桃色前線−だって春だから☆

■ショートシナリオ


担当:幸護

対応レベル:フリー

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

リプレイ公開日:2005年04月14日

●オープニング

 2005年、日本。
 心が寒くたって季節は春。
 今年になってカレンダーを捲ったのは三度目だ。
 目に飛び込んできたのは青空の下、見事に咲き乱れる桜の写真。
 空の青と淡い桜色のコントラストが旅心をくすぐる。
 ぽかぽか春の陽気に誘われて、一人旅なんてのもオツじゃないか。
 もちろん仲間とだって恋人とだって、楽しければオールオッケィ!
 春といえば、日本人ならやはり桜であろう。

“吹く風を 勿来の関と 思へども 道も狭に散る 山櫻かな”

 と詠んだのは源義家だったか。
 福島県いわき市の『勿来の関』といえば念珠ヶ関、白河の関と共に奥州三古関と呼ばれており、3200本もの桜が植えられた桜の名所である。
 桜の開花には少し早いだろうか‥‥けれど折角なら綺麗な桜を見たいのが人情ってもの。
 
『そうだ、福島いこう!』

 こうして思いつくまま列車に飛び乗って、春の一日が始まろうとしていた――。

 ところがどっこい。
 福島県には『PSS団』と名乗る、謎の集団がいるそうな。
 正式名称は『ピーチフル死ね死ね団』――ピーチフルな空気を断固として許さない、要するに“力の限りモテない哀れな者達の傍迷惑な組織”だ。
 そんな彼等が、カップル達の桃色汚染(←彼等視点)警報場所を見逃すはずもなく、否が応にも珍バトルの予感に悪寒に、ある意味壮観。

 って事で楽しい花見にれっつらゴー!!

 
 ‥‥細かい事は気にするな。 四の五の言わずにノッてけ列車。
 だって春だから☆

●今回の参加者

 ea0085 天螺月 律吏(36歳・♀・侍・人間・ジャパン)
 ea0109 湯田 鎖雷(36歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea0448 レイジュ・カザミ(29歳・♂・ファイター・人間・イギリス王国)
 ea1314 シスイ・レイヤード(28歳・♂・ウィザード・エルフ・ロシア王国)
 ea2165 ジョセフ・ギールケ(31歳・♂・ウィザード・人間・フランク王国)
 ea7666 郭 培徳(53歳・♂・ファイター・ドワーフ・華仙教大国)
 eb0712 陸堂 明士郎(37歳・♂・侍・人間・ジャパン)
 eb1529 御厨 雪乃(31歳・♀・浪人・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

●桃色スプリング
「春だべ、桜だべ、花見だべ〜♪ 花見っちゅーたら旨い酒に旨い肴♪ 屋台も色々出てるだべな‥‥わしはやっぱり焼き鳥がええな。お奨めは軟骨だべ。あの歯応えがええんだべさv」
 買い出した大荷物で両手を塞いだ御厨雪乃(eb1529)がそわそわと視線を送る。晴天に恵まれた事もあり、賑わう桜街道には既に酒宴の陽気が満ちていた。
「雪乃殿、重そうじゃの。どれ、わしが持ってしんぜよう」
「郭さ、悪いだべなー。旨い地酒もたんと用意できただし、楽しみだべさ」
 中華風のチュニックにパンツ――軽やかな春の装いに身を包む雪乃の背後から声を掛けた郭培徳(ea7666)も「それは楽しみじゃの」と自慢の髭を撫でつける。
 因みに、培徳の方は雪乃とは対照的に冬装備だ。衣装ではなく天然毛100%ではあるが。

 ここで一句、『本日もとっても素敵にもじゃってる』

 並んで歩く二人の足は誘われるままに寄り道を繰り返し、いつしか食料も抱えきれないほどの量に膨れ上がっていた。
「‥‥ちぃと買いすぎただべか?」
「育ち盛りぢゃし無問題ぢゃ♪」
 瞬きをした雪乃の横で老人はからからと笑う。見て呉れこそ四十半ば――といった彼の実年齢は九十を疾うに越している。
 今更何処を育てるつもりなのか。毛か。毛なのか。

