狙われた腰布

■ショートシナリオ


担当:ゆうきつかさ

対応レベル:1〜5lv

難易度:やや易

成功報酬:1 G 35 C

参加人数:12人

サポート参加人数:3人

冒険期間:08月01日〜08月06日

リプレイ公開日:2004年08月09日

●オープニング

 江戸から少し離れた場所にある山奥の村が、白く長い毛皮に包まれた巨大な猿達に襲われているらしい。
 この村には可愛らしい娘がたくさんいるため、晴れた日は森で水浴びをしながら、腰布を木の枝に干していたのだが、白猿が現れてからというもの腰布が次々と盗まれてしまったため、とても困っているようだ。
 この事態を重くみた村の者達は腰布盗難を防ぐため、村の若者達を腰布警備にむかわせていたのだが、若さゆえの過ちか若者達が覗きに集中してしまい、未だに白猿達を捕まえる事が出来ないらしい。
 それどころか腰布盗難の罪を白猿に擦りつけ、自ら犯行に及ぶ若者達までいるようだ。
 そのため娘達は若者達の事が信用できなくなってしまい、最近では白猿と若者達が実はグルではないかと思い込んでいるらしい。
 もちろん、そこまで若者達も馬鹿じゃないし、白猿達と結託して悪さをするほど頭が良いわけでもない‥‥。
 そこで彼らの疑惑を晴らす意味も含めて、腰布盗難の犯人である白猿達を捕まえて欲しい。

●今回の参加者

 ea0276 鷹城 空魔(31歳・♂・忍者・人間・ジャパン)
 ea0299 鳳 刹那(36歳・♀・武道家・人間・華仙教大国)
 ea0629 天城 烈閃(32歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 ea0696 枡 楓(31歳・♀・忍者・人間・ジャパン)
 ea0861 緋邑 嵐天丸(25歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea2614 八幡 伊佐治(35歳・♂・僧侶・人間・ジャパン)
 ea2751 高槻 笙(36歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 ea2833 結城 夕刃(29歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea3167 鋼 蒼牙(30歳・♂・侍・人間・ジャパン)
 ea3865 虎杖 薔薇雄(35歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea4517 ナバール・エッジ(32歳・♂・ファイター・人間・ノルマン王国)
 ea5414 草薙 北斗(25歳・♂・忍者・人間・ジャパン)

