冬のえろがっぱーず

■ショートシナリオ


担当:ゆうきつかさ

対応レベル:フリーlv

難易度:やや易

成功報酬:0 G 78 C

参加人数:9人

サポート参加人数:-人

冒険期間:12月31日〜01月05日

リプレイ公開日:2007年01月07日

●オープニング

●冬のえろがっぱーず
「みんな、女湯を覗きたいかー?」

『おおー!』

「冬の寒さに耐えられるかー?」

『おおー!』

「冒険者は怖くないかー?」

『‥‥』
 視線を逸らす河童達。
 みんな、冒険者がどれほど恐ろしい存在なのかを知っている。

「ひょっとして聞こえなかったのか? 冒険者は怖くないかー?」

『‥‥』
 途端に帰り支度を始める河童達。
 冒険者という言葉はNGワード。
 関わってはいけないという意味である。

「‥‥そうか。残念だな。せっかく冒険者達に気づかれていない穴場を見つけたのに‥‥」
 河童達の身体がピクンと反応した。

(「‥‥穴場の女湯だと!?」)

 きっと誰もがそう思ったのに違いない。
 冒険者達の邪魔が入った事で、散っていった河童は数知れず。
 河童というだけで、えろがっぱと勘違いする冒険者がいるような世の中だ。
 穴場の女湯など存在していないかと思われていた。
 それが存在しているというのだから、河童達にとっては理想郷を見つけた事と同じである。
 
「もう一度、聞く! 冒険者は怖くないかー?」

『おおー!』
 そして河童達の心はひとつになった。

●冒険者ギルド
「さっそくだが、お前達に頼みがある。久しぶりに、えろばっぱーずを退治して欲しい。えろがっぱーずが次に現れるのは山奥にある温泉宿。河童達にとっては穴場の温泉と言われているが‥‥、実際は違う。ここはえろがっぱーずを誘き寄せるため、数ヶ月ほど前から罠を仕掛けていた場所だ」
 冒険者達の脳裏に『オレサマ オマエ マルカジリ』という言葉が脳裏を過ぎる。
 ‥‥深い意味はない。
 一網打尽という意味だ。
 ‥‥多分。
「この事実に河童達は気づいていない。自分達の仲間に裏切り者がいる事も‥‥。これで、えろがっぱーずは滅び、新年を迎える事が出来るはず。みんな気合を入れて頑張ってくれ!」
 そう言って依頼主がニヤリと笑うのであった。

●今回の参加者

 ea0276 鷹城 空魔(31歳・♂・忍者・人間・ジャパン)
 ea0443 瀬戸 喪(26歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea2722 琴宮 茜(25歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 ea2741 西中島 導仁(31歳・♂・ナイト・人間・ジャパン)
 ea5979 大宗院 真莉(41歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 ea5980 大宗院 謙(44歳・♂・侍・人間・ジャパン)
 ea6158 槙原 愛(30歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea9502 白翼寺 涼哉(39歳・♂・僧侶・人間・ジャパン)
 eb3525 シルフィリア・ユピオーク(30歳・♀・レンジャー・人間・フランク王国)

