白虎&朱雀親睦会

■ショートシナリオ


担当:ゆうきつかさ

対応レベル:フリーlv

難易度:普通

成功報酬:0 G 39 C

参加人数:6人

サポート参加人数:-人

冒険期間:03月25日〜03月28日

リプレイ公開日:2005年03月30日

●オープニング

「く、悔しい〜! なんであたしが玄武なんかに負けなくちゃいけないのよっ!」
 納得の行かない様子で愚痴をこぼし、朱雀が不機嫌な表情を浮かべて玄武を睨む。
 京都行きの冒険者達を雇って膏薬の輸送を頼んでいたのだが、途中で河童忍者達の妨害に遭ったため朱雀と白虎の膏薬は京都で売る事が出来なくなったらしい。
「まあまあ、落ち着いて。これも勝負のうちだから‥‥。ここで愚痴を言っても仕方がないわ。 私達の膏薬は数が多かったのにも関わらず、京都まで運びきれなかったんだから‥‥」
 いまにも玄武を殴りそうな朱雀を引き止め、白虎が苦笑いを浮かべて溜息をつく。
 最近、朱雀は悪い事が続いている事もあり、ちょっとした事でも怒りやすくなっている。
「どうしてそんなにのほほんとしてられるの! コイツは落ちこぼれの河童モドキなのよ! まったく信じられないわ」
 玄武の顔を何度も指差し、朱雀が不満げに文句を言う。
「つーか、お前も人間だろうがっ!」
 朱雀の胸をムンズと掴み、玄武がジト目で彼女を睨む。
「こ、この変態がっ!」
 予想外の出来事に驚き、朱雀が玄武の股間を蹴る。
「イテェな! だいたい何で俺ばっかり責められなきゃなんねえんだよ! 青龍だって京都で膏薬を売るんだぜ!」
 涙目になって股間を押さえ、玄武が納得の行かない様子でゴルゴを指す。
「俺を呼ぶ時は‥‥ゴルゴと呼べ!」
 すぐさま玄武の喉元に刀を押し当て、ゴルゴが瞳をギラリと輝かせる。
「そういう問題じゃないと思うけど‥‥」
 苦笑いを浮かべながら、白虎が大粒の汗を流す。
 何処からツッコんでいいのか分からないため、ほとんど放置状態である。
「とにかくアンタは別格なの! このエロ河童っ!」
 玄武の頭をポカンと殴り、朱雀がベェッと舌を出す。
「さっきモドキって言ったろうがっ!」
 頭の皿がズレたため、玄武が彼女の胸倉を掴む。
「いい度胸じゃない! やってやるわ!」
 朱雀もブチ切れているためか、玄武に対して容赦がない。
「まったく騒がしい奴らだな。のんびり酒も飲む事が出来ん」
 一人寂しく酒を飲み、ゴルゴが気まずく視線を逸らす。
 もともと賑やかな場所は苦手なため、早く何処かに行きたいらしい。
「せっかく親睦会をやるのにね」
 麒麟衆から届いた書状を見つめ、白虎がニコリと微笑んだ。
「‥‥くだらんな。五輪祭にする事じゃないだろ」
 呆れた様子で溜息をつきながら、ゴルゴが一気に酒を飲み干した。
「噂じゃ、麒麟衆の審判が度重なるミスを犯したから、お詫びの意味も込めてやるそうよ。たまにはいいんじゃない? ‥‥相手の手の内も探れるしね」
 含みのある笑みを浮かべ、白虎がゴルゴの杯に酒を注ぐ。
 まるでゴルゴの心を探るかのように‥‥。
「‥‥恐ろしい女だな」
 警戒した様子で白虎を睨み、ゴルゴが酒をクイッと飲む。
「それはお互い様じゃない」
 そして白虎はクスリと笑い、扇子で顔を隠すのであった。

●今回の参加者

 ea0042 デュラン・ハイアット(33歳・♂・ナイト・人間・ビザンチン帝国)
 ea0489 伊達 正和(35歳・♂・侍・人間・ジャパン)
 ea2476 南天 流香(32歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 ea2557 南天 輝(44歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea2722 琴宮 茜(25歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 ea5927 沖鷹 又三郎(36歳・♂・僧兵・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

