京都移動シナリオ:河童膏
|
■ショートシナリオ
担当:ゆうきつかさ
対応レベル:フリーlv
難易度:普通
成功報酬:0 G 85 C
参加人数:7人
サポート参加人数:-人
冒険期間:03月18日〜03月24日
リプレイ公開日:2005年03月21日
|
●オープニング
「諸君! いま京都は大変な危機に陥っている! このことには家康公も心底、心を痛めておられるのだ‥‥いまこそ我らの志を無駄にはせず‥‥」
「ああ、あれですか‥‥何でも、京都へ向かう有意の者たちを集めているんだそうです」
冒険者ギルドの一室で熱弁を振るう一人の武士。それを見ながら、冒険者ギルドの係のものはつぶやいた。
「あのお侍様‥‥何でも、清河八郎、って方らしいんですけどね。どうやら、京都の危機に、神皇様をお助けに参ろうと、そういう話らしいですよ?」
後ろで続いている檄の声を背負いながら、係は興味を持った一同に声をかけると、資料を手にその続きをまくしたてる。
「先年、家康様が京都より戻られたのは、ただ江戸の町を妖狐に襲われた、という理由だけじゃないらしくてね。風の噂じゃ、京都でも妖怪どもが大きな顔をしてるらしいんだよねえ」
そんな話を聞いている最中、清河の熱弁は一通り終わったようだった。改めて自分が人を集めていることを語り、一礼して去る武士に向けて、ギルドのものは愛想の拍手を送ったりしている。
「あっと、話がずれてましたね‥‥京都のほうも不穏で、新撰組や京都守護だけじゃ手が回らないってことだそうですね。そこで、江戸から力の余っている浪人者や冒険者を集めて、京都の警備にあたらせたり、あっちでできたばかりのギルドの仕事を任せてみようという話になったそうなんですよ」
そこまで告げると、係ににこりと微笑んで、依頼の内容を指差した。
「‥‥一旗揚げようという気があるのなら、この話に一枚噛んで、ぜひ上洛してみてはいかがですかね?」
京都まで河童膏を届けてほしい。
河童膏は河童忍軍に伝わる秘伝の製法によって作られたもので、本当なら彼らが届けるべきものだが、江戸で五輪祭が開かれているため身動きが取れない。
そのため麒麟衆からの判断で、今回のような運びとなった。
さすがに試練とは関係ないところで、実力のある者達を使いたくはないらしい。
江戸と京都を往復している間に五輪祭が開かれた場合、各陣営に悪影響が出てしまう恐れがあるからな。
それじゃ、よろしく頼むぜ!
●リプレイ本文
「そうだ! 京都へ行こう! あたいの田舎も向こうの方だしね〜☆ 江戸の知り合いと別れるのは、ちょっと寂しいけど、新天地で心機一転頑張るぞ☆」
突然、京都に行こうと思い立ち、焚雅(ea7662)が朱雀香を持って江戸を発つ。
この膏薬は河童忍軍の新たな収入源として期待されているモノで、京都まで届ける事の出来た膏薬のみ販売する事が出来るらしい。
「早く京都を目指さないとマズそうですね。‥‥急ぎましょう」
白虎膏を懐にしまい、藍月花(ea8904)が馬を走らせる。
馬は河童忍軍から借りる事が出来るのだが、月花はあえて自分の駿馬を選んだらしい。
「それじゃ、この綺麗な『白虎膏』をもっていきますかねい」
貸し出された馬に跨り、無姓しぐれ(eb0368)が月花に続く。
京都まで馬で4日はかかるため、いつ河童忍軍に襲われてもおかしくない。
「とりあえず頑張ってみるか。途中で脱落しても京都には行けるようだしな」
苦笑いを浮かべながら、樹許由(eb1454)が気性の荒い馬に乗る。
自分の借りる馬を選ぶが出来ないため、何とか宥めて先を急ぐ。
「気休め程度かも知れないが、なるべく馬の走りやすい道を選んでいくか。どうせあっちはプロだしな。わざわざ足場の悪い所を選んで、こっちが自爆したらシャレにならん」
河童忍軍の襲撃に備え、鷲落大光(eb1513)が安全な道を選んで進む。
念のため短刀を携帯しているため、途中で河童達の襲撃が遭っても何とか対処できそうだ。
「大事なモンを持ってるからな。懐の中に入れてガッチリ守るぜ」
馬から何度も落とされそうになりながら、片桐弥助(eb1516)が大切そうに青龍膏を懐にしまう。
京都に着いたら色々と見たい所があるため、今からとても楽しみにしているらしい。
