呪われた仮面

■ショートシナリオ


担当:ゆうきつかさ

対応レベル:6〜10lv

難易度:難しい

成功報酬:3 G 24 C

参加人数:4人

サポート参加人数:-人

冒険期間:02月19日〜02月22日

リプレイ公開日:2007年02月24日

●オープニング

●呪われた仮面
 呪われた仮面を寺まで運ぶため、お前達に護衛を頼みたい。
 この仮面を被った者は呪いの力によって、命を落とすまで戦い続けてしまうらしい。
 そのため、誰も仮面を被る事なく、持ち主を不幸にしながら、人から人へと渡っていった。
 もちろん、真偽の程は定かではないが、持ち主が不幸になるという意味では合っているかもな。
 この仮面を手に入れたのは、借金のカタだから‥‥。
 しかし、この仮面は被る事によって人並み外れた力を得る事と噂されているため、欲しがっている人間も多いようだ。
 もしも、寺まで運ぶ事が出来なかったら、その場で破壊して欲しい。
 俺も何度か仮面を破壊しようと思ったことはあるんだが、そのせいで呪われてしまっても困るしなぁ。
 どうせ壊すのなら‥‥、というわけだ。
 あーっはっはっはっ!

●今回の参加者

 ea0758 奉丈 遮那(32歳・♂・忍者・人間・ジャパン)
 eb2364 鷹碕 渉(27歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 eb3886 糺 空(22歳・♂・僧侶・人間・ジャパン)
 eb7311 剣 真(34歳・♂・志士・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

●呪われた仮面
「はぅぅ〜、これが問題の仮面が入っている箱ですか〜。いかにも何かありそうな感じの禍々しい気配を感じますね。例えるのなら、触っただけで呪われてしまいそうな感じです〜」
 物珍しそうに桐の箱を眺めながら、糺空(eb3886)が感心した様子で溜息を漏らす。
 問題の仮面は桐の箱に入っており、お札を貼って厳重に封印が施されている。
 その、お札には真っ赤な文字で、難しい言葉が書かれていたが、まるで模様のような文字なので、何と書かれているのか分からない。
「‥‥呪われた仮面ねぇ。色々と噂は聞いているが、あまりいい気はしないな」
 胡散臭そうに桐の箱を手に取り、鷹碕渉(eb2364)がボソリと呟いた。
 呪われた仮面に対して色々と胡散臭いと思っているため、依頼主から桐の箱を受け取ってから、ひょっとしてこれは偽物ではないかと思っている。
「とにかく、この仮面を寺まで運ぶとしましょうか。安全に運ぶ事が出来るのなら、それに越した事はないですから‥‥」
 桐の箱を目立たないようにするため風呂敷で包み、奉丈遮那(ea0758)が遠回りして寺に向かう。
 しかし、他のルートを通って桐の箱を運ぶ者がいないため、敵側に情報を漏れていた場合は間違いなく袋叩きに遭ってしまう。
「まぁ‥‥、いざとなったらバーストアタックを使って、呪われた仮面をぶっ壊せばいいか。依頼主の許可を貰っているんだから、別に問題はないだろ‥‥って、何で視線を逸らすんだ。しかも一斉に逸らしたら、何だか不安になってくるだろ? それにこれが本物でない限り、自分が呪われる事もないはずだから‥‥」
 だんだん自信がなくなってきたのか、剣真(eb7311)が心配した様子で汗を流す。
 仲間達は笑顔で真に接しているが、少しずつ彼の傍から離れている。
「万が一、呪われた場合は‥‥、覚悟を決めておくんだな。いや、俺だってその仮面が本物だとは思っちゃいない。呪いが掛かっているという時点で、胡散臭いものを感じているからな。だが、しかし‥‥。なるべくなら危ない橋を渡るべきじゃないとも思っている。呪いに掛かるのは簡単だが、解除するのは難しいだろうからな」
 風呂敷に包んだ桐の箱を手に取り、渉がバックパックにしまっておく。
 一応、依頼主から呪いの仮面について取り扱い方法を聞いているのだが、呪われてしまった場合は本人が命を落とすまで戦い続けるしかないようだ。
 そのため、依頼主からも自害する時に使う短刀を預かっている。
 もちろん、そんな事を真に言えるわけがないのだが‥‥。
「それじゃ、触らぬ神に祟りなしって事ですね。と、とりあえず、お払いだけでもしておきましょうか? 気休めかも知れませんが、何もしないよりはマシでしょうから‥‥」
 乾いた笑いを響かせながら、空がグッドラックを発動させた。
 呪われた仮面について物凄く興味を持っているのだが、危険を冒してまで桐の箱を開けるつもりはないようだ。
「あまり意味がないんじゃないのかな〜? それだけ曰くつきの仮面なら、何度かお払いをしているだろうし、今まで呪いが解けなかったという事は、仮面の呪いが強いって事だろうからさ」
 警戒した様子で通常馬に飛び乗り、真が渉の傍から少しずつ離れていく。
 最悪の場合は真が仮面を破壊しなければならないが、それまではなるべく仮面の傍から離れておきたい。

