トノサマの復讐
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■ショートシナリオ
担当:ゆうきつかさ
対応レベル:フリーlv
難易度:普通
成功報酬:0 G 78 C
参加人数:7人
サポート参加人数:-人
冒険期間:11月02日〜11月07日
リプレイ公開日:2006年11月03日
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●オープニング
●トノサマの復讐
「我輩は夢を見ていたナリ」
えろがっぱーずを前にして、トノサマが能天気な声を響かせた。
トノサマは徐々に記憶が戻りつつあるが、えろがっぱーずが施したショック療法の当たり所が悪かったためか、妙な口調になっている。
「憎き、ごるびー! いや、冒険者達ナリ。我輩はご立腹! 腹立たしいナリよ!」
既に何を言っているのか分からない状態になりながら、トノサマが自分勝手に話を進めていく。
「そこで我輩の提案。みんなチョンマゲ。争い、消える」
えっへんと胸を張るトノサマ。
キョトンとした表情を浮かべる、えろがっぱーず。
「えーっと、要するに『冒険者達によって酷い目に遭わされたから、腹いせに村を襲って村人達をチョンマゲにしてしまおう』って事ですか?」
引きつった笑みを浮かべる河童A。
これでも頑張ってトノサマの言葉を訳したつもりだ。
「ノー、チャウね。村人デハナク、村全体。すなわち女子供。家畜まで。みんな仲良くチョンマゲYO」
途中から何処のドイツだか分からない口調になり、トノサマがチョンマゲをぷらんと揺らす。
そのため、えろがっぱーずの間から『‥‥女湯を覗くんじゃないんだ』と不満が出始めている。
「‥‥拒否したら縛りクビね。それが嫌なら冒険者達を誘き寄せるため、ギルドに張り紙ペッタンコ‥‥」
えろがっぱーずの不満をバッサリと切り捨て、トノサマが張り紙を渡す。
薄汚れた紙に書かれた依頼文。
そこには『村がチョンマゲフィーバー。助けてプリーズ』と書かれている。
一体、何処から突っ込んでいいのか分からない文章だ。
それ以前に依頼文として成り立っているのかさえ微妙である。
そして、もっとも不幸なのは、全く無関係な村だろう。
●リプレイ本文
●見張り
(「これで気づかれない‥‥はず」)。
仲間達に手伝ってもらって女装をした後、新堂小太郎(eb7621)が笑みを浮かべて見張りに近づいていく。
見張りの河童は女湯を覗く事が出来ないため、不満そうにキュウリを齧っている。
「あ、あの‥‥、こんにちわ」
なるべく怪しまれないようにしながら、小太郎がニコリと微笑んだ。
見張りの河童は険しい表情を浮かべながら、キュウリをパリポリと齧っている。
(「ううっ‥‥、ひょっとして怪しまれているのかも‥‥。で、でも、ここで逃げるわけには行きませんし‥‥」)。
引きつった笑みを浮かべながら、小太郎が見張りの河童と目をあわす。
「女じゃあああああああああああああ!」
次の瞬間、見張りの河童が奇声をあげ、小太郎の胸を揉みしだく。
しかし、小太郎は男なので、見張りの河童が首を傾げる。
「ひっ‥‥、うわあ!?」
悲鳴を上げて竜巻の術を発動させ、小太郎が見張りの河童を上空に吹き飛ばす。
見張りの河童は何が起こったのかも分からず、間の抜けた声をあげて荷車の上に落下した。
「し、しまった!?」
荷車が壊れた拍子に物凄い音がしたため、小太郎がハッとした様子で汗を流す。
何とか呼子を奪う事は出来たが、騒ぎを聞きつけ河童達が集まってきた。
「‥‥仕方がありませんね。頼みましたよ、皆さん!」
そう言って小太郎が河童達を引きつけ、森の中へと逃げていく。
河童達に気づかれてしまった以上、小太郎が囮になるしかない。
●村人達
「最初の予定と変わってしまいましたが、村人達を助けるのなら今しかありませんね」
