●リプレイ本文
「ミンメイちゃん、会いたかったぜ〜!」
生き別れの彼女と再会したような表情を浮かべ、朝宮連十郎(ea0789)がミンメイに抱きつき頬ずりする。
ミンメイと一緒にいる時間が全くなかった事もあり、心の底から喜んでいるらしい。
「ワ、ワタシもアル‥‥」
だんだん恥かしくなってきたため、ミンメイが苦笑いを浮かべて連十郎の背中をポンポンと叩く。
「ミンメイちゃんと会えなかった、この1ヶ月‥‥どんなに寂しかった事かっ!」
大粒の涙を浮かべながら、連十郎がミンメイとの再会を喜び拳を握る。
「この依頼中、恋人イナイさくらんぼ歴25年+1(魔法効果に非ず)になる○○浪人、湯田鎖雷だ。愛馬めひひひひんと共に祭魂を配達するぞ。‥‥宜しく頼む!」
クールな笑みを浮かべながら、湯田鎖雷(ea0109)がミンメイと熱い握手を交わす。
色々とツッコミどころはあるのだが、誰もその事については触れようとしない。
「よ、よろしくアル‥‥」
訳も分からず笑みを浮かべ、ミンメイも鎖雷を見つめて汗を流す。
「‥‥言っておくが○○に入るのはハゲ違う。あと、貞操を守るは願掛けの為。それ以下でも以上でも異常でもないから誤解するなよ?」
あまりにもミンメイの様子がおかしかったため、鎖雷がジト目で彼女を睨んで自分の言葉を付け足した。
「わ、分かったアル」
ひたすらコクコクと頷きながら、ミンメイが鎖雷の言葉を心のノートに刻み込む。
どちらかというとチェリーの意味が気になるようだが、まわりの空気を読み取りあえて聞かない事にしたらしい。
「ところで冬将軍ってどんなヤツっすか? 女である事は知っているんっすが‥‥」
苦笑いを浮かべながら、太丹(eb0334)がボソリと呟いた。
ミンメイから冬将軍について話を聞いていたのだが、冬将軍がひとりではないと聞いたため、再び謎が深まってきたらしい。
「‥‥何が冬将軍だ。それなら俺は江戸の紫龍だ」
不機嫌そうな表情を浮かべ、伊達正和(ea0489)が鼻を鳴らして腕を組む。
冬将軍についてあまり語って欲しくないのか、正和が何も言わずに視線を逸らす。
「でも強いって噂っすよ。大丈夫っすかね?」
凶悪な外見をした冬将軍を思い浮かべ、太が心配した様子で呟いた。
「楽勝、楽勝! 待ってな、ミンメイちゃん。必ずこの手で冬将軍の行く手を阻み、ミンメイちゃんに漢らしさをアピールするぜ!」
拳を高々と掲げながら、連十郎がミンメイに対して誓いを立てる。
ミンメイも連十郎の活躍を期待し、彼と並んで瞳をキラリと輝かせた。
忍び寄る巨大な影に気づかぬまま‥‥。
「‥‥貴様らが我の行く手を阻む者達か」
ミンメイ達の前で立ち止まり、冬将軍が黒王号に乗ったままジロリと睨む。
必ず祭りを成功させるという意気込みがあるため、愛用の薙刀を小脇に抱えて殺気を放つ。
「待ってたぜ、冬将軍! ここで会ったが百年目、成敗してくれる! ‥‥って結構カワイーじゃねぇか!」
仁王立ちになって冬将軍を出迎えたものの、彼女があまりに可愛かったため連十郎が困った様子で汗を流す。
「弱者を守る為に戦うって当たり前の事だよな。改めて肝に銘じておくか」
ミンメイが逃げる時間を稼ぐため、正和が指の関節を鳴らして冬将軍の前に立ち塞がる。
冬将軍はニヤリと笑い、正和の挑戦を受けて立つ。
「ミンメイちゃん、今のうちに逃げるんだっ!」
ミンメイにむかって声をかけ、連十郎がニコリと笑って別れを告げた。
「俺は伊達・正和。江戸の紫龍にして正義の剣士っ! いざ尋常に勝負っ!」
気合を入れて雄叫びをあげ、正和が冬将軍めがけて走り出す。
「ひゃっほう〜い!」
それと同時に太が正和の後ろで飛び上がる。
「‥‥面白い。我に楯突いた事を後悔させてやる」
薙刀を構えたまま身を屈め、冬将軍が勢いをつけて突撃した。
「いくぞ、めひひひひん! おまえの強さを見せてやれ!」
愛馬めひひひひんに飛び乗り、鎖雷が冬将軍と激しくぶつかり吹っ飛んだ。
「はははははっ‥‥、我の馬を甘く見過ぎたようだな」
鎖雷に倒れた鎖雷を見下ろし、冬将軍が高笑いをあげる。
「甘いのは‥‥どっちかな」
口元の血を右手で拭い、鎖雷が怪しくニヤリと笑う。
何か作戦があるのか、鎖雷の瞳に恐れはない。
「隙あり〜☆」
冬将軍の背後から近づき豊満な胸を揉み、連十郎が天にも昇るような気持ちになる。
「こ、このっ!」
