危険な誘惑

■ショートシナリオ


担当:ゆうきつかさ

対応レベル:2〜6lv

難易度:普通

成功報酬:1 G 69 C

参加人数:12人

サポート参加人数:-人

冒険期間:09月05日〜09月10日

リプレイ公開日:2004年09月09日

●オープニング

 江戸から少し離れた場所に小さな村がある。
 そこに少し変わった山鬼が出没しているらしい。
 この山鬼は凄まじくマッチョなオカマで、男達を見つけると強引に唇を奪い、心に深いトラウマを残し、山奥へと帰っていくらしいんだ。
 単なるオカマならそれほど脅威ではないのだが、相手は恐ろしい山鬼だ。
 ‥‥村人達が抵抗できるはずもない。
 そのため連日のように村人達が被害に遭っているようだ。
 しかも山鬼は女性をひどく嫌っており、両手足を掴んで引きちぎってしまうらしい。
 ‥‥カップル連れは注意だな。
 そこでお前達に頼みがある。
 その村に行って山鬼を退治して欲しい。
 山鬼は巨大な棍棒を持っており、頑丈な鎧に身を包んでいる。
 誰かが囮となって山鬼の唇を奪えば、それほど苦戦する事はないだろう。
 それ以上の事をされるかも知れないが、必死になって耐えてくれ。
 無理そうなら集団で袋叩きにするしかない。
 ‥‥かなり苦戦すると思うがな。

●今回の参加者

 ea0050 大宗院 透(24歳・♂・神聖騎士・人間・ジャパン)
 ea0213 ティーレリア・ユビキダス(29歳・♀・ウィザード・人間・ビザンチン帝国)
 ea0264 田崎 蘭(44歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea0367 霧山 葉月(24歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea1151 御藤 美衣(27歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea1171 平 白龍(44歳・♂・僧侶・人間・ジャパン)
 ea1467 暮空 銅鑼衛門(65歳・♂・侍・パラ・ジャパン)
 ea1856 美芳野 ひなた(26歳・♀・忍者・人間・ジャパン)
 ea2046 結城 友矩(46歳・♂・侍・人間・ジャパン)
 ea2406 凪里 麟太朗(13歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 ea3118 ララ・ルー(20歳・♀・クレリック・エルフ・イギリス王国)
 ea3809 山浦 とき和(33歳・♀・浪人・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

