温泉美人を守れ!

■ショートシナリオ


担当:ゆうきつかさ

対応レベル:フリーlv

難易度:難しい

成功報酬:0 G 78 C

参加人数:12人

サポート参加人数:-人

冒険期間:11月26日〜12月01日

リプレイ公開日:2004年12月04日

●オープニング

 今度、うちの温泉宿での温泉美人を決めるためコンテストが開かれる事になったのだが、毎年のように不正をする参加者がいるためお前達に取締りをしてほしい。
 今まで従業員の中から有志を集って取締りをしていたんだが、賄賂などを受け取って不正に加担する輩が多くてな。
 冒険者達が何か不正をしたとしても、ギルドに依頼しておけば苦情を出す事ができるだろ?
 お前達が不正に加担すれば、ギルドの信頼はガタ落ちし仕事が減ってしまうからな。
 ‥‥他のヤツより信用できる。
 取締りをしてほしいのは3点。
 まずは参加者達のチェックだな。
 参加者の中にはライバルを蹴落とすために手段を選ばない者もいる。
 更衣室の中で喧嘩でもされたら、コンテストに参加できない者達が出てくるからな。
 馬鹿な真似をしないようにチェックして欲しい。
 続いて審査員達の監視だ。
 審査員の中には参加者から賄賂を貰って不正を働く輩もいる。
 彼らが参加者達と接触しないように逐一チェックして欲しい。
 最後はコンテスト中の護衛だな。
 コンテスト中は参加者達が温泉に入っているため無防備だ。
 スケベな客や酔っ払いが絡んでくる可能性が非常に高いだろう。
 参加者達の怪我の無いように彼女達の護衛を依頼したい。
 それじゃ、よろしく頼むぜ!

●今回の参加者

 ea0167 巴 渓(31歳・♀・武道家・人間・華仙教大国)
 ea3472 世羅 美鈴(27歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea3582 ゴルドワ・バルバリオン(41歳・♂・ウィザード・ジャイアント・イスパニア王国)
 ea3874 三菱 扶桑(50歳・♂・浪人・ジャイアント・ジャパン)
 ea4141 鷹波 穂狼(36歳・♀・志士・ジャイアント・ジャパン)
 ea5164 大曽根 浅葱(28歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea5694 高村 綺羅(29歳・♀・忍者・人間・ジャパン)
 ea6601 緋月 柚那(21歳・♀・僧侶・人間・ジャパン)
 ea6764 山下 剣清(45歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea7798 アミー・ノーミス(31歳・♀・ジプシー・人間・エジプト)
 ea8257 久留間 兵庫(37歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea8313 三上 由希(27歳・♀・忍者・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

