Endless Summer

■ショートシナリオ


担当:えりあす

対応レベル:フリー

参加人数:4人

サポート参加人数:-人

リプレイ公開日:2005年09月14日

●オープニング

「何か、大きい事やりたいね」
 あるサークルで誰かがこんな発言をした。
 この何気ない一言が、関東圏のサークルを巻き込む一大プロジェクトに発展するなど、誰が想像しただろうか。


 ――200X年夏
 関東圏の学生サークルが中心となり、合同イベント『Midnight Summer Rave 200X』が開催されることになった。
 このイベントは、都内の大箱クラブを借りて行われる大型クラブイベントである。
 参加サークルは50を超え、この夏最大の学生パーティーとして大きな注目を集めていた。

 しかし、実行委員会である君達は期待と共に、大きな不安があった。
 今まで、学園祭や複合レジャー施設のカラオケルームを借りて小さなイベントをプロデュースした事はあるが、これほどまで大きなイベントというのは全く経験が無い。
 大きなプレッシャーを背負いつつも、何とかここまでやってこれた。
 だが、まだやるべき事は沢山残っている。
 イベントが成功するかどうかは、これからの君達の活動にかかっているのだ!
『Midnight Summer Rave 200X』開催まで僅かな時間しか残されていない。
 この夏、一番大きな思い出をこの手で作ろうじゃないか!

●今回の参加者

 ea1458 リオン・ラーディナス(31歳・♂・ファイター・人間・ノルマン王国)
 ea2269 ノース・ウィル(32歳・♀・神聖騎士・人間・イギリス王国)
 ea8214 潤 美夏(23歳・♀・ファイター・ドワーフ・華仙教大国)
 eb1155 チェルシー・ファリュウ(25歳・♀・ファイター・人間・ノルマン王国)

●リプレイ本文

●17:10 ――Staff room
「わぁ〜、すごい人の数ねぇ。こんなにたくさん人が来るなんて。忙しくなりそうだね」
 クラブのスタッフルームの窓から外を眺めたチェルシー・ファリュウ(eb1155)が、列を作る参加者の数に驚く。参加するサークルの数が50を超えるとなると当然、規模が大きくなり、それに比例して参加者も増える訳だ。
「すげーよな。これだけの人が一斉に踊るところを考えると」
 リオン・ラーディナス(ea1458)がチェルシーと一緒に外の様子を覗いた。
 クラブはメインストリートの裏通り、ビルの3階。周辺は居酒屋やバーが多いが、今日は日曜日。営業している所は少なく、人通りも無い。大人数が列を作っていても、放っておいて問題はないだろう。そもそも、そこまで人手が回るような状況ではないが。
「さてっと、音響のテストでもしようかな。オレのマイクパフォーマンスで盛り上げてやるゼ!」
「あたしは、受付の手伝いでもしようかな。人が多くて大変そうだしぃ」
 2人はそれぞれの仕事に戻った。
 当初、リオンはフリードリンクのチケットを配る予定だったが、クラブのバーの売り上げもある為、打ち合わせの結果、入場チケットに1ドリンクが付く事になった。また、イベントで入場者に短冊を渡して願い事を書いてもらう事になっていたが、スタッフの人数的に厳しいと言う事で、短冊型のチケットに直接願い事を記入してきてもらうという形に落ち着いた。幸いにも、前売りチケットはDJのミックスCDが付くという事でほぼ完売しており、回収出来る数も多いだろう。
「おっと、大変そうだな。手伝うよ」
「これは、リオン殿。すまぬな、助かる」
 DJブースに大量のアナログを運んでいるノース・ウィル(ea2269)を手伝うリオン。
「うわっ! これ、重いな」
 ノースからレコードバッグを受けとったリオンはその重さに驚いた。
「やっぱり、DJって大変なんだなぁ‥‥」
 効率よく準備を進めるノースをチラリと横目で見つつ、リオンが呟く。
 セッティングが終わると、リオンはポケットから短冊型チケットを取り出した。
「‥‥はぁ、オレも未練がましい男だねぇ‥‥」

●17:30 ――Open
 イベントのスタートは18時だが、入場は17時30分から可能となっている。オープンと同時に沢山の学生が流れ込んで来た。
「はーい、受付はこちらでーす」
 チェルシーは受付で短冊型チケットを回収し、ドリンクチケットを渡していく。
「みんな、考える事は一緒ですわね‥‥」
 回収されたチケットを見て潤美夏(ea8214)が呟く。
 チケットに書かれている事と言えば‥‥

