●リプレイ本文
「‥‥これじゃ、まるで忍者だな‥‥」
少し離れた場所で身を隠し、天城烈閃(ea0629)が影から隊商の護衛をする。
商人達は不安げに辺りを見回しているが、いまのところ小鬼の姿は見当たらない。
「今日は天気がいいですね。ポカポカしていて気持ちいい」
お日様の光を全身に浴び、ベル・ベル(ea0946)が大きなアクビをする。
今日はとても天気がいいため、依頼の途中でなければ昼寝でもしたい心境だ。
「‥‥本当に小鬼の襲撃なんてあるのか? それらしき気配もないが‥‥」
用心棒風の格好で辺りを睨み、礼月匡十郎(ea1352)が何処かに隠れていると思われる小鬼を探す。
街道にはたくさんの商人が行き来しており、小鬼を警戒しているためかみんな用心棒を連れている。
「小鬼達も警戒しているのかも知れませんね。命は惜しいと思いますし‥‥」
荷物の中から顔を出し、三笠明信(ea1628)がクスリと笑う。
ジャイアントである明信は目立たないように荷物の中に隠れていたのだが、暑さのために我慢が出来なくなってしまい顔だけ出す事にしたらしい。
「だからと言って小鬼達を無視する事は出来ません。街道を安全に移動できないのは辛いし、悪さをする鬼は懲らしめないと‥‥」
荷台に詰まれた荷物の山に寄りかかり、カイ・ローン(ea3054)が腕を組む。
小鬼達の被害は深刻で商人達の間でも問題になっているが、小鬼達の居場所が分からないため、こうやって小鬼の襲撃を待つしか方法はない。
「だが、このままのんびりしているのも暇だな。小鬼達が確実に襲ってくるという保証もない。やはり何か罠を仕掛ける必要があるんじゃないか?」
まったく小鬼が現れる様子がないため、鋼蒼牙(ea3167)が作戦の変更を提案した。
「なぁ‥‥小鬼を全部片付けたらよ、当然出んだよな? 追加報酬。まさか出ねぇとか‥‥言わねぇよなぁ?」
馬を操る商人の傍まで近づき、秋村朱漸(ea3513)が商人の肩に手を回し、右手で刀の柄を撫でる。
「出るわけないだろ。あの報酬は小鬼退治込みになっているからな」
朱漸を見つめてニヤリと笑い、商人がそろばんを弾く真似をした。
「それじゃ、出ねぇ方がトクじゃねぇか! 危うく無駄な仕事をする所だったぜ」
商人にむかってツッコミを入れ、朱漸が大きな溜息をつく。
「目的地に着くまで下手な事はしない方がいいようですね」
苦笑いを浮かべながら、七瀬水穂(ea3744)が歩くスピードを上げる。
「そうもいかないようですね。小鬼達が現れたようですよ」
馬の鞍に突き刺さった弓矢を引き抜き、山本建一(ea3891)が刀を抜く。
小鬼達は何やらギャーギャー騒ぐと、草むらから次々と顔出し、すぐさま隊商を取り囲む。
「依頼を引き受ける前に詳しい話を聞いておくべきだったな」
小鬼達との間合いを取り、ダセル・カーウェル(ea4066)が杖を構える。
「文句を言っている暇はありませんよ。‥‥来ます」
そして橘雪菜(ea4083)は自分の馬に乗ったまま、小鬼達に対して勝負を挑むのであった。
「やれやれ、もう少しで目的地に着くはずだったのに‥‥」
大きな溜息をつきながらグットラックを素早く唱え、カイが小鬼の放った弓矢を大きめの板を使って受け止める。
小鬼達は不機嫌そうに鼻を鳴らし、棍棒を地面に叩きつける。
「隊商の人達には手を出させん。青き守護者、カイ・ローン、参る」
小鬼達の狙いを商人達から逸らすため、カイが自分の身を挺して小鬼達に勝負を挑む。
「出やがったな。クソどもが‥‥」
素早く刀を抜刀し、朱漸が地面に唾を吐く。
