カッパ公爵

■ショートシナリオ


担当:ゆうきつかさ

対応レベル:フリーlv

難易度:やや易

成功報酬:0 G 78 C

参加人数:4人

サポート参加人数:-人

冒険期間:03月27日〜04月01日

リプレイ公開日:2007年03月31日

●オープニング

●カッパ公爵
 かつて江戸の地に足を踏み入れたイギリス河童がいた。
 その名は‥‥忘れた。
 それどころか本当はイギリス出身でもなかったような気がする。
 まぁ、細かい事はさておき、その河童(ヒドイ扱い)の仇を討つため、イギリスから遥々カッパ公爵がやってきた。
 カッパ公爵はネギを何処かに挿しており、巻き毛ヘアが特徴のジェントルメンだ。
 ちなみにネギはイギリスでは紳士の嗜み‥‥らしい。
 実はコイツも前のカッパと同様に田舎からやってきた奴だから、イギリスに関して間違った知識を持っている。
 そのため、イギリス出身の冒険者に対して、酷く弱気になってしまう一面もあるようだ。
 今回カッパ公爵はえろがっぱーずに接触し、ネギとキュウリのコラボレーションを行うつもりでいるらしい。
 よく分からないが、大変な事になるような気もするので、面倒な事になる前にカッパ公爵を退治してくれ。

●今回の参加者

 ea0046 志羽 武流(34歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 ea0443 瀬戸 喪(26歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 eb0908 リスティ・ニシムラ(34歳・♀・ファイター・ハーフエルフ・イギリス王国)
 ec1964 夢追 狂(30歳・♂・浪人・ジャイアント・ジャパン)

●リプレイ本文

●一幕 えろがっぱーず
「なんというか、これはまた‥‥悪役のアジトにぴったしな場所だねぇ? まあ、いいけどさ」
 呆れた様子で溜息をつきながら、リスティ・ニシムラ(eb0908)が古寺を睨む。
 リスティ達はカッパ公爵の野望を打ち砕くため、彼らのアジトにやって来た。
 ‥‥異様な気配。
 かすかに‥‥、キュウリ臭い。
「えろがっぱーずとは、変態河童の集団なのだろうか‥‥。そうであれば、退治するのみ! 変態に情けは無用!」
 古寺の門を睨みつけ、志羽武流(ea0046)が勢いをつけて蹴破った。
 それと同時にえろがっぱーずが姿を現し、キュウリを構えて武流を睨む。
「ここを我等のアジトと知っての狼藉か。これ以上、我等の聖地を穢すのなら、容赦はしないぞ!」
 熱心にキュウリを磨いて鋭く尖らせ、えろがっぱーず極貧地区支部長かいぜるが雄叫びを上げる。
 かいぜるにとって、この古寺は安らぎの場所。
 たまに温泉を借りに来る尼さんの女湯を覗く事が唯一の悦びであった。
 ‥‥混じり気の無い変態。
 仲間達からは、彼はそう呼ばれていた。
 ‥‥素直に喜んでいいのか分からない。
 だが、しかし‥‥。
 特別な存在として、まわりから見られている事は間違いない。
 それが単なる生暖かい視線であったとしても‥‥。
「‥‥何だか妙な雰囲気ね。他の仲間達も来ていないようだし‥‥、大丈夫かしら?」
 青ざめた表情を浮かべながら、リスティがボソリと呟いた。
 ‥‥既に約束の時間を過ぎている。
 それなのに、来るはずの仲間達が来ていない。
 何か遭ったのか、それとも‥‥。
「最悪の場合はえろがっぱーずの策略にハマッたという事だろうな。どちらにしても期待する事は出来ないな」
 険しい表情を浮かべながら、武流が唐草模様の風呂敷を地面に置く。
 何事かと思い、風呂敷を見つめる河童達。
 そこで武流が風呂敷を広げ、その中にあったキュウリの山を見せつける。
「‥‥なるほど。ようやく我等に屈したのか」
 含みのある笑みを浮かべ、かいぜるが武流を睨む。
 だが‥‥。
「勘違いしないで貰おうか。我々はお前達の野望を打ち砕くため、ここに来たのだ」
 すぐさまキュウリを掴み取り、武流がえろがっぱーずに攻撃を仕掛ける。
 それと同時に河童達がブーメラン状に加工したキュウリを構え、武流の足元めがけて一斉に投げつけた。
「こらぁ!  あたし達に当たったら、どうするつもりよっ! このエロカッパ!」
 不機嫌な表情を浮かべながら、リスティが十手を抜いて河童を殴る。
 しかし、河童達は怯む事無くキュウリを構えて、リスティ達のまわりを囲む。
「ふっ‥‥、そんなにキュウリが欲しいのか。ならば纏めてくれてやる! 遠慮なく喰うがよい!」
 次々とキュウリを掴んで放り投げ、武流が河童達を倒していく。
 それでも河童達はキュウリ笛を鳴らして、仲間達を呼び寄せる。
「いい度胸ね! お仕置きされたい奴からかかってきな!」
 河童達をビシバシと倒し、リスティがニヤリと笑う。
 こうして、えろがっぱーずとの戦いが幕を開けた。