●道中
「‥‥あれ? おかしいなぁ。確かこっちの道で良かったはずなんだけど‥‥。なんで目印になっている橋がないんだ?」
 通常馬の動きを止めて辺りを見回し、真が不思議そうに首を傾げる。
 寺までの道順が分かりづらかったため、念入りに何度も確認をしておいたのだが、方向音痴が災いして道に迷ってしまったのかも知れない。
「いや、この道で合っているはずです。ひょっとすると、思ったよりも寺まで距離があるのかも知れませんね」
 自分の通った道を思い出し、遮那が寺までの距離を確認する。
 目印の橋はずっと先にあるらしく、いまのところ見えていない。
 しかし、道を間違っているのなら、途中で誰かが気づくはずである。
「この道からだと遠回りになるようですからね。日暮れまでに着けばいい方じゃないんですか?」
 行き交う人々の顔を見ながら、空が怪しい人物がいないか捜す。
 予想以上に時間が掛かってしまっているため、危険度が増している事だけは間違いない。
「‥‥到着は日暮れか。それこそ敵の思う壺だ。こんな事なら二手に分かれて行動しておくべきだったな」
 険しい表情を浮かべながら、渉が疲れた様子で溜息を漏らす。
 日が暮れていくにつれて人気がなくなってくるため、何処かで奇襲を仕掛けてくる可能性が高い。
「それにしても、何で寺に届けるんでしょうね? 借金のカタに手に入れたものなら、どこぞの好事家にでも売りつければ、それなりの金になりそうなんですが‥‥」
 素朴な疑問が浮かんだため、遮那が不思議そうに首を傾げる。
 以前なら呪いの仮面も高額で取り引きされていたのだが、呪いの力を恐れて誰も欲しがらなくなった。
 そのため、呪いの仮面を求める者達は、危険を承知で誰かに復讐しようとしている者達だ。
「この仮面を求めている者が、依頼主にとって都合の悪い人物って事じゃないのか? もちろん、仮面を破壊すれば済む事かも知れないが、依頼主の手下は仮面の恐ろしさを知っているから、何も知らない自分達に仮面の破壊を依頼したと考えれば納得する事が出来る。その上、自分にとって邪魔な相手まで始末してくれるんだから、依頼主にとってこれほど嬉しい事はないだろう?」
 嫌な予感が脳裏を過ぎり、真がボソリと呟いた。
 もちろん、これは真の予想でしかないのだが、あながち間違っているとも言えない。
「それじゃ、僕達は騙されていたって事でしょうか!?」
 驚いた様子で真を見つめ、空がダラリと汗を流す。
 しかし、依頼主が空達を騙していたという証拠がないため、此処で決めつけるわけにもいかない。

