Fauvisme―Realアジア・オセアニア
| 種類 | ショート |
|---|---|
| 担当 | 玲梛夜 |
| 芸能 | 3Lv以上 |
| 獣人 | 1Lv以上 |
| 難度 | 普通 |
| 報酬 | 7.9万円 |
| 参加人数 | 8人 |
| サポート | 0人 |
| 期間 | 06/10〜06/14 |
●本文
感覚を研ぎ澄ませ。捕らわれず、自由に使われるべきだ。
流れる音に決まりはない。
理性なんていらない。
共に歌う、共に奏でる。それだけでいい。
それだけで、幸せで楽しい。
自分の半身をみつけたら、世界の色が変わっていく。
遠い遠い未来の世界。
世界は音で支配されていた。
その世界の中心は『アブソリュト』というユニゾン。
そしてその下の四天王、親衛隊。
治安を守り、支配する彼らは、人々にとって善でもあり悪でもある。
世界を覆すには、きっかけが必要だった。
●ストーリー
その二つはいがみ合う。
押さえつけているつもり無くても上にいれば邪魔になる日はいつかくる。
力の意味を勘違いするものも、中にはいる。
互いに敵対するようになった二つ。
そこにさらに決定打。
アブソリュトの、存在。
葎は、城下を見下ろす。
「‥‥歌うなよ、音‥‥頼むから」
歌えば、どこにいるがきっとわかる。
けれど音が歌うことを葎は望んでいない。
「音は馬鹿じゃない。しっかりと何か思うことがない限り動かない。だから余計心配だ」
心配なのは、情勢のせいもある。
今、まさに反乱が起ころうとしていることはもうすでに四天王たちの耳にも届いていた。
「反乱は様子をみてきてくれ。酷くなるようだったら抑え込め。あと‥‥音も‥‥」
●出演者募集
『Fauvisme』では出演者を募集しています。
今回募集中は『四天王』『親衛隊階級』、『一般階層の面々』です。
『一般階層の面々』→『親衛隊階級』へのチェンジは可能。『親衛隊階級』→『四天王』へのチェンジは役者同士の相互了解を持って可能。欠員での補充、下克上などのような形で可能だが今回はなし。
なお、実は『親衛隊階級』でした、というのも可能。
『一般階層の面々』→『四天王』へのクラスアップは現在ありません。
『四天王』補足
四天王は必ずしも『ユニゾン』であるということはありません。その一人だけで普通レベルの『ユニゾン』とはれるくらいの力があります。
四天王ABCDがいるとしてAとBはユニゾン同士、Cは一人身、Dはユニゾン持ちだが相手は親衛隊、一般階層という状況は有です。身分違い、敵同士などもOK。
なお、四天王には通称のようなものがあります。ユニゾンとしてもつ通称と、個人として持つ通称です。
現在四天王状況
『アニカ、黎（現在城下で音のお供中）』『シルフィード、嵐』『イノセント、静』『アイス、蛍』
※『一般階層の面々』中に四天王クラスの力量持ちが一人いても良い。
アブソリュト、音
性別不詳
歌うことはなく、ユニゾンであること、対と離れて迷子になったと言うふれこみ。
アブソリュトであることはもちろん言わず、また人前にでてくることもないのでアブソリュト、とわかるのは四天王とそのユニゾン、葎のみ。
機嫌が悪くなるとやんちゃ。何をしでかすかよくわからないタイプ。
結構凶悪。
●補足
『アブソリュト』
・世界を支配する二人組通称。
『ユニゾン』
・対となる二人。考えなどは違っていても、体の奥底に流れる音は同じ。
・出会えば自らの持つ力を飛躍させることができる。
・力の飛躍は個人、能力の方向性が違っていても、互いに認識できる範囲内（可視範囲）にいれば極限まで引き上げ。どちらか一方が歌っているという状況などでも引き上げ。
・歌×歌、歌×楽器、楽器×楽器と表現方法は三つに分かれる。
『音の力』
