春将軍

■ショートシナリオ&
コミックリプレイ


担当:ゆうきつかさ

対応レベル:フリーlv

難易度:普通

成功報酬:1 G 40 C

参加人数:7人

サポート参加人数:-人

冒険期間:06月05日〜06月18日

リプレイ公開日:2005年06月13日

●オープニング

●春の部屋にて‥‥
「‥‥ふゆよ。祭りでの失態‥‥覚悟は出来ているだろうな?」
 厳しい表情を浮かべて腕を組み、父親『春一番』がジロリとふゆを睨みつける。
 春は冬の村で一番の実力者。
 彼に逆らう者はほとんどいない。
 そのため彼の言葉が掟であり法なのだ。
「‥‥何の覚悟‥‥でしょうか‥‥?」
 かしこまった様子で春を見つめ、ふゆがダラリと汗を流す。
 春の言葉が唐突過ぎて、まったく訳が分からない。
「この大馬鹿者がっ! そんな事も分からんのか! 秋姉さんも草葉の陰で泣いておるぞっ! いちから修行のやり直しだっ!」
 不機嫌な表情を浮かべ、春がふゆを叱りつける。
「ならば乳を揉むのはお止めください。母上が見たら‥‥‥‥キレますよ‥‥」
 春の腕をムンズと掴み、ふゆがジト目でボソリと呟いた。
「父が乳を揉んで何が悪いっ! 乳は揉むためにあるんじゃあああああ!」
 ふゆの胸をムニムニと揉みしだき、春が滝のような涙を流す。
 よほど妻が怖いのか、辺りを妙に気にしている。
「父上‥‥、寒いです」
 クールな表情を浮かべながら、ふゆが春の右手をパチンと叩く。
「‥‥お前も母親に似てきたな。そろそろ自覚したらどうなんだ。お前は息子達の妻となるオンナだぞ」
 ふゆの肩をガシィッと掴み、春が真剣な表情を浮かべて呟いた。
「兄妹同士で結婚など‥‥あり得ませぬ」
 気まずい様子で視線を逸らし、ふゆが青ざめた表情を浮かべて答えを返す。
 常識的に考えても、兄妹同士はあり得ない。
「‥‥腹違いの兄妹だ。それほど気にする事じゃない」
 当然とばかりに答えを返し、春が怪しくニヤリと笑う。
「考えてもみてください。私も含めて兄妹は何人いると思っているんですか!」
 このままでは埒があかないと思ったため、ふゆが別の方向からツッコミを入れる。
「‥‥46人だ。あとひとり増えたら討ち入りが出来るな!」
 豪快な笑みを浮かべながら、春が軽くシャレを言う。
 それだけあちこちの女性に手を出したという事だが、息子はみんな春に似ているところがとても怖い。
「秋姉さんと私の分を差し引いても44人ですよっ! 常識的にもあり得ませぬ! そんな事だから秋姉さんは家を出たんですっ! それがなぜ分からないのですかっ!」
 春の事を叱りつけ、ふゆが瞳を潤ませる。
「‥‥確かに不吉な数字じゃのう。‥‥もうひとり作るか?」
 真剣な表情を浮かべ、春がふゆの肩をぽふりと叩く。
「そ、そう言う問題じゃありません!」
 身の危険を感じながら、ふゆが嫌々と首を横に振る。
「お前だって金髪の家族が欲しいだろ。何なら緑色の子でもいい」
 妄想をムクムクと膨らませ、春が怪しくニヤニヤと笑う。
 ‥‥どうやら外で子供を作るらしい。
「父上‥‥、河童と子作りは出来ませぬ」
 別の意味で春の事が心配になり、ふゆがクールにツッコミを入れた。
「わしの種を甘く見るな! 今まで百発百中じゃ!」
 歴戦の戦士らしい表情を浮かべ、春が拳をギュッと握り締める。
 どうやら春にとって種族の違いは全く問題のない事らしい。
 もちろん、子供が出来る事はないのだが‥‥。
「‥‥とにかく私は村を出ます。それが約束だったはず‥‥。こんな馬鹿げた事に付き合ってはいられません」
 色々な意味で常識外れな春に呆れ、ふゆが溜息をついて立ち上がる。
「‥‥ならば、この村から江戸の町まで逃げる事が出来たら、お前を自由にしてやろう。もちろん冒険者達を雇ってもかまわない。ただし、途中でわしに捕まるような事があれば‥‥分かっているな」
 ‥‥江戸の町まで逃げる事。
 それが自由になる条件である。