●サポート参加者

ファルク・イールン(ea1112)/ 安来 葉月(ea1672)/ 風御 凪(ea3546

●リプレイ本文

「今回は腰帯ばかり狙う全くもって美しくない猿どもの相手か‥‥。ふっ、まぁ精々私の美しさを見せつけつつ捕まえてあげましょうか」
 神々しい光を放つほどの笑みを浮かべ、虎杖薔薇雄(ea3865)が村に降り立った。
 村人達は突然さわやかな男が木の上から降って来たため、悲鳴を上げて腰を抜かし薔薇雄の事を指差している。
「私の美しさに驚いてしまったか‥‥。やはり美しさは罪なのですね‥‥。ふふふっ‥‥」
 クールに髪を掻き上げ、薔薇雄が真っ白な歯を輝かす。
 村人達はまるで何か見てはならないものを見てしまったかのような表情を浮かべ、這うようにしながら自分達の村へと逃げ帰る。
「‥‥何で腰布を狙うのでしょうか? 村を襲って食料とか奪うのなら分かるのだけど‥‥」
 納得の行かない様子で首を傾げ、結城夕刃(ea2833)がボソリと呟いた。
 群れの数が増えたため食料が不足したため村を襲っているのなら納得がいくのだが、身に纏う以外はこれといった使い道のない腰布を盗んでどうするつもりなのかが分からない。
「ふ‥‥なんだかまたおいしい依頼だな、こんちくしょう」
 村の若者達を羨ましく思い、鋼蒼牙(ea3167)が大きな溜息をつく。
 過去の依頼で水浴びを覗いた経験があるせいか、村人達からはすでに警戒されている。
「え〜っと、とりあえずなんだかお猿を退治しろって事でしょ? 別に猿達も悪いことはしてないと思うんだよなぁ〜。でも、村の女の人達が困っているし‥‥、これもお仕事だからしゃーないよね。爺ちゃんも困ってる人がいたら助けてあげなさいって言ってたし‥‥。お猿達にはチョット痛い目を見てもらう‥‥かもね?」
 自分自身を納得させ、鷹城空魔(ea0276)が小さくコクンと頷いた。
「‥‥僕ぁ腰布やエロ猿どもに興味は無い。僕の目的は事件解決後、美人の多い村の一番の美人(二十歳以上)と二人っきりでイチャイチャ水浴びを楽しむ事! ‥‥毎日暑いしのぅ、涼しい事がしたいのじゃ」
 自らの欲望を曝け出し、八幡伊佐治(ea2614)がニヤリと笑う。
「ほどほどにしてくださいね」
 苦笑いを浮かべながら、風御凪がボソリと呟いた。
「‥‥いつの間に! てか、いつからそこに!? お主も『可愛らしい娘の多い村』に惹かれてきおったのか‥‥?」
 驚いた様子で凪を見つめ、伊佐治がすぐさまツッコミを入れる。
「ふふっ‥‥、それは秘密です」
 含みのある笑みを浮かべ、凪がシィーッと親指を立てた。
「まぁ、この依頼が終われば答えは分かるか。‥‥ちょっと楽しみだな。それじゃ、白猿を退治するか」
 大きく伸びをした後、伊佐治が杖を肩に担ぐ。
「それよりも腰布盗難を防ぐ為に組織された村の若者達の方が‥‥いけないと思います‥‥。あったら一度お説教をしないと‥‥信じた村の女性達が可愛そうだと思いますし」
 村の娘達に同情し、夕刃が呆れた様子で溜息をつく。
「あらあら、お猿さんもそうですが、村の殿方にも困ったものですねぇ?」
 驚いた様子で口を押さえ、鳳刹那(ea0299)が大粒の汗を流す。
 女性の腰布を盗んだ男達は反省しているものの、余罪があると見られて村長宅で尋問中だ。
「守るべき娘達に対して覗きとはな‥‥」
 説教部屋と化している村長宅を遠めで見つめ、天城烈閃(ea0629)が疲れた様子で溜息をつく。
 信用を失った若者達は娘達から物凄く警戒されているため、今回の依頼で協力してもらう事は難しい。
(「‥‥若さゆえの過ちか」)
 この様子では信用を取り戻すまで、かなりの時間がかかるだろう。
「猿に同士の絆を感じている輩もいるかも知れませんね。私は中身の無い外布には興味はありませんので‥‥」
 白猿達と同じようにして腰布を盗んでいた男達の顔を思い浮かべ、高槻笙(ea2751)が冗談まじりで微笑んだ。
「‥‥お説教はお説教として‥‥まずは腰布を狙う白猿達ですね‥‥。腰布のみを用意すればいいのでしょうけど‥‥それだと白猿達が警戒して出てこない可能性があるので‥‥僕が囮役をします‥‥」
 女性達に危険が及ばないようにするため、夕刃が自ら囮として立候補する。
「囮はひとりよりふたり‥‥、ふたりより三人じゃ。何かあった時の事を考え、囮は多い方がいいじゃろ。白猿達もまさかうちらが冒険者とは思っていないじゃろうしな」
 夕刃の肩をぽふりと叩き、枡楓(ea0696)がニコリと微笑んだ。
 囮の数があまり少ないと、そのまま白猿達が妙な行動をしてしまう可能性があるため、なるべく警戒しておいた方がいいだろう。
「あまり凝った仕掛けを施さなくても、女と腰布があれば、向こうから喜んで寄って来そうだが‥‥」
 苦笑いを浮かべながら、ナバール・エッジ(ea4517)が道具の手入れをする。
「白猿達は常に5〜6匹程度で群れを組み、女性達が水浴びする時間を狙って襲撃に来るようです。この事から女性達を尾行し、水浴びした事を報告する監視役がいると思われます」
 村人達から集めた情報をまとめ、笙が行動パターンを予想した
 白猿達の中に監視役がいる事から、何らかの方法を使って合図を送っている可能性が高く、容易に逃亡している事から退路を確保している白猿が存在している考えられる。
「それじゃ、湖に行くか。そろそろ娘達が水浴びする時間だしな。あまり遅いと怪しまれる」
 そしてエッジは仲間達を連れ、白猿達の出没している湖へと急ぐのであった。