・自分の奥底に流れる音を理解し、奏でる事によって破壊、創造という力を持つことができる。ただし持てるのは一つの能力のみ。
・音の力同士をぶつけ合う場合、この能力は互いにかき消され合い使用できない。
・この音の理解の切欠は人それぞれ。ふいに気がつくこともあれば、いつの間にか、と様々。
『侵食』
・ユニゾンである者が組み第三者に力をぶつけること。音同士をぶつけ合い起こる現象。物理的な衝撃は無しだが精神的衝撃はありうる。破壊ではなく飲み込み、相手を丸め込み傘下におさめるイメージ。ただし、勝負は一度負けたからと言って次も負けるとは限らない。
『この世界観での暗黙の了解』
・『ユニゾン』は『個人』に仕掛けはしない。
・『ユニゾン』か『フリー』かは、勘のいい人はわかるもの。
・『ユニゾン』は二人目まで存在する。
長くなるため必要最低限と思われるものしか記載していません。
他、何かあれば答えます。
●リプレイ本文
●それぞれの役割「‥‥見つかったのですね。おめでとうございます」
城下への出発前、見送りにきた同じ四天王であるシルフィード・嵐（雛姫（fa1744））へとアイス・蛍（千音鈴（fa3887））は祝福を伝える。
「ありがとうございます、あの‥‥お気をつけて‥‥」
「ありが‥‥行ってきます」
言いかけた礼の言葉を飲み込んで、蛍は出発する。
そのすぐ後に。
「おめでと‥‥あんたのそのボケっぷりで、ユニゾン相手に飽きられないようにね」
「そんな言い方はないでしょう」
四天王、イノセント静（玖條 響（fa1276））は嵐に声をかけた。
その言い様に、静のユニゾンである流（星野・巽（fa1359））は苦笑しながらも注意をする。
「おめでとうございます、落ち着いたらお祝にミモザのケーキをお持ちしますね」
「ありがとうございます。静様、これを‥‥この前言っていたものです」
「アンタ‥‥これから俺は歩くの。それで辛いもんなんか食ったらのど渇くだろ」
静の手にはハッカ飴。文句を言いながらも、それを静は受け取ってしまう。
「留守をお願いします」
「はい」
流は斎（橘川 円（fa4980））へと笑みを送る。
「できれば、脱走の時の話を聞きたいのですが‥‥」
音と黎がいなくなった時の話をわかる範囲で、二人は伝える。
「流、行くよ。さっさと終わらせて帰りたい」
「ええ、では」
情報も得て、静と流も出発する。
「無事に戻ってきてくださいね‥‥」
「大丈夫です。それに私たちには私たちの仕事が‥‥」
斎の言葉の通りね、と嵐は心配そうな表情を拭って笑う。
そして四天王の顔。
するべきことをしなくては、と声をかけられる範囲で、親衛隊たちを呼ぶ。
アブソリュト、音と、彼女と一緒にいなくなった四天王・アニカ。
二人を主だって探してくれとは言えないが、反乱については別だ。
「もし反乱があればその鎮圧を。それと城の警備強化を。何が起こるかわかりませんから‥‥」
指示を出し、解散。
散り散りになる中で、斎は崇（凪代繭那（fa0133））と調（朱里 臣（fa5307））を呼びとめる。
お願いがあるのだけれども、と言われて二人は顔を見合わせる。
「私はここを離れられない‥‥だから代わりに現状を見定めてほしい。今起きている問題、反乱側は何を望んでいるのかを確認したいんだ」
「私からも‥‥黎様を見かけたら知らせて下さいませんか」
崇は瞬きをして、そして明るく言う。
「命令じゃ‥‥ないんですね？ なら嵐様と斎に貸し1です！ 今度おいしーもので返してください♪」
「了解です。アブソリュトを支える四天王、そして私達は四天王を支える親衛隊ですから」
調も頷く。
二人は部隊に戻って、出発の準備をしていく。
騒がしくなる城内。
その中で、二人も役割をこなしていく。
●城下
「あれ、脱走できたんだー」
城下にいつものようにユニゾン相手を口説きにきていた晴（大海 結（fa0074））は、見たことある人物を見つけて、フードの中の顔を覗き込んだ。
