えろがっぱーず・黒

■ショートシナリオ


担当:ゆうきつかさ

対応レベル:フリーlv

難易度:普通

成功報酬:0 G 78 C

参加人数:7人

サポート参加人数:-人

冒険期間:02月14日〜02月19日

リプレイ公開日:2007年02月16日

●オープニング

●全滅、シリコダマーズ!
「ば、馬鹿な!? 我々が‥‥負けた‥‥だと‥‥!?」
 信じられない様子で膝をつき、三郎太がガックリと膝をつく。
 ‥‥えろがっぱーずは強かった。
「冒険者達の協力を得る事が出来なかったのが、お前達の敗因だ。恨むのなら、冒険者達を恨むんだな」
 えろがっぱーずの高笑いが辺りに響く。
「ち、畜生! お、覚えていろ!」
 捨て台詞を残して、その場から立ち去ろうとした瞬間、三郎太はえろがっぱーずに腕を掴まれる。
「ウホッ!」
 その一言で三郎太は自分の末路を理解した。
「ちょっ、ちょっと待て! お、お前ら! 女にしか興味がないんじゃ!」
 青ざめた表情を浮かべながら、三郎太がプルプルと首を振る。
 ‥‥予想外の展開であった。
 まさか、彼らにソッチの趣味があったなんて‥‥。
「リバーシブルなんでね。心優しい冒険者達が、新たな扉を開く鍵をくれたのさ」
 爽やかな笑みを浮かべる河童達。
 三郎太のまわりを囲み、マイムマイムを踊り出す。
「こ、これって、まさか!? アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァー!」
 そして三郎太の悲鳴が辺りに響く。

●猟奇殺人事件
「‥‥こりゃ、酷い‥‥」
 険しい表情を浮かべながら、小五郎が犠牲者の死体を確認する。
 ‥‥今月だけで三件。
 どの死体も酷い状態で発見されている。
「ここに転がっている死体はすべて河童。どうやら河童同士の抗争によって命を落としたものかと思われます‥‥」
「‥‥抗争だと!? こんな状態になった死体を見て、よくそんな事が言えるな! これは間違いなく‥‥痴情のもつれ‥‥だ」
「何で自信が無さそうに言うんですか。ハッキリと言ってくださいよ、痴情のもつれだって!」
「い、いや‥‥、それなら死体はひとつだしなぁ。やっぱり抗争かも知れん」
 ‥‥小五郎も自信がなかった。
 ただ、ひとつ言える事は、この事件の裏に冒険者達が絡んでいる事だ。
 ご丁寧に冒険者達の所持品が現場に残されていたのだから‥‥。

●今回の参加者

 ea0335 志羽 翔流(34歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea0443 瀬戸 喪(26歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea2741 西中島 導仁(31歳・♂・ナイト・人間・ジャパン)
 ea3094 夜十字 信人(29歳・♂・神聖騎士・人間・ジャパン)
 ea5979 大宗院 真莉(41歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 ea5980 大宗院 謙(44歳・♂・侍・人間・ジャパン)
 eb9531 星宮 綾葉(27歳・♀・陰陽師・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

