●リプレイ本文
「相変らず大盛況だな。恐ろしきは男どもの下半身ってトコロか」
裸興行が連日満員となっているため、田崎蘭(ea0264)が苦笑いを浮かべて溜息をつく。
臆病神が退治された事もあり、興行主も笑いが止まらない。
「本当に助けてもらえるんですか‥‥」
すがるような目つきで袖を掴み、踊り子達が蘭のまわりを取り囲む。
「私達だって小銭を稼ぎに来たんじゃないんだよ。‥‥安心しな。私らがしっかり護ってやるさね」
踊り子達の不安を取り除くため、蘭がニコリと笑ってウインクする。
「だから何も心配しなくていいんだよ。いつもどおりに踊りを踊って、用心棒達に警戒されないようにしてね」
踊り子達の様子が違うと用心棒が不審がるため、設楽葵(ea3823)が何とか落ち着かせようと試みた。
最初は不安な表情を浮かべていた踊り子達も、葵達の言葉に安心したのか小さく頷き舞台にむかう。
「あの‥‥本当にわたくし達も‥‥踊るのですか‥‥? 以前あんな事があったのに‥‥」
今にも恥かしさで気絶してしまいそうな表情を浮かべ、大曽根浅葱(ea5164)が身体をモジモジさせる。
前回の興行で浅葱の踊りが好評だった事もあり、ここで彼女に拒否する権利はないようだ。
「そんなに恥かしがる事はないよ。私が協力してあげるから☆」
踊り子達が戻ってきたため、葵が浅葱達を連れて舞台に急ぐ。
「お姉さまったら‥‥強引ですね‥‥恥ずかしいのはもう嫌なのに‥‥」
観客達の声援を浴びて恥かしくなったのか、浅葱が葵の背中に隠れて身体をプルプルと震わせる。
「そんなに恥かしがる事もないだろ。何かされるわけじゃないんだし」
苦笑いを浮かべながら、蘭が非常事態に備えて舞台の袖に移動した。
「それじゃ、そろそろ始めるね」
楽器の音色に合わせて剣の舞を披露し、葵が浅葱を傷つけないようにして巧みに刀を振るい、彼女の服を切り裂き一緒に服を脱いでいく。
「やっぱり‥‥こういう展開になるんですね‥‥」
観客達のいやらしい視線を浴びて桜色に染まった肌を隠したい衝動に駆られつつ、浅葱が勇気を振り絞って一生懸命踊りだす。
いまにも観客達が舞台に上ってきそうな雰囲気だが、ここで逃げ出すわけには行かないため、なるべく見ないようにしているようだ。
「そろそろ私の出番かな?」
いやらしい笑みを浮かべ、蘭が浅葱の羞恥心を誘発させる。
「だったら3人で舞台を盛り上げようか☆」
いきなり浅葱の唇を奪って強く抱きしめ、葵が脱がした服を蘭に手渡し、浅葱と人目も憚らず舞台の上で愛し合う。
「あの‥‥みんな‥‥見ています‥‥」
観客達の視線と蘭の視線で逃げ場を失い、浅葱が顔を俯かせようとしたのだが、再び葵に唇を奪われたため、そのまま一糸纏わぬ姿になる。
「‥‥ん? そろそろ時間のようだな。辺りが騒がしくなってきたぞ」
観客達に不審がられないように舞台の袖まで移動し、蘭が踊り子達の無事を確保するため控え室にむかう。
「それじゃ、わたくし達も‥‥」
踊り子達が心配になったため、浅葱も蘭の後を追うため背をむける。
「‥‥駄目よ。みんなに怪しまれるでしょ」
そして葵は再び浅葱を抱き寄せ、舞台を続行するのであった。
「ふっ、褌興行か‥‥。麗しい女性達を脱がせるなどと、なんともまぁ‥‥。しかし、その舞は実に美しいと‥‥ふむ‥‥ならば見なければなるまい! そう、私は美の探求者!!」
裸興行の行われている小屋の入り口の前で、虎杖薔薇雄(ea3865)が甘い匂いを漂わせ一輪の薔薇を髪に挿す。
この時点で近所の住民達から胡散臭そうに見られているが、薔薇雄ヴィジョンの中では何もかもが美しく見えているらしい。
「ふっ‥‥今日も私は美しい‥‥。さて、その舞がどれほど美しいものなのか見せてもおうではないか」
住民達の冷たい視線を全身に浴び、薔薇雄が爽やかな笑みを浮かべて舞台にむかう。
「おお‥‥これは美しい‥‥麗しい花達が‥‥少しずつ咲いていくその様は‥‥まさに芸術‥‥! まぁ私には及ばないが‥‥彼女達は確かに美しい。これは一つの美として完成されている‥‥! んおっ‥‥何をする‥‥まさか‥‥この美しい私を‥‥おおっ‥‥なんと破廉恥な‥‥」