小太郎が自ら囮となって河童達を引きつけているため、結城夕貴(ea9916)が旅の巫女に扮して村人達を救出にむかう。
村人達は公開チョンマゲの刑になっており、村の広場には大量の髪の毛が山積みされている。
しかし、河童達は『人間を見たらチョンマゲにしろ』と命令されているため、このまま広場に向かえば小太郎の行為が無駄になってしまう。
「‥‥聞けば、えろがっぱーずとは、女湯を覗く河童の集団との事ですが、無関係な村を襲うとは、もはや、えろがっぱーずとは言えません。‥‥堕ちた彼らを粛清します」
ミミクリーを使ってえろがっぱーずに化け、イレイズ・アーレイノース(ea5934)が広場に向かう。
河童達はイレイズを仲間だと思い込み、虎刈り用のハサミを渡す。
「いいなー、トノサマは喪ちゃんにお仕置きしてもらえて‥‥。ちゃんとやる事やったらご褒美に喪ちゃん遊んでくれるかな? それだったら俄然頑張っちゃうんだけど‥‥」
物陰に隠れて様子を窺いながら、白井鈴(ea4026)がションボリとした様子で溜息をつく。
鈴達は河童達を何とかしないといけないため、トノサマがどんな目に遭っているのか分からない。
「とりあえずイレイズさんがうまくやってくれるといいんですが‥‥」
心配した様子でイレイズを見つめ、夕貴がゴクリと唾を飲み込んだ。
イレイズはすっかり他の河童達と仲良くなっており、キュウリを齧って樽の上に立つ。
「皆さん、聞いてください。えろがっぱーずの至上目的は、女湯を覗く事です。その至上目的の達成の為に、えろがっぱーずは、幾度の仲間を失い、多くの壊滅を繰り返しても、再び再結成されて来たのに、我々のヒーローとして迎え入れるべきだったトノサマは、事もあろうか、冒険者への復讐を優先し、女湯を覗こうとしなかった。これは、幾度も散ったえろがっぱーずの仲間に対する裏切りです! 皆さん、今から女湯を覗きに行きましょう」
えろがっぱーずの魂に訴えかけ、イレイズが拳をギュッと握り締める。
そのため、河童達はイレイズ達の言葉に感動し、拍手をしながらボロボロと涙を流す。
「‥‥あれ? 説得に成功しちゃったようだね」
キョトンとした表情を浮かべながら、鈴がイレイズ達を見つめてボソリと呟いた。
最悪の場合は戦闘になる事も覚悟していたため、河童達の反応に戸惑っているらしい。
「それだけ女湯を覗きたかったのかも知れませんね。これでは霊刀ホムラの出番も無さそうですが‥‥」
苦笑いを浮かべながら、夕貴が霊刀ホムラを鞘に収める。
河童達はイレイズの考えに賛同しているため、ここで攻撃を仕掛ける事は得策でない。
「皆、女湯へ行くぞ!」
自信に満ちた表情を浮かべながら、イレイズが河童達を引き連れて女湯にむかう。
女湯はここから離れた場所にあるため、途中で気づかれても時間を稼ぐ事が出来る。
「行っちゃったねぇ‥‥。それじゃ、僕達はどうしようか?」
河童達が纏めていなくなってしまったため、鈴が困った様子で口を開く。
「とりあえず村人達を助け出しましょう」
そう言って夕貴が村人達を救出にむかうのであった。
●トノサマ
「おひょひょひょひょ‥‥、最高ナリィ〜」
奇妙な格好をしていやらしい笑みを浮かべ、トノサマがチョンマゲ頭の娘達を納屋に閉じ込め、腰帯を引っ張ってコマのように遊んでいる。
トノサマは冒険者達によって御仕置きを喰らったため、何処か壊れているようだ。
「けっひゃひゃ、随分と楽しんでいるようだね〜」
奇妙な笑い声を響かせながら、トマス・ウェスト(ea8714)がトノサマの横に立つ。
トマス(以下ドクター)は予定していた事が出来なくなったため、見張りの河童をコアギュレイトで動きを封じて縛り上げ、仲間達と共にトノサマのいる納屋へとやって来た。
「ぬおっ! いつの間に! 見張りは‥‥見張りは何処じゃあ!?」
能天気な声をあげながら、トノサマが手下の河童を呼ぼうとする。