「福島と‥‥言うと‥‥白虎隊‥‥五色沼‥‥だったか? ずいぶん久しぶりに‥‥来たような‥‥」
 晴れ渡る卯月の空を見上げてぽつり呟いたシスイ・レイヤード(ea1314)は、下ろした視線の先に仲間の姿を認めて手を振った。
「それにしても‥‥大荷物‥‥だな?」
「あれもこれもっちゅーて気付いたら増えちまったんだべ。昔から花より団子って言うだしな」
「こんばんわ――いや、こんにちは‥‥ふっ」
 和やかに会話をする三人の耳朶に、重く低い声が届き、三人は振り返ってぎょっと身を強張らせた。
 重低音の声の主――天螺月律吏(ea0085)はくぐもった笑みを浮かべて虚ろに彼方を眺めている。
「折角久しぶりに会えると思っていたのに‥‥あのお間抜けが‥‥すれ違い離れ離れが運命なのかっ!?」
 東京で働く律吏のダーリンは京都在住。
 彼女が京都出張の時には彼は東京出張――絶賛遠距離恋愛中の二人を引き裂く無残な運命を前に、流石の律吏も世の無情を嘆かずにはいられない。
 まぁ、今日に関してだけは新幹線に乗り遅れた、律吏言う所の“お間抜けな彼”のここぞという時の運の無さ、或いは、日頃の行いを恨むべきか。難しい所ではある。
「っは! 危ない危ない、勢いでPSS団の意図にうっかり賛同しそうな人物になりかけたぞ」
 額の汗を拭う律吏の様子を静かに見守っていた仲間から拍手がおきた。まるで“青年の主張”のノリだ。
 既に宴会は始まっていたらしく、紙コップ酒を片手に料理を頬張ってかなり盛り上がっているようだ。
「余興じゃないぞ‥‥」
 胡乱な目を向けた律吏が漏らすが、仲間達は勿論聞いちゃあいない。
 因みに、一体何の仲間達なのかとか、どんな集まりなのかという事は気にしちゃいけない。『愉快な仲間たち』――それ以外に彼らを呼ぶ名などない。
 敢えて言うなら――エイプリルフールだから。それでいのだ。オールオッケー!
「‥‥で、だ。こうして現地の女子高生をナンパしてみたのだ」
 両手に花どころか、前後左右ぐるりと取り囲んだ律吏が不敵に笑う。半ばヤケだろうなんてツッコミは危険が危ないので慎むべきだ。うん。
 ――何が「‥‥で、だ」なのかは甚だ不明であるが、幸い(?)にも愉快な仲間達が気にする様子はない。
「飲み物もたんとあんだし、大勢のが楽しいだべさ」
 そんな訳でエイプリルフールのこの善き日、淡雪の如く舞う桜を楽しむ。

●桃色ホリディ
 花見を満喫する愉快な仲間達から距離を置く事僅か。配達人、湯田鎖雷(ea0109)は晴朗なる天を仰いでいた。
 黒のタンクトップに白いオーバーオールの爽やかな出で立ちで愛車、ママチャリ・めひひひひん号に跨っている。
 めひひひひ‥‥何回目だっけ? まぁいいや。兎に角、愛車のママチャリは大事な仕事の相棒でもある。
「今日は“めひ(略)”に乗って青春サイクリングの予定だったが‥‥予定変更」
 片眉を上げて、賑わう花見会場を見晴るかすと猛スピードでママチャリを漕ぎ出した。
「PSS団をお仕置きだ! ついでに青春も爆発だーっ!」
 青春――青い春。配達人、湯田鎖雷・二十六歳。つまり、そういう事。ぶっちぎれ青い春。
 一方、鎖雷が猛烈に接近中の花見会場では陸堂明士郎(eb0712)が一人拳を握っていた。
「愛の為に戦う‥‥素晴らしい‥‥」
 人呼んで『愛の戦士』――かどうかは知らないが、伝家の簗染めのハリセンまで手にして本人はヤル気満々。『哀の戦士』にならなきゃいいけど。
 何せ今日は既に朝から不運なアクシデントに見舞われている。
 お花見がてら愛しい彼女とデート、なんて桃色真っ盛りな予定を立てていたのだが彼女に急用が出来てしまい急遽キャンセルとなったのだ。
 一人侘しく花見をする事となった明士郎は愉快な仲間達の元へと足を進める。
 ‥‥律吏といい明士郎といい、もしやPSS団の陰謀か?! 恐るべしPSS団。