「温泉美人の座はあたしが貰う!」
 更衣室に入るなり高々と宣言し、鷹波穂狼(ea4141)が気合を入れて拳を握る。
「いい度胸をしているじゃない! それはわたくしに対する挑戦ね!」
 それと同時に殺気に満ちた視線が浴びせられ、奥から妙に高飛車な女性が現れ穂狼の事を指差した。
「そりゃ、悪かったな。あまりに地味だったんで気がつかなくてさ」
 見下すようにして女性を見つめ、穂狼が怪しく口元を歪ませる。
「まぁ〜、失礼ね! わたくしを今大会の優勝候補である彩香と知っての挑発かしら?」
 拳をブルブルと震わせながら、彩香が殺気に満ちた視線を放つ。
「あたしが何も知らないとでも思っているのかい? 卑怯なマネは許さないよ。後でどうなるか分かってるだろうね? 正々堂々と戦おうじゃないか」
 背の高さを利用して睨みを利かせ、穂狼が腕の筋肉を自慢げに見せる。
「な、な、な、何を証拠にそんな事を言っているの!? それじゃ、わたくしがまるで何かしているみたいじゃない」
 ギョッと目を見開き、彩香が気まずく視線を逸らす。
「モロバレなんだが‥‥」
 あまりに彩香の演技が胡散臭かったため、穂狼がボソリとツッコミを入れる。
「チャンプを決める闘いに八百長はいけないわ。死合中ならともかく、その前の卑怯な手段は闘士の崇高さを貶めるもの。厳しい罰があるのは当然よ」
 彩香の逃げ道を塞ぐようにしながら、アミー・ノーミス(ea7798)が警告まじりに呟いた。
「やはりチェックをしておいた方がいいかも知れませんねぇ〜。とりあえず‥‥脱いでくれますか?」
 マジマジと彩香の身体を見つめ、大曽根浅葱(ea5164)がニコリと笑う。
 浴衣の中に詰め物をしている場合もあるため、念のため全裸になってもらうらしい。
「何の権利があってそんな事をしているの!?」
 恥かしそうに胸を隠し、彩香が顔を真っ赤に染める。
「これも仕事ですからぁ〜」
 まったく動揺した様子もなく、浅葱が彼女の服をするりと脱がす。
「わ、こ、これは誤解よ! きっとわたくしの取り巻きの仕業だわ」
 浴衣の中から大量の暗器が落下し、彩香が青ざめた表情を浮かべて首を振る。
 取り巻きの少女達も慌てた様子で彩香を睨む。
「つーか、他の奴らもバッチリ暗器を持っているんだが‥‥」
 ボディチェックをした参加者から次々と暗器が見つかったため、三上由希(ea8313)が呆れた表情を浮かべて溜息をつく。
「さすが『魂出崇闘』‥‥ジャパンの温泉美人を決める催しはなかなか過激みたいね」
 大粒の汗を浮かべながら、アミーが暗器を回収する。
「仕方ないから見逃してやるよ。このままあんたらを失格にしたら、せっかくの大会が盛り上がらないからね。その代わり今度妙な真似をしたら許さないからね」
 拳を握って参加者達を睨みつけ、穂狼が不機嫌な様子で大声を出す。
 参加者達の中には不満そうな表情を浮かべる者もいたが、妙な真似をしないようにするため警告まじりに睨みを利かす。
「だからわざと大きく胸を見せたり、他の参加者達の着る服に切り込みを入れたりしたら駄目ですよ〜」
 苦笑いを浮かべながら、浅葱が穂狼の言葉を付け足した。
 一瞬ビクンとする参加者達。
 ‥‥どうやらみんなやっていたらしい。
「そこまでしてみんな優勝したいのね。‥‥呆れたわ」
 妙にドロドロとしたものを感じたため、アミーが大粒の汗を浮かべて溜息をつく。
「やっぱり審査員に報告した方がいいのかな?」
 参加者達をジト目で見つめ、由希がボソリと呟いた。
「そ、それは駄目よっ! この日のためにわたくしは頑張ってきたのよ!」
 納得の行かない様子で由希を見つめ、彩香が激しく首を横に振る。
「頑張るところが違うと思うんだが‥‥」
 拳をブルブルと震わせながら、穂狼が呆れた様子で彩香を睨む。
「仕方ないでしょ! これ以上、弟達にひもじい思いをさせられないわ!」
 わざとらしく涙を浮かべ、彩香が情に訴えかける。
「‥‥おや。ここには妹がいると書かれてますが?」
 依頼主から預かった参加者リストを確認し、浅葱が不思議そうに首を傾げて呟いた。
「ひ、ひもじい思いをしている妹達がいるのよっ!」
 気まずい様子で訂正し、彩香が素早く視線を逸らす。
「いまさら遅いと思うんだけど‥‥。残念だけど失格ね」
 あからさまにバレる嘘をついたため、アミーが肩を叩いて首を振る。
「ちょっと待って! お金ならあげるわよ! だからわたくしの話を聞いてぇぇぇぇ」
 そして彩香は冒険者達に連れられ、控え室の外へと放り出されるのであった。

