狙われた子供達

■ショートシナリオ


担当:ゆうきつかさ

対応レベル:4〜8lv

難易度:やや難

成功報酬:2 G 40 C

参加人数:12人

サポート参加人数:-人

冒険期間:11月25日〜11月30日

リプレイ公開日:2004年12月03日

●オープニング

 数日ほど前から寺に住んでいた子供達が行方不明になっています。
 子供達のほとんどは寺の門に捨てられていた孤児で、両親のところに帰ったというのは考えにくいと思われます‥‥。
 寺の裏には鬼の住む森があるため、普段から近寄る事の無いようにきつく言ってあったのですが、好奇心の強い子供達が面白半分で探検に言った可能性もあるため、皆さんに子供達の捜索をお願いしたいのです。
 どんなものでも構いません。
 子供達が森に行ったという証が欲しいのです‥‥。
 また子供達が行方不明になってからというもの、森に住む鬼達の動きが活発になっています。
 今まで寺の子供達が襲われた事など一度もなかったため、ひょっとすると鬼達が森で子供を襲い、その味を知った鬼達が寺に住む子供達を狙っているのかも知れません。
 どちらにしても寺に危険が迫っているのは確かでしょう。
 我々を守る事ができないようなら、せめて子供達だけでも‥‥貴方達の手で寺から逃がして欲しいのです。

●今回の参加者

 ea0042 デュラン・ハイアット(33歳・♂・ナイト・人間・ビザンチン帝国)
 ea0270 風羽 真(36歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea0780 アーウィン・ラグレス(30歳・♂・ファイター・人間・イギリス王国)
 ea1569 大宗院 鳴(24歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 ea2001 佐上 瑞紀(36歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea2657 阿武隈 森(46歳・♂・僧兵・ジャイアント・ジャパン)
 ea2722 琴宮 茜(25歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 ea3597 日向 大輝(24歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 ea3913 エンジュ・ファレス(20歳・♀・クレリック・エルフ・ロシア王国)
 ea4352 馬籠 瑰琿(47歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea5899 外橋 恒弥(37歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea7514 天羽 朽葉(30歳・♀・侍・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