「PSS団‥‥聞いた事がある。変態に捕まって、クネクネする仙台の男が率いる組織だっけ?」
 ついと目を細めて呟いたジョセフ・ギールケ(ea2165)は何やら納得して頷くが大いに間違っている。
 とは言え、広い見識で見るなら、中(あた)らずといえども遠からず――かもしれない。
「なんにせよ、面白そうだ。手伝うことにするか」
 重要なのはソコだ。
 要するに面白ければそれで良い。ジョセフはタオルを頭に巻いて、戦闘準備を整えると口端を引き上げた。
「たこやき〜いかがっすか〜」
 まずはたこ焼き屋台で仕事を進めるようだ。一見地味に見えるこの戦法は意外にも奥が深く、また臓腑を抉るような威力を持っていた。
 ジョセフのたこやき屋台には次第に客が集まり賑やかになったが、賑やかを通り越してむしろ騒ぎになっていた。
「お客さん、カップルだね。サービスして、たこ焼き11個入りにしといたから」
 カップルに奇数! なんと計算尽くされた、狡い、けれど確実に効力のある攻撃だろうか。もはや感動の涙を禁じ得ない。
 ジョセフの巧妙な罠の前にカップル達は、罵り合い、或いは拳で語り合い、その絆を確かめ合っている(一部誇張80%)
 その喧騒をこっそり――組体操のピラミッドで見守る複数の影。ちっともこっそりじゃない。
「あいつ、なかなかやるじゃねぇか‥‥」
 彼等こそが福島の珍名物ピーチフル死ね死ね団である。
「お前、見込みあんじゃねぇか。俺達と手ぇ組まねぇか?」
「もとより、そのつもりだ」
 こうしてPSS団も負けじと勢力を拡大しつつあった。傍迷惑に。

「まったく、どこ見てもカップル、カップル、カップル‥‥もう一つおまけにカップルなんてさ!」
 キィ〜! とハンケチを噛むのはレイジュ・カザミ(ea0448)だ。
 桜の下でピーチフルな空気を撒き散らすカップルに目にモノ見せてくれようと機会を窺っているらしい。
「ん? あれは‥‥っ!」
 カップル達の目の前で凍りつくような寒いダジャレを披露するPSS団を発見し、笑顔で駆け寄る。
「こんな所に、僕と同じ志を持つ者達がいるなんて! その嫌がらせ活動、僕も一緒にやらせてもらうよ!」
「お前も仲間か! よーし、よろしくな♪」
 ガッチリと暑苦しい抱擁を交わす。花見会場の気温が少し上がった気がするのは気のせいだろうか。
 その後、レイジュはカップルへの悪戯に奔走するわけだが、どれもこれも悉く失敗を繰り返した。
 秋刀魚を焼き、その煙を団扇で扇ぎカップルへと向けるが、突如現れた野良猫の大群に襲われ半泣きで逃げる。
「はぁ、はぁ、もう大丈夫かな。あー、怖かった‥‥よし! 今度こそっ!」
 花を散らせようと桜の木に登れば、毛虫と遭遇し無様に落下。蜂の巣を投げつけようと、発見した巣に手を伸ばせばお約束で蜂に襲われ――。
「こんな事で負けるもんかーっ!!!」
 がおぅと吼えて、レイジュは走る。
 ――なんつーか、その努力を違う方向に向ければ明るい未来は遠くないんじゃないかとは思うのだが‥‥そう教えてくれる心優しき友はここには居ない。