やっぱりあってた、と笑う。
「あの時の‥‥無事にでてこれたよ、ありがとう」
「良かったね。したいことはそう思ったときにするのが一番だよ。しないで後悔するより絶対いいしね」
「そうだね。どうしてここにいるの？」
「ユニゾン相手を得るために。じゃあねっ」
それだけ言って、晴は走り去っていく。
町の雰囲気は、あまり良くないのは空気でわかる。
人ゴミの中、知らずのうちに晴と蛍はすれ違っていた。
「このあたり‥‥いないわね‥‥」
呟き、人の流れから少し離れる。
「ああ、いたいた。早く見つけなよ」
「その声は‥‥」
蛍は声のした方を振り向く。
そこには静と流。
「黎のこと、嫌がってたわりに心配そうだね？ めちゃくちゃ不安定」
にっこりと笑顔で。なんでもお見通しというように静ははっきりと言い切る。
そんなことはないと、言いきれない。
「貴方に言われたくありません」
ツン、と蛍は言って歩き始める。けれどもその後ろをついてくる気配。
「そんなに心配なら素直になればいいのに」
「静」
「会えばどんな顔、するのかなぁ」
「少しは黙れ、天邪鬼」
後ろからかけられる声に蛍はぼそりとつぶやく。
その声は、しっかりと聞こえていた。
「流、今のきいた？」
「若いですね‥‥」
二人のやりとりを聞いていた流は苦笑して言う。
「このまま一緒に探した方が効率的ですよ」
「俺はやりたいようにするし行きたいところに行くんだよ」
「早く終わらせたいのでは」
「‥‥そうだな」
二人の声は聞こえないふり。
一人ずんずんと蛍は歩いて行く。
人の多い方向へと。
●戦う意味
「調ー、一緒に仕事だよ。さっ気合入れていこー」
「うん。斎にも頼まれたことだし、様子見るにはキナ臭い所に突っ込むのが一番だな。行こう」
調と崇は城下に降りて、酒場へと向かう。一番そこに、人がたまりやすい。
けれどもそこに向かうまでにも、小競り合いはあった。
それを言葉で、時には力で収めながら目的の場所へと向かっていく。
「ここだね」
扉を開けた瞬間の視線。
中に人は少なく、声をかけようとした瞬間に、叫び声が響いてくる。
「！！」
「崇！！」
二人は急いでその場へと向かう。そこではすでに乱戦状態。
建物が砂礫となり崩されそれが風に舞う。
他の部隊もいるのだが、おされぎみのようだった。
「次から次に‥‥これまで小競り合いならあったけど何だこれ。突っ切るぞ！」
崇の音で道をつくる。調はホイッスルを咥えていつでも音を生み出せる態勢。
「考えるのは他の人に任せた！」
二人は人の中に突っ込んでいく。
その中には晴もいて、不機嫌ながら歌を紡いでいた。
降りかかる火の粉は払うのみ。
攻撃の手が止むことはない。
と、足場が不安定になる。
どこからか聞こえる歌によって、それは起きていた。
「そこっ！」
調はそれに気がついて、足元に雷を放ち、ぴょんと頭の上と、塀一枚を飛び越えてその歌う主の元に降りる。
「歌うのやめろ！」
すちゃっと腰の刀を向ける。けれどもその相手の顔は、知っている顔だった。
「！！ 四天王‥‥」
ただ笑顔だけ向けられる。
と、飛び越えた塀の上に立つ影がある。
「親衛隊さん、そのままね」
上を向けば、塀の上から見下ろす人。その人は騒ぎが起こっている方へと視線を向ける。
「戦う意味ってなーに？ 覚悟も何もなく流されるだけなら、戦うなよお前たち」
しっかりと響く声。
一瞬だけ間が生まれる。
「何が言いたいのか、はっきり抱えて持っておいで」
一つ目配せ、調の刀が朽ちてゆく。
消える刀の存在、少し気を抜いた間に、塀の上へと上がられてしまう。
「力比べだけが方法じゃないからね」
笑顔とともに、言葉。
なんでこんなところにいるのか、鎮圧ならまだしも、攻撃をしていたのだ。
調の中にはふつふつと疑問が生まれ出す。