「‥‥ったく、ズルまでして勝ちてェってか? 武道家の俺にゃあ理解出来んぜ。どんな時でも真っ向勝負! 拳と拳、魂をぶつけ合うのがファイトってもんだ! ズルや手抜きは相手への侮辱だぜ!!」
 ションボリとした様子で会場を去る彩香を見つめ、巴渓(ea0167)が呆れた様子で溜息をつく。
 彩香が失格になる事とは誰も予想もしていなかったらしく、参加者達の間に妙な緊張が走っている。
「他の者達はそれほど美人というわけでもなさそうじゃのう。これなら柚那でも簡単に優勝が狙えるかも知れんな」
 動物用の温泉に浸かって悦に浸るぽるしぇを残し、緋月柚那(ea6601)が冗談まじりに微笑んだ。
 優勝候補だった彩香が失格になってしまった事で、他の参加者が優勝できるチャンスがグンと上がっているらしい。
「あんまりヘンな事は考えるなよ。ただでさえ助平な親父を相手にするんだから‥‥」
 心配した様子で柚那を見つめ、渓が警告まじりに呟いた。
「‥‥分かっておる。何か破廉恥な事をされたら、大声を上げて叫ぶから安心せい」
 苦笑いを浮かべながら、柚那が渓にむかって返事をする。
「それにしても胡散臭い審査員ばかりですねぇ〜。この様子では問題になっている審査員以外にも、袖の下を貰っている人がいるような気がします‥‥」
 審査員達の行動を逐一監視しながら、世羅美鈴(ea3472)が疲れた様子で溜息をつく。
 彩香がいなくなった辺りから審査員達がソワソワとし始めたため、美鈴が険しい表情を浮かべて審査員達に探りを入れる。
 何人かの審査員達は彩香から賄賂を貰っていたらしく、事件の発覚を恐れて生きた心地がしていないようだ。
「どうせだから全員とっ捕まえるか? 今後のためにさ」
 控え室の入り口に陣取り、渓が審査員達を見つめてニヤリと笑う。
 審査員達は自分の不正がバレたと思い、早々に荷物を纏めて逃げ出した。
「逃がすか、ボケェ! 例え地獄の閻魔が許しても、この熊殺し渓様が許さねェ!」
 先頭を走る審査員の首根っこを掴み上げ、渓が不機嫌な様子でまわりを睨む。
「どうして皆さん逃げるんですかぁ〜? ひょっとして何かやましい事でもあるんですかぁ〜?」
 何も知らないフリをして、美鈴が不思議そうに首を傾げる。
 審査員達も心にやましい事があるため、うまい言葉が見つからない。
「‥‥そう言えば銭蝦蟇の姿がないのぉ? 確か最も怪しい人物だったはずじゃが‥‥」
 銭蝦蟇の姿が無かったため、柚那が辺りを見回した。
「あれぇ〜? あっちにヘンな人がいますよぉ〜」
 わざと大きな声を出し、美鈴が銭蝦蟇の前に回りこむ。
 銭蝦蟇は審査員である事をバレないようにするため、ほっかむりをして逃げようとしていたのだが、それが逆に怪しさを強調させてしまったため、美鈴に見つかってしまったらしい。
「おぬしの顔‥‥何処かで見た事があるのぉ〜? おお、あの有名な銭蝦蟇殿か!」
 胡散臭そうに銭蝦蟇の顔を見つめ、柚那が無邪気に笑う。
「き、き、気のせいや! わ、わしはちゃうでぇ!」
 ブンブンと首を横に振り、銭蝦蟇が気まずい様子で首を振る。
「おかしいのぉ? 何処からどう見ても銭蝦蟇殿ソックリなんじゃが‥‥。他の者を呼んで確かめてみるかのぉ」
 満面の笑みを浮かべ、柚那が後ろを振り向いた。
「やめろろろろろろろろろ! お、お小遣いをあげるから、な!」
 柚那の言葉に動揺し、銭蝦蟇が慌てて口を塞ぐ。
「それじゃ、認めるのじゃな。銭蝦蟇であるという事を‥‥」
 含みのある笑みを浮かべ、柚那が銭蝦蟇に確認した。
「ああ、認める! だから見逃してくれ!」
 観念した様子で両手を合わせ、銭蝦蟇がペコリと頭を下げる。
「‥‥甘いのぉ。証拠は揃っているのじゃよ! 大人しくお縄につけぇい!」
 そして柚那は銭蝦蟇を縄で縛り、仲間達を呼び寄せた。