●桃色ゲリラ
 その頃――愉快な仲間達。
「あ、携帯着信‥‥ん? ちー?」
 携帯を覗き込み、首を捻った律吏の背後から声がした。
「それはピーチフルなメールかっ?! ええっ?! 恐ろしい子っ! 本当に恐ろしい子っ!」
 振り返るとそこには、さくらんぼ&ホルスタイン柄の全身タイツの男達、そして『チェリー団長』の文字の入った鉢巻の男の三人の姿があった。
「エイプリルフールだからって冗談じゃ済まねぇぞ、おいっ! てか、エイプリルフールってそもそも何だ?」
「えーっと‥‥だからアレだろ? 四月馬鹿」
 突然問われ、牛タイツは視線を逸らした。
「そんなこた分かってんだよ! だから何の意味があんだって聞いてんだろーが!」
 その後、三人は輪になって屈み込み、ひそひそと話し始めた。
「諸説あるが‥‥昔ヨーロッパでは新年が3月25日だったらしい、それで4月1日まで春の祭りを開催してたようだが、時のフランス国王が、新年を1月1日に改めた事に反発した民衆が4月1日は『嘘の新年』として馬鹿騒ぎしたのが始まりだとか‥‥」
「マジかっ?! すげーじゃん! すげぇじゃんエイプリル!」
 さくらんぼタイツの薀蓄にチェリー団長と牛タイツはひたすら感心する。
「‥‥コホン。まぁ、あれだ。エイプリルは何だか知んねぇが、ヨーロピアンな香りだ。トレビア〜ンだ。だがしかーし!! ピーチフルは年中無休で許さねぇ! ピーチフルメール取締法違反で食料没収っ!」
 ビシリッ! 団長の指が愉快な仲間達に向けられた。
「‥‥何か変なもん出てきただべな。丁度プロレス雑誌に出てた技、試したかったんだべ」
 雪乃がにやりと笑う。
 
「見付けたぞ! 日頃の鬱憤を晴ら‥‥もとい、善良なカップルの為に俺は戦う!」
 移動途中、怪しげな人物と遭遇した明士郎は指を差して言い放った。
 怪しげな人物ことレイジュは、ぱぱぱっと服を脱ぎ、股間に葉っぱ一枚の姿になると桜の木に登る。
 行動はいちいち意味不明だが、煙と何とやらは高い所が好きだと言うし。
「この葉っぱ男の僕に戦いを挑もうなんてね! 誰も僕を止められやしないのさ! っと、うわぁぁぁぁぁっ〜」
 派手に落下して目を回す。
「何故だろう? 君とは前世からの宿命を感じる」
「僕もだよ」
 対峙する二人の間を春の風が吹きぬける。
「りゃああああああっ! ナンデヤネ〜ンッ!」

 ビシバシッ

 明士郎のハリセンがレイジュの脳天に振り下ろされた。
「くっ、なかなかやるね‥‥」
 口元を拭ったレイジュが細い息を吐いた(注:攻撃されたのは頭)
「貴様が彼女を撲滅の道に引き込んだ!」
 怒気をあらわにハリセンを握る手に力を込めた明士郎が再びじりじりと間合いを詰める。
「違う! 彼女が自ら選んだ道だ!」
「貴様だって、葉っぱ男だろうに!」
「葉っぱをなめるなよっ!」
 最早後半は何の脈絡も無い。
「でっ尻ピコピコハンマー!!」
「明士郎輪ゴ〜ム!」
 二人の奥義がぶつかり合おうというまさにその時。
「‥‥騒がしいの。花見の場で無粋な行動をする者には仕置きが必要ぢゃな♪」
 颯爽と現れた謎の人物の声や毛なんかには忘れたくても忘れられないほどの強過ぎるインパクトがある訳だが、とりあえず謎の人物の登場だ。
「わしゃ、お仕置き仮面『華麗なるひげもじゃ』ぢゃ♪ ほれ、でこフラーッシュッ!」
 目元に蝶マスクをした培‥‥じゃなかった、華麗なるひげもじゃはマスクに仕込んだ電球を光らせた。