●無実の罪
「‥‥そうか、三郎太は逝ったか‥‥。よもや、俺よりも先に逝っちまうとはな‥‥」
 何処か遠くを見つめながら、夜十字信人(ea3094)が溜息を漏らす。
 三郎太とは二年前に起きた桃色胡瓜の動乱の際、刃を交え親友となった間柄。
 目を閉じれば三郎太との思い出が走馬灯のように過ぎっていく。
「殺人ならぬ殺河童か‥‥。しかも、えろがっぱーずが関わっているとはな。ヤツらとは釜の飯を食った仲同然の付き合いだから、信じられねぇ‥‥。何が何でも、無実を証明してやるか!」
 拳をギュッと握り締め、志羽翔流(ea0335)がボソリと呟いた。
 シリコダマーズの殺害にえろがっぱーずが関わっているという噂もあるため、このまま放っておくわけにも行かない。
「まさか人(河童)殺しに成り下がるとは、あの頃の覗きに対する情熱はどうしてしまったのだ!」
 色々と悪い噂を聞いたため、大宗院謙(ea5980)が落胆した。
 確かに女湯を覗いている頃から問題視されてはいたのだが、それでも殺人をするよりはマシである。
「‥‥やはり、私のせいなのでしょうか?」
 ションボリとした表情を浮かべ、星宮綾葉(eb9531)が瞳を潤ませた。
 綾葉は前回の依頼でイリュージョンを使い、えろがっぱーずに覗かれた女性方の股間にアレなナニを出現させたため、その事が原因だと思い込んでいる。
 ちなみにえろがっぱーずがアッチの世界に目覚めたのは、まったく別の原因があるらしい。
「‥‥何にせよ、放置しておく訳にはいかないな」
 険しい表情を浮かべながら、西中島導仁(ea2741)が詰め所を睨む。
 『冬のえろがっぱーず』の後、別件はひとまず解決したのだが、恋人が自分ではなく河童の方を頼りにしている事実を知り、ひどくショックを受けている。
「‥‥友よ。お前の生き様は、俺の心にしかと刻む。さらば、友よ! さらば、俺の羞恥心!」
 友の無念を晴らすべく、信人がメイド服を身に纏って詰め所にむかう。
 ‥‥その結果。
 訳も聞かれず投獄された。
「ちょっと待て! ここに来たばっかの俺に、こんな事が出来るわけねぇだろ! 俺にゃ、河童の知り合いもいなきゃ、怨まれる事もしてない!」
 納得のいかない様子で格子を掴み、翔流が小五郎に文句を言う。
「ここに来た奴は、みんなそうやって言い訳をするのさ。分かったら、とっとと牢屋に入りやがれ!」
 鬱陶しそうに翔流を見つめ、小五郎が溜息を漏らす。
 河童達からの通報でシリコダマーズを殺した下手人として、翔流達の名前が挙がっていたため、彼らの言葉に耳を傾けるつもりが無いようだ。
「ちぃっ、エロ河童どもめ‥‥一度ならず二度までも俺の前に立ちはだかりやがって! ‥‥二度とそんな気を起こさんように、脳みその奥底に恐怖を刷り込んでやる!」
 不機嫌な表情を浮かべながら、導仁が怒りに身を任せて壁を叩く。
 えろがっぱーずにとって冒険者達は邪魔な存在であるため、自分達の犯した罪を導仁達になすりつけようとしているようだ。
「こうなってしまった以上、僕達が無実の罪である事を、誠意を持ってお伝えしなければなりませんね」
 困った様子で溜息をつきながら、瀬戸喪(ea0443)が小五郎を睨む。
 小五郎は喪達が犯人であると思い込んでいるため、きちんと説明しなければ余計に怪しまれてしまう。
「私はここ最近、花街に出入っているのでその時の証明ならできるぞ。何なら、今から証明してもらいに一緒に花街でも行くか」
 満面の笑みを浮かべながら、謙が小五郎と取引をしようとする。
 それと同時に背後から凄まじい寒気を感じ、謙がハッとした表情を浮かべて汗を流す。
「ここ最近‥‥、花街に‥‥?」
 天使のような笑みを浮かべ、大宗院真莉(ea5979)が肩を叩く。
 ‥‥言い訳は無用。
 すぐさま真莉のお仕置きが始まった。
「と、とにかくだ。お前達が殺った事なのは分かっている!」
 気まずい様子で視線を逸らし、小五郎がコホンと咳をする。
 次の瞬間、謙の悲鳴が辺りに響く。
 小五郎は‥‥、何も聞こえていないフリをした。
「それならハッキリと言わせてもらうが、その時間はいつもお世話になっている御隠居邸にいた。信用する事が出来ないのなら、御隠居に確認してみても構わない」
 堂々とした態度で小五郎を見つめ、導仁がキッパリと言い放つ。
 しかし、小五郎は導仁達の言っている事を頭から信用していないため、鬱陶しそうに溜息を漏らす。
「だから、こっちには証拠がある。お前達がヤッたという証拠がな」
 面倒臭そうに溜息をつきながら、小五郎がボソリと呟いた。
 どんなにきちんとしたアリバイがあったとしても、小五郎には全く調べるつもりがないようだ。
「それ以前に容疑者は男性だと思うのですが、気のせいでしょうか?」
 キョトンとした表情を浮かべ、綾葉が不思議そうに首を傾げる。
 その言葉に納得し、小五郎がダラリと汗を流す。
「す、すまんな。つい、うっかり‥‥」
 テヘッと可愛らしく笑みを浮かべ、小五郎が綾葉達を解放する。
「それなら現場にあった証拠品を見せていただけませんか。わたくし達に対する恨みから、罪を擦り付けているのかも知れませんし‥‥」
 小五郎の顔色を窺いながら、真莉がニコリと微笑んだ。
 『こんな事が上にバレたら、大変な事になりますよ』と言わんばかりの表情を浮かべ‥‥。
「ほ、本当ならこういう事をしたらマズイんだが‥‥。だ、誰にも言うなよ?」
 警戒した様子で辺りを見回しながら、小五郎が証拠品を見せていく。
 証拠品の大半はアッチの世界に関連のあるもので、マトモな人間が見るに耐えないモノばかりであった。
「‥‥まさか俺達にコッチの趣味があると思ったのか?」
 信じられない様子で小五郎を睨み、信人が格子の隙間から右手を伸ばす。
 このまま胸倉を掴もうとしたのだが、小五郎が後ろに下がったので手が届かない。
「ち、違うのか!?」
 驚いた様子で信人を見つめ、小五郎がアングリと口を開ける。
 ‥‥予想外の言葉であった。
 みんなソッチの世界の人間だと思っていたのだから‥‥。
「どうやら、あなたも河童に騙されていたようですね。目撃者の河童達が真犯人なのかも知れませんよ?」
 含みのある笑みを浮かべながら、喪が格子越しに小五郎を睨む。
「た、確かにそう言われてみれば‥‥、そうだな。よし、こうしようじゃないか。お前達が真犯人を見つけてきたら無罪って事で‥‥」
 だんだん自信が持てなくなってきたため、小五郎が喪達に交換条件を持ちかける。
「‥‥よし、犯人を突き止めりゃいいんだな? 冤罪だったら、ただじゃすまねぇぜ」
 格子が開いたのと同時に小五郎を睨み、翔流が捨て台詞を残して詰め所を飛び出した。
 必ず真犯人を捕まえてやると心に誓い‥‥。