小鬼達は茶鬼の指示に従い、唸り声を上げて朱漸達を威嚇した。
「匡十郎‥‥パキパキ行くぜ?」
茶鬼との間合いを取りながら、朱漸が匡十郎にむかって合図を送る。
「俺の足を引っ張るなよっ! でやあああああ!」
茶鬼めがけて正面から駆け寄り間合いを詰め、匡十郎がダブルアタックEXを放つと、スタンアタックで茶鬼の顔面を叩く。
茶鬼は一瞬フラついたものの、すぐにバランスを立て直し、匡十郎にむかって力任せに棍棒を振り下ろす。
「ぐううう‥‥、効いたぜ。やるじゃねえか」
茶鬼の棍棒を右腕で受け止め、匡十郎がググッと唇を噛み締めた。
「オーラよ‥‥枷となり、彼の者を阻害せよ!!」
懐に隠し持っていたダガーを構え、蒼牙が茶鬼めがけてオーラホールドをかける。
「少し離れていてください。ここは危険です」
ミサイルパーリングを発動して弓矢を弾き、明信がダブルブロックで小鬼の振り下ろした棍棒を防ぐ。
商人達は怯えた様子で頷くと、少し離れた場所に隠れて明信達を見守った。
「皆さんの安全は私が保証します。さぁ、こっちへ!」
商人達を森へと誘導しながら、健一が刀を構えて小鬼達を威嚇する。
「鬼さん、こちら〜♪」
小鬼達のまわりを飛び回り、ベルが健一にむかって頷いた。
小鬼達はベルが目の前を飛ぶたび不満げな表情を浮かべ、鬱陶しそうに棍棒をブンブンと振り回す。
「まずは弓を構えた小鬼から倒す必要があるようですね」
サイコキネシスを使って板を操り、雪菜が小鬼の放った弓矢を素早く受け止めた。
小鬼は雪菜の操る板に驚き、警戒した様子で棍棒を握る。
「でやっ!」
小鬼達の中心でマグナブローを放ち、ダセルがクイックラストを使って小鬼達の防備を錆びつかす。
「あははー♪ そーれ、逝っちゃえ」
小鬼にむかってファイヤーボムを連打し、水穂が気持ちよさそうに笑う。
辺りでは爆音がいくつか響き、朱漸が爆風に巻き込まれて宙を舞う。
「ごめんなさいですー。‥‥生きてますか?」
黒焦げになってグッタリとしている朱漸を見つめ、水穂が心配した様子で声をかける。
「テメー! 死んだらどうする気だっ!」
口から黒い煙を吐き出し、朱漸が不満げに愚痴をこぼす。
「危ない、後ろっ!」
小鬼の攻撃をかわして横に飛び、水穂がファイヤーボムを炸裂させる。
小鬼は水穂の攻撃を鞍って後ろに吹っ飛び、木の枝に身体が突き刺さって絶命した。
「あまり無茶はするなよ。こんな所で死なれたら目覚めが悪い」
冗談交じりに微笑みながら、カイがリカバーを発動させる。
「あったりめぇだ! 俺だってそんな事で死んだら、成仏する事が出来ねぇぜ!」
不機嫌そうに鼻を鳴らし、朱漸が身体についた埃を払う。
「おらおらおらおらっ!」
姿勢を低くして小鬼の懐に潜り込み、朱漸がバックアタックを放つと、ポイントアタックEXで棍棒を持った腕を斬り落とす。
「ウゴガガガ‥‥」
斬り落とされた腕を押さえ、小鬼が恨めしそうに朱漸を睨む。
「きゃっ! これ以上、からかうのは危険ですね」
小鬼の殺気に圧倒され、ベルが冷や汗を浮かべて木の上まで逃げる。
「‥‥まずは一匹か」
忍び足を使って背後から小鬼に近づき、烈閃がクイックシューティングで弓矢を放つ。
小鬼は避ける事なく烈閃の放った弓矢を喰らい、脳天から血飛沫をあげながら命を落とす。
そのため小鬼達とは雄たけびをあげ、烈閃にむかって矢を番える。
「残念だったな。俺の相手をするのには、それじゃ遅すぎるんだよ‥‥」
弓矢を放とうとしていた小鬼の腕めがけて矢を放ち、烈閃がニヤリと笑って第二撃を放つ。
小鬼は腕に突き刺さった弓矢を抜くと、慌てた様子で木の裏に隠れる。
