●リプレイ本文
●冒険者達
「また、えろがっぱーずかよ! つーか、コレって前に俺達がやった方法じゃん! ‥‥こんな作戦、誰が出したんだよ? すんげー罠くせーよな〜? ‥‥ま、いっか、気にしたらキリがない‥‥か」
えろがっぱーずの作戦にツッコミをいれ、鷹城空魔(ea0276)が呆れた様子で溜息をつく。
今年に入ってからも、えろがっぱーずによる被害は増加の一途を辿っていた。
もちろん、その大半は冒険者達によって阻止され、えろがっぱーずの中にはマトモな職についている者もいるのだが‥‥。
「‥‥覗きをしないえろがっぱーずは、えろがっぱーずではないような気がするんですが‥‥。まぁ、難しい事は考える必要がありませんね。えろがっぱーずが居る限り、公然とお仕置きできる機会がありますし‥‥」
冒険者ギルドで耳にした噂を思い出し、瀬戸喪(ea0443)がボソリと呟いた。
元々、えろがっぱーずは河童忍者になれなかった落ちこぼれ達が結成した団体であるという説もあるため、マトモな職についたとしてもやっていけるかどうか分からない。
そのため、再びえろがっぱーずとして戻ってくる可能性が高い。
「はぁ‥‥、また、こりもなく覗きをしようとするなんて‥‥」
夫である大宗院謙(ea5980)の顔を思い浮かべ、大宗院真莉(ea5979)が拳をぷるりと震わせた。
しかも、彼女の夫はえろがっぱーずから絶大な信頼を得ており、このまま放っておけば支部長にまで上り詰める勢いである。
「それにしても『えろがっぱーず』とは、またおかしな名前をつけるもんだな。もう少し気の利いた名前がつけられなかったのか?」
その名前から容易に活動内容が想像する事が出来るため、篁光夜(eb9547)が気まずい様子で汗を流す。
えろがっぱーずにあった事はないのだが、脳裏にはエロスな映像が浮かんでいる。
「‥‥コウヤはえろがっぱーずじゃないのね。‥‥まあ、他の女性の裸なんか見たら三ヶ月は精神攻撃(ひたすら無視)をしているところだけれど‥‥」
クールな表情を浮かべながら、星宮綾葉(eb9531)が光夜を睨む。
一瞬、えろがっぱーずの仲間となって覗き行為をしている光夜が浮かんだため、彼に対して生暖かい視線を送っている。
「い、いや‥‥、俺がそんな奴らの仲間になるわけがないだろ。思いっきり胡散臭いじゃないか」
綾葉の視線を気にしながら、光夜がコホンと咳をした。
別にえろがっぱーずと一緒に覗きをしたいわけではないのだが、綾葉に疑われているのでどうやって誤解を解こうか考えている。
「不埒な河童が出没すると耳にした以上は捨て置けん。‥‥破廉恥な輩は成敗だ」
険しい表情を浮かべながら、小鳥遊郭之丞(eb9508)が外道の湯をむかう。
外道の湯は冒険者を陥れるために用意した場所で、郭之丞達も罠だと分かった上でえろがっぱーずの相手をしようと考えている。
「それじゃ、京都に帰る前にバカッパをボコっとくか」
そう言って白翼寺涼哉(ea9502)が、ゆっくりと歩き出すのであった。
●えろがっぱーず
「お前達、えろがっぱーずが覗きをせずに、冒険者を陥れる事だけを考えてどうする! えろがっぱーずなら覗きをせんか!」
えろがっぱーずを前にして、謙がブツブツと説教をし始める。
アジトに残ったえろがっぱーずは三人(じゃじゃ丸、ぴっころ、ぽろり)のみ。
他の河童達は三食昼寝つきのバイトを始めているらしい。
『まぁ‥‥、落ち着け。最近、冒険者達の邪魔が入っているから、えろがっぱーずの士気が低下している事も事実。冒険者達さえ倒せば、考えを改めるだろう』
鎧でガッチガッチに身を固め、夜十字信人(ea3094)が口を開く。
今回は正体を隠してえろがっぱーずに参加しているため、何となく気分で声色を変えている。
「やはり同士がいると心強い。えーっと、何処かで会った事は‥‥ないよな?」
爽やかな笑みを浮かべ、謙が信人と熱い握手をかわす。
ふたりとも、えろがっぱーずの幹部候補。
ある意味では指揮官クラスまでレベルが上がっている。