●リプレイ本文

●冒険者側
「えろがっぱーずか。‥‥何度か噂には聞いた事があるけど、まさかコレほどまでに馬鹿だったとはな」
 えろがっぱーずを捕縛するため、鷹城空魔(ea0276)が温泉宿の暖簾をくぐる。
 この温泉はえろがっぱーずを誘き寄せるために作られたもので、実際には営業をしておらず冒険者達しか宿にはいない。
「‥‥つい半月位前までは全く縁のない事だったのに‥‥今は何故だかとても全力で成敗したい気分でいっぱいだな」
 何処か遠くを見つめながら、西中島導仁(ea2741)がニヤリと笑う。
 導仁は別件で恋人を河童に拉致(実際は駆け落ち)されてしまったため、えろがっぱーず(同じ河童だから)に対して殺意すら抱いている。
「本当に何度も何度も同じ事を繰り返して懲りないというか‥‥学習能力がないですね。まあ、えろがっぱーずに女湯を覗くという特徴がなくなったら、えろがっぱーずではなく、ただの河童になってしまいますので、これでいいのかも知れませんが‥‥。それともお仕置きされるのが実は好みだったりするんでしょうか」
 含みのある笑みを浮かべながら、瀬戸喪(ea0443)が御仕置き道具を準備した。
 年末の大掃除で色々な道具が出てきたため、どんなシチュエーションでもバッチリである。
「ほぉ〜、江戸にもバカッパがいるのか。バカッパどもをシメて、スッキリした気分で年を越そうか」
 えろがっぱーずを誘き寄せるため、白翼寺涼哉(ea9502)が女装して市女笠で顔を隠す。
 河童達は女の裸が三度の飯より好きなので、うまくやれば女装していても気づかれない。
「……てゆーか、いい加減に気づくだろ? もう何回目だと思ってんだ!? 風呂なんか覗いて何が楽しいのかわかんねぇけど、まぁ、いままで大分悪さしてきてるみたいだから、懲らしめてやら無いといけねぇよな!」
 呆れた様子で溜息をつきながら、空魔がえろがっぱーず打倒に闘志を燃やす。
 えろがっぱーずは色々な意味でピュアなので、同じ罠でも簡単に騙されてしまう。
「どちらにしても、覗きは犯罪です。皆さん、がんばって阻止しましょう」
 たおやかな笑みを浮かべ、大宗院真莉(ea5979)が脱衣所で服を脱ぐ。
 一応、温泉は混浴なので、大きな布で敷居を作る。
「愛さんじゃないけどさ、冬と言ったら温泉だし、半ば湯治を兼ねて‥‥ってね」
 念のため手拭いで胸元を隠し、シルフィリア・ユピオーク(eb3525)が脱衣所を出て行った。
 対えろがっぱーず用に作られた物とは言え、温泉は本格的な造りをしており違和感がない。
「それじゃ、えろがっぱーずが現れるまで、ここで待機しておきましょう。は〜‥‥、やっぱり温泉は気持ちいですね〜」
 ゆったりと温泉に浸かり、槙原愛(ea6158)が酒を飲む。
 えろがっぱーずが来るまで暇なので、他の人と身体の洗いっこなどをして時間を潰す。
「まぁ‥‥、わたくしの様なおばさんを見る人もいないと思いますが、近場にいた方が捕まえ易いので一緒に入らせていただきますね」
 爽やかな笑みを浮かべながら、真莉がのんびりと温泉に浸かる。
「‥‥油断してはいけません。何処にえろがっぱーずが隠れているのか、分からないのですから‥‥」
 警戒した様子で辺りを見回し、琴宮茜(ea2722)がブレスセンサーを発動させた。
 これで、えろがっぱーずが何処に隠れていても、すぐに対応する事が出来る。
「ところで‥‥、夫の姿が見当たらないのですが、ご存知ありませんか」
 不思議そうに首を傾げ、真莉がボソリと呟いた。
 まさか、その夫がえろがっぱーずの一員となっているとは思わずに‥‥。

●えろがっぱーず側
「やはり男なら女湯を覗かないと、温泉に入っている女性に失礼ってもんだ」
 えろがっぱーずを前にして、大宗院謙(ea5980)が覗きについて熱く語る。
 冒険者達によるえろがっぱーず狩りによって、各地の支部は潰され大半の者達が正体を隠して逃げ回っていた。
 そのため、えろがっぱーずに参加する河童が激減し、無数にあった組織も減少傾向にあるようだ。
「憎き冒険者達の登場によって、えろがっぱーずは崩壊の危機にある。しかし、このまま指を咥えているだけでいいのだろうか? ‥‥答えは否! 我々は立ち上がらねばならない! そこで私が大宗院流軟派術師範として、覗きの極意をそなた達に伝授する」
 クールな表情を浮かべながら、謙がえろがっぱーずを睨む。
 一応、えろがっぱーずも覗きの極意を会得していたつもりだが、冒険者達の前では成す術もなかったため、真剣な表情を浮かべて謙の言葉を聞いている。
「冒険者など、怖がることはない。私も冒険者だ。いざとなったら、この私が剣術と魔法の力で追っ払う事を約束しよう」
 自信に満ちた表情を浮かべ、謙がえろがっぱーずを勇気づけていく。
「‥‥こんな作戦で本当に大丈夫なのか? お前が裏切り者かも知れないのに‥‥」
 警戒した様子で謙を睨みつけ、えろがっぱーずのひとり(大五郎)がキュウリを抜いた。
 いやらしく曲がったキュウリは、えろがっぱーずの証。
 その証を武器にして、大五郎が謙に勝負を挑む。
「ほぉ‥‥、貴様、潜りだな。我らの偉大なる行為を邪魔すとは不届千万だ」
 鋭く尖ったキュウリを構え、謙が瞳をキラリと輝かせる。
 キュウリ言葉は『怒りと情熱』。
 えろがっぱーずの間では、決闘の時だけ使用される神聖なキュウリ‥‥。
「‥‥面白い。人間でありながら、えろがっぱーずの力を得た者か」
 含みのある笑みを浮かべ、大五郎がキュウリを磨く。
 それと同時にキュウリが艶かしい光を放ち、えろがっぱーずを驚愕させる。
「なるほど、それが噂の『股間の悪魔』か。お前がえろがっぱーずとして認められた証‥‥。だが、妙だな。俺の知る限り、それを持っていた河童はお前じゃない」
 すべての力をキュウリに込め、謙が大五郎に当て身を食らわせる。
 ‥‥必殺『河童の川流れ』。
 大五郎のキュウリが真っ二つに折れ、背中の甲羅に大きなヒビが入る。
「ば、馬鹿な。キュウリ捌きなら誰にも負けた事がなかったのに‥‥」
 信じられない様子で謙を見つめ、大五郎がガックリと膝をつく。
「まさに河童の川流れだな」
 そう言って謙がキュウリをかじる。
 そして、ここにえろがっぱーずの新たな首領が誕生した。

●命を懸けた戦い
「‥‥ここが噂の温泉か。よし、修業の成果を見せる時だ。みんな、気を引き締めて頑張ってくれ」
 警戒した様子で辺りを見回し、謙が忍び足で女湯に忍び込む。
 女湯を覗くために集まったえろがっぱーずは数十人。
 みんな女の裸を見るため、今日までキュウリを断ってきた。
「む〜? 何か向こうが騒がしいですね〜? ‥‥あ〜、そういえば河童がくるとかなんとか言ってたような〜」
 何処からか腹の鳴る音が聞こえてきたため、愛が不思議そうに首を傾げる。
 次の瞬間、茂みの中から次々とハリセンを叩く音が響いてきた。
「‥‥どうやら、えろがっぱーずが現れたようですね」
 えろがっぱーずの荒々しい呼吸を感じ取り、茜が険しい表情を浮かべて仲間達に合図を送る。
「ふ〜、せっかくこれからだったのに‥‥」
 残念そうに溜息をつきながら、愛が手拭いで胸元を隠す。
 本当ならもう少しイチャイチャとしていたかったが、えろがっぱーずが現れてしまったのだから仕方が無い。
「だが、いい湯だった。いつかは妻と水入らずで‥‥」
 妻の胸を脳裏に描き、涼哉がボソリと呟いた。
 それと同時に感じる悪寒。
「‥‥誰だ? ンな所でイカ食ってるバカは?」
 えろがっぱーずのひとりと目が合った。
「あたいらの魅力に引きつけられて、河童達が現れたようね」
 妖艶な笑みを浮かべながら、シルフィリアがポーズを決める。
 彼女は名誉あるフェロモンクイーンの称号を得ているため、えろがっぱーずも我慢が出来なくなったらしい。
「‥‥そう、コレが見たいのね?」
 えろがっぱーずを挑発するようにして浴衣を羽織り、涼哉が浴衣の裾を緩めて太ももをチラリと見せる。
 次の瞬間、えろがっぱーずのひとり(武蔵)が茂みから飛び出し、空魔の仕掛けたトラバサミに引っかかって悲鳴を上げた。
「まさか、こんな単純な罠に引っかかるとはな。下半身にばかり力が入って、目の前の罠が見えなかったんじゃねーのか」
 分身の術を使って武蔵を翻弄し、空魔がスタンアタックを炸裂させる。
 そのため、武蔵は情けない格好のまま、空魔の一撃を喰らって気絶した。
「‥‥武蔵よ。貴殿の死は無駄にしないぞ。武蔵のためにも我々に失敗は許されない。みんな、死ぬんじゃないぞ!」
 あからさまにえろがっぱーずが怯んだため、謙が雄叫びを上げて気合を入れる。
 冒険者達が待ち構えていた以上、ここで逃げるわけには行かない。
「まさか、えろがっぱーずの仲間になっていたなんて‥‥」
 冷たい表情を浮かべながら、真莉がジロリと謙を睨む。
「こら、真莉、邪魔だ。そこを退け!」
 しかし、謙は女湯を覗きたいため、強引に真莉を退けようとする。
「‥‥って、きゃぅ!?」
 謙と目が合って悲鳴をあげ、愛が恥ずかしそうに胸元を隠す。
 そこで真莉の怒りがMAXに達し、凄まじい殺意が辺りに漂った。
「どうやら、覗きの暗黒面に捕らわれているようですね。こうなってしまったら、元に戻す方法はただひとつ。‥‥意識を失うまでボコボコにするしかありません」
 クールな表情を浮かべながら、喪がキツイ事をさらりと言う。
「‥‥分かりました。意識が飛ぶまでボコボコにすればいいんですね」
 殺意のオーラを身に纏い、真莉をニコリと微笑んだ。
 その間に謙がえろがっぱーず達を連れ、興奮した様子で愛達の裸を見ようとする。
「さて‥‥、カリノジカンダ」
 邪悪な笑みを浮かべながら、導仁がオーラパワーを発動させ、えろがっぱーずにダブルアタックを叩き込む。
 そのため、えろがっぱーずは成す術もなく倒れていく。
「武蔵の志を無駄にはしないッパ」
 次々と倒れていく仲間達を飛び越え、眼次郎が女湯に飛び込もうとする。
 しかし、シルフィアが左手で胸元を隠してソニックブームを放ったため、眼次郎は彼女達の裸を覗く事なく水飛沫を浴びて気絶した。
「‥‥さすが煩悩の塊ですね。仲間達が倒れても、まったく怯んでいない」
 感心した様子で河童を見つめ、茜がウィンドスラッシュを叩き込む。
 えろがっぱーずは謙に気合を入れられているため、いくら仲間達が倒れようとも逃げる事はない。
「年の瀬にも関わらず覗きをするえっちな河童にお仕置きです〜!!」
 怒っているせいで胸元を隠す事も忘れ、愛が河童の股間にポイントアタックを炸裂させる。
 それと同時に間に抜けた音が響き、河童が股間を押さえて倒れ込む。
「‥‥河童よ。恨むのなら、河童に生まれたお前の生まれの不幸を呪うがいい」
 獅皇吼烈(優れた戦闘馬)に乗って河童の頭を踏みつけ、導仁がハードな劇画チックにニヤリと笑う。
 二度とおかしな真似をしない程度に、半殺しならぬ『九分九厘殺し』にしているが、既に河童達に意識はない。
「それにしても、まさかバカッパ如きで血走るとは‥‥、俺もちょっと熱くなり過ぎたかな」
 唖然とした表情を浮かべる河童を見つめ、涼哉がコアギュレイトが発動させる。
 どうやら河童は涼哉のアレを見て、色々な意味で萎縮してしまったらしい。
「ば、馬鹿な! 精鋭の戦士達が一瞬で‥‥」
 信じられない様子で汗を流し、謙が拳をぶるりと震わせた。
 既にえろがっぱーずは全滅しており、残っているのは謙だけである。
「全く、あなたという人は‥‥」
 雪女の如く冷たい表情を浮かべ、真莉がアイスブリザードを発動させた。
「む、無念!」
 あまりの寒さに戦意を失い、謙が前のめりに倒れ込む。
「今回はうちの夫がご迷惑を掛けてしまいましたね。‥‥申し訳ございません」
 アイスコフィンを使って謙を氷付けにした後、真莉が何事もなかった様子で笑みを浮かべて仲間達に頭を下げた。
「いや、気にしないでくれ。誰だって覗きの暗黒面に捕らわれる時があるからな」
 苦笑いを浮かべながら、空魔が河童達を木に吊るしていく。
 そのうちの何人かは途中で逃げようとしていたが、千代錦(忍犬)と疾風丸(柴犬)の妨害に遭ってボコボコにされた。
「河童達にも、ちょっとお仕置きが必要なようだねぇ〜」
 愛犬(かりん)の銜えてきた鞭に持ち替え、シルフィリアが冷ややかな笑みを浮かべて河童の頭を踏みつける。
「えっちなのはいけないのですっ! ‥‥というわけで反省するまで男湯を覗いててください〜」
 大きく頬を膨らませ、愛が恥ずかしそうに胸元を隠す。
「今年、最後のお仕置き納め全力でいきますから、覚悟してくださいね。泣こうが喚こうが壊れるまで一切手を緩めるつもりはありませんから‥‥」
 そう言って喪が河童達の首根っこを掴み、邪悪な笑みを浮かべて納屋に姿を消した。