●ニ幕 カッパ公爵
「‥‥やはり来たか。待っていたぞ、冒険者達よ」
 不敵な笑みを浮かべながら、カッパ公爵が古寺から顔を出す。
 カッパ公爵は冒険者達を倒すため、遥々イギリスからやって来た‥‥らしい。
「あんたがカッパ公爵ね。色々と噂は聞いているわ。痛い目に遭う前に馬鹿な真似は止めなさい! それがお互いのためになるんだから!」
 これ以上、無益な争いをしたくなかったため、リスティがカッパ公爵を説得しようとした。
 しかし、カッパ公爵はフンと鼻を鳴らし、リスティ達を見下すような視線を送る。
「寝言は寝てから言ってくれ。我等は新生えろがっぱーず! いや、エロガッパーズと言うべきかな」
 含みのある笑みを浮かべ、カッパ公爵が指をパチンと鳴らす。
 それと同時に河童達が整列し、一斉に葱を取り出した。
「カッパ公爵とやら、貴様の狙いは何だ」
 険しい表情を浮かべながら、武流がキュウリブーメランを構える。
 カッパ公爵に命中するか、どうか分からない。
 しかし、ここでカッパ公爵の野望を阻止しなければ、大変な事になってしまうと武流は思った。
「ふふふっ‥‥、ならば見せてやろう! これが私の力だ!」
 次の瞬間、河童達の尻に葱がズブリと突き刺さる。
「ね、葱尻尾だと!?」
 唖然とした表情を浮かべる武流。
 しかし、河童達は何かに目覚め、幸せそうな表情を浮かべている。
「ええい、バチあたりな! 葱を粗末にするでない! 百姓達に申し訳ないと思わぬのか! えろがっぱーず共、目を覚ませ! 葱などなくても、貴様等は立派な河童だろう。多少、変態じみているが‥‥」
 色々な意味でヤバイ雰囲気が漂ってきたため、武流がえろがっぱーずの説得を試みた。
 しかし、河童達は興奮状態にあるため、武流の声が聞こえていない。
「まあ‥‥、イギリスは別名ネギリスっていうくらいだから、葱をさしたとしても別段驚かないけどねぇ。あんたらえろがっぱーずは、それでいいのかね? そいつはあんたらに葱を挿したいだけさね。そんな奴の口車にのって、えろがっぱとしての本分‥‥覗きを忘れてもいいのかねぇ?」
 呆れた様子で溜息をつきながら、リスティがえろがっぱーずの魂に訴えかけた。

 ピクン!

 えろがっぱーずが反応した。
「‥‥もし寝返ったらあたしがいい事をしてあげる‥‥かもよ?」
 リスティの一言。

 ビクン! ビクン! ビクン!

「‥‥ハッ!」
 えろがっぱーずが目を覚ました。
 そして、葱による激痛‥‥。
 河童達の悲鳴が辺りに響く。

●三幕 対決
「うぐぐぐぐっ‥‥。まさか河童達が目を覚ますとは‥‥。だが、大した問題じゃない。これを奥に突っ込めばいいだけの事だっ!」
 邪悪な笑みを浮かべながら、カッパ公爵が葱をズブリと奥まで挿す。
 ‥‥辺りに響く河童の悲鳴。
 途端に葱を挿された河童の様子がおかしくなった。
「クッ‥‥、マズイ事になったな」
 色々な意味で身の危険を感じ、武流が警戒した様子で後ろに下がる。
 河童達は何も失うものがなくなったため、虚ろな表情を浮かべて葱尻尾を揺らす。
「何だか気持ちが悪いねぇ。‥‥てか、依頼じゃなきゃ関わりたくない感じかも‥‥」
 引きつった笑みを浮かべ、リスティが十手を握り締める。
 河童達はダラダラとヨダレを垂らし、リスティ達に攻撃を仕掛けてきた。
「ふははははっ‥‥、これぞ私の望んだ世界。新生エロガッパーズの誕生だ!」
 恍惚とした表情を浮かべ、カッパ公爵が裏門から逃げていく。
 この成功に味を占め、新たな手下を増やすため‥‥。
「‥‥カッパ公爵が逃げていく。せっかくここまで追い詰めたのに‥‥」
 悔しそうな表情を浮かべ、リスティがチィッと舌打ちする。
 カッパ公爵は何匹か手下を引き連れ、高笑いを上げながら逃げていった。
「だが、このまま強行突破すれば、俺達も無傷じゃすまない。まずはコイツらを倒しておく必要がありそうだな」
 険しい表情を浮かべながら、武流が河童達に当て身を放っていく。
 そのため、河童は奇妙な呻き声を上げて、パタパタと地面に倒れていった。
「わしらを倒すじゃと!? 自惚れるな!」
 既に仲間達の大半が倒されているにも関わらず、最高齢の河童かみおんが武流に攻撃を仕掛けていく。
 しかし、かみおんの攻撃があまりにも遅かったため、軽々とかわして溜息を漏らす。
「イギリスの河童であれば、イギリスで名を馳せればよかろうに‥‥。やはりイギリス出身というのは嘘か」
 かみおんに当て身を放って気絶させ、武流が疲れた様子で溜息をつく。
 何とか河童達を倒す事は出来たが、残念ながらカッパ公爵には逃げられてしまった。
「とりあえず、ここにいる河童達から、カッパ公爵の行方を聞き出すしか無さそうさね」
 そう言ってリスティが河童を睨む。
 時間が掛かるかも知れないが、今はそれだけしか方法が無い。