『美芳野ひなた、暮空銅鑼衛門の両名は怪人である。二人を改造したのは結社グランドクロスである。彼らは信仰による世界制服のため、ギャグをもって戦うのである!』
 以前の依頼で最大の強敵ネズミと対峙し死中に性を拾う夢想転性を会得した暮空銅鑼衛門(ea1467)が、何者かのナレーションとともにカマ鬼の現れる村に現れた。
「江戸の彼方 校外の村へ 運命背負い今飛び立つ〜 必〜ずここへ〜 帰〜って来ると〜 手を振る人に〜 笑顔で答え〜」
 全く恐怖心がないため、銅鑼衛門が気楽に歌う。
「あううう〜、本当に大丈夫なんですか〜。相手はカマ鬼ですよぉ〜」
 魂の抜けた表情を浮かべ、美芳野ひなた(ea1856)が身体をガタガタと震わせる。
 かなり後悔しているためか、今にも倒れそうな勢いだ。
「大丈夫でござるよ。気楽に逝くでござる♪」
 扇子をパタパタと仰ぎながら、銅鑼衛門がひなたの肩をぽふりと叩く。
「逝くって‥‥、そんなぁ‥‥」
 嫌な予感が脳裏を過ぎり、ひなたが青ざめた表情を浮かべて汗を流す。
 なんだか妙に不吉な予感がするらしい。
「囮は、男性の方にお任せです、よね‥‥? だいじょぶでしょうか‥‥」
 心配した様子で辺りを見つめ、ティーレリア・ユビキダス(ea0213)がお茶を飲む。
「大丈夫じゃなかったら‥‥同情してあげなきゃね。もちろんそうならない事を祈るけど‥‥」
 苦笑いを浮かべながら、山浦とき和(ea3809)が三味伴奏付きの小唄を披露した。
 まだカマ鬼が現れていない事もあり、随分とのんびりした様子である。
「また厄介な相手だな‥‥。並の山鬼だったらこんなに悩む必要ネェってのによ。一応女性陣は全員隠れて男性陣の様子伺って、カマ鬼‥‥じゃねぇ、山鬼にスキが出来たらぶん殴って退治ってぇトコロなんだが‥‥。まわりがみんな年下だしな、何かあったら私が壁になる覚悟はしておこうかねぇ。‥‥にしても、今右手に装備されている『鞭』はなんなんだか‥‥」
 自分の装備している鞭を見つめ、田崎蘭(ea0264)が大粒の汗を流す。
 なんとなく自分のすべき行動が予測できるため、複雑な心境に陥っているようである。
「そっちの趣味の山鬼とはねぇ‥‥しかし、女嫌いって。山鬼の女ってそんなに『スゴイ』のかね〜? とりあえず、あたいは村で隠れて、山鬼が来るのを待つよ。ヘタに見つかって、股裂きなんて目には遭いたくないからね」
 ちょうどいい空き家を見つめ、御藤美衣(ea1151)が気まずい様子で身を隠す。
 カマ鬼に見つかったらシャレにならない状況になるため、今のうちから対策を練っておくつもりらしい。
「カマ大国イギリスを遠く離れたジャパンでカマオーガと戦う破目になるなんて‥‥」
 何処か遠くを見つめながら、ララ・ルー(ea3118)が自分の運命を呪う。
 ようやくおカマ達から逃れる事が出来たのに、まさかジャパンで別のおカマと会うとは予想もしていなかった事らしい。
「世の中には色々な方がいるみたいですね‥‥。よく分かりません‥‥」
 山鬼が好んで狙う男性のタイプに人遁の術で変身し、大宗院透(ea0050)が首を傾げる。
 あまりカマ鬼を恐怖に感じていないため、それほど心配はしていないようだ。
「男の尊厳を踏みにじる憎き山鬼め、必ずや退治てくれる。その為に多少恥をかこうが気にせんぞ。冒険の恥は、かき捨てだ!」
 拳をぎゅっと握り締め、結城友矩(ea2046)がカマ鬼退治に闘志を燃やす。
 最悪の場合トラウマに残るような事をされるかも知れないが、これ以上犠牲者を増やすわけにはいかないため、ここで何とか食い止めようと考えているらしい。
「あまり無茶はするんじゃないぞ。相手は無類の男好き。迂闊な行動をすれば魂まで吸われるかも知れないからな」
 村人達からかなり嫌な噂を聞いたため、平白龍(ea1171)が友矩に対して警告する。
「こんな事をしたら顔面にパンチを食らわしてやる」
 瞳に炎をメラメラと燃やし、友矩が気合を入れて大声で叫ぶ。
「えっと‥‥山鬼さんとばったりお会いした時には、やっぱりアイスコフィンで凍らせては‥‥拙いでしょうか‥‥? 私‥‥引き裂かれては、困ります、ですし‥‥」
 困った様子で呟きながら、ユビキダスが大粒の汗を流す。
 さすがに股裂きされては困るため、かなり警戒しているようだ。
「男性陣が囮になって、襲われた所をしばき倒せばいいんだよ。‥‥容赦なくね」
 念入りに短刀の手入れをしながら、霧山葉月(ea0367)がニヤリと笑う。
 例え男性陣を巻き込んだとしても、カマ鬼を倒すつもりでいるらしい。
「そもそも、“まぞ”である山鬼は“受”になるべきで、“放置ぷれい”なるものを誘いましょう。実際の方法はあまり分かりませんが、厳しい我が母上の真似をすれば大丈夫かと思います。失敗しても、“最後の一線”を超えるのに山鬼の武装を解除させて、無防備になった敵の急所を短刀で突き刺す事が出来ます」
 そして凪里麟太朗(ea2406)は苦笑いを浮かべながら、短刀で突き刺すフリをするのであった。