突然の出来事に驚きながら、冬将軍が連十郎に肘鉄を食らわせ馬から落とす。
「うごっ!」
落下した拍子に黒王号に蹴り飛ばされ、連十郎がキラリと輝く星になる。
「雪の中をおユキなさい」
寒いシャレを言い放ち、太が冬将軍に対して攻撃を仕掛けた。
冬将軍は薙刀の石突き部分で太の身体を素早く突くと、薙刀を回転させてクスリと笑う。
「くらえ風切りっ!」
それと同時に正和がソニックブームを叩き込み、冬将軍を黒王号から突き落とした。
「へへっ、形勢逆転だな」
激しく尻餅をついた冬将軍の顔を見つめ、鎖雷が黒王号の前に立つと勝ち誇った様子で微笑んだ。
「お、おのれ!」
悔しそうな表情を浮かべ、冬将軍がゆっくりと立ち上がる。
「‥‥黒王号! ここはお前に任せたぞ!」
そして冬将軍は漢達の相手を黒王号に任せると、刀を引き抜き温泉にむかって走り出した。
「寒いアル〜」
身体をカタカタと震わせながら、ミンメイが裸になって温泉の中に飛び込んだ。
一応、服は着ていたのだが、空気がとても冷たかったため、身体が凍えてしまったらしい。
「鎖雷さんは大丈夫だよね? 何だか悲鳴が聞こえたけど‥‥」
今までミンメイがいた場所を見つめ、朋月雪兎(ea1959)が心配した様子で呟いた。
「だ、大丈夫アル。怪我はしているかも知れないアルが‥‥」
大粒の汗を浮かべながら、ミンメイが乾いた笑いを響かせる。
冬将軍の実力から考えると、漢達が怪我をしていてもおかしくない。
「ところで冬将軍って一体いつ頃から始まった習わしなのかしら? 外部との交流を断っているという事は、それなりに歴史があるんだと思うけど?」
ミンメイに豆の入った袋を渡し、郭梅花(ea0248)がボソリと呟いた。
「その辺はワタシもよく分かっていないアル。ふゆさんに聞けば何か分かると思うアルが、さすがにこの状況では教えてくれないと思うアル」
冬将軍の叫び声が聞こえてきたため、ミンメイが苦笑いを浮かべて温泉に浸かる。
「もうすぐこっちに来るようだね」
足だけ温泉に浸かったまま、アウレリア・リュジィス(eb0573)が袋から豆を取り出した。
ここでは豆しか投げる事ができないため、なるべく多くの豆を握り締めながら冬将軍が現れるのを待つしかない。
「聖なる温泉に浸かって、生命力の強い豆を不平不満を言いながら投げつける‥‥だったよね‥‥」
ゴクリと唾を飲み込みながら、郭梅花(ea0248)が取り出した豆を握り締める。
「そう言えば紙ってどうしてあんなに高いの! 作家の永遠の悩みの種よね?」
すぐに不平不満が言えるようにするため、アウレリアが日頃の不満を口にした。
「ワタシも貧乏が憎いアル!」
紙を買うため生活を切り詰めている事もあり、ミンメイがウルウルと涙を流して愚痴をこぼす。
昔と比べて買える紙の量は増えたのだが、それでも本を作るためには足りないようだ。
「‥‥これも依頼だ。真面目にやらねばな」
何処か遠くを見つめながら、逢莉笛舞(ea6780)が自分自身に言い聞かせる。
途中で帰りたくならないように‥‥。
「ねーねー、ひょっとしてあの娘が冬将軍じゃない? 物凄く怒っているようだけど‥‥」
ミンメイと仲良く温泉に浸かり、梅花が気まずく冬将軍を指差した。
冬将軍は刀を構えて雄たけびを上げ、ミンメイ達のいる方角にむかって来る。
「逢莉笛・舞、‥‥参る」
凄まじい殺気を感じたため、舞が大量の豆を冬将軍に投げつけた。
「あ、わ! ちょっと待って!」
舞の投げた豆を踏んでバランスを崩し、アウレリアが温泉の中へと転がり落ちる。
「怪我をしたくないなら離れていろ」
アウレリアにむかって声をかけ、舞が冬将軍と対峙した。
冬将軍はジリジリと間合いを詰めながら、舞が油断する瞬間を狙っているようだ。
「そ、そんな事を言われても‥‥。そうだ! いい事を考えたっ♪」
一瞬ションボリとした表情を浮かべ、アウレリアが掌をポンと叩くとファンタズムを使用し、冬将軍の前に全裸で色気ムンムンの女性を出現させる。
「こ、これは‥‥。一体、どういう事なんだ!?」
いきなり目の前に裸の女性が現れたため、冬将軍が身体を仰け反り刀を落とす。
「そこの人! 温泉で刀を振り回すなんてマナー違反だよ!」
冬将軍の落とした刀を奪い取り、雪兎が不平不満を言いながら大量の豆を投げつける。
雪兎の不満は自分の身長や、男同士の恋愛についてなど。
「こ、このぉ!」