「うーむ、美人コンテストというのは不正をしてまで、勝ちたいものなのか? 一々他人と比べるまでも無く、己の美しさに絶対の自信を持つ我輩には理解できぬ心理であるな!」
 参加者達と審査員の半分が処分を受けてしまったため、ゴルドワ・バルバリオン(ea3582)が険しい表情を浮かべて腕を組む。
 不正が一掃された事で依頼主としては上機嫌なようだが、ゴルドワにはここまで不正が多かった理由がよく分からない。
「まあな。だが、大会は盛り上がっているようだぞ」
 持参したちゃぶ台の上で酒を飲み、三菱扶桑(ea3874)がクスリと笑う。
 舞台では穂狼が大柄な花模様が特徴の浴衣姿で堂々と立っており、他の参加者達を威圧している最中だ。
「いい、目の保養になるな。彼女達のためにも大会を無事に終わらせねば‥‥」
 マントを浴衣風に羽織ったアミーを見つめ、山下剣清(ea6764)が扶桑と一緒に酒を飲む。
 会場には何人かの酔っ払いがフラついており、舞台にむかってなにやらヤジを飛ばしている。
「‥‥全く迷惑な奴らだな。せっかく大会が盛り上がっているというのに‥‥」
 酔っ払いが舞台に立っていた由希に絡んでいたため、久留間兵庫(ea8257)が溜息をついて立ち上がる。
「どうやら彩香殿が参加していない事を不満に思っているようだな」
 不機嫌そうに立ち上がり、ゴルドワがわざと酔っ払いの方にぶつかり、凄みを利かせて因縁をつけた。
「な、なんだ、この野郎っ!」
 焦点の合ってない目でゴルドワを睨み、酔っ払いが酒臭い息を吐き捨てる。
「まわりの客が迷惑しているだろ。‥‥そんな事も気づかないのか?」
 素早くちゃぶ台を構え、扶桑が酔っ払いを挑発した。
「いい度胸をしているじゃねぇか。俺が誰だか知っているのか!?」
 大声を出しながらドスを抜き、酔っ払いがまわりを睨む。
「悪ふざけがすぎるぞ。それ以上、暴れるつもりなら、俺だって黙っちゃいない」
 騒ぎに気づいて客達が静まり返ってしまったため、剣清が刀を抜いて酔っ払いを威嚇する。
「面白れぇ! 斬れるモンなら斬ってみやがれ!」
 剣清の実力を知らないため、酔っ払いがゲラゲラと笑う。
「本気で言っているのか? ‥‥後悔するぞ」
 酔っ払いの傍から遠ざかり、兵庫が小さくコクンと頷いた。
「かかってきやがれ! それじゃ、蚊でも止まる‥‥ぞ」
 馬鹿にした様子で剣清を指差し、酔っ払いの表情が強張った。
「‥‥何か言ったか?」
 素早く刀を振り下ろし、剣清が酔っ払いの顔面ギリギリで刀を止める。
「いや、何でもありません‥‥」
 観客達の拍手が響く中、酔っ払いが青ざめた表情を浮かべて逃げ出した。
「がっはっはっ、情けない奴だな。我輩が出るまでも無かったな」
 豪快な笑みを浮かべながら、ゴルドワが剣清の肩を叩く。
「自分の出る幕も無かったな。もう少し骨のある奴だと思ったが‥‥」
 残念そうに持っていたちゃぶ台を下ろし、扶桑が何事もなかったかのように酒を飲む。
「あれで大人しくならなかったら、斬り捨てていたかも知れないからな。よほどのアホでもない限り、あそこで逃げて当然だ」
 クールな表情を浮かべて刀をしまい、剣清が舞台に目をむける。
 既に大会は終わっているらしく、少し控えめな女性が優勝したようだ。
「くぅ〜、負けたぁ!」
 参加賞を握り締めながら、穂狼が悔しそうに溜息をつく。
「みんなで温泉にでも浸かるとするかのぉ。せっかく温泉があるんじゃし、このまま帰ってしまうのは損じゃろ」
 温泉で悦に浸っているぽるしぇを見つめ、柚那が悔しそうに拳を震わせた。
「へへへっ、男共も入るんだろ? 他の娘達の裸を覗かれても困るからな。俺が監視してやらねぇとな!」
 男達の肩を抱きながら、渓が怪しく目を細める。
「か、勘弁してくれぇい!」
 そして兵庫は青ざめた表情を浮かべ、渓から慌てて逃げ出した。

●ピンナップ

巴 渓(ea0167


PCツインピンナップ
Illusted by KAXAK