【AbySS】SummerCrush!アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 玲梛夜
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 やや難
報酬 1.6万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 07/09〜07/15

●本文

 ロック中心なライヴハウスAbySS。
 開店前の座談会。
 オーナー平木メア、その甥平木カオル。
 カウンターでぐだぐだだべり中。
「外出たくない‥‥じめじめの次はてかてか、嫌ー! 日焼けしちゃうシミができちゃうー!」
「年だからね」
「お黙り!」
 ばしっと叩こうとする手を平木カオルは手にしていたファイルで受け止める。受け止められた方、このライヴハウスのオーナー、平木メアはくぅっとちょっと悔しそう。
「夏が暑いのはしょうがないこと。空調も‥‥効きすぎだよここ」
「そんなことないわよ、25度設定よ!」
「温暖化とかそういう考えは全くなさそうだね‥‥28度にしようよ」
「いやよ、暑い。あーもうこんな時にはアレしかないわ!」
「アレって?」
「ライヴ!!」
 いつもしてるじゃないか、というツッコミはさておき。
 今度は何をテーマにするのかとカオルは問う。
「夏の暑さは嫌だけど、ライヴの熱さは許す。だから‥‥」
「だから?」
「夏の暑さをぶっ飛ばせ! Summer Crush!! ‥‥略してサマクラ」
「いいんじゃないかな」
 何事も勢い、なメアはその場でメモ用紙にさらさらっと概要を書いて、お知らせコルクボードにぺたりと張る。
「うん、ばっちり」
「楽しみだね、サマクラ」

 お知らせ。
 7月14日
『Summer Crush!!』
 夏の暑いの、ぶっ飛ばして頂戴
 暑いのは嫌だけど、熱いのは大歓迎!

●今回の参加者

 fa0952 x‐cho(19歳・♂・兎)
 fa1514 嶺雅(20歳・♂・蝙蝠)
 fa2837 明石 丹(26歳・♂・狼)
 fa2925 陽守 由良(24歳・♂・蝙蝠)
 fa3461 美日郷 司(27歳・♂・蝙蝠)
 fa3887 千音鈴(22歳・♀・犬)
 fa3997 香凪 志乃(24歳・♂・小鳥)
 fa4028 佐武 真人(32歳・♂・一角獣)

●リプレイ本文

●空調設定25度
「こんにちはー、メアちゃんお土産にアイス! 冷蔵庫に入れとくね」
「グッジョブ!」
 グッと立てられた親指に、親指立て返し、千音鈴(fa3887)は厨房へとそのまま行く。
「あ、一個貰うんだった」
 カウンターにメアは突っ伏したが螺旋階段から足音が響き、顔を上げる。
「お、ここか‥‥ん、オーナーだな?」
 階段を降りきった佐武 真人(fa4028)はホールを見回し、そしてメアを見た。
「佐武真人だ、宜しくな。暑いからってダレて喚いてちゃ別嬪が台無しだぞ?」
「な‥‥」
 ニヤと笑って言われ、メアは口をぱくぱく。
 と、続々と他のメンバーも。
「知り合いバッカリ?」
「そうですね。またメアちゃんとカオルちゃ‥‥カオルさんに会えると思うと感激です」
「宜しくな」
「志乃は感激屋だな‥‥そういえば入り浸っている気がするな‥‥」
 階段を降りてくるのはx‐cho(fa0952)、香凪 志乃(fa3997)、陽守 由良(fa2925)、美日郷 司(fa3461)。
 司の手には何故か朝顔の鉢植。
「土産だ‥‥メアちゃん‥‥空調は28度だ‥‥冷えは婦人の大敵」
「でも暑いの、25度は譲れないわ」
「む‥‥」
「あ、揃ってる」
 冷蔵庫にアイスクリームをしまい終わった千音鈴も帰還。
 あとは、とメアが言おうとした時だった。
「ゆーちゃーーん!! 此処で会ったが百年目っ!!」
「うぉっ!」
 嶺雅(fa1514)は由良に突撃。けれども由良は華麗にそれをよけた。
「あはは、避けられたねー」
 と、いつもと変わらず笑顔で、明石 丹(fa2837)。
「元気ねー。由良ちゃん」
「な、なんだよ、メアさん」
「宿題」
 覚えていたか、と由良の表情は固まる。
「ちゃんと提出してね」
「メアちゃん久しぶりー! この間はちょっとしかお話できなかったから残念だったヨ!」
「一杯お話しましょう。歌も楽しみ。皆でがんばりましょー!」
「まあ、ライブで吹っ飛ばそうってのは良案だよな」
「そうだね。暑くなって、かと思えばいきなり気温が下がったりもするし体調管理には本当に気をつけないと。あまりクーラーの風にあたり過ぎないでね? 心配」
 真人の言葉に賛同した丹が笑顔で言うと、メアは頷いて。
「でも空調25度は譲らないわ」
 どうやらこの意思は、何があっても変えないらしい。

●THISTIME 〜Fly me to the Sun〜
 元気良く舞台へと二人は駆け上がる。
 白チュニックにクロップドパンツ、サンダルとそして髪を白いリボンでポニーテールにした千音鈴と、ややパンクテイストな柄有白タンクトップにダメージジーンズ、しっかりアクセサリー装着のx‐cho。
 カジュアルで涼しげな雰囲気の二人。
「ハーイ、THISTIMEだヨー」
「とにかく楽しんでってね! これから歌うのはそういう歌♪」
 千音鈴はキーボードを、x‐choはエレキギターを抱え。

 弾き始める音はテンポよく、そして歌声が響く。
 メインを務めるのは千音鈴。

「 原色の季節到来で『All right!』
  誰よりも熱い夏にしたいから
  オ・ネ・ガ・イ『Fly me to the Sun!』 」

 音に乗せてスピードは上がり、そして千音鈴の声にx‐choの声が合わさって。
 少し抑えた間奏の後に、また弾みだす。
 夏の眩い日差しのようにライトは二人を照らして。

「 キミに憂鬱な顔は似合わない
  GoodくるLocationで HotするVacation
  薄着の季節が二人の距離近づけるから
  零射程でBang! とびっきり笑顔の援護射撃

  嫌なコト全部忘れてしまえ
  溢れる光のPassionが 奏でる真夏のSession
  後悔ないほど二人でバカみたくはしゃごう
  眩しい程のShine! でもキミの笑顔こそOh my shine 」

 観客に向かって片手を銃の形に模して歌詞に合わせて撃って。
 少し抑えられた間奏。
 照明が、柔らかくなる。

「 ねえ何しよう?(La la la)
  決められない!(ア・ラ・ラ)
  とりあえず太陽にKickして 靴放り投げて飛び出せ 」

 千音鈴の歌声に合わせてx‐choがコーラス。
 背中合わせて二人は足を高く上げてキック!
 そして音は賑やかに、元気になって再び同じメロディー。
 けれども最初よりもっと力強く。合わせて舞台も眩しくなる。

「 原色の季節到来で『All right!』
  誰よりも熱い夏にしたいから
  オ・ネ・ガ・イ『Fly me to the Sun!』

  オ・ネ・ガ・イ『You are my only Sun!』 」

 一気にテンション上げて、音も弾けて。
 音のもつインパクトを最大限引き出し、ラスト一音もしっかり。
 そして観客からの声が返ってくる。
 応えつつ舞台を降りたのは千音鈴だけ。
 x‐choは舞台上でパフォーマンスを続ける。
「おっ疲れ様ー! でもまだお手伝いが残ってるのよね、そっちも楽しみ」
「ありがとう。ふふ、美形のお手伝いははりきっちゃう」
「あ、顔イイ子多いわよね」
「多いわね」
「目の保養。カオルちゃんもソコソコ良いんだけど見飽きたわ‥‥」
 と、それから暫く二人はイイ男談義をしたとかしなかったとか。

●Ray flicker 〜夏夜〜trick or fight!〜ジャンク −Midsummer eve CD−〜
 舞台上の三人に投げられるのは黄色い声。
「今日歌う曲はー‥‥っつーか、それより気になってんのはメンバー?」
 レザーがふんだんに使われたゴシック系衣装を身に纏った由良は観客へと苦笑と言葉を投げる。
 静かに頷き返す観客に、ちょっと肩を竦めてみたりも。
「つれないな、けど今回は許す。リバティの丹と由良にあともう一人、flickerの嶺雅をプラスして歌うのは豪華なメドレー!」
 その言葉と共に、舞台上を照らすライトが消える。
 そしてタンバリンの音と、静かな声。

「 3・2・1 」

 幾人かが、カウントに反応して手を上げ、次のカウントを待つ。
 それに、他の者もつられて。

「 3・2・1 LIBERTIES! 」

 弾ける様なキーボードの音にのり、舞台も一気に煌々と。
 白オフショルダーシャツの上に黒スパイダーメッシュシャツを重ね、それに切替ライン入の黒ミイラパンツをあわせた丹は楽しそうにベースを弾く。
 けれどもその音はしっかりと。

「 短夜を楽しもう FIREFLYER
  予感より速く燃え上がれ 」

 曲調はポップスからファンクへ変化。
 その移り変わりは