【初心者依頼】オレの屍を越えていけ
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■ショートシナリオ
担当:ゆうきつかさ
対応レベル:1〜3lv
難易度:やや易
成功報酬:0 G 78 C
参加人数:7人
サポート参加人数:-人
冒険期間:05月17日〜05月24日
リプレイ公開日:2005年05月20日
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●オープニング
これは冒険者ギルドに来るのは初めての新人用の仕事だ。
江戸湾から江戸に続く街道の途中で小鬼達が暴れている。
小鬼達は魚売りの運んでいる新鮮な魚ばかりを狙っており、今までに何度も被害に遭っている魚屋がいるほどだ。
このままでは江戸に魚を運ぶ事が出来ないため、俺達が安心して商売をする事が出来ない。
そこでお前達に魚運びと小鬼退治を依頼したい。
小鬼達は魚の匂いに釣られて魚売りを襲っているらしいから、彼らと同じ格好をして魚を運んでいれば怪しまれる事はないだろう。
そのかわり武器を持っていた場合は怪しまれるから注意しろ。
途中で逃げられてしまったらイタチごっこになるからな。
とりあえず新人冒険者は江戸まで魚を運んで欲しい。
運ぶ奴が多いほどたくさん魚を運べるからな。
今までの遅れを取り戻すくらいのつもりで頑張ってくれ。
人数が足りなかったら、そこらへんにいる先輩冒険者に声をかけて助けて貰ってくれ。
大した稼ぎにならないからと渋るかもしれないが、小鬼退治は楽になる。
魚も大事だが、このままだと被害は一向に減らないからな。
江戸で商売をしている魚屋達の為にも頑張って欲しい。
うまく行けば新鮮な魚料理にありつけるぞ。
●リプレイ本文
●出発
「ふぅ、やっと着いたわ。船、早いのはいいけど揺れるのが難点ねぇ」
青ざめた表情を浮かべながら、時諏佐唯(eb2035)がフラフラと歩く。
船に揺られてここまで来たため、半分ほど魂が抜けている。
「それにしても『初めて』って初々しくていいわねぇ☆ ‥‥といっても、わたくしも皆とそれ程変わりは無いんだけどね」
艶っぽい笑みを浮かべ、東雲魅憑(eb2011)が胸の谷間に鞭を挟む。
男性用の服を借りている事もあり、油断していると胸がポロリと出てしまう。
「あら、ごめんなさいね。わざとやっているわけじゃないんだけど‥‥」
苦笑いを浮かべながら、魅憑がてへっと笑って胸元を隠す。
男性陣は気まずく咳払いをしているが、それほど嫌と言う訳ではないらしい。
「と、とにかく‥‥、コレを運ぶでござる」
目のやり場に困りながら、秋風蓮我(eb2346)が天秤棒を肩に担ぐ。
天秤棒の両端には魚の入った桶がつけられており、これを江戸まで運ぶ事が今回の目的となっている。
「小鬼達に途中で‥‥気づかれないように‥‥しないといけませんね‥‥」
魚屋の格好に着替え終え、鳴海茜(ea0586)が江戸まで続く街道を睨む。
小鬼達が現れる場所は大体わかっているため、途中で気づかれないようにするためなるべく荷物は減らしておく。
「‥‥小鬼か‥‥、面倒だな‥‥」
厳しい表情を浮かべたまま、鷹碕渉(eb2364)が黒樫(馬)に荷物を積む。
魚が腐ってしまうと売り物にならないため、小鬼達を相手にしている暇はない。
「小鬼退治は任せてください。倒すのは困難かも知れませんが、足止めくらいなら出来ますので‥‥」
緊張した様子で深呼吸をしてから、蛍川水仙(eb2410)が残った魚を荷車へと積んでいく。
荷車の場合は小鬼達の奇襲に素早く対応する事が出来ないため、水仙が責任を持って荷車を運ぶ黒樫の護衛をする事になったらしい。
『これでひとまず安心だな。魚は水でも氷でも入れときゃ大丈夫だろ。あっと、箱に白い布巻いとこう! 白と黒は熱がどーたらこーたらだかんな!』
渉に言葉を通訳してもらい、アズラフェル・ドゥヴァ(eb2422)がテキパキと作業をする。
「それじゃ、そろそろ出発しましょうか。氷を買うお金もないし、急がなきゃ‥‥」
荷車から荷物が落ちないようにロープで縛り、唯が仲間達を連れて街道を歩いていく。
少し早足になりながら、江戸の町を目指して‥‥。