●寺
「‥‥もう少しで寺ですね」
 目印であった橋を渡り終え、遮那がホッとした様子で溜息をつく。
 あれから随分と歩いてきたため、辺りはすっかり日が暮れていた。
「油断しない方がいい。寺に着くまで、安心する事が出来ないからな」
 ハッとした表情を浮かべ、渉が日本刀に手を掛ける。
 ‥‥先程から漂う異様な気配。
 ざっと確認しただけでも、数十人。
 既にまわりを囲まれている。
「い、いつの間に‥‥!?」
 すぐさま日本刀に手を掛け、真が辺りを見回した。
 少しずつであるが、敵の気配が増えている。
「どうやら先程の通行人も、僕達の敵だったようですね」
 悔しそうな表情を浮かべ、空が唇を噛み締めた。
 どうやら敵も旅商人や虚無僧などに化け、空達の様子を窺っていたらしい。
「はっはっはっ、ようやく気がづいたのか! 早く仮面をこっちに渡しな! てめえらだって怪我をしたくないだろ!」
 高笑いを上げながら、虚無僧風の男が編み笠を脱ぎ捨てる。
 それに合わせて他の者達も正体を現し、いやらしい笑みを浮かべて一斉に刀を抜いていく。
「‥‥分かりました。こちらも無益な殺生は好みません。これが例の仮面です」
 観念した様子で武器を捨て、遮那が偽物の箱を男に向かって放り投げる。
 次の瞬間、男が偽物の箱を両断し、遮那の懐に潜り込んで必殺の一撃を叩き込む。
「俺達を馬鹿にするんじゃねぇ! その中に本物の仮面が入っているのなら、放り投げるわけがないだろ! そんな事をすればお前達の身に災いが降りかかるんだからな!」
 真っ二つに割れた仮面を踏みつけ、男が次々と斬撃を放っていく。
 そのため、渉が夢落とし(スタンアタック)を放ち、遮那が逃げるまでの時間を稼ぐ。
「お前らが仮面を欲しがる訳は聞く気はない。退くなら追いはしない。退かねば斬り捨てる」
 警告まじりに呟きながら、渉が迷う事無くポイントアタックを放つ。
 しかし‥‥、あまりにも数が多過ぎる。
 纏まって行動していたせいで、一ヶ所に敵を集めてしまった事が敗因だ。
「だ、駄目だ。これじゃ、いくら倒してもキリがない」
 馬から降りて男達に斬りかかり、空がアイスコフィンを炸裂させる。
「‥‥やるしかないんですね」
 コアギュレイトを使って男の動きを封じ込め、空が覚悟を決めた様子でゴクリと唾を飲み込んだ。
 寺まで行く事が出来ないのなら、ここで破壊するしか方法はない。
 依頼主からの許可も出ているのだから、ここで壊してもなんら問題がない。
 もちろん、この仮面が呪われていなければの話だが‥‥。
「この状況で寺に向かえば、関係のない人達を巻き込んでしまう事になります。それなら、わずかな可能性に賭けて仮面を破壊するしか方法が‥‥」
 険しい表情を浮かべながら、遮那が渉を見つめてコクンと頷いた。
「へっへっへっ、ようやく仮面を渡す気になったのか」
 渉がバックパックの中から桐の箱を取り出したため、男が満足した様子でニヤリと笑う。
 それと同時に渡るが桐の箱を高々と掲げ、勢いをつけて地面にグシャッと叩きつける。
「じょ、冗談だろ!? こ、これは偽物に違いない」
 唖然とした表情を浮かべ、男がバラバラになった仮面を拾う。
 未だに仮面が本物だとは信じていないが、道中での会話を盗み聞きしていたので、これが偽物だとも思っていない。
「さぁ、いまのうちに。早く此処から退きましょう」
 そう言って空がホーリーライトを放ち、仲間達と共にその場から逃げ出した。