●今回の参加者

 ea0031 龍深城 我斬(31歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea1628 三笠 明信(28歳・♂・パラディン・ジャイアント・ジャパン)
 ea2605 シュテファーニ・ベルンシュタイン(19歳・♀・バード・シフール・ビザンチン帝国)
 ea3082 愛染 鼎(32歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea3823 設楽 葵(30歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea5164 大曽根 浅葱(28歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 eb0334 太 丹(30歳・♂・武道家・ジャイアント・華仙教大国)

●リプレイ本文

●逃亡者
「はあはあはあ‥‥」
 ふゆは走っていた。
 父親である春一番から逃れるため‥‥。
 信頼できる愛馬である黒王号の背中に乗り‥‥。
「ここまで逃げれば‥‥父上も‥‥追ってくる事は‥‥出来ないはず‥‥」
 荒く息を吐きながら、ふゆが後ろを振り返る。
 春が追って来ていない事を自分の目で確かめるために‥‥。
「甘い、甘いぞおおおおおおおおおおお! わしから逃れようなど100年早いっ! かもーん! 黒王号っ!」
 瞳をキュピィーンと輝かせ、春一番がただならぬオーラを漂わせる。
 それと同時に黒王号の目が光り、己の魂を震わせ会話をし始めた。
「ば、馬鹿な! 黒王号と私は一心同体! いくら父上の命令と言えども聞くはずが‥‥な‥‥い‥‥」
 黒王号から振り落とされ、ふゆが信じられない様子で汗を流す。
「だから貴様は甘いのだっ! 黒王号も所詮は雄! 雌馬の艶絵でも見せれば、ほれ! この通り‥‥」
 邪悪な笑みを浮かべながら、春が怪しく口元を歪ませる。
 黒王号は雌馬の艶絵に心を奪われ、まったくふゆを気にしていない。
「し、信じていたのに‥‥。これだから男は信用できんのだっ!」
 大粒の涙を浮かべながら、ふゆが背をむけ走り出す。
 あらゆる束縛から逃れるため‥‥。

●第一の障害
「むっ‥‥、そのパールのごとき頭は春一番殿っすね!」
 ふゆを追って現れた春一番の姿に気づき、太丹(eb0334)が彼の前に立ち塞がり鬼の褌を締めなおす。
「‥‥面白い。たったひとりでわしの相手をするつもりか」
 土煙を上げて立ち止まり、春が厳しい表情を浮かべて太を睨む。
 ‥‥緊迫した空気。
 最初に動いたのは‥‥春だったっ!
 春は黒王号を嗾け太にぶつけ、彼が油断した隙に頭を踏みつけ飛び上がる。
「ひ、卑怯っすよ!」
 悔しそうな表情を浮かべながら、太が黒王号の身体を掴んで春を睨む。
 黒王号はふゆを捕まえた暁には雌馬界のトップアイドルとして君臨する雌とお見合いが約束されているため、鼻息を荒くしながら太を押し倒す勢いで地面を蹴る。
「ぬわっはっは! それこそ最高の褒め言葉っ!」
 勝ち誇った様子で笑みを浮かべ、春が拳をギュッと握り締めた。
「自分を甘く見たら、痛い目を見るっすよ!」
 黒王号の攻撃を受け流すようにして横に避け、太がクールな表情を浮かべて春を追う。
 そのため黒王号は勢いあまって春にぶつかりそうになったため、そのまま必殺のパンチを食らって気絶した。
「ぐぬ‥‥、やるな」
 拳を前に突き出したままニヤリと笑い、春が険しい表情を浮かべて太を睨む。
 何とか黒王号の直撃は免れたが、右腕が痺れて思うように動かない。
「まだまだっすよ!」
 次の瞬間、太のパンチが炸裂する。
 ぶつかり合う拳と拳。
 あまりの気迫に春の纏っていた胴着がビリビリと破れる。
「こ、小僧っ!!!!」
 雄たけびを上げて全身の気を爆発させ、春が太の腕をギュッと掴み、そのまま空にむかって投げ飛ばす。
「牛角拳を食らえっす!」
 しかし、太は投げられた反動を使って近くの木を蹴り、そのまま春にむかって牛角拳を放とうとする。
「笑止っ! どんなに破壊力の高い技であっても、当たらなければ意味がないっ!」
 くわった表情を険しくさせ、春がアッパーカットで反撃した。
「‥‥戦いとは‥‥実に空しいものよのぉ‥‥」
 青空の星となった太に背をむけ、春が涙を流して腕を組む。
 少しやり過ぎたと反省しつつ‥‥。