「‥‥初対面だ。まぁ、俺の事は気にするな」
含みのある笑みを浮かべ、信人がボソリと呟いた。
信人は猛者達の最期を看取り続けた剣客であるが、今回は訳あって正体を隠している。
「ふたりとも期待しているぞ。憎き冒険者達を倒してくれ」
祈るような表情を浮かべ、じゃじゃ丸がペコリと頭を下げた。
それに合わせてぴっころとぽろりも頭を下げ、信頼の証である黒光りしたキュウリを渡す。
「任せておけ。そのために私達はここにいるのだからな」
クールな表情を浮かべながら、謙がキュウリを握り締める。
この時点で謙には不幸の女神が降り立ったが、その事に彼は気づいていない。
『復讐するは我等に有り、進め! 進め! 退いたら、煮壺肉骨粉(にこにくこっぷん)の刑だぞ』
えろがっぱーずの士気を高めるため、信人が熱く語っていく。
ちなみに、煮壺肉骨粉の刑とは、肉も骨も粉まで砕いた後に、煮て壷に入れてしまうと言う、恐ろしい処刑法である。
こうして、えろがっぱーずは冒険者達を倒すため、外道の湯にむかう事になるのであった‥‥。
●外道の湯
「‥‥まさか混浴だったとな。まぁ、覗きが目的じゃないんだから当然か」
褌一丁で温泉に浸かり、涼哉が傍らに二本の葱と鞭が置く。
温泉のまわりには沢山の茂みがあるため、えろがっぱーずが何処に隠れているのか分からない。
そのため、常に警戒しておかねば、えろがっぱーずに不意討ちされてしまう。
「この温泉のどこかに、えろがっぱーずが‥‥」
警戒した様子で辺りを見回しながら、綾葉が手拭いを使って胸元を隠す。
その傍らには光夜が立っており、彼女の身を守っている。
「もう少し普通にしていた方がいいぞ。こうやって温泉に浸かっていれば、そのうちあいつらの方からボロを出すだろうからな」
含みのある笑みを浮かべ、空魔が茂みの中に入っていく。
えろがっぱーずが逃げる事を見越して、茂みの中に罠を仕掛けておくためだ。
「秘湯と聞いたからには是非入りたいものだが‥‥、嫁入り前の大事な肌を覗かれてはかなわぬ、夜中にこっそり浸かるとしよう。それに河童であろうと冒険者であろうと女性の裸を覗く不埒者にはきついお灸が必要だしな」
険しい表情を浮かべながら、郭之丞が大脇差を握り締める。
先程から嫌な予感がしているため、温泉に浸かりたいとも思わない。
「それに、いつもの仕返しに冒険者を罠にかけるなど言語道断です。どうせ罠といってもそんなに手のこんだ物は出来ないと思いますが‥‥」
えろがっぱーずの行動パターンを考えながら、喪が疲れた様子で溜息を漏らす。
次の瞬間、茂みの中から悲鳴が聞こえ、仲間達がハッとした表情を浮かべる。
「あれは空魔さんの悲鳴‥‥!?」
ダラリと汗を流しながら、真莉が茂みの中に入っていく。
茂みの中には沢山の罠が仕掛けてあり、空魔が青ざめた表情を浮かべて落とし穴から這い上がる。
「す、すまねぇ、ドジっちまった。一応、みっつめのトラップまで解除する事が出来たんだが‥‥」
悔しそうな表情を浮かべ、空魔がペッと泥を吐き出した。
えろがっぱーずは罠が解除される事を想定した上で、いくつか仕掛けをしていたため、彼らを甘く見ていた空魔が罠にハマッてしまったらしい。
「はははははっ‥‥、ようやく現れたな、冒険者達よ」
高笑いを上げながら、じゃじゃ丸達がポーズを決めた。
彼らの背後には謙達が立っており、クールにポーズを決めている。
「来やがったな? 俺っちの褌捌き、とくとご覧あれ、だねぃ」
褌一丁でポージングを決め、涼哉がえろがっぱーずをジロリと睨む。
「‥‥ふん。愚かなヤツめ。よほど死にたいようだな」
邪悪な笑みを浮かべながら、じゃじゃ丸達が散開する。
今回の目的は冒険者達を仕留める事。
‥‥鼻の下を伸ばしている暇はない。
「あなた方は夫に騙されているのです。あなた方のその熱意をもっと人々の役にたててはどうでしょうか。きっと、今よりもずっと清々しい気持ちになれる筈です」
えろがっぱーずを改心させるため、真莉が熱心に説得をし始める。
しかし、えろがっぱーずは聞く耳を持たず、奇声を上げてキュウリ状のクナイを投げて来た。