「出刃亀達にとって天国のような場所ですね」
 湖のまわりを見回しながら、安来葉月が予備の腰巻をバックパックに詰めて木陰に隠す。
 辺りには背の高い草むらがあるため、男達が覗きをするには最適の場所である。
「これならすぐに現れるじゃろ。さぁて、さっそく罠を張るかのぉ。えろ猿どもを誘き出すのじゃ」
 木の枝に腰巻を引っ掛け、楓が何やら細工をし始めた。
 楓の腰布は罠と連動しているため、白猿が腰布を盗もうとした場合は上から網が降ってくる仕掛けになっている。
「ちょっと‥‥恥ずかしいですね‥‥」
 女性達に背中をむけ、夕刃がぽぉ〜っと頬を染めた。
 他の女性が胸をあらわにしているためか、いまにも気絶しそうな雰囲気である。
「なかなか白猿達が現れませんね」
 水中に隠したサラシと越中褌を重石で固定し、刹那が櫛で自分の髪を梳く。
 白猿達はいつもと違う女性達が水浴びしている事を警戒してか、なかなか腰布を盗みに来ようとしない。
「そうそう、猿どもは褌が苦手なようだ、ならばこの私自ら褌一丁で戦ってあげよう。‥‥あぁ、水面に移る褌だけの私もなんと美しいのだろう‥‥」
 脱皮するかのようにして服を脱ぎ、薔薇雄が湖面に映る自分自身にウットリする。
 あまりの美しさに今にも卒倒しそうな勢いだ。
「なんであんたがここにいるのじゃ! うちらをからかっているのか!」
 手元にあった石を投げ、楓が不機嫌な表情を浮かべる。
「私とした事がとんだ失態を‥‥。まぁ、気にしないで水浴びを続けてくれ。私は全く気にしていないから‥‥」
 湖の真ん中めがけて薔薇を投げ、薔薇雄が爽やかな笑みを浮かべて森に消えた。
「‥‥一体、何だったんでしょうね」
 大粒の汗を浮かべながら、夕日が唖然とした様子で森を睨む。
 森に消えた後も薔薇雄の笑い声が響いていたが、他の仲間達からツッコミを喰らい黙らされてしまったようだ。
「あいつなりに頑張っているのは分かるんじゃが‥‥」
 森にむかって両手を合わせ、楓が大きな溜息をつく。
「‥‥でも何かが現れたようですよ」
 薔薇雄の消えた場所とは反対側の草むらが揺れたため、夕刃が警戒した様子で息を殺す。
 草むらで蠢く何かは囮達が薔薇雄に注目している間に次々と腰布を奪い、楓の腰布を奪おうとして木の上に吊るされた。
「まんまと罠にかかったようじゃな。愚かなエロ猿め!」
 網にかかった白猿に蹴りを放ち、楓が上から体重をかけて圧し掛かる。
「‥‥私、褌(たふさぎ)団じゃ無いんだけどなぁ」
 そういって刹那がサラシを首に掛ける様にしながら前に回し、いったん前で絡ませてから胸を隠し、そのまま背から前に回して胸の下で結ぶ。
「楓さん、せめて腰布だけでも!」
 楓が全裸で飛び出してしまったため、夕刃が慌てて予備の腰布を投げた。
「そんな事よりエロ猿を捕まえる方が先じゃ! 早くしないと逃げられてしまうぞ!」
 暴れる白猿を押さえ込み、楓が褌を使って縛り上げる。
「後は男性陣に任せましょう」
 そして葉月は楓に上着をかけると、白猿を村まで連れて行くのであった。

