FL開演25周年記念―演アジア・オセアニア
| 種類 | ショート |
|---|---|
| 担当 | 玲梛夜 |
| 芸能 | フリー |
| 獣人 | フリー |
| 難度 | 易しい |
| 報酬 | 不明 |
| 参加人数 | 8人 |
| サポート | 0人 |
| 期間 | 09/26〜09/28 |
●本文
ファンタジーランド。その名を知らぬ者はいないと言ってもよいほどの、大規模遊園地である。魅力溢れる世界観とそれに基づいた数多くのアトラクションは老若男女の心を捉えて放さず、たとえ平日であっても多くの来園者で賑わっている。一年の間には数多くのイベントがあるわけだが、ファンタジーランドではそれらを活用し、その時だけの限定で色々やるものだから、人々はつい引き寄せられてしまうのだ。「限定」――ああ、なんと甘美な響きである事か。
今回の限定はどんな限定かというと、「ファンタジーランドの開園２５周年限定」である。キリのいい年数での誕生日イベントとくれば、元からお祭好きのファンタジーランドの事、天井知らずの盛り上がり方となる。その盛り上がり方についていけるか否か。それがファンタジーランド通と評されるかどうかの分かれ目となるのである。
●ある日のこと
「ファンタジーランドのチケットをもらったんだが」
一緒に行くか？ と聞かれれば行くと答えるものだ。
もらった枚数は９枚。
「あ、丁度無くなった。じゃあ明日」
ファンタジーランドでのお遊びは明日結構。
「そうだ、全員変装必須だからな。ばれると大騒ぎだ。そうなると即時に撤収だな。行動はばらばらでも、合わせてもいいし、それはこれから決めればいいか」
ということで、開園２５周年のファンタジーランドに芸能人御一行様、ご来場。
「楽しみだ、実はこういうところに行くのは中学の修学旅行ぶりで」
と、璃久アイジはひっそり楽しそうにしていた。
●ファンタジーランドガイド
☆アトラクション一覧（一部抜粋）
・レールウェイ・ウィズ・レールガン：ライド系
・ミラー・オブ・トゥルーラブ：迷路系
・パイレーツ・シー：ライド系
・プリンセス・キャッスル：探索系
・ゴーストマンション：お化け屋敷系
・マーメイド・ベイ：探索系
・ブラックマウンテン：ライド系
・プリンセスカルーセル：メリーゴーランド
・トゥーンカー・クラッシュ：ゴーカート
・ロマンティック・ゴンドラ：乗り物系
・ドリーム・オブ・ザ・ホィール：観覧車
●リプレイ本文
●天気もよく、朝からＦＬＦＬの正面玄関にはすでにたくさんの人が並んでいた。
その一角、お忍びお遊びしにきた一向。
「賑やかそうですね、頑張って楽しみましょう！」
ジーンズにジャケットと地味でラフ。いつもと違い髪は結いあげて、メガネはコンタクトレンズにかえた日下部・彩（fa0117）はパンフレットをすでに手にもって園内の地図を眺める。
「はっけーん！」
肩をとん、振り向いた瞬間に頬ぷに。
「‥‥」
「やーい、ひっかかった！」
キャッキャとはしゃぐ天道ミラー（fa4657）。
トレードマーク、首輪は無し、髪を少し茶色く染め、緑のカラコンに鼻の横に付け黒子。服はカジュアルシャツにジーパンといったいでたちだった。
彼の頬を、仕掛けられた璃久アイジはぶにっとつまんで伸ばす。
「本当によく伸びるなぁ」
「そうですねー」
それを見上げていた南央（fa4181）は笑いながら言う。
久しぶりの遊園地、ボーイッシュな格好ではなく雰囲気をかえてフェミニンに。ミディアムの長さの髪は緩く内巻きに、服もレースが少し入ったものとジーンズをあわせ目立ちすぎないように色はアースカラー揃えた南央。
「南央さん、いつもと雰囲気が違うな。ぱっとみただけじゃわからない」
「女の子ですから」
神代タテハ（fa1704）は普段結わいてる髪を下ろして、デニム生地のキャスケット帽をかぶり、黒と灰色のしましまカットソーにデニム生地のオーバーオールをあわせていた。場合によっては伊達眼鏡着用しようと準備もばっちり。
マリアーノ・ファリアス（fa2539）は自分の知名度と、その目立つ容貌をを理解し、変装は特に念入りに。長い髪は後で縛り、伊達眼鏡。髪色も染めてぱっとみてマリアーノだとは思えない。
「タテハさん、楽しみだネ！」
「ええ」
マリアーノはタテハの隣をちゃっかりキープ。そんな姿もほほえましい。
「やっぱり、いいですねー。‥‥まだまだ夢や幻想を見たいお年頃なのです」
そう言うのは百鬼 レイ（fa4361）。
髪は纏めずザンバラに、ハンチング帽と薄黄色のサングラスをかけ服装もそれに合わせている。
御鏡 炬魄（fa4468）は職業柄もありさして変装する必要なくいつも通りだ。今回は遊ぶよりも記者としての面が押し出される。そして、今後のためにも下見、という目的も。
「じゃ、行こうか。それぞれ約束あるならそれでもいいし、そうでない人は一緒にアトラクション回らない？」
と、髪型を変え、瞳をカラーコンタクトレンズで黒にかえたＩｒｉｓ（fa4578）はアイジの指を一本たてさせて『予定のない人この指とーまれ』と言う。
「ついこの前も来たばっかりだけど全部回れなかったんだよね。せっかくだから皆で一緒にいろいろ乗ってみたいし。そしてタダありがとう」
「その指とまるー！」
「もげる、指がもげる」
がしっとその指への重力。
一行は、最初から騒ぎっぱなしだ。
●ＧＵＮ！ ＧＵＮ！ ＧＵＮ！
「レールウェイズガンが今空いてるみたいだな」
「じゃあそれで！！」
ほどよくすいていたレールウェイ・ウィズ・ガンへと一行は並ぶ。
待ち時間はそれぞれ色んな話をして時間をつぶしていく。
「限定のパレードなんかもあるのかな？」
「いつものパレードとはちょっと違うだろうな。南央さんはみたいのか？」
「はい、あとお土産もみたいし、アトラクションもいっぱい‥‥」
「キャラと写真とかも」
「撮りたいですっ！」
「それなら俺がシッカリ撮るよ！ 思い出は皆で楽しく」
と、ミラーと南央たちは盛りあがる。
「説明を聞いても、どんなアトラクションなのか良く判らないので、乗るのが楽しみです」
「宇宙鉄道ってモチーフ、結構わくわくするんだよね。どんな感じかなぁ」
待ち時間はあっという間、アトラクションに乗り込む番がやってくる。
「タテハさんどうぞ」
「ありがとう」
タテハの横にはマリアーノ、それぞれ誘導に従った乗り込み、銃を持つ。
「おおお、これがレールガンか！」
「あんまりはしゃぐとばれるぞー」
「おおっ！」
はしゃぐミラーに後から注意の声。
しまった、と声は小さくなる。
暗闇の中、キラリと星がきらめく。そこに現れた列車を襲おうとする悪者たちを、手にした銃、レールガンで撃ち落としていく。
光を光で、追っていくように、進む列車にのって。
「下手な鉄砲数撃って当てる‥‥毎秒１６発‥‥は、さすがに無理だけド！」
「でもあたってるよ！」
マリアーノとタテハは盛り上がり中。男性陣は、やはりシューティングものに何か燃えるものがあるらしく、それぞれ楽しんでいた。
アトラクション終われば、しっかりレールガンを握っていた指はそれとなくしびれていたり赤くなっていたり。
「指赤い」
「あれだけ騒いではしゃげばなぁ」
「ああいうアトラクションだったんですね！ よく分かりました」
なぞが解けた、というようにさっぱりとした表情の彩。
「ゲーセンのとは違ったけど、また楽しかったね」
「ふむ、みんな楽しかったようだな。その感想をまとめてまた今後に活かそう」
予定が狂い本命の連れとは会えそうにないからな、と炬魄は笑って話を聞いていく。
炬魄はそうだ、と一つ提案する。
「せっかくだからプリンセス・キャッスルの前を通らないか、みておきたい」
その提案に、もちろんとそれぞれ頷く。
●カシャリンコ！
プリンセス・キャッスルへと向かう途中、その音は聞こえた。
カシャ！
「！！」
ミラーはその音にきょろきょろする、すると見知った顔が、見えた。
「あー‥‥むぐっ！」
叫びたい声を抑えるミラーに南央やアイジ、Irisたちはどうしたのかと言う。
「某Aさんに写真撮られて」
「え？」
と、ミラーの視線の先を追うと、確かに変装はしているが見たことある顔がにっこりと笑っていた。
その周りには、他にもよく会うものたちが。
「あ、他にもいっぱいいますね、メール送っておこう」
南央は見かけた所属プロダクション所長へと喜々とメールを送る。
「マリスの知り合いもいたよ！ 気がついたかなぁ」
「もう少し近ければ、渡せたのだがな」
炬魄はもっていたぬいぐるみを見つつ、ひとつため息を落とす。
「まぁまたすれ違うかもしれないしですよ」
ぽん、と肩を叩いてレイが慰め、さぁ他のアトラクションに行きましょうと皆を促していく。
●ロマンティックはそれぞれに
「あ！ ロマンティック・ゴンドラ！」
「お、いいね、二人ずつかあ。これ男同士で乗ってもいいのかな」
ロマンティック・ゴンドラの出現にそれぞれ色めき立つ。
「男同士でも別に問題はないだろうなぁ。ちょっと寂しくなるくらいで」
Irisの言葉にアイジが苦笑しつつ答える。と、そばで南央が乗りたそうな表情で。
「乗る？」
「あ、はい！ 写真もしっかり申し込んで乗りたいです！」
アイジは南央をさそって列に。
「タテハさん乗ろう！」
マリアーノはしっかりとタテハを誘い、列へと並ぶ。
「変ってことはないだろうけど女の子の方が似合いそうなのは確かだよね」
Irisはそう言って、さらに続ける。
「でも乗るよ。行こうか」
「おー！」
男二人、ミラーとIrisはゴンドラの列へ颯爽と向かう。
「もし、よろしければ自分と素敵な疑似恋愛でもいかがでしょう、マドモァゼール？」
礼ひとつして、彩を誘うレイ。
けれども彩は、みんなを見てますと断る。
「少し寂しいですけど、皆さんがゴンドラに乗ってるのを眺めて楽しみたいです。あとホットドックとかジュースをかってもぐもぐと」
花より団子、ならぬゴンドラよりホットドック。
レイは苦笑しつつ、それに付き合うことにする。
一方、ゴンドラゆらゆら組。
ゴンドラに揺られてランド内の川を進んでいく。
「たまにはこういうのもいイネ〜♪」
と、マリアーノは写真ポイントでタテハと距離を縮めてポーズをとる。じゃれつきと、イタズラ半分。
二人は船頭の歌にのせて、ゆらゆら進んでいく。
そして次は南央とアイジ。
「あ、彩さんたちがいます！」
橋の上にいた彩たちに手ふりふり、そして写真ポイントではしっかりポーズしつつ、南央は携帯のカメラでも撮影する。
「あとで送りますね」
最後に、男二人組。
「あ、前でいちゃついてる！」
「写真とってあとでネタに」
男同士でも結構楽しいようだった。
アトラクションを堪能した面々は、写真に写った自分たちを見せあい騒ぎつつ一行は次のアトラクションへと向かう。
●ギャース！
「どーんと叫ぶアトラクションいってみたい」
アイジの一言にそういえばまだそういうものに乗っていなかった、と一行が向かったのはブラックマウンテン。
「これも写真あるんですよね！ がんばってピースサイン決めないと！ 三回だからどんな顔しようかなぁ」
最後の一か所は変顔しよう、と彩はふふと笑顔を浮かべる。
「俺もどんな顔しよう、カメラの位置がわからないからなぁ、なんでもないって顔ずっとしてようかなぁ」
Irisもどうしよう、と向かいつつ考える。
「た、楽しみだなぁ！」
「声上ずった」
「そんなことないない！」
ミラーの声にアイジは突っ込み入れてみたり、途中でまたも南央と写メとったり、一行賑やかに進んでいく。
「どーにも一人はさびしいので、次はお隣に彩さん、どうですか」
「はい、構いませんよ」
レイはでは、と手をだし彩をエスコート。
「御鏡さんも、乗ってみたら記事に新たに書き加える要素があるかもしれませんよ」
「せっかくだから皆で」
誘われて、炬魄も乗り込んでいく。
そして走りだすアトラクション、
暗闇に、楽しげな絶叫が響いて行く。
●夜光るパレード
ブラックマウンテン後、他にもいくつかのアトラクションを回って夜。
パレードを見ようとそれぞれ位置を確保する。
ちょうど、ドリーム・オブ・ザ・ホイールの近くだった。
「楽しかったー！」
「俺も楽しかったな、若返った気分だ」
「おやじっぽ」
若返ったってまだ若いでしょう、とIrisは笑いながら言う。
パレードみつつ、それぞれ今日を振り返る。
「会えなかったのは残念だが、どこかで同じように見ているんだろう‥‥」
どこかで同じものをみているものたちも、思い浮かべつつ。
「また今度来たら他のアトラクションにものりたいです」
「ファンタジーランド満喫したね、でもまたこれるなら絶対くるよ」
「お兄ちゃんにキャラクター帽子も買えたし、大満足」
「よかったな」
「今日も本当にありがとうございました。憧れの人との遊園地だからちょっとドキドキしてたんですよ」
南央はちょっと照れつつ笑いつつ、アイジに向かって言う。
「憧れだなんて嬉しいな。これからも何か機会があったら遊びに行こう」
「はい！」
それぞれ楽しい思い出いっぱいに、通り過ぎていくパレードを今日のしめくくりとした。