●白虎衆
「そういや、この間は助かった。‥‥流石だな。河童界で信用されていたおかげで、あの時に頼って正解だったよ」
 白虎の荷物持ちとして買い物に参加し、南天輝(ea2557)がクスリと笑って横を歩く。
 他の参加者は気を使ったのか、彼女の買い物には来ていない。
「ふふっ、助かったわ。こんなに逞しいヒトが来てくれて‥‥。これが真夜中だったら危なかったけどね」
 輝の身体に寄り添うようにしながら、白虎が冗談交じりに微笑んだ。
「俺が狼になるって事か? ‥‥安心しろ。きちんと段階を踏むさ」
 爽やかな笑みを浮かべ、輝が白虎にむかってウインクした。
「‥‥楽しみにしておくわ。もし口説く事があったら、薔薇の花束を持ってきてね。もちろんムードのある場所で♪」
 今までにないほど幸せそうな笑みを浮かべ、白虎が一瞬だけ寂しそうな表情を浮かべて無言になる。
 河童が人間に恋する事など許されない事だが、どうしても惹かれてしまうらしい。
「ああ、参考にしておくよ」
 白虎に気持ちを察したのか、輝が小さくコクンと頷いた。
「これからも私の力になってね。色々な意味で期待しているから‥‥」
 瞳をわずかに潤ませ、白虎がニコリと微笑んだ。
 まるで自分の弱さを隠すかのように‥‥。

●朱雀衆
「いまいち振るわない成績。麒麟衆の度重なる失態。これはまた厄祓いでもしてもらった方が良いのではないか?」
 朱雀が待ち構えているお仕置き部屋に訪れ、デュラン・ハイアット(ea0042)が険しい表情を浮かべて腕を組む。
 お仕置き部屋には様々な道具が置かれており、専用のコスチュームに身を包んだ朱雀がデュランに無言で首輪をはめる。
「そんな事よりやるべき事があるだろう。まぁ、ここに来た以上、逃げる気はないが‥‥。お仕置きがしたいのなら好きにしろ。だが、その前に言いたい事は言わせて貰うぞ」
 持参した酒をグイッと飲み干し、デュランが口元を拭って朱雀を睨む。
「‥‥いいわ。聞いてあげる。その代わり下らない事を言ったらお仕置きよ」
 含みのある笑みを浮かべ、朱雀がデュランの頬を撫でる。
「ああ、覚悟は出来ている。ところで最近、メンバーの集まりが悪い時があるな。まあ、私自身も忙しいので文句は言えんが、如何にも選手層が薄すぎる。人手不足の時は勧誘でもしてみるか?」
 まったく動揺する事なく、デュランがクールに答えを返す。
「スカウトならあなたに任せるわ。噂じゃ、かなりの人脈があるそうじゃない。期待しているわ」
 事前に情報を調べていたのか、デュランにむかってウインクした。
「そうだな‥‥朱雀。とりあえず、脱げ。大体、お前のキャッチフレーズは『甘い言葉で誘惑するぞ!』だろうが。それが、全くと言っていいほど活かされてない! そこからして、間違ってるというのだ」
 朱雀の色仕掛けに気づき、デュランがクールな表情を浮かべる。
「あなたが次の試練で称号を得たら考えてあげるわ。あたしは強い男の言う事しか聞かない主義なの。例えそれがどんな相手であったとしても‥‥」
 まるでデュランを試すかのような視線を送り、朱雀が怪しくニヤリと笑う。
「‥‥いいだろう。私も褒められるような成績を残している訳ではない。反省する事も多々ある。残りの競技は本気で行かせて貰おう。まあ、任せておけ」
 自信に満ちた表情を浮かべ、デュランが力強く頷いた。
 これからキツイお仕置きが待っているとも知らずに‥‥。

