸喪(ea0443)がボソリと呟いた。
そのため、河童達の間に緊張が走り、少しずつ喪から離れていく。
「と、とにかく頑張りましょうか」
引きつった笑みを浮かべながら、レラ(eb5002)が気まずい様子で汗を流す。
河童達も喪の標的にはなりたくないのか、愛想笑いを浮かべている。
「どちらにしても、同じ河童として、ちと見逃せぬ事態。なんとしても、不届き者達を退治せねば‥‥」
えろがっぱーずに関する依頼の報告書を握り締め、磯城弥魁厳(eb5249)が温泉にむかって歩き出す。
ぴゅあがっぱーずの一員として、えろがっぱーずに正義の鉄槌を下すため‥‥。
●えろがっぱーず
「‥‥いよいよですね。皆さん、気合を入れて頑張りましょう!」
団結の証として玄武の仮面を模した三日月の印を配り、ルーラス・エルミナス(ea0282)がえろがっぱーずと共に気合を入れる。
ルーラスは『玄武=えろがっぱーず』の噂を流した張本人なので、玄武衆として勘違いしたまま、えろがっぱーずに参加した。
「ルーラスさんが一号なら、俺は、力と食の2号として、暴れまわるぜ!」
満面の笑みを浮かべながら、レイムス・ドレイク(eb2277)が三日月の仮面を被る。
ふたりとも(間違った意味で)玄武衆の名を広めるため、命を懸けて女湯を覗きに行くつもりでいるようだ。
「みんな、気合が入っているな。俺も『仮面ムッツリーニ』として、えろがっぱーずに協力しよう!」
エクセレントマスカレードを装着し、アルバート・オズボーン(eb2284)がクスリと笑う。
そのため、えろがっぱーずも奇妙な仮面を被って、連帯感を高めていった。
「‥‥先に断っておくが、私は、エロ河童風情に指して興味は無い。ただ‥‥、ピュアでは無いからこちら側に付くだけだ」
クールな表情を浮かべながら、クリス・ウェルロッド(ea5708)が答えを返す。
えろがっぱーずと群れるつもりは無いのか、彼らとは少し距離を置いている。
「ふっ‥‥。どちらにしても、俺には関係のない事だ。一度振り上げたこの剣。‥‥砕けるまで下げられぬのさ」
鬼霧雨をギュッと握り締め、夜十字信人(ea3094)が口を開く。
‥‥既に女湯を覗く事には興味が無い。
その先にある修羅の世界に旅立つため、えろがっぱーずに協力しているだけなのだから‥‥。
「まさか、奴がこちら側にいたとは‥‥。何時かの恨み、晴らさでおくべきか‥‥」
そう言ってクリスが瞳をキラリと輝かせた。
●罠
「引っかかる奴はいないと思うが、念のため罠を張っておくか」
男湯の札を女湯に書き換え、鎖雷がペットの湯湯婆を長いロープで繋いでおき、接近者に気付いたら逃げ出して知らせてくれるように準備をする。
相手の足元を引っ掛けたら、後で御褒美に手もみ洗いをすると約束しているため、湯湯婆もヤル気になっているようだ。
「‥‥仕方ないねぇ。玄武が叩けないのなら、白虎のために河童=エロの図式だけでも消しておくか」
疑いの眼差しを玄武に送り、輝が納得のいかない様子で溜息をつく。
未だに玄武の事を信用する事が出来ないため、ずっと監視を続けている。
「とにかく女湯は人払いをしておきましょうか」
温泉客を巻き込んでしまうわけにも行かないため、喪が詳しい事情を説明して暫く外に出てもらう。
「ところで‥‥温泉と言う事は‥‥やはり脱がなくてはいけないんでしょうかね?」
苦笑いを浮かべながら、レラが恥ずかしそうに頬を染める。
今回の目的は温泉に浸かる事ではなく、えろがっぱーずを退治する事なので、無理をして服を脱ぐ必要は無い。
「とりあえず、私は脱いじゃいますよ〜」
満面の笑みを浮かべながら、愛が旅装束を脱ぎ捨てた。
そのため、男性陣が視線を逸らして、気まずい様子で咳をする。
「うぐっ‥‥。それじゃ、わしは罠でも張りに行くかな」
そう言って魁厳が顔を真っ赤にしながら罠を張りにいくのであった。
●えろ
「ううっ‥‥、何だか緊張しますね」
顔を真っ赤にしながら温泉に浸かり、レラがえろがっぱーずの襲撃を待つ。
一応、他の仲間達も温泉に浸かっているのだが、えろがっぱーずが不意打ちを仕掛けてくる可能性も捨て切れないため心臓に悪い。
「何だか、どれがえろがっぱーずか分かりませんね〜。ひょっとして、あの茂みに隠れている人達がそうでしょうか〜?」
のほほんとした表情を浮かべ、愛が目の前の茂みを指差した。
それと同時に魁厳が何かに気づき、待機していた仲間達に合図を送る。
「額に鉢巻、背中に外套、背負っているのは、勇気の証。どんな難関待ち受けようとも、散って咲くのは男花、えろがっぱーず玄武衆。涙と笑いの一号、ルーラス・エルミナス参上」
玄武衆の紋章がついたネイルアーマーを身に纏い、ルーラスが三日月の仮面を被ってポーズを決めた。