●異変
「あれ? 何だか様子がおかしくない?」
街道を歩いている途中で異変に気づき、魅憑が驚いた様子で辺りを睨む。
「えーっと、確か‥‥、二叉の道を左に曲がって‥‥こっちに来たから‥‥あれ? 迷ってない??」
記憶にある道と目の前の光景を重ね合わせ、蓮我が途中で道を間違えたんだと結論づける。
「せ‥‥拙者‥‥じゃなくて! ‥‥俺とした事が‥‥」
悔しそうに唇を噛み締め、蓮我がその場で膝をつく。
「こ、心当たりが‥‥色々と‥‥。やはり俺があの道を右に進んでいれば‥‥」
記憶が芋づる式に蘇り、蓮我がどんよりとした空気を漂わす。
まったく関係ない事まで自分の責任に思えてきたため、だんだん気持ちが悪い方向へと流れていく。
「お、落ち込まないでください‥‥。すぐに戻れば遅れを取り戻す事が出来ますから‥‥」
落ち込む蓮我を慰めながら、茜がボソリと呟いた。
「拙者‥‥いや、俺とした事が‥‥面目ない‥‥。気をひきしめて行くでござるっ!」
拳をギュッと握り締め、蓮我が元来た道を戻っていく。
「‥‥残念だが、そんな雰囲気じゃないようだな‥‥」
積荷を狙って襲撃を仕掛けてきた小鬼を睨み、渉が荷物に紛れ込ませておいた刀を引いた。
小鬼達は腹が減っているのか涎を垂らし、握り締めていた棍棒を力任せに振り下ろす。
「運命とはなんと残酷なものか‥‥」
再びどんよりとした表情を浮かべ、蓮我が落ち込んだ様子で溜息をつく。
「ぐ、偶然ですよ‥‥きっと‥‥」
どんよりオーラを掻き分けながら、茜が苦笑いを浮かべて汗を流す。
蓮我は体育座りでその場に座り、自分の不幸を呪っている。
『とにかく退治しちまうか!』
小鬼達を牽制するようにして弓矢を放ち、ドゥヴァがニヤリと笑って走り出す。
仲間達の逃げる時間を稼ぐため‥‥。
●戦い
「積荷は任せてっ! 小鬼達には指一本触れさせないからっ!」
興奮気味の黒樫を落ち着かせ、水仙が積荷を守る。
小鬼達はいやらしい笑みを浮かべながら、ダラダラと涎を流して魚を狙う。
「ひょっとして‥‥狙われてる!?」
嫌な予感が脳裏を過ぎり、水仙がダラリと汗を流す。
一斉に襲われたら勝ち目がないため、なるべく刺激をしないように両手をあげる。
『大丈夫か? 初依頼で死ぬなよ!』
水仙を守るようにして前に立ち、ドゥヴァが小鬼の脳天を狙って弓矢を放つ。
小鬼は頭を抑えて悲鳴を上げ、恨めしそうにドゥヴァを睨んで倒れ込む。
「えっ? うん‥‥大丈夫」
言葉の雰囲気から何となく意味を理解し、水仙が何度もコクコクと頷いた。
「それにしても‥‥多いわね」
森の中から別の小鬼が現れたため、唯が荷物に隠しておいた短剣を抜く。
小鬼達は迷わず黒樫に飛び乗り、鋭い牙を突きたてた。
「駄目でしょ、おイタをしちゃ! 待ってなさい。お姉さんが可愛がってあげるから‥‥」
胸元から鞭を取り出し、魅憑が妖しくニヤリと笑う。
小鬼は鬱陶しそうな表情を浮かべたが、魅憑の放った鞭が首に絡まり動けない。
「‥‥イイ子ね。でも、悪い事をしたから、ちょっとお仕置きが必要ね」
そのまま鞭を引っ張り、魅憑が小鬼の首を絞める。
小鬼はブクブクと泡を吐き、そのままグッタリと倒れた。
「いまのうちにここを離れるでござるっ!」
春花の術を使って小鬼達を惑わせ、蓮我が黒樫を引っ張り荷車を引いていく。
街道に小鬼がいるせいで荷車が自由に動く事が出来ないため、天秤棒を持った者が先行して進む。
「このままだと‥‥全滅させるのは無理そうですね‥‥」
残念そうな表情を浮かべながら、茜が小鬼の攻撃をかわして急所を狙う。
まともに戦っていたら魚がすべて駄目になるため、荷車に攻撃を仕掛けてきた小鬼を狙って攻撃を放つ。
「‥‥退こう‥‥」
ポイントアタックEXで小鬼の急所を攻撃し、渉がクールな表情を浮かべて刀についた血を払う。
「何だかちょっと悔しいなぁっ!」
荷車を一生懸命になって押しながら、水仙が小鬼達にむかって捨て台詞を吐き捨てる。
小鬼達は奇妙な鳴き声をあげて仲間達を呼んでいたが、渉の放った一撃で首が吹っ飛び噴水のようにして血しぶきをあげた。
『じゃあな。また会ったら相手をしてやるよ』
先頭を走っていた小鬼の体を弓矢で射抜き、ドゥヴァがニヤリと笑って仲間達の後を追う。
はやく魚を届けるために‥‥。