『‥‥あれが噂の山鬼だな。筋骨隆々の親父じゃないか』
 ミミクリーを使ってカラスに化け、白龍が木の上からカマ鬼を睨む。
 カマ鬼は手当たり次第に村人達の唇を奪っており、辺りには空ろな瞳で宙を見ている村人達で溢れている。
「ミーはここに逃げも隠れもせずにおる! カマ鬼よ、いざ尋常に勝負!」
 カマ鬼の前で仁王立ちしながら、銅鑼衛門がカッと目を見開いて勝負を挑む。
 カマ鬼は銅鑼衛門に抱きつくと、己の欲望を開放させる。
「ぐぬっ‥‥確かにまったりとしてコクがあり、良い接吻でござる。しかし! 貴様の接吻には愛の哀しみがないでござる! それでは夢想転性には及ばぬ!」
 カマ鬼と濃厚なキスを交わし、銅鑼衛門が唇を拭う。
 普通の村人なら気絶しているところだが、色々な意味で経験豊かな銅鑼衛門にとっては、カマ鬼のキスなど可愛いものだ。
「あああああ‥‥」
 しょっぱなからディープな光景を目の当たりにしてしまったため、葉月が物陰に隠れたまま大人の階段を上っていく。
 かなりショックを受けたためか、必死でおぞましい記憶を抹消する。
「まだまだ元気のようだな。よし! 次は拙者だ!」
 覚悟を決めて飛び掛かり、友矩がカマ鬼の首にかぶりつく。
「うげっ‥‥、犬小屋臭い。うぐぐ‥‥」
 すぐさまカマ鬼の唇が重なり、『ブチュー』と妙な擬音が辺りに響く。
「予想外の気持ち悪さだな。‥‥吐き気がする」
 フラつきながらも唇を拭い、友矩がカマ鬼を激しく睨む。
「覚悟はしていたつもりだが‥‥さすがに犬小屋臭いのは遠慮したいな」
 ジリジリと迫るカマ鬼を見つめ、白龍が大粒の汗を流す。
 ミミクリーを解除し覚悟を決めてカマ鬼に勝負を挑んでみたが、友矩の反応があまりにも悪かったため嫌な予感がしているらしい。
「ぐぬ‥‥ぐぐっ‥‥ぷはっ‥‥」
 カマ鬼の頭を抱え込みながらディープキスに持ち込み、白龍がゆっくりと服を脱ぎ捨て挑発した。
 それと同時に楽しかった思い出が浮かび、先祖らしき人物が手招きしている光景が脳裏を過ぎる。
「はあはあ‥‥、危うくあっちの世界に引きずり込まれるところだったな。カマ鬼め‥‥。実に恐ろしい奴だ」
 カマ鬼が醜い裸体を晒したため、白龍が唾を吐き捨て汗を拭う。
 その間もカマ鬼は獲物を探し、次の標的を麟太朗に決める。
「お待ちなさいっ! お前と私では体格差があります。私の小さい身体が壊れれば、お前は快楽を満足に得る事が出来ませんよ。躾がなっていない山鬼には、“お・し・お・き”が必要です」
 愛馬である黒皇(オス)に騎乗したまま、麟太朗がカマ鬼の口元に短刀を突きつけ微笑んだ。
 しかしカマ鬼は黒皇の唇を狙っており、麟太朗には興味をあまり持っていない。
「何をしているのです。主人の前にあって、何故許しも無く女中が頭を上げるのですか。先ず、主人の前では叩頭する事、何かを訊かれるまでは決して口を開かない事から調教しないといけませんね」
 鋭い視線でカマ鬼を射抜き、麟太朗が静かに冷えた声を注ぎ込む。
 黒皇もカマ鬼に唇を奪われそうになったため、麟太朗を見つめて瞳をウルウルさせている。
「どうやら私達の言葉が通じていないようですね」
 カマ鬼に抱きつかれてしまったため、透が人遁の術を解いて女装姿で前に立つ。
 それと同時にカマ鬼が奇声を上げ、透の手足を引きちぎろうとする。
「私は男です‥‥。あなたの好みがこの様な男という事ですので、変身してきました‥‥」
 何とか上着を脱ぎ捨て、透が男である事を証明した。
 既にカマ鬼は鎧を脱いでしまっているため、あとは仲間達の行動を待つばかりである。
「‥‥大丈夫か? なんだか酷い目に遭ったようだが‥‥」
 鞭を使ってカマ鬼を天に昇らせ、蘭が透を助けてニヤリと笑う。
「ええ、何とか‥‥」
 透はカマ鬼の馬鹿力のせいで両腕が痺れていたが、転がっていた山鬼の鎧を拾い上げ土遁の術を使用した。
「山鬼よ、冥土の土産、とくと味わうがいい」
 カマ鬼の背後に陣取り刀を抜きさり、友矩がカマ鬼の棍棒をバーストアタックで破壊する。
「山鬼が格好よかったら鑑賞に堪えたんだけどねぇ。あたいの趣味とはちょっと違うなぁ」
 残念そうにカマ鬼を見つめ、美衣が大きな溜息をつく。