観客席の後ろで華麗に服を脱いでいき、薔薇雄が用心棒達に捕まり外にポーンと摘み出される。
「どこかで聞いた事のある声が聞こえたようだが‥‥単なる空耳か‥‥」
小屋の裏口で腕を組み、丙鞘継(ea2495)が時期を待つ。
何やら表が騒がしいが、ここで動き出すわけには行かない。
「仲間達に何かあったのかも知れないしな」
質の悪い紙に描かれた興行主の顔を頭の中に叩き込み、ヴァラス・ロフキシモ(ea2538)が物影に隠れて息を潜める。
ほとんどの用心棒は表に行っているようだが、ここからでは何が起こっているのか分からない。
「だが、これはある意味チャンスじゃないか?」
裏口から用心棒達の気配が消えたため、ルミリア・ザナックス(ea5298)がゆっくりと立ち上がる。
「このまま踊り子達の救出に行った方がいいかも知れませんね」
辺りの気配を探るため、御蔵忠司(ea0901)がブレスセンサーを使用した。
何人かの用心棒はいるようだが、今ならそれほど多くはない。
「それにしても、裸興業ねぇ‥‥。見たいものなのかな。そういうの。世界人口の半分は女なんだから、別に珍しくも何ともないと思うけど」
どうして裸興行が受けているのか分からず、ファラ・ルシェイメア(ea4112)が首を傾げて呟いた。
踊り子達の裸を見るためにはかなりの見物料をとるため、ファラには観客達の考えている事を理解する事が出来ないようだ。
「ホント、女の子の敵ですね!! ‥‥ふう、ひなたには見せるほどのお肉はどうせ無いですよォ〜」
妙な敗北感を感じながら、美芳野ひなた(ea1856)が涙を流す。
もう少しスタイルがあれば踊り子にもなれたのだが、面接で落とされる可能性があるため少し落ち込んでいるらしい。
「興行主は許せませんね。踊り子さん達のためにも、あいつらを叩き潰してあげましょう」
フツフツと湧き上がる怒りを抑え、神楽聖歌(ea5062)が拳を握る。
以前の依頼に参加した仲間達から悪い噂を聞いているため、考えただけでも怒りがこみ上げてくるようだ。
「これ以上、悲しむ人達を増やさないためにも、力を合わせて頑張りましょう!」
大きな胸をぷるんと揺らし、シャクティ・シッダールタ(ea5989)が両手を合わす。
「‥‥二人とも、大きいなァ‥‥胸が。ふふふ‥‥乙女の薄い胸に、秋風が染みるんですよ〜。こほん☆」
ひなたの動きがピタリと止まり、羨ましそうに涙を流す。
「それじゃ、そろそろ動くとするか‥‥」
気まずい雰囲気になったため、鞘継が話題を変えて踊り子達の救出を提案する。
「それもそうだね。じゃあ‥‥行くよ」
黄勾玉を握り締め、ファラが裏口から控え室を目指す。
控え室までのルートは仲間達から聞いているため、用心棒達の妨害に遭わないように全速力で走るだけだ。
「思ったよりも狭いな」
二人一組になって通路を塞ぎ、ルミリアが野太刀を振り下ろす。
「まだ見張り残っていたようですね。面倒な事になる前に倒してしまいましょう」
自分達に気づいて笛を鳴らした用心棒に当て身を食らわせ、忠司が薔薇雄を連れて戻ってきた用心棒達を相手にする。
「邪魔すんじゃあねーよ。このタマナシヘナチンがァ―――っ!」
ポイントアタックとダブルアタックの合成技で用心棒を攻撃し、ヴァラスが薔薇雄を助け出し荒く息を吐き捨てた。
「ふっ‥‥、私を巡って男同士が争うとは‥‥。実に罪な事をしてしまったな」
思いっきり勘違いしたままで、薔薇雄が無言でヴァラスにドツかれる。
「ヴァラス様の、ご勇名は存じておりますが、興奮のあまり見境を失くさぬ様、お願い致しますわね?」
ヴァラスが我を失いかけたため、シャクティが慌てた様子で汗を流す。
「いや、今の一撃は愛の鞭だ。ヘンな称号がついたら、嫌だしな」
何か嫌な予感が過ぎったため、ヴァラスがもう一発だけ薔薇雄を殴っておく。
「ふっ‥‥、そんなに恥ずかしがる事はない。たとえ同性といえども、美しきものに心を惹かれる事は‥‥ぐはっ」
最後の台詞を言う前にトドメの一発を喰らったため、薔薇雄が可憐に血反吐を吐いて気絶する。
「遅かったじゃねえか。踊り子達は無事だぜ! ‥‥ん? なんだ、このナマモノは?」
何とかヴァラス達と合流し、蘭が足元に転がっていた薔薇雄に気づく。