『彼氏が欲しい!』
『もてたい!』
『最後の夏、いい出会いがありますように』

「まぁ、学生中心のイベントですからね‥‥」
 美夏は回収したチケットを持ってブースに向かった。
「あ、あと、随時短冊の受付はいたしますわ。もし、書きたいという人がいらっしゃいましたら持ってきて下さいね」
「は〜い。わかったよ〜。わたしも書いていいかな?」
「いいですわよ?」
「じゃぁ‥‥」
 チェルシーは少し悩んだが、素早く予備の短冊に願い事を書いていく。
 そこには『おねーっちゃんをまもりたい』と、書かれていた。

●17:45 ――Dance floor
「ふむ‥‥予想以上に盛況だな‥‥どういう選曲で行くか‥‥」
 イベント開始前だが、フロアには既に沢山の人が入ってきていた。ノースはBGMにクラブジャズやR&Bを流し、嵐の前の静けさを演出する。
「アレ? キミ、どこのサークルの娘? こんなカワイイ娘どこかにいたっけ〜?」
 その頃、リオンはフロアに出てナンパをしていた。
 さて結果は‥‥。


●18:00 ――『Midnight Summer Rave 200X』Start
「よし、これで吹っ切れた。もう、これで恐れる事は無い!」
 缶ビールを片手にマイクを持ってステージに上がるリオン。どうやらナンパは失敗したようだ。
「夜更かし辞さないナイスな皆様こんばんわッ。今夜は手加減無く騒げるショータイムにご招ー待! 盛り上げるのはDJノース、VJ潤、そして、MCはリオンでいくんでヨロシクッ! Welcome to the Midnight Summer Rave 200X! Let’s Go!」
 右手にマイク、左手に缶ビールという前代未聞のスタイルでMCをするリオン。
 既にフロアは超満員で、歓声も大きくなっていく。
「やれやれ‥‥」
 リオンのMCを受けてノースはオープニングナンバーをプレイ。
 プレイされてのは、今話題の洋楽ナンバーのトランス・リミックス。独特の空耳が特徴で、バライティー番組でも取り上げられている事から知名度が高い。このナンバーがプレイされると同時にフロアでは壮絶なお立ち台の取り合いが始まった。
「うわぁ、こんなの初めて見るよ」
 チェルシーは初めて見るダンスフロアの光景に驚きを隠せない。
 全員一緒の振り付けで一心不乱に踊る様子は圧巻だった。いわゆるパラパラである。パラパラと言ってもユーロビートだけではない。トランスでもパラパラが存在し、俗に『トラパラ』と呼ばれている。
「いきなり、盛り上がってますわね。最後まで体力持つのかしら」
 初っ端からヒートアップしているフロアの様子を見て美夏がMCを入れる。
 そして、曲に合わせて空耳フラッシュの映像を流すと、フロアはさらに盛り上がった。
「みんな、気合入れて踊ってるね! オレも気合入れて飲んで踊るゼ! イェーイ!」
 リオンも手にした缶ビールを飲みながらトラパラを踊り、フロアを煽っていく。美夏も巨大モニターで綺麗なムービーから抽象的な絵まで幅広いビジュアルを表現。やはり、トランスに映像は付き物である。暫くこの状況は続き、フロアはオーバーヒート寸前になった。
「元気だな。でも、ひとまず休憩だ」
 ノースはサウンドをチルアウトに切り替えた。それと同時に熱狂的だったクラウドの熱が一気に冷め、フロアから一斉に消えていく。
「ダンスミュージックにもいろいろなジャンルがある。パラパラだけでなく、たまにはこういうので踊ってみてはどうかな?」
 ノースは様々なジャンルのナンバーをプレイ。ダンスクラシックからハウスといった定番から、2ステップ、スピードガラージ、ハッピーハンドバッグといった過去にイギリスでムーヴメントとなったジャンルまで幅広い。だが、なかなか今回の客層には受け入れてもらえないようだ。
「では、お待ちかねのユーロビートタイム! エンジン全壊で逝くぜ!」
 リオンのMCを受けてユーロビートタイムに突入。待ってましたと言わんばかりにフロアにクラウドが雪崩れ込む。客層を見ると、先程のトランスとは踊っている人が違うのが面白い。