●河童沼
「ここが河童沼ですか」
 調査の結果、えろがっぱーず・黒のアジトが河童沼である事を知った喪達は、敵を油断させるために女装して沼にやって来た。
 そのおかげで喪達の声が聞こえたのと同時に河童達が沼から顔を出し、興奮した様子で鼻の下を伸ばしている。
「こら、そんなに急ぐと危ないぞ」
 河童には気付いていないふりをして、導仁が獅皇吼烈(優れた戦闘馬)の背中に乗って、如月(地のエレメンタラーフェアリー)の後を追う。
 如月は導仁をからかうようにして、沼の上でクルクルとまわる。
『あー、汗を掻いちゃった。せっかくだから、この沼で流そうかしら」
 わざと河童達に聞こえるように声色を変え、翔流がもったいぶりながら服を脱ごうとする。
 その声を聞いて総立ちになる河童達。
 しかし、えろがっぱーず・黒の姿が見当たらない。
(「やはり本能には逆らえないようですね」)
 見えそうで見えない絶妙な感覚でポーズを決め、綾葉が満足した様子でクスリと笑う。
 そのため、河童達は我慢する事が出来ずに身を乗り出し、バシャッと派手な音を立てて足を滑らせた。
「おっ、誰かと思えばえろがっぱーずか。せっかくだから、一杯どうだ?」
 酔っ払ったふりをして杯を掲げ、謙が河童達を手招きする。
 河童達は申し訳なさそうな表情を浮かべ、謙のまわりに座って次々と杯を差し出した。
「最近、人(河童)殺しが多発しています。何かご存知ありませんか」
 杯に並々と酒を注ぎ、真莉がニコリと微笑んだ。
 その一言で河童達はドキッとし、持っていた杯をポトリと落とす。
「何か‥‥、知っているんですね?」
 真莉の言葉が河童達の心臓にグサリと刺さる。
 ‥‥河童達は知っていた。
 その事件の犯人を‥‥。
 だが、ここで話す事は出来ない。
 そんな事をすれば、自分達も同じ目に遭ってしまう。
「‥‥答えてもらおうか。お前達の安全は保障する‥‥」
 メイド服姿でクールな表情を浮かべ、信人が河童達をジロリと睨む。
 次の瞬間、沼の中から何者かの右手を飛び出し、信人の尻子玉を抜こうとする。
「‥‥やはりな。お前達が三郎太をヤッたのか‥‥」
 その言葉が合図となり、沼の中から次々と河童達が現れた。