 ペカーッ

「「うっ、まぶしいっ」」
「遠慮はいらぬのぢゃ。まーほれ、がっつりと濃厚接吻も一発くれてやろう。容赦はせぬ。うむ。何せ問題行動を起こした訳ぢゃからの」
「や、やめろっ」
 逃げ惑う明士郎とレイジュを追い掛け回す華麗なるひげもじゃの「うっひょっひょっひょっひょっひょ♪」という声が会場中に響き渡った。
 その声が途切れたのは少し後。熱烈なキッスを受けた二人は屍と化していた。

「ま、こんなもんかな」
 鬼気迫る表情で牛タイツをしばき倒していた律吏が髪をかきあげた。
「この新技使ってみたかったんだべ。ん? 絞まっちょるって? 気のせぇ気のせぇ♪ 落ちたら水掛けてやっから平気だべさ」
 ボキボキと鈍い音が聞こえる中、雪乃は団長に跨って笑顔だ。
 地面に転がったご両人はボロ雑巾。即座に鎖雷に縛り上げられる。
「肉・中・米・亀・蛸‥‥どれがいいだべ?」
 油性マジックの手に雪乃がわくわくと問う。落書きする気満々だ!
 うっかり亀と答えた哀れな二人は鎖雷の芸術の亀甲縛りを施され、愉快な仲間達に存分に遊ばれる事となった。
 残ったさくらんぼタイツも鎖雷が耳元で囁いた途端に意気消沈‥‥いや、意識すら無くなってしまったようだ。
「なぁ、つまらん事で喚いとらんで、手作りチョコでもどうだべ?」
 屈みこんだ雪乃が照れ恥らうように上目遣いに訊ねると団長の瞳が輝く。その瞳には涙すら浮かんでいる。
「俺に‥‥俺に手作りチョコ‥‥っ」
「食べてくれるだな? 心ゆくまで味わって欲しいだべさ♪」
 ワサビが山盛り入った一口チョコを投げ込まれた団長と牛タイツはそのまま遠い世界へと旅立った。これで三人仲良くアッチである(合掌)
「‥‥自業自得‥‥だな? よし‥‥迷わず‥‥成仏してくれ‥‥」
 シスイは取り出した紙にさらさらと文字を書きつけた。

『ご迷惑おかけしました。反省中です。もっと虐めて下さい――人間サンドバック』

「これで良いな‥‥後は朝まで‥‥花見の続き‥‥か?」
 問われるまでもなく「当然だ」と皆は頷く。

●桃色‥‥
 花見会場最寄の派出所で警官が首を捻っていた。
「酔っ払いか?」
 派出所前に打ち捨てられているのは若い青年二人。一人は股間に葉っぱのみの姿だ。
「なんだ? 紙に何か書いてあるな‥‥」


 ―この者共、公序良俗に反した咎で捕らえし候
 ―後の始末は任せる故、良きに計らい給え
 
 ―お仕置き仮面、華麗なるひげもじゃ


 息を吹き返し事情聴取を終えた明士郎とレイジュは号泣しながら培徳を追う。
「むむむ!? おかしい。何故正体が割れたのぢゃ!?」
 培徳の会心の変装にも関わらず、バレバレ。気付かない方がおかしい。
「こうなったらあれぢゃ。捕まえてごらんなさぁ〜い♪」
 ひらひらと舞う蝶のように軽やかに逃げる培徳と、レイジュと明士郎の追いかけっこは翌日まで続いたそうな。