●第二の障害
「‥‥予定通りね。このままなら逃げ切れるわ」
 一心不乱で走り続けるふゆを見つけ、設楽葵(ea3823)がホッとした様子で溜息をつく。
 まわりに春の姿が見えないため、何とか足止めに成功したようだ。
「ふゆさんも‥‥色々と大変ですねえ‥‥。わたくしの周りも、変な人が多いですけど‥‥」
 しみじみとした表情を浮かべ、大曽根浅葱(ea5164)が苦笑いを浮かべて呟いた。
「とりあえず春一番なる人物から、ふゆという女性を守る事が目的じゃな。聞く所によると春一番は欲望のままに生きる人物と聞く‥‥。うちは助平な者が好みじゃ。自分の本能に正直で、逞しい男というなら尚更じゃ」
 普段よりおめかしして花魁衣装に身を包み、愛染鼎(ea3082)がウットリとした表情を浮かべて妄想をモクモクと膨らます。
「でしたら‥‥不本意ですけれど、私たちがその‥‥春一番さんを‥‥足止めしないと‥‥いけませんね‥‥」
 サラシの胸元を気にしながら、浅葱が恥ずかしそうに呟いた。
「ぬははははっ‥‥! 匂うぞ! 我が娘の匂いっ!」
 豪快な笑みを浮かべながら、春がふゆの通った後を走る。
 まだ浅葱達には気づいていないが、興奮した様子で辺りをキョロキョロと見回した。
「ほぅ‥‥、あれが春一番か。随分と立派なモノを持っているようじゃのう‥‥」
 恍惚とした表情を浮かべ、鼎がペロリと舌を出す。
 だんだんムラムラとしてきたのか、次第に息が荒くなっている。
「それじゃ、そろそろ始めましょうか」
 小悪魔的な笑みを浮かべ、葵が浅葱のサラシを強引に奪う。
「‥‥きゃうん! 葵お姉さま! いきなり何を!?」
 悲鳴を上げた瞬間、後ろから葵に抱きつかれ、浅葱が胸を揉まれて悲鳴を上げた。
「ぬおっ‥‥、これはっ!」
 浅葱の甘く切ない声を聞き、春が急ブレーキをかけて戻ってくる。
「あら、素敵なおじ様‥‥よかったら、一緒に‥‥どう?」
 浅葱を捕まえたまま互いの着物を肌蹴させ、葵が彼女と絡み合うような仕草を見せた。
「はぅぅぅ‥‥」
 葵に胸を掴まれたまま、浅葱が気まずく視線を逸らす。
「何を恥ずかしがっているの? これからもっと恥ずかしい事をするって言うのに‥‥」
 浅葱の耳元で囁きながら、葵が妖しくニヤリと笑う。
「えっ‥‥、ええっ!?」
 自分が置かれている立場を理解し、浅葱が顔を真っ赤にさせた。
 春のソレが戦闘体勢に入っているため、浅葱があたふたとしながら目を回している。
「貴様ら‥‥、怪しいな」
 瞳をギラリと輝かせ、春が浅葱をジロリと睨む。
「だったら確かめてみない? 本当に怪しいか、どうかを‥‥ね」
 春の胸元に指を這わせ、葵が甘い吐息を吐きかける。
「‥‥春殿、うちはお主の事を気に入った。うちを愛人にせぬか‥‥。他の女以上の快楽をお主に‥‥」
 いやらしく服を脱ぎ捨て一子纏わぬ姿になり、鼎がいきなり春と濃厚な口付けをかわす。
「ぬおおおおおおおおおっ! もう辛抱できん!」
 次の瞬間、春のリミッターがぷちんと外れ、鼎達の服をビリビリと破っていく。
「お、奥さんが見てますよぉ〜」
 ‥‥そして浅葱の悲鳴が森の中に響き渡る。