しかし、河童達は女湯を覗きに行っているため、トノサマがいくら叫んでも助けに来ようとしない。
「残念ですが此処には誰も来ませんよ。みんな愛想をつかして村を出て行ってしまいましたから‥‥」
女装した姿でトノサマの前に立ち、瀬戸喪(ea0443)がニコリと微笑んだ。
怪しまれないようにするため女装して来たのだが、手下の河童がいなくなった事でトノサマが真っ白になっているため、その必要は無かったようだ。
「とりあえず村娘達を避難させておきましょう。だいぶショックを受けているようですし、このまま放っておくわけには行きませんから‥‥」
トノサマの魂がひょろりと抜けているため、景山清久(eb1803)が村娘達を避難させる。
村娘達はチョンマゲをぷらんぷらんと揺らしながら、大粒の涙を浮かべて清久の後をついていく。
「ちょっと不謹慎かも知れんが滑稽だね〜。まぁ、本人の気持ちを考えれば笑い事じゃ済まないが〜」
同情した様子で村娘達を見つめながら、ドクターがなむなむと両手を合わす。
次の瞬間、トノサマがハッと我に返り、情けない声をあげて飛び上がる。
「ま、待て! そこに我輩の部下がいるでありんす!」
瞳をランランと輝かせ、トノサマが見張りの河童を指差した。
しかし、見張りの河童はドクターに脅されているため、トノサマと全く目をあわせようとしない。
「けっひゃひゃ、どうやら見張りの河童君はトマサマ君とは話したくないようだねぇ。‥‥河童君、分かっているよね。トノサマと話をしたら、皿の上で斗羅慈丸を躍らせるよ〜」
子猫の斗羅慈丸を抱えながら、ドクターが見張りの河童を見つめてニヤリと笑う。
そのため、見張りの河童は青ざめた表情を浮かべ、ドクターを見つめてコクコクと頷いた。
「う、裏切ったナリか。拙者を裏切るとは打ち首じゃ!」
殺気に満ちた表情を浮かべながら、トノサマが拳をブンブンと振り回す。
しかし、見張りの河童はトノサマよりもドクター達が怖いため、決して目を合わせようとしない。
「おやおや、この状況でよくそんな口が聞けますね。まぁ‥‥、それも今だけかも知れませんが‥‥。これからタップリと教えてあげますよ。こんな事をしたら‥‥、どんな目に遭うのかね」
含みのある笑みを浮かべながら、喪がトノサマの肩を叩く。
それと同時に何とも言えない恐怖感が全身を襲い、トノサマがぶるりと身体を震わせる。
「ちょっと可愛そうですね。まぁ‥‥、自業自得かも知れませんが‥‥」
同情した様子でトノサマを見つめ、清久がなむなむと両手を合わす。
最初の予定では酒を飲ませて酔い潰した後に、お仕置きをするつもりだったため、余計にトノサマはツイていない。
「まぁ、我が輩達も鬼ではない〜。君達の趣味に付き合う気はないが、その思い、理解する事が出来ないわけでもない〜。お仕置きされるのは、此処のリーダーだけでいい〜。それじゃ、河童君に聞いてみようか〜。この村で圧政を強いているのは誰だね〜?」
トノサマ達の仲間意識を確かめるため、ドクターが見張りの河童の肩を叩く。
すると見張りの河童はアッサリとトノサマを裏切り、躊躇う事無く彼の顔を睨みつけた。
「どうやらリーダーはトノサマのようですね。ここで彼を守るような行動を取れば、あなたの運命も変わっていたかも知れませんが‥‥」
縄を使ってトノサマの動きを封じ込め、清久が疲れた様子で溜息をつく。
トノサマ達はお互いを汚い言葉で罵り合い、何とか自分だけ助かろうとする。
「‥‥仕方がありませんね。ふたりともお仕置きしてあげましょうか。本当はこんな事をしませんが‥‥、特別サービスですよ。まぁ、僕の趣味なので、もっとおかしくなるかも知れませんが‥‥。記憶がなくなろうとも、その身体に刻み込んで覚えさせれば忘れる事は無いでしょう」
そう言って喪が清久達を外に出し、納屋の鍵を閉めてもらう。
‥‥それと同時に聞こえる悲鳴。
その後、トノサマ達の姿を見たモノはいない。