●親睦会
「麒麟衆の連中はあたしに喧嘩を売っているようだねぇ。こんな粗末なものばかり食べさせて‥‥。一番の被害者はあたしなのよっ!」
 麒麟衆の審判がミスして二度も自分の紹介を忘れた事を思い出し、朱雀が不機嫌な表情を浮かべてヤケ酒をあおる。
 朱雀達に出された料理はほとんど冷めており、あまり美味い物とは言えない。
「まぁ、機嫌を直せ。別に品物自体が悪かったんじゃないだろ?」
 懐が痛まない程度に追加で注文を取り、伊達正和(ea0489)が朱雀に料理をご馳走する。
「そうね。だから余計に悔しいのさ! 麒麟衆の予想じゃ、あたしと白虎が勝つはずだったのにぃ〜。ゴルゴは別にいいとして、何で玄武に負けなきゃならないの!」
 酒の勢いに任せ、朱雀がブチブチと愚痴をこぼす。
 よほど玄武に負けたのがショックなのか、藁人形でも打ちに行きそうな雰囲気である。
「負けたんだから文句は言わないの。見っとも無いわよ」
 上品にワインを口に含み、白虎が朱雀の背中を叩く。
「悔しい〜! この屈辱を糧にして、玄武にぎゃふんと言わせてやるんだからっ!」
 朱雀は手拭いに噛み付き悔しそうな表情を浮かべると、手当たり次第に安物の酒を飲む。
「頑張って♪ あら、あなたは‥‥?」
 朱雀の事を慰め、白虎が琴宮茜(ea2722)に気づく。
「おひさしぶりです。しばらくイギリスの方に行っておりました」
 桜柄の京染め着物で登場し、茜がイギリス土産を白虎に渡す。
「まぁ、こんなにたくさん☆ 本当に貰っていいんですか♪ 今度イギリスの土産話も聞かせてくださいね♪」
 白虎は今までに見た事がないほど幸せそうな表情を浮かべ、茜に対して心の底から感謝する。
「もちろんです。そのために持ってきたものですし、こんなに喜んでもらえるとは驚きです」
 まるで少女のように喜ぶ白虎を見つめ、白虎がホッとした様子で溜息をつく。
「ところで白虎衆の河童膏が京で売れなかったとか‥‥。何故でござろうか。あんなに良い物なのに! 世間は見る目がないでござるな」
 悔しそうな表情を浮かべ、沖鷹又三郎(ea5927)が拳を握る。
 白虎の膏薬を運ぶ希望者が多かった事もあり、今回の敗北はどうしても納得がいかないらしい。
「まぁ、京都で販売合戦って言う状況なら、負けたりしなかったと思うわ。白虎の膏薬はジャパンいちぃっよ!」
 瞳をランランと輝かせ、白虎がニコリと微笑んだ。
 河童膏を作るためかなりの資金を投入したため、大粒の涙を浮かべて拳を握る。
「やっぱり貴女も悔しいんじゃない♪」
 嬉しそうに白虎と肩を組みながら、朱雀がゲラゲラと笑って酒を飲む。
「正直言えば悔しいわ。でも、ここで悲しんでいられない。この手に勝利を掴むまでっ!」
 だいぶ酔いが回ってきたため、白虎がだんだん愚痴をこぼしていく。
「まあまあ、落ち着いてくだされ。今日は拙者の奢りでござる。遠慮なく注文して構わないでござるよ」
 苦笑いを浮かべながら、又三郎が白虎にお品書きを手渡した。
「ラッキー! んじゃ、お品書きの端から端までお願いねっ!」
 白虎からお品書きを奪い取り、朱雀がニヤリと笑って右手を上げる。
「‥‥朱雀殿には奢らんでござる」
 落ち込む白虎を慰めながら、又三郎がジト目で朱雀を激しく睨む。
「こ、ここに鬼がいるわ」
 お品書きを抱き締め、朱雀が瞳をウルウルさせる。
 よほど食べたいものがあったのか、決してお品書きを離さない。
「まぁ、お酒が飲めるだけでもいいじゃないですか。少しくらいだったら奢りますよ」
 ほんの少しだけ朱雀に同情し、南天流香(ea2476)がお品書きを渡して微笑んだ。
「んじゃ、これと、これと、これと、これね!」
 流香からお品書きを奪い取り、朱雀が手当たり次第に注文した。
「‥‥少しです」
 朱雀の腕をガシィッと掴み、流香が笑顔でツッコミを入れる。
「じょ、冗談よ。だからそんなに恐い顔をしないで」
 気まずく両手をあげながら、朱雀が青ざめた表情を浮かべて汗を流す。
「あんまり白虎達に喧嘩を売るな。ただでさえ俺達は敵が多いのだから‥‥」
 白虎に軽く挨拶し終え、正和が朱雀の杯に並々と酒を注ぐ。
「こうなったらトコトン飲んでやるわっ! みんな敵よっ! ぷっ倒してやるわ!」
 不機嫌な表情を浮かべ、朱雀がガブガブと酒を飲む。
「今日ぐらいは仲良くしませんか? 本当にご馳走してあげますから」
 朱雀の機嫌を取るため、流香が再びお品書きを手渡した。
「それじゃ‥‥」
「3品までですっ!」
 鋭い視線を朱雀に送り、流香がニコリと微笑んだ。
「‥‥んじゃ、一番高いヤツを上からみっつね」
 全く迷った様子もなく、朱雀がビシィッと注文を決める。
 一瞬、流香が殺気に満ちた表情を浮かべたが、朱雀はわざと気づいていないフリをした。
「よほど飢えているんですね」
 酒をがぶ飲みする朱雀を見つめ、茜が次第に遠ざかる。
「しょうがないでござるな。拙者が何か作るのでござる」
 そんな中、又三郎はまわりの空気を察したのか、食材を抱えて厨房へとむかうのだった。