「ふふ、首領の歓迎の催しは如何ですか。えろがっぱーずを待ち受けるには、女湯しか有りません。そうなれば、待ち伏せる男冒険者や、ぴゅあがっぱーずは、必然的に女湯を覗ける事になります。えろがっぱーずの仲間を犠牲に多くの仲間に女湯を覗かせる、首領の作戦、まさに感じ入るばかりです」
大袈裟に歓迎の旗を振りながら、レイムスがニコリと微笑んだ。
「‥‥残念だったな。温泉客なら既に避難しているぜ! 覚悟しやがれ!」
ハリセンと鞭のダブルアタックを放ち、鎖雷が次々と河童達を倒していく。
「その理念‥‥、正しきものと思うならば、その力を持ってして俺を打ち滅ぼしてみろ‥‥!!」
闘いの風の中に殺気をガンガンと振り撒き、信人が鎖雷のハリセンを鬼霧雨で受け止める。
それでも鎖雷は鞭を振り下ろそうとしていたが、信人の一撃の方が一寸早くて攻撃が当たらない。
「随分と殺気だっているようだな。覗きが目的じゃないのか?」
納得のいかない様子で信人を見つめ、輝が長巻を振り上げ刀を弾く。
「‥‥貴様に答える必要は無い」
何度か鍔迫り合いを繰り返し、信人が後ろに下がって刀を払う。
「背中は任せろ」
信人と背中合わせになりながら、クリスが警戒した様子で辺りを睨む。
次の瞬間、信人が振り向き際に鬼霧雨を振り下ろし、クリスが彼の喉元にライトロングボウをむける。
「‥‥読まれていたか。ぐはっ!」
背後から輝の一撃を喰らい、クリスが血反吐を吐いて倒れ込む。
その隙に信人が鬼霧雨を握り直し、鬼神の如く勢いで輝に攻撃を仕掛けていく。
「うぐっ‥‥、俺は噛ませ犬じゃない‥‥」
薄く行く意識の中で、クリスが最後の力を振り絞る。
しかし、信人が頭を踏んできたため、クリスの意識はそこで途切れた。
「まさかクリスさんまで‥‥。首領! なぜ私達を裏切ったんですか!」
玄武が裏切り者である事を強調しながら、レイムスが『ハートブレーカー』と名づけたジャイアントソードを振り回し、スマッシュEX+バーストアタックEXと、ソードボンバー+スマッシュEXを繰り出し周辺の木々を薙ぎ倒す。
「おい、玄武! お前の配下だろ! ケジメつけろよな」
不機嫌な表情を浮かべながら、輝が玄武の胸倉を掴む。
「だから俺は無関係だって! 勘弁してくれよ」
本当に何も知らないのか、玄武が気まずい様子で首を振る。
「首領! もう演技をする必要はありません! 何度散っても、挫けないのが、男の証、固い甲羅と信念のえろがっぱーずは、首領の元、永久に不滅なのですから!」
チャージングとスマッシュを放って河童を倒し、ルーラスが玄武にむかって訴えかけた。
「だから俺は関係ないって! 信じてくれよ〜。うごっ‥‥」
次の瞬間、玄武の喉元に鞭が絡みつき、喪がぽふりと肩を叩いてニコリと笑う。
「嘘はよくありませんね、嘘は‥‥。最初から怪しいと思っていたんですよねぇ。色々な意味で‥‥」
含みのある笑みを浮かべながら、喪が鞭をクィッと引っ張り玄武を落とす。
その光景を見て一気に戸惑う河童達。
「‥‥お前達、己の本能を封じる事がまともな人間のする事なのか? 己の望むがまま本能が赴くまま生きる事こそが生き物としての正しい生き様だろう。‥‥確かに、道理を重んじたいという考えも欲望の一種ではある。だが、それは他の多くの本能に背く不自然な事だ。いずれ必ず報いが来るだろう」
グリフォン(ゲールハルト)に騎乗して空から現れ、アルバートが仮面の怪しさムンムンで河童達に語りかける。
しかし、河童達はアルバートの怪しさに身の危険を感じたため、鎖雷の頭を見つめてなむなむと両手を合わせて誤魔化した。
「おまえ‥‥、何をやっている?」
瞳をギラリと輝かせ、鎖雷が河童達をジロリと睨む。
河童達は小動物のような表情を浮かべ、プルプルと首を横に振る。
「後頭部のアレは古傷と愛馬めひひひひんに噛まれた『小さな』痕であって、絶対にハゲじゃないんだぞ!」
湧き上がる怒りを押し殺しながら、鎖雷が警告まじりに呟いた。
そのため、河童達は悲鳴を上げて腰を抜かし、這うようにして逃げていく。
「むっ‥‥、どうやら潮時らしいな。まぁ、玄武をえろがっぱーずの首領であると勘違いさせただけでも収穫か‥‥」
邪悪な笑みを浮かべながら、アルバートがゲールハルトに合図を送る。
それと同時に魁厳が茂みの中から飛び出し、揉み合うようにして温泉に落ちていく。
「残ったのは、俺だけか。進むも戻るも、地獄‥‥とうに‥‥分かっていた道さ。ならば選ぶ道はただひとつ‥‥がふっ!」
次々と倒れていく仲間達を見つめ、信人が覚悟を決めて刀を握る。
次の瞬間、股間に激しい痛みを感じ、そのまま崩れるようにして倒れこむ。
「ふぅ‥‥、これで全部でしょうか〜」
ホッとした表情を浮かべながら、愛が大錫杖で地面を叩く。
どうやら愛が背後から信人の股間にアタックを放ったらしい。
その後、えろがっぱーずの首領として、玄武が誤解されたまま処分されたという噂が流れるのであった‥‥。