「どうやら上手くいったようだな‥‥ん?」
 白猿が捕獲された事を木の上から確認し、烈閃が楓達の異変に気づく。
「あぁ、俺は何度でも言ってやる‥‥。覗きは男の浪漫だと!」
 楓達の裸をベストポジションから堂々と覗き、蒼牙が開き直った様子で拳を握る。
 本当はさりげなく覗くつもりだったのだが、楓があまりにも堂々としていたため、しばらく見とれてしまったらしい。
「こんなトコで張り切ってどうするんですか」
 背後から手刀でツッコミを入れ、笙が視線をそらして溜息をつく。
 さすがにここで共犯だと誤解されるつもりはない。
「僕のしているのも覗きだけど‥‥あれが本当の覗きだね」
 物陰に隠れて様子を窺い、草薙北斗(ea5414)が冗談まじりに微笑んだ。
「触れられぬ裸なぞただの見慣れた女体‥‥、目立った事はせず冷静に目の保養にしておけばよかったのだ」
 木の上から楓達の裸を堪能し、伊佐治が蒼牙に同情する。
 蒼牙の犠牲があったからこそ、こうやって冷静に覗きが出来るのだ。
 そんな事を考えながら、心の中で感謝する。
「しかし、今回の女性陣は皆強気だね、いい事だ。美しいだけが花ではないという事かな」
 木の上でバラの匂いを嗅ぎながら、薔薇雄がクスリと笑って褌を揺らす。
「他の猿達が逃げようとしているよ。‥‥追わなきゃ」
 木の上から白猿の群れを発見し、北斗が木々を伝って後を追う。
「よし、嵐天丸! 一気に猿達を包囲するぞ‥‥っていねぇ!」
 嵐天丸と一緒に猿達を包囲しようとしていたため、ファルク・イールンがげふっと血反吐を吐く。
 今まで一緒に行動していたはずの嵐天丸が何処にもおらず、ファルクはタイミングが狂って大袈裟にずっこける。
「せめてこれだけでも‥‥。お前の意思は受け取ったぜ、嵐天丸!」
 湖のほとりに落ちていた褌を拾い上げ、ファルクが白猿達を捕獲した。
「こっちですよ、お猿さん〜」
 腰布を奪われたため上着を羽織り、刹那が恥ずかしそうに白猿を誘う。
 すると白猿達は鼻の下を長くして、刹那にむかって飛びついた。
「そこの不埒な猿よ、成敗だ!」
 刹那に抱きついた白猿を峰打ちし、蒼牙が警告まじりにあたりを睨む。
「怪我はないかな、蒼牙殿」
 女性達にボコボコにされた傷をリカバーで癒し、伊佐治が白猿達の群れにホーリーを放つ。
「この程度の事で倒れる俺じゃない。逆に間近から裸を見てやったさ!」
 先ほどの悔しさを白猿にぶつけ、蒼牙が勝ち誇った様子で胸を張る。
「猿よ‥‥。気持ちは分からなくは無いが‥‥手を出すのは反則だ‥‥」
 白猿達を哀れみながら、蒼牙がボソリと呟いた。
 白猿達は蒼牙に妙な親近感を感じていたが、友好の証として差し出す腰布がなかったため、ここで同盟を結ぶ事が出来ないらしい。
「なんだか白猿達が尊敬の眼差しで蒼牙さんを見ていますが‥‥グルじゃありませんよね?」
 疑いの眼差しで蒼牙を見つめ、凪がかんざしとヴェントリラキュイを使って仲間達と連絡を取る。
「ほ、本当ですか、蒼牙さん? えっちなのは‥‥いけないと思います!」
 驚いた様子で蒼牙を見つめ、刹那が慌てて胸元を隠す。
「か、勘違いするな! 俺は確かに覗きはしたが、白猿達と組んで腰布なんか盗んじゃいねぇ! 本当だ! 信じてくれ!」
 仲間達から妙な誤解を受けたため、蒼牙が慌てて首を横に振る。
 白猿達からは尊敬されているようだが、お互い初対面な上に会話をする手段がないため、一緒に組んで腰布を盗む事など出来るはずがない。
「何をやっているんだ。白猿達に逃げられるぞ!」
 白猿達にむかって弓矢を放ち、烈閃が仲間達にむかって声をかけた。
「多分近くに親玉がいるだろうから、俺はそいつを見つけ出す」
 物陰に隠れて白猿達の親玉を探し、空魔がゆっくりと忍者刀を構える。
「しかし‥‥本当に美しくないな。せめてもう少し気の効いた髪形くらいは出来ないものか‥‥しょうがない、そのむさくるしい体毛と毛を私が刈って美しくしてくれよう」
 捕まえた白猿達の毛を刈りながら、薔薇雄が真っ赤なバラに口づけした。
「言葉が通じれば腰布を盗んだ理由が聞きたいんですが‥‥。やはりそこに浪漫があるとか‥‥ですかね?」
 納得のいかない様子で白猿を見つめ、笙がしばらく考え込む。
 白猿達は盗んだ腰布を使って、一体何をしているのか疑問が残る。
「それが分かれば苦労はしないさ。きっと彼らなりの意味があるのだろう‥‥」
 大きな溜息をつきながら、エッジが辺りを警戒した。
「‥‥おや? どうやら私のあまりの美しさに腰をぬかした猿もいるようだ。ふっ、少しは美というものを理解できる猿もいるらしい。ならば見たまえ、さぁこの美しさを!」
 褌一丁で華麗に腰を振りながら、薔薇雄が真っ白な歯を輝かせる。
「ひょっとしてあれがボス猿じゃないのかな?」
 他の猿とは違う反応をした白猿に気づき、空魔がビシィッと指差した。
「だったらアイツを捕まえればいいんだね!」
 仲間達と連携を取りながら、北斗が褌で白猿を威嚇し逃げ道を塞ぐ。
「こいつだけは逃がすわけにはいかないな」
 仲間達を見捨てて逃げ出した白猿を見つけ、エッジが背後からソニックブームを放つ。
 白猿は背中にエッジの一撃を喰らい、顔面から地面に突っ込んだ。
「‥‥ったく、はた迷惑な変態猿め」
 気絶した白猿を縛り上げ、エッジが大きな溜息をつく。
「これ以上、抵抗するようなら、チョット痛い目を見てもらわないな」
 暴れるボス猿をポカンと殴り、空魔が褌を使って縛り上げる。
 それを合図に他の白猿達も大人しくなり、しょんぼりとした様子で肩を落とす。
「盗まれた腰布を取り返す事は出来ませんでしたが、これで村の女性達も安心して水浴びが出来ますね」
 そして笙は苦笑いを浮かべながら、白猿達を連れて村へと戻るのであった。