「‥‥気にするな」
再び起き上がってきそうな気がしたため、ヴァラスがあえて薔薇尾の話題には触れない事にした。
「倒れてもなお美しいとは‥‥さすが薔薇雄様」
ウットリとした様子で薔薇雄を見つめ、シャクティが胸をキュンとさせる。
薔薇雄の見事な立ち振る舞いに胸を打たれ、ぜひ見習いたいと思っているらしい。
「さぁ、次にこうなりたい者はどなたかな? 一応、降伏するなら武器を捨てて手を上げる3秒だけ間を与えても良いが?」
バーストアタックで用心棒達の武器を壊し、ルミリアが倒れた用心棒を踏みつける。
「みんな怯むんじゃねぇ! やっちまえ!」
ヴァラス達が暴れていたため、興行主が用心棒を嗾けた。
「若い娘を裸にして楽しむなど、無粋の極み。手足の二、三本は仏罰と観念なさい!」
棍棒をブンブンと振り回し、シャクティが用心棒達を薙ぎ倒す。
「ムホホ、大人しくしな」
興行主の姿に気づき、ヴァラスが縄ひょうを構えた。
「ふぅ‥‥皆さん、豊かな方達ばかり‥‥これじゃ、ひなたが舞台に上がっても‥‥全く勝ち目はありませんね。それに‥‥幼いお稚児さんが大好きな男の人は‥‥裸興行なんかに来ませんし‥‥ああもう!! 何か、無性に腹が立ってきましたよ!? ふっふっふ! この怒りと憎しみを、たっぷり用心棒さん達にぶつけましょう! 世界中のひんぬーさん、ひなたに力を与えて下さいですぅー!!」
踊り子達の大きな胸に圧倒され、ひなたが用心棒達に八つ当たりをし始める。
用心棒達もただならぬ殺気に感じたのか、やけに怯えた様子で刀を振るう。
「覚悟はできましたか? 自分達のした事を思いしらせてあげます」
オーラパワーで威力を高め、聖歌が用心棒を倒していく。
「女ぁ食いモンにする奴にゃ、手加減は無用だね。覚悟するんだな!!」
踊り子達を守りながら、蘭が用心棒達に睨みを利かす。
「前回の借りはきっちり返してやる‥‥手加減は不要‥‥と言うかその気は全く無い」
オーラパワーをルミリアに付与し、鞘継がフェイントアタック主体で用心棒と渡り合う。
「自業自得ってやつだよね」
逃げ腰になっている用心棒達を狙い、ファラがライトニングサンダーボルトを放つ。
「さて‥‥残るはあなただけですよ」
用心棒達が全員倒れたため、忠司が興行主に刀をむける。
「ふっ‥‥、わしがそんな脅しに屈するとでも思ったか! 甘いわっ!」
最後の足掻きとばかりに忠司を睨み、興行主が刀を拾って振り上げた。
「‥‥大人しくするんだな。これ以上、抵抗するなら命を落とす事になるぞ」
素早く刀を弾き飛ばし、鞘継が興行主の喉元に刀を当てる。
「ゆ、許してくれ! か、金が欲しいのか。いくらでもやるぞ!」
脂汗をダラダラと流し、興行主が隙を見て逃げ出した。
「だめだめだめだめだめだめだめェー! てめーはここで『お縄』になる運命なのだァーッ!」
興行主が逃げようとしたため、ヴァラスが縄ひょうを使って捕獲する。
「許せません! あんな、あんな‥‥あんな胸の大きい人ばかりで興行するのは、胸の無い女の子を敵に回す行為です!! 世のひんぬーに代わって成敗するですぅー! ごお、ちゃっぴい!!」
大きなガマを召喚し、ひなたが興行主にお仕置きした。
「これでここも平和になるだろう。観客達には悪いがな」
冗談まじりに微笑みながら、ルミリアがゆっくりと太刀をしまう。
「これで裸興行もあえなく終わりというわけだねえ。あっけないものよのォ〜」
興行主を捕まえた事を仲間達に伝えるため、ヴァラスが豪快な笑い声を響かせ舞台に立つ。
舞台では葵と浅葱が裸のまま抱き合っており、妖しげな踊りを踊っている。
「あ、興行主が捕まったんですか‥‥? これでようやく服が着れるんですね。もう恥かしいところまで、見られてしまいましたが‥‥」
ヴァラスに駆け寄り服を受け取り、浅葱が安堵の溜息をつく。
どうやら手遅れだったようだが、ようやく服が着れるため少し安心しているようだ。
「それじゃ、観客達にもお仕置きしないとね。行くよ♪」
そして浅葱は服を着る事も出来ずに手を引かれ、裸のままで観客達にお仕置きする。
その後、興行主は奉行所に突き出され、役人達から非常に感謝されるのだった。