「邪魔だ‥‥さっさと地に伏せろ‥‥」
日本刀にオーラパワーを付与し、蒼牙が日本刀とダガーのダブルアタックで小鬼の首を刎ね飛ばす。
「皆さん、頑張ってくださいね〜」
ゆったりと木の枝に座り、ベルがパタパタと手を振り仲間達を応援する。
「さぁ、一気に殲滅するぞ!!」
逃げ出そうとしていた小鬼を背中から斬りつけ、蒼牙が弓矢を番えた小鬼を睨む。
すると小鬼はカタカタと身体を震わせ、小さく悲鳴を上げて弓を捨てる。
「悪いが、俺は敵には容赦しない。‥‥トドメは任せたぞ」
小鬼に突き刺さっている弓矢を回収し、烈閃が逃亡を図った小鬼達を仕留めていく。
「‥‥簡単に言うなよ。そいつらとは違うんだぞ!」
茶鬼の懐に入って頭を鷲掴み、朱漸が短刀を取り出し顔面を狙う。
茶鬼は短刀の突き刺さった右目を押さえ、バランスを崩して尻餅をつく。
「茶鬼もかなり弱っているようですね」
死角からダブルアタックを仕掛け、明信が徐々に茶鬼の体力を削る。
すると茶鬼は空ろな瞳で明信を睨み、力任せに棍棒を振り下ろす。
「これでトドメですっ!」
馬に乗ったまま茶鬼にむかって突撃し、雪菜が小太刀を薙ぎ払い茶鬼の首を素早く刎ねる。
「おいおい、なんだぁ? 手応えねぇなぁ‥‥。もうちったぁ楽しませろや」
ブンブンと手先で器用に刀を振り回し、朱漸が刀を鞘に収めて舌打ちした。
「ここまで損傷が激しいと回収は無理そうだな」
小鬼達の纏っていた鎧をはがし、匡十郎が疲れた様子で溜息をつく。
鎧は戦いによって激しく損傷し、防具としては使い物にならない状態だ。
「戦闘中はそこまで気が回りませんからね。仕方ありませんよ」
そう言って健一が横に座り、落ち込む匡十郎を慰める。
「それじゃ、私達は近くの湖で汚れを落としてきますね。小鬼達の返り血を浴びて、少し臭いも気になりますし‥‥」
森の奥で綺麗な湖を見つけ、水穂が雪菜を誘って水浴びにむかう。
雪菜は少し恥ずかしそうにしていたが、水穂に説得されたため小さく頷き彼女に続く。
「そういや俺も忘れ物をしていたな。あれ? どこだっけ? こっちかな?」
わざとらしく手の平をポンと叩き、朱漸がフラフラとしながら湖のある場所にむかう。
「そう言えばあっちに見晴らしのいい場所があったな」
恥ずかしそうに頬を染め、ダセルが大きく咳払いをして立ち上がる。
「今回の仕事は護衛ですからね‥‥覗きはしませんよ」
呆れた様子で視線を逸らし、建一が小さく溜息をつく。
商人達も覗きに興味を持ったのか、鼻の下を長くしてダセル達の後に続く。
「よくそんな気力がありますね。もうヘトヘトです」
苦笑いを浮かべながら、明信がその場にへたり込む。
「‥‥ふ。男として、この行動は基本だ‥‥」
湖のある方向を眺め、蒼牙が瞳をキラリと輝かせる。
覗きこそは漢の浪漫。
そこに辿り着くまでの過程が困難なほど、目的を達成した時の充実感は大きいものだ。
「やれやれ‥‥困った連中だ。少し脅かしてくるか」
呆れた様子で溜息をつきながら、烈閃が弓を構えて後を追う。
どうやら覗きをしようとしている仲間達をコッソリと驚かせるつもりらしい。
「そんなにうまくいきますかね? 何かオチがあると思いますが‥‥」
そう言って健一が日本刀の手入れをし始めた。
すると湖のある方から感動と溜息が洩れ、この上ない至福の時が訪れる。
木の枝が折れた音によって、水穂達が気づくまで‥‥。
「きゃああああああああああ!」
そして男達は水穂のファイヤーボムをモロに喰らい、豪快に吹っ飛ぶのであった。
なんとも幸せそうな表情を浮かべ‥‥。