●第三の障害
「はぁはぁ‥‥、ここまで来れば大丈夫だな」
 荒く息を吐きながら、ふゆがポタポタと汗を流す。
 暑い中をずっと走っていたため、彼女の体力も限界に達している。
「あら、ふゆ様お久しぶりですわね♪」
 含みのある笑みを浮かべ、シュテファーニ・ベルンシュタイン(ea2605)がふゆに手拭いを渡す。
「この手拭い‥‥。妙な薬とかが染み込んでいないだろうな」
 警戒した様子で手拭いの匂いを嗅ぎ、ふゆがジト目で彼女を睨む。
 以前の事を根に持っているのか、やけにシュテファーニの事を怪しんでいる。
「そんな訳ないじゃないですかぁ〜。今回はふゆ様の味方ですわ♪」
 瞳をキラキラと輝かせ、シュテファーニがニコリと笑う。
「えーと‥‥、なんというか苦労してきたんだな、嬢ちゃん。まー、我々で何とかするから、気を強くもってな」
 同情した様子でふゆを見つめ、龍深城我斬(ea0031)がぽふりと肩を叩く。
 彼は春一番を足止めするため、背中には小型の大仏を背負ってちゃぶ台を抱え、頭に鷹を止まらせ軍馬を引き連れてきたのだが、あまりのシュールさにふゆがさらに警戒心を強めている。
「流石に河童や自分の娘にまで手を出そうとする変態親父は危険なので、ここでトラウマになるまでしっかりと叩いて懲りさせる事にします。後の事はお任せください。念のため春一番の奥様がどんな外見をしているか教えていただけますか?」
 真剣な表情を浮かべながら、三笠明信(ea1628)がふゆとボソリと呟いた。
「信用してるぞ。‥‥さらばだっ!」
 母親の特徴を手短に話し、ふゆが明信達に別れを告げる。
 彼女のむかう先にあるのは江戸。
 明信達もよく知っている町に彼女は行く。
「逃がすかああああああああああああああああああああ」
 雄たけびを上げて両手を伸ばし、春がふゆの事を追いかける。
 鬼神の如く勢いで、ギラギラと瞳を血走らせ‥‥。
「やはり‥‥太さんは‥‥春一番に‥‥」
 青空に浮かぶ太の笑顔を見つめながら、明信がうっすらと涙を浮かべて呟いた。
 一応、太は元気にピンピンしているが、その情報は明信達にまだ伝わっていない。
「クッ‥‥、ここまでか」
 悔しそうな表情を浮かべ、ふゆが拳をギュッと握る。
「貴方様などにふゆ様を捕まえさせないですわ!」
 グルグルと春のまわりを飛びまわり、シュテファーニが彼の頭をポカスカと叩く。
「小さくたって、わしは容赦せんぞ!」
 シュテファーニの身体をムンズと掴み、春がいやらしい笑みを浮かべて呟いた。
 ここに来る途中で随分といい思いをしたのか、春の身体からほんのりと甘い香りが漂っている。
「散々妨害を受けてきたはずなのに‥‥やけに元気だな。とにかく兄弟同士の結婚はマズイだろ。‥‥って聞けや、オッサン」
 春がシュテファーニの服を脱がそうとしていたため、我斬が不機嫌そうな表情を浮かべてツッコミを入れた。
「わしの楽しみを邪魔するとは‥‥よほど死にたいようじゃのぉ!」
 邪悪な笑みを浮かべながら、春が攻撃の構えをとる。
「人の話を聞かないと奥さんにどやされるぞ。‥‥いや、嘘じゃない。案外その辺に居たりして‥‥」
 わざと大声を出して春に気づかせ、我斬が怪しくニヤリと笑う。
「何っ‥‥、妻が!」
 一瞬、怯えた表情を浮かべ、春が心配した様子で辺りを睨む。
「‥‥あなた。こんな事をしたら、どうなるか事ぐらい‥‥分かっているわよねぇ?」
 春が視線を逸らした瞬間、シュテファーニがイリュージョンを使い、明信を春の妻へと変身させる。
 明信は般若の如く厳しい表情を浮かべているが、春の視線はイリュージョンによって変化した彼の胸に釘付けだ。
「辛抱たまらん!」
 恐怖と性欲を天秤にかけ、春が欲望のまま明信を襲う。
「ん、んな!?」
 いきなり押し倒されたため、明信が青ざめた表情を浮かべて抵抗する。
「つくづく変態野郎だな。飛旋、突け。我王丸、轢き飛ばせ」
 鷹と軍馬に命令を下し、我斬が春を空高くまでふっ飛ばす。
 春は全神経を下半身に集中させていたため、まったく受け身がとれずに宙を舞う。
「悪く思わないでくださいね」
 危うく貞操まで奪われそうになったため、明信が落下してきた春を本気でぶん殴る。
「ぬおおおおおお‥‥」
 天高くまで吹っ飛ばされ、春が驚いた様子で雄たけびを上げた。
 それと同時にシュテファーニが上からタックルを浴びせ、春を我斬のいる場所へと落下させる。
「空の彼方まで‥‥飛んでいきやがれ〜〜〜」
 すぐさまちゃぶ台を構えて春を狙い、我斬がフルスイングで空の彼方までふっ飛ばす。
 二度と復活しない事を祈りつつ‥‥。
 ちゃぶ台に願いを込めて‥‥。

●コミックリプレイ

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