「子供達が生きていれば良いのだが‥‥。その方が鬼の巣穴に潜るというリスクを冒さなくて済むからな」
 何処か寂しげな表情を浮かべながら、デュラン・ハイアット(ea0042)が森の中を進んでいく。
 子供達が行方不明になってからもう何日も経っているため、奇跡でも起きない限り生存していている可能性はかなり低い。
「‥‥間に合ってくれるといいんだけど。最悪の場合は遺骨だけでも埋葬してあげたいし‥‥」
 妙な胸騒ぎに襲われながら、エンジュ・ファレス(ea3913)が早足で歩く。
 最後まで希望は捨てたくないのだが、どうしても嫌な事ばかり考えてしまう。
「‥‥遺骨を持ち帰る? ふざけんじゃないよ! 生きて連れ戻すに決まってんだろっ!」
 納得の行かない様子でエンジュを睨み、馬籠瑰琿(ea4352)が不満そうに愚痴をこぼす。
 子供の死を確認するまでは生きていると信じているため、少し不機嫌な様子でエンジュ達を睨みつける。
「そう怒るな。誰だって子供達が死んでいるなんて思いたくはないんだから‥‥」
 何かを悟ったような表情を浮かべ、デュランが瑰琿の肩を叩いて溜息をつく。
「‥‥子供達に何かあったら、アタシは鬼を全滅させにゃならんねぇ。例え命乞いをしてもさぁ」
 殺気に満ちた表情を浮かべ、瑰琿が瞳をギラリと輝かせる。
「出来るだけひとりにならないように、二人一組で行動しませんか?」
 早く子供を見つけるため、琴宮茜(ea2722)がボソリと呟いた。
「いや、なるべく固まって行動した方がいいだろう。それほど鬼も弱くはないからな」
 鬼の危険性を考えた上で、デュランが残念そうに首を振る。
「バラバラに行動した場合、鬼の群れに遭遇したら終わりだからな。待ち伏せしている場合もあるから、出来る限り離れないようにしておこう」
 聞き耳を立てながら森の中を歩いていき、アーウィン・ラグレス(ea0780)が険しい表情を浮かべて辺りを睨む。
 鬼達は集団で行動している可能性があるため、罠などが仕掛けられていないのかも注意する。
「確かに誰かに見られているような気がしますものね」
 なるべく足音を立てないようにしながら、茜が警戒した様子で汗を流す。
 茜達が森に入った事は知られている可能性が高いため、どこかで監視されている可能性が高い。
「‥‥この辺りで子供達が襲われたようだね」
 草叢の中に剣玉が落ちていたため、エンジュが他の遺留品が落ちていないか辺りを探す。
 辺りには大量の血痕も残っており、草木が赤く染まっている。
「これが遺品にならないといいけど‥‥」
 悲しげな表情を浮かべ、外橋恒弥(ea5899)が剣玉を布でくるむ。
「‥‥ん? 何か妙な気配がしないか?」
 ブレスセンサーに反応があったため、瑰琿が緊張した様子で唾を飲む。
「‥‥囲まれているな」
 リトルフライで飛び上がり、デュランが鬼の姿を確認した。
 鬼達は寺を襲撃に行く途中だったらしく、纏まった数で行動していたようである。
「だったら戦うしかないだろ! 寺を襲われたらシャレにならないからな」
 勢いよく長巻を引き抜き、アーウェンが鬼達と向かい合う。
 鬼の群れは戦いなれているためか、素早く陣形を組むと唸り声を上げる。
「鬼さんこちら♪ ‥‥とジャパンでは言うのだったかな」
 なるべく寺から鬼を遠ざけるため、デュランが挑発した様子でマントを揺らす。
 鬼達も簡単に挑発に乗ったのか、不機嫌な表情を浮かべてデュランを追う。
「鬼のヤロー。シャレにならねぇほどの馬鹿力だな。両手が痺れて長巻が握れねぇ‥‥」
 鬼の攻撃を喰らって長巻を落とし、アーウェンが険しい表情を浮かべて横に飛ぶ。
「すべての鬼を足止めする事は難しいようだね。‥‥相手は思っていた以上に強いよ」
 高速詠唱でコアギュレイトを唱え、エンジュが鬼の身体を高速する。
「よほど寺に行きたいようだね。俺達の相手にする気はないようだよ」
 日本刀を振り下ろし、恒弥が疲れた様子で溜息をつく。
 鬼達の大半は寺を目指しているため、すべて退治する事は難しい。
「残りは寺の奴らに任せるしかないだろ。そっちまで相手にしていたら、身体がもたねぇからな」
 ようやく長巻を拾い上げ、アーウェンが痺れる右手でスマッシュを放つ。
「とりあえず巣穴を目指した方がいいかもね」
 俺達の大半が巣穴から離れているため、エンジュが覚悟を決めて巣穴にむかう。
「今回の目的は子供達の救出だしな。手遅れになる前に急ぐとするか!」
 最後まで子供が生きていると希望を捨てず、アーウェンが巣穴を目指して走り出す。
 鬼達の巣穴はそれほど今の場所から離れておらず、まるで巨大な化け物が大きく口を開けたような形になっている。
「ここにも子供の持ち物が‥‥。やはりここにいると考えて間違いないな」
 腕のもがれた人形を拾い、デュランが怒りに身体を震わせた。
「‥‥皆は先に行け、俺も後から追いつく!」
 巣穴の奥から鬼達が現れたため、アーウェンが長巻を構えて大声で叫ぶ。
「鬼どものお出ましかっ! ‥‥お前達に生きる価値は無いねぇ! ‥‥とっとと逝っちまいなっ!」
 鬼が現れたのと同時に抜刀し、瑰琿が全身に返り血を浴びる。
「残っているのは下っ端の鬼だけだね。このままみんなで倒しちゃおう」
 フェイントアタックをメインにして鬼と戦い、恒弥が死角からバックアタックを叩き込む。
「その間に俺は子供達を探してみる!」
 ブレスセンサーを使用し、デュランが巣穴の奥にむかう。
 鬼の巣穴はそれほど深くないらしく、何区画かに分かれている。
「任せておけ! おっと! ヒュゥ、怖い怖い! でも‥‥負ける気はしねぇな?」
 鬼の一撃によって服が破れ、アーウェンが苦笑いを浮かべて攻撃を放つ。
 巣穴に残った鬼達はあまり強くは無いため、攻撃を避けきれずに退治される。
「あ、デュラン君が帰ってきたよ」
 奥の部屋からデュランがションボリとした様子で帰ってきたため、恒弥が嫌な予感に襲われ気まずい様子で汗を流す。
「コレがお前らの正体かい? 鬼畜外道とはよく言ったモンだねっ!」
 変わり果てた姿なった子供に気づき、瑰琿が雄叫びを上げて鬼を睨む。
「‥‥痛いかい。でもね‥‥貴様らに食われた子供はねぇ‥‥もっと痛かったんだよ!」
 何度も鬼にむかって斬りかかり、瑰琿がトドメとばかりに首を刎ねる。
「寺が心配だな。急いで戻ろう」
 巣穴の鬼をすべて倒し、デュランが子供の亡骸をマントで包む。
「助けられなくてごめんね。ゆっくり眠ってね」 
 そしてエンジュは涙を浮かべ、子供の亡骸を抱きしめた。