「普通のユーロだけでは面白くないだろう。このナンバーはどうだ?」
「ノースと言えば撃沈確定のあのナンバー! ついてこれるかなっ!」
 ユーロで盛り上がるフロアにノースが新たなナンバーを投入。それは、アミューズメント・センターで稼動している音楽ゲーム‥‥いわゆる『音ゲー』に収録されているナンバー。このナンバーにもパラパラが付いている曲があり、これは複合レジャー施設のカラオケルームを貸し切って行っているイベントでは定番のナンバーだった。
「どこで振り付け憶えているのでしょうね。次はアニパラですわ」
 美夏は社会的現象まで発展したSFアニメのオープニングを流した。同時にノースはそのテーマソングのユーロビート版をプレイ。一部で激しく盛り上がる。
「を、フロアにミステリーサークルがっ!」
 一部だけで盛り上がると、必然的に輪になって踊り始める。その様子をリオンがそう表現し、フロアを煽る。
「次はパラ講だ。みんな、しっかり憶えてくれ」
 ノースはサウンドを止め、パラパラ講習会の用意を始めた。
「ダンサーはチェルシー! 今回は簡単だから、すぐに憶えれるよ」
「ちょっと自信ないなぁ」
 リオンに呼ばれたチェルシーがステージに上がった。
「では、イントロから始めるよ。1、2、3、4‥‥」
 講習会が始まると、美夏はその様子をライブカメラで中継し、巨大モニターへと映す。
「AメロからBメロはすぐに憶えれたよね? サビは右、右、左、左、両手を上げてハイヤー。じゃあ、最初から通して踊ってみよう!」
 チェルシーがノースに曲のスタンバイを合図する。振り付けも簡単なナンバーだった為、全員がすぐに憶えて踊る事が出来た。フロアを埋め尽くすクラウドが一斉に踊る様子は圧巻であった。
 そこからは定番から最新ヒットまで盛り上がり必死のナンバー中心にプレイされ、フロアは再び絶頂を迎える。
「レッドゾーン突入か? いや、ここからはクールダウンだ」
 ノースはドリーム系から哀愁系へ繋げていく。そして、最後はアコースティック・バージョンをプレイし、ユーロビートタイムを締めくくる。
「では、ここでみんなに書いてもらった短冊の願い事を紹介しますわ」
 美夏は巨大モニターの映像を消し、フロアの天井に光学式家庭用プラネタリウムで星座を映す。同時にフロアに飾られた大きな笹をライトアップし、雰囲気を出す。
「みなさん、学生という事で恋愛の事が多いですわね。その中でも、ちょっと気になった願い事をご紹介‥‥えぇと、『カワイイ女の子の彼氏になりたい』。何か、『カワイイ女の子』の前に書き直した形跡があるのですが、暗くて読めませんね。一体、誰なのでしょうか」
 美夏の紹介した願い事にクラウドから『おぉ〜』と声が上がる。
「ハハハ‥‥誰だろう」
 リオンはとぼけつつ、表情に乾いた笑いを浮かべた。
「もっと気になる願い事がありましたわ‥‥紹介していいのかしら?」
 美夏がクラウドに問うと、『紹介しろ!』と大声で返ってくる。
「では、ご紹介いたしますわ‥‥『普段はおちゃらけているが、やるときはしっかりとやるリオン殿、大好きです、付き合ってください』‥‥実名ですわね、リオンさん?」
「え、えぇぇぇぇぇぇ!!!」
 美夏が読んだ短冊には衝撃的な事が書かれていた。それは、リオンへの告白。本人はあまりにも突然だったので声が出ない。クラウドからは大『リオン』コールが湧き上がり、リオンはフロアの中心へと引きずり込まれる。
「‥‥リオン殿の為にこのナンバーを」
 ノースは赤面しつつ次のナンバーをプレイ。ジャンルはテクノ。テクノと言っても、一般に認知されているものではなく『ハイパーテクノ』と呼ばれるよりスピーディーでアグレッシブなテクノだ。ハイパーテクノにもパラパラは存在し、『テクパラ』と呼ばれる。大『リオン』コールからフロアはさらに白熱した展開へシフトした。
 こうして、パーティーは深夜まで続く。
 Endless Summer‥‥それぞれの思い出を胸に夜は更けていく。