「それにしても、この馬‥‥何とかなりませんかね。物凄く乗り心地が悪くて吐きそうです」
青ざめた表情を浮かべ、月下樹(eb0807)が必死で馬にしがみつく。
途中で休憩したい気分だが、追っ手がいるため休めない。
「‥‥そういや妙な気配がしない」
森の中からガサゴソと音が聞こえてきたため、雅が警戒した様子で手綱を握る。
それと同時に雅の鼻先をクナイが横切り、馬が驚き前足を上げて嘶いた。
「ついに現れましたね。河童達が‥‥」
すぐさまキュウリを放り投げ、月花が一気にスピードを上げる。
河童達はキュウリを口に咥えると、物凄い速さで後を追う。
「何だか余計にマズイ状況では‥‥」
次第に増えていく河童達に驚き、しぐれがダラリと汗を流す。
殆どの河童がキュウリの匂いの釣られたのか、森から次々と現れ増えていく。
「キュウリを囮にする事は河童達も予想済みだったようだな」
飢えたハイエナの如く勢いで襲ってくる河童達の攻撃をかわし、許由が玄武膏を抱き締め舌打ちする。
「大丈夫だ、問題ない。こっちは馬だ。河童達の足じゃ追いつかない」
徐々にスピードを上げていき、大光が河童達との距離を離す。
「頑張ってくれよ。後で人参をたらふく食わせてやるからな!」
へこたれた馬を元気づけ、弥助が大声を上げて手綱を握る。
河童達はクナイや手裏剣を投げてくるため、馬達も怯えて本来の力が出ていない。
「やっぱりこれが狙いかな?」
白虎から手渡された膏薬を見つめ、樹が身を屈めると必死で馬にしがみつく。
しかし、河童達は先回りをしていたため、一斉に奇声を上げて木の上から飛び降りた。
「ご、ごめん。もう駄目かも‥‥」
たくさんの河童達に襲われ、雅が転がり落ちる。
もともと河童達の目的は膏薬を破壊する事だったため、雅には指一本触れずに先を急ぐ。
「やはり河童達の狙いは、この膏薬‥‥」
大切にしていた膏薬を奪われ、月花が悔しそうな表情を浮かべる。
河童達は一仕事終えると、キュウリを齧ってニヤリと笑う。
「まったくムカつく奴さね。膏薬を奪ったら用なしか」
河童達にしがみつかれて馬から落とされ、しぐれが不機嫌そうな表情を浮かべて溜息をつく。
目の前で壊れた膏薬の壷を見つめ‥‥。
「3人脱落か。たくっ‥‥、面倒な事になったな」
オーラパワーを発動させ、許由が河童達をブン殴る。
襲撃が何度も続いた事もあり、みんな疲れているようだ。
「これじゃ、追加報酬でも貰わんとやってられんな」
容赦なく河童達を倒して行き、大光が険しい表情を浮かべて汗を拭う。
河童達はあちこちで待ち伏せしており、いくら倒してもキリがない。
「走れ、青龍号! お前なら必ず彗星になれる! 京で"すたあ"になるんだ!」
馬にむかって声をかけ、弥助が倒れた河童を飛び越えていく。
河童達の中には馬の脚を掴もうとしていたものもいたが、返り討ちに遭って血反吐を吐きながら宙を舞う。
「そこまでしてコレが欲しいんでしょうか」
河童達から膏薬を隠すようにして抱き締め、樹が街道に横たわる倒木を避ける。
「うわっ‥‥、こいつら本気で俺達を狙っているぜ!」
真横から大木が迫ってきたため、許由が慌てて身を屈めて汗を流す。
大木は後ろを走っていた大光を捕らえ、今までの恨みとばかりにふっ飛ばした。
「まさかこんな場所で脱落とは‥‥」
悔しそうな表情を浮かべ、大光が地面を這うようにして拳を握る。
「あんたの仇は必ず討つ!」
飛び掛ってきた河童の顔面をブン殴り、弥助が京都を目指してガンガン進む。
「‥‥俺もここまでみたいです。後はよろしく頼みますね」
河童達に次々と飛びつかれ、樹が馬から振り落とされる。
最後まで膏薬を守っていたが、それが逆に仇になってしまったらしい。
「ふぅ‥‥、何とか京都に着きそうだな」
ようやく河童達を振り切り、許由がホッとした様子で溜息をつく。
玄武膏が無事のため、追加報酬が貰えそうな予感である。
「ようやく京都か。なんだか眠る暇もなかったな」
凄まじい眠気に襲われ、弥助が馬にしがみつく。
「それじゃ、京都に着いたら一眠りするか。もちろん河童膏を届けてからな!」
そしてふたりは京都にむかう。
河童膏を手土産に‥‥。