●対決
「‥‥やはり冒険者達か。よくあの場所から抜け出せたな」
 いやらしい笑みを浮かべながら、えろがっぱーず・黒が信人達の逃げ道を塞ぐ。
 黒達以外の河童は戦う事が苦手なため、隙を見て逃げ出そうとしているが、彼らに逆らう事が出来ないようだ。
「‥‥出たな、えろがっぱーず! ついにその手を血に染めちまったか! そこまで落ちぶれたとは情けねぇなぁ‥‥。おまえらを退治しないと、俺等冒険者が迷惑なんだよ。 悪く思うなよ? ‥‥覚悟しな!」
 日本刀をギュッと握り締め、翔流がえろがっぱーずに斬りかかっていく。
 しかし、えろがっぱーずの動きが速いため、なかなか攻撃が当たらない。
「はははははっ、それが冒険者達の実力か。ヌルイ、ヌルイぞぉ!」
 高笑いを上げながら、黒がピョンピョンと飛び跳ねる。
 次の瞬間、背後から喪のポイントアタックを喰らい、悲鳴を上げて沼にブクブクと沈んでいく。
「勝手に人の名前を使うなど言語道断です。人の名前を勝手に使用した罪その身体で償ってもらいましょう」
 気絶した河童を引きずり上げ、喪がニコリと微笑んだ。
 本来ならば詰め所に突き出さねばならないが、その前にやらなければならない事がある。
「お前達、覗きへの情熱はどうしたんだ。目を覚ませ!」
 信じられない様子で黒達に詰め寄り、謙がオーラソードを叩き込む。
 それと同時に黒達が沼に潜り、謙の足を引っ張った。
「ウケケケケケケッ‥‥、我々はエロを捨てた者達だ。よって、えろがっぱーずであって、えろがっぱーずではない」
 含みのある笑みを浮かべながら、黒達が謙を沼の底に引きずり込もうとする。
 しかし、謙は黒達の頭めがけて短刀を突き刺し、寂しそうに溜息をつく。
「ならば、ただの河童か。いや、河童でもないな、お前達は‥‥」
 ‥‥謙の一撃が黒達に放たれる。
 悲鳴を上げて倒れる黒達。
 圧倒的な力の前に、成す術も無く沼に沈んでいった。
「ば、馬鹿な! 何故だ!」
 納得のいかない様子で謙を見つめ、黒達がダラリと汗を流す。
 その間にえろがっぱーずが蜘蛛の子を散らすようにして逃げていく。
「どうして、この様な事をなさるのですか」
 アイスコフィンを使って動きを封じ、真莉が親身になって事情を聞いた。
「そのキッカケを作ったのは、お前達だ。いまさらくだらない事を聞くな!」
 真莉の逃げ道を塞ぐようにして散開し、黒達がジリジリと迫っていく。
 しかし、攻撃を仕掛けた寸前で真莉の姿が消え去り、黒達がハッとした表情を浮かべて彼女を捜す。
「‥‥残念でしたね。その真莉さんは幻です」
 イリージョンを発動させ、綾葉が黒達を翻弄した。
 そのため、黒達は冒険者の幻に対して攻撃を仕掛け、困惑した表情を浮かべている。
「……で、三郎太をヤったのはどいつだ? ククク、まあ良い。こういう時の為に連帯責任と言う言葉があるのだからな‥‥」
 胸に入っていた饅頭を取り出し、信人が黒達の頭に乗せてぐちゃりと潰す。
 この饅頭には大量のワサビがはいっているため、黒達が悲鳴を上げて気絶した。
「‥‥終わったな」
 黒達の身体を荒縄でギュッと縛り、導仁がホッとした様子で溜息をつく。
 これで導仁達の無実を証明する事が出来るだろう。
 だが、三郎太達の命は戻らない。
 そう思うと何だか寂しい気持ちになってきた。