「‥‥暴力を振るっていい相手は魔物と変態だけです。‥‥ならあれは断罪しちゃっていいんですよねセーラ様」
 カマ鬼に対して嫌悪感を感じながら、ルーが全身に鳥肌を立たせる。
 よほどカマ鬼が嫌いなのか、殺る気満々の様子らしい。
「あうううう、気持ち悪いですううううう。どうせ見るなら、透くんと麟太郎くんのカップリングが見たいですぅー!! 山鬼さんの裸なんて見たくありませんよう‥‥。ううう、吐きそうです」
 カマ鬼の裸が瞳に焼きつくほど強烈だったため、ひなたが眩暈を感じて視線をそらす。
 どうやらカマ鬼の裸は鑑賞に堪える事の出来ないモノらしい。
「なんだか頭が痛くなってきましたね。これもセーラ様の試練なのでしょうか‥‥。だったらあまりにも酷すぎます‥‥」
 嫌悪感と非常識な光景のせいで頭痛を覚え、ルーがカマ鬼の股間めがけてホーリーヘを放つ。
 しかしカマ鬼は歓喜の声を上げ、ルーの感情を逆撫でる。
「天地の理を乱すカマ‥‥。の目の前を闊歩し人を貪る。そのような行いを、冒険者(われわれ)が!聖職者(われわれ)が!! の私が!!! 逃しておけるものですかぁぁぁぁ!! クスクスクス‥‥カマはどんな手を使っても倒さなきゃいけないんですよぉ?」
 ぷちんと可愛らしい音が響き、ルーの中で何かが切れてカマ鬼を狙う。
 カマ鬼はマゾのためかホーリーを食らっても喜んでいるが、明らかにダメージは食らっているようだ。
「やっぱり戦わないと駄目かねぇ‥‥。下手な事をしたら手足を引き千切られるんだろ? あんまり危ない橋は渡りたくないんだよねぇ」
 カマ鬼に唇を奪われた男性陣に手拭を渡し、とき和がくどめの茶をすする。
「ならばミー達に任せておくでござる。技の練習代としてカマ鬼には役に立ってもらうでござる。奥義、武鼓舞打(たけこぶだ)! そして「秘技、翔苦巌(しょうくがん)!」
 日本刀を振り回しながらカマ鬼を斬りつけ、銅鑼衛門がスタンアタックを叩き込む。
「おおっと、あたしを男と勘違いするんじゃないよ。身体だってまだ発展途上なんだからね!」
 栄養補給のためカマ鬼が唇を狙ったため、葉月が不満げな表情を浮かべて日本刀を振るう。
「そろそろお仕置きの時間だな。主に逆らったのだから‥‥」
 ファイアコントロールを使って松明の炎を操り火の縄を作り、麟太朗がカマ鬼の縛り上げてニヤリと笑う。
「本当に幸せそうな表情を浮かべているな。‥‥大丈夫か」
 かなり眩暈を感じながら、蘭がジト目でカマ鬼を睨む。
 女性陣からの攻撃は別だが、男性陣から攻撃には全く抵抗していないようだ。
「少し距離を置いた方がいいようだね。‥‥色々な意味で」
 何処か遠くを見つめながら、美衣がカマ鬼達から遠ざかる。
「ごお、ちゃっぴい☆ ‥‥ちゃっぴい、お願いだから、そんなに嫌がらないでェ〜! ひなたも嫌なんですぅ〜」
 大ガマの術を使ってカマ鬼にトドメをさそうとしたのだが、大ガマが物凄く嫌な顔をしたためひなたが困った様子で悲鳴を上げた。
 どうやら本気でカマ鬼を攻撃する事が嫌らしい。
「‥‥仕方ないわね。やっぱり私達が戦うしかないのかしら? いくわよ、ティーちゃん」
 ユビキダスと一緒に仕込み下駄を構え、とき和が『明日〜天気にな〜れ♪』と大声で叫ぶ。
「‥‥って、えーっと‥‥こう、ですか?」
 一生懸命になってとき和の真似をしながら、ユビキダスが仕込み下駄を投げ飛ばす。
「ああ、駄目駄目ティーちゃん。足はもっと高く真っ直ぐ上げるの。こう!」
 カマ鬼の股間を狙って仕込み下駄を投げ飛ばし、とき和が『チ〜ン』と間の抜けた音を響かせる。
「‥‥そ、それは恥ずかしいのです‥‥」
 顔を真っ赤に染めながら、ユビキダスが視線をそらす。
「ならばミーに任せるでござる! これぞ漢の生き様! 媚倶雷塗(びっぐらいと)!」
 オーラパワーを発動させ、銅鑼衛門がカマ鬼の尻を狙う。
「秘奥義、一万光年殺し!! 狂える暴狂星よ、天に還れ!!」
 それと同時に銅鑼衛門がカマ鬼の尻を貫き、結社の旗棹を突き刺し占領を宣言する。
「私は”男”である時は、”お床”の中だけですから‥‥」
 そして透は乱れた服を整えながら、Hな駄洒落を言うのであった。