「‥‥やれやれ、久し振りに金になる依頼だと思ったら、ヤケにキツそうだねぇ? ‥‥ま、そうだと分かって請けたんだから文句は無ェがね」
 面倒臭そうな表情を浮かべ、風羽真(ea0270)が気まずい様子で頬をかく。
 寺には子供達が残っているため、避難を終えるまで時間を稼がなくてはならない。
「孤児を襲うなど、ひどい話ですわね」
 不機嫌な様子で森を見つめ、大宗院鳴(ea1569)がプンスカと怒る。
 仲間達が森に入ってから、かなり時間が経ったため、何か嫌な予感がするようだ。
「‥‥どうやら鬼達が集団で現れたようね。私達だけで倒す事が出来るかしら?」
 あまりに鬼の数が多かったため、佐上瑞紀(ea2001)が気まずい様子で汗を流す。
「とにかく時間を稼ぎましょう。子供達が寺から全員逃げるまで‥‥」
 子供のフリをして鬼の群れを挑発し、鳴が寺から遠ざかる。
 鬼達は鳴の姿に気づくと、涎を流して彼女を追う。
「鬼が二手に分かれたわ。‥‥気をつけて!」
 草叢の中から飛び出し不意打ちし、瑞紀が鬼にむかってソードボンバーとスマッシュを放つ。
「‥‥マズイ事になりましたね。鬼達が寺にむかっています」
 寺にむかった鬼達にライトニングサンダーボルトを撃ち込み、鳴が近づいてきた鬼達を睨むとライトニングアーマーで対抗した。
「鬼も馬鹿って訳じゃないようだな。こっちも作戦を変えないとマズイぞ!」
 木の枝の低い場所を選んで潜って行き、真が鬼を挑発しながら走り出す。
 鬼達は棍棒をブンブンと振り回し、木の枝をへし折りながら雄叫びを上げる。
「このまま寺に向かった方がよさそうね」
 予想以上に鬼達の連携が取れていたため、瑞紀が険しい表情を浮かべて寺にむかう。
 鬼達は最初から寺だけを襲撃するつもりだったのか、瑞紀達に攻撃されても反撃する事はほとんどない。
「わたくし達が待ち伏せしていた事で、寺に子供達がいると確信したのかも知れませんね」
 出来るだけ鬼の数を減らすため、鳴がフェイントアタックとダブルアタックで攻撃する。
 鬼の中には山鬼や熊鬼が含まれているため、強い鬼を優先して倒す。
「たくっ‥‥、面倒臭ぇな!」
 そして真は寺の方向にむかって笛を鳴らし、鬼の襲撃を仲間達に知らせるのであった。

「鬼の群れがこちらにむかっているようだな」
 森の中から笛の音が聞こえたため、天羽朽葉(ea7514)が子供達を呼び寄せる。
 子供達に怪しまれないようにするため、今まで一緒に遊んでいたのだが、そろそろ寺から逃げ出した方がよさそうだ。
「よしっ! んじゃ武神祭でも観に行くか?」
 朽葉から合図をされたため、阿武隈森(ea2657)が子供達にむかって声をかける。
 子供達も今までずっと森達と遊んでいたため、まったく怪しむ様子はないようだ。
「ここの寺って子供達の数が日に日に増えているんだな。この前、聞いた時より5人も多い」
 寺に残った子供達がいないようにするため、日向大輝(ea3597)がひとりずつ点呼を取っていく。
 この寺には両親のいない孤児がたくさんいるためか、子供を育てられない者達がわざわざ捨てに来るらしい。
「まぁ、そう愚痴るな。‥‥時間がないぞ。急ぐとしよう」
 裏門の扉が激しく叩かれたため、朽葉が子供達を連れて階段を下りる。
 子供達が不安そうな表情を浮かべたが、風の音だといって誤魔化し連れて行く。
「子供達と仲良くなるのに時間が掛かってしまったからな。今度は逆に懐かれて困るが‥‥」
 苦笑いを浮かべながら、森が身体にしがみついている子供達の頭を撫でる。
 子供達はよほど森の事が気に入ったのか、決して彼のそばから離れようとしない。
「これも仕事だ、我慢我慢‥‥」
 たくさんの子供に手を引っ張られ、大輝が疲れた様子で溜息をつく。
 子供達のほとんどは落ち着きがないため、一緒にいるだけでも疲れているようだ。
「‥‥早く山を降りねばな。寺の者達が頑張っている間に‥‥」
 何処か寂しげな表情を浮かべ、朽葉の後ろを振り向いた。
 既に寺の中には何匹かの鬼が入り込んでいるためか、あちこちから煙が上がっている。
「俺達に依頼をしてきた連中も命懸けのようだな」
 寺の異変を気づかれないようにするため、森が軽い冗談を子供達に言いながら、階段をゆっくりと下りていく。
「仕方ねえな。ちょっと様子を見てくるぜ。まだ報酬も貰っていないしな」
 子供達が森と遊んでいる間に朽葉と会話をかわし、大輝が険しい表情を浮かべて寺に戻る。
 寺の中には仲間達も戦っているはずだが、気になって仕方がないらしい。
「子供達の事は任せておけ。依頼主が命懸けで守ろうとした者達だ。‥‥必ず守り抜いてみせる」
 そして朽葉は何も知らない子供達を見つめ、森と一緒に山を降りていくのであった。
 依頼主達の願いを背中に背負い‥‥。