「反乱する子たちが城に行くときは、私もそこに戻るから。あ、きたね‥‥」
騒ぎを聞きつけて、城下におりていた蛍たちもやってくる。
彼女たちの視線は瞬間的に塀の上だ。
「何をやっているんですか！」
蛍の言葉は音に向かってでなく黎に。だが笑顔で、かわされる。
「伝言してね、そのうち城には帰るけど、私アブソリュトやめるからって！！」
自分たちに向かって、音は言うと塀から身軽に飛び降りる。
黎も、それに続いて姿を消す。
「追います！」
「日頃の冷静さがまったくないね‥‥」
静の言葉も蛍の耳にははいらない。
「静、あなたはここに。まだ騒ぎが収まってないでしょう」
「めんどくさい」
「そう言わずに」
苦笑しながらいさめる。
流は持ってきていたヴァイオリンを取り出して、音を重ねる。
春の
流のまわりから、徐々に壊されたものは修復されていく。
少しずつ確実に。それは傷も同じだ。
だがその流をしていることを知らずに攻撃の手を加えてくるものには、静があたる。
フルートの音は冷たい冬の光のように。
闇で包み込み、防御を行う。
あらかた元通りにすれば、あとは撤収したほうがこの場は良さそうだと、判断できる。
「追いましょう」
「蛍に任せておけば大丈夫じゃ‥‥」
「心配なのでしょう、素直になりなさい」
流は言って、静を引っ張っていく。
周りにいた親衛隊たちには撤収を命じながら。
城下をこっちかな、あっちかなと音と黎が消えた方向に向かって進んでいく。
「‥‥アブソリュトやめる、とかいってたよね」
「言ってましたね」
静と流がそんな話をしていると、蛍の姿を見つける。
しょんぼおりと沈んだ様子からは、出会えなかったのだとわかった。
「蛍」
「‥‥みつかりません。逃げ足が早くて‥‥」
「お互いになんとなくわかるから、逃げてるんでしょうね」
「城に帰ろう、こうしててもしょうがない」
静は言って、城の方向へ歩き出す。
流は蛍の背中を、さぁと押して。
「黙っていなくならないで下さい‥‥」
ぽつ、と蛍は呟く。想いが、恋人を失った時と重なる。
●穏やかな場所
「皆様、無事だとよいのですが‥‥」
主のいないテラスに立って、嵐は城下を見下ろす。
「なぜ、対立は起きるのですか‥‥」
争いが起きているかもしれない。それを思って憂える。
自分の立場と本心と、噛み合わないことが苦しい。
そしていなくなった者たちの穴は大きい。
「ここにいたのですね」
後からかかる声。自然と心が弾むのがわかる。
「ありがとう‥‥あなたがいてくれて良かった」
「私も、あなたがいてくれて嬉しい。今からでも遅いなどということはありません。一緒にどうすべきか考えましょう‥‥嵐様」
嵐の気持ちをくんで、まっすぐな視線をもって斎は言う。
嵐は、そうですねと笑う。
と、一話の白鳩が舞い降りてくる。
迷いなく、嵐の肩の上へ。
「白鳩‥‥ご無事、なのですね」
「嵐様」
よかったですね、と斎が微笑む。
嵐は鳩にすぐそばにあった鉢植えから小さな花を一輪、渡す。
鳩はそれを咥えて、飛び立つ。
『 残酷な風も 翼を広げ迎え討とう
今 哀しみの戦曲が始まる―― 』
歌うのではなく詩を。
「お花、届けてくださいね」
そして鳩を見送る。
●アブソリュト
「音、そう言ったんだな、そうか‥‥」
城下でのことを聞いて、葎は薄く笑った。
「この場所は嵐の指示でさしてダメージはなかったが‥‥次はきっとここにくるなぁ‥‥」
四天王とそのユニゾン。
言葉が待たれる。
「思うことはそれぞれあるだろ、俺もある。でも一つ、音がもうアブソリュトやめると言ったなら、もうアブソリュトじゃない。遠慮しなくていい。黎は‥‥本人次第だ。戻ってくるなら俺は何も言わない。何かあるまで、全員待機、考える時間は、できるだろう。俺も考えたいから」
言葉の響きは重たい。
いつ何があっても、思うままに。