耽美で薔薇な景色が浮かんだため、冬将軍が顔を真っ赤に染めて雪兎を狙う。
「きゃあ!?」
冬将軍の一撃によって身体に巻いていた布が破れ、雪兎が悲鳴を上げて恥かしそうに身体を隠す。
「ふふふっ‥‥、逃がしはせぬぞ!」
妖艶な笑みを浮かべながら、冬将軍が雪兎にむかって襲い掛かる。
「何であたしにはいい男が寄って来ないんだ〜!」
日頃の不満を豆に込め、梅花が冬将軍にぶち当てた。
「それ以上近づいたら、コイツの命はなくなるぞ!」
雪兎の事を盾にしながら、冬将軍が梅花達に対して警告する。
「ひょっとして‥‥ソッチの人なの?」
色々な妄想が脳裏を過ぎり、アウレリアが汗を流す。
一瞬にして心に百合の花が咲いたため、何だか妙な気分になっているようだ。
「ち、違う!」
恥かしそうに頬を染め、冬将軍が慌てた様子で雪兎を放す。
「‥‥まんざらでもないと言うわけか」
冬将軍の気持ちを読み取り、舞が含みのある笑みを浮かべる。
この様子では冬将軍は新たな世界に目覚めたらしい。
「お、覚えていろ! この屈辱‥‥忘れはせぬぞ!」
そして冬将軍は大粒の涙を浮かべながら、逃げるようにして温泉を去っていく。
まるで初めて恋を知った乙女のように‥‥。
「とうとうここまで来てしまったようですわね。‥‥あれ? なんで泣いているのかしら?」
祭りが始まる前まで女性陣と温泉に浸かっていたため、シュテファーニ・ベルンシュタイン(ea2605)がまったりとした表情を浮かべて冬将軍の気配に気づく。
冬将軍は何故か涙目になっており、顔を真っ赤にしながら何やら愚痴をこぼしている。
「世の中には言葉で説明できない事だってあるのです‥‥」
冬将軍の雰囲気が噂と異なっていた事を不審に思い、大宗院透(ea0050)が微塵隠れを使って様子を窺う事にした。
「ちょっ、ちょっと! ひとりにしないでよ!」
いきなり透の姿が消えたため、シュテファーニが不安そうな表情を浮かべて辺りを探す。
このままでは冬将軍の標的になるため、彼女も必死なようである。
「‥‥見つけたぞ!」
瞳をギラリと輝かせ、冬将軍がシュテファーの逃げ道を塞ぐ。
「きゃあ!?」
慌てた拍子に持っていた豆を落とし、シュテファーニが悲鳴を上げて冬将軍の服の中へと飛び込んだ。
「こ、こら! 一体、何処を触っている! そんな事をしたら‥‥うくっ!」
艶っぽい表情を浮かべながら、冬将軍が次々と服を脱いでいく。
シュテファーニが胸を揉んだり、お尻を触ったりしているため、早く捕まえたいようだ。
「お肌スベスベですわね〜。それに‥‥ウフフッ」
満足した様子で服の中から飛び出し、シュテファーニが冬将軍をからかった。
「わ、笑うな!」
慌てた様子で身体を隠し、冬将軍が頬を染めてシュテファーニを睨みつける。
「‥‥バッチリ‥‥見てしまいました‥‥」
木の裏に隠れて半分だけ顔を出し、透が全く表情を変えずに呟いた。
「こ、この‥‥!」
今にも怒りを爆発させそうな雰囲気を漂わせ、冬将軍が凄まじい形相で透を睨む。
「‥‥『冬将軍』は『浮遊症候群』にかかっています‥‥」
捨て台詞のようにして寒いシャレを呟き、透が土遁の術を使って冬将軍の前から姿を消した。
「今日は特に冷えるわね」
苦笑いを浮かべながら、シュテファーニが身体をブルリと震わせる。
‥‥背後に感じた嫌な気配。
シュテファーニが恐る恐る振りむいた。
「‥‥どうやら地獄が見たいようだな」
メラメラと殺意の波動を漂わせ、冬将軍がシュテファーニの身体をムンズと掴む。
「だ、駄洒落を言うのは誰じゃ〜。あ、あれ? 面白くないかしら?」
ぎこちない笑みを浮かべ、シュテファーニが滝のような汗を流す。
「我と同じ思いを味あわせてやろう」
怪しげな笑みを浮かべながら、冬将軍がシュテファーニの服を引きちぎる。
「もう! 大胆ですわね〜☆」
冬将軍の顔に身体を押し当て、シュテファーニがニコリと笑う。
「うっ、うっ、うっ」
予想外の出来事に気絶しそうになりながら、冬将軍が恥かしさのあまり身体をカタカタと震わせる。
「また‥‥見てしまいました‥‥」
土の中から顔を出し、透がボソリと呟いた。
透の言葉は何度もふゆの心を貫くため、彼女も悔しさのあまり拳をギュッと握り締める。
「だから見るなといっておろうが!」
そして冬将軍は大粒の涙を浮かべながら、透達の事を追いかけるのであった。
目撃者をこの世から消し去るために‥‥。