「‥‥愚かな」
すぐさま風呂桶を使ってブラインドアタック+スタンアタックを放ち、郭之丞が何かをブラつかせていたぽろりを倒す。
「うっ‥‥」
一瞬の沈黙。
郭之丞はぽろりの何かを見て意識を失った。
「‥‥郭之丞さんが! 一体、どんな技を使ったの!?」
唖然とした表情を浮かべ、綾葉がダラリと汗を流す。
彼女の場所からではふたりが相打ちになったようにしか見えないため、えろがっぱーずの力を過大評価しているようだ。
「いや、あれは技じゃないと思うぞ。‥‥多分」
そう言って光夜が気まずい様子でツッコミを入れた。
●運命
「よ、よくも、ぽろりを〜!」
怒りに満ちた表情を浮かべ、ぴっころが温泉に飛び込んだ。
次の瞬間、綾葉がイリュージョンを発動させ、女性陣の股間に物騒なモノがぶら下がっている幻を見せる。
「お、男‥‥!? ぎゃーす!」
魂の抜けた表情を浮かべ、ぴっころがげふっと血反吐を吐く。
あまりにも物騒なものを見てしまったため、ぴっころの意識が吹っ飛んだ。
「ぽろりに続いて、ぴっころまで‥‥。まぁ、いいか」
次々と散っていく仲間を見つめ、信人がさらりと呟いた。
ふたりが倒れる事は予想をしていた事もあり、あまり悲しくもないようだ。
「そんな事を言っていいのか。バカッパに味方する以上、貴様の命はないぞ。‥‥そうだ。お互いの褌を賭けて勝負をしようじゃないか」
両手に持った葱をギュッと握り締め、涼哉が信人に攻撃を仕掛けていく。
「ふっ‥‥、いいだろう。もちろん、この鎧を脱がす事が出来れば、の話だが‥‥」
デッドorライブを使って涼哉の攻撃を受け止め、信人がスマッシュEXを使って反撃する。
「や、やるじゃないか。だが‥‥、俺を敵に回したのが間違いだったな」
一瞬の隙をついてコアギュレイトを仕掛け、涼哉がニヤリと笑って温泉に信人を蹴り倒す。
そのため、信人は鎧の重みで沈んでいき、大きな泡がポカンと浮かぶ。
「鎧を着ているのなら‥‥、脱がせばいい。それだけの事だ」
クールな表情を浮かべながら、涼哉が温泉に沈んだ信人を引き上げる。
本当なら正々堂々と戦いたかったのだが、信人が鎧を着ていたのだから仕方が無い。
「クッ‥‥、仕方が無い。謙殿、早く逃げましょう!」
悔しそうな表情を浮かべ、じゃじゃ丸が逃げようとする。
しかし、謙は茂みに隠れて温泉を覗いているため、じゃじゃ丸の声がまったく聞こえていない。
「ちょっと、待て。いいところなんだ。まさか、他の客が来ているとはな。もう‥‥、ちょっとだ。その手拭いを退かせば‥‥おおっと! おい、誰だ! 私の覗きを邪魔するヤツは‥‥」
夢中になって女湯を覗いている途中で何者かに邪魔をされ、謙が不機嫌な表情を浮かべて後ろをむく。
そして、そこにいたのは‥‥。
「‥‥あなた。一体、そこで何をやっているの?」
天使のような笑みを浮かべながら、真莉が殺意のオーラを漂わせる。
「い、いや、これには深い訳が‥‥」
色々な意味で身の危険を感じたため、謙がジリジリと後ろに下がっていく。
‥‥コツン。
何かが当たった。
「じゃ、じゃ、じゃじゃ丸!」
ハッとした表情を浮かべ、謙がダラリと汗を流す。
どうやら冒険者達から逃げようとして、空魔の番犬達に襲われてしまったらしい。
「あなた、何度も何度も、いい加減にしてください」
氷の様に冷たい眼差しを謙に送り、真莉がブリザードを放ってアイスコフィンで氷付けにする。
「思ったよりも苦戦したけど、何とか無事に終わったな。さぁて、コイツらの始末はどうするか。いっその事、全裸にして店の軒先にでも吊るしておくかな」
えろがっぱーずを縛り上げ、空魔が冗談まじりに呟いた。
もちろん、お仕置きをするのは、えろがっぱーずだけなのだが‥‥。
「‥‥彼らの始末は僕に任せてください。これから嫌というほど、身体に刻み付けておく必要がありますから‥‥。痛みという名の快感を‥‥ね」
含みのある笑みを浮かべながら、喪がえろがっぱーずを連れていく。
その後、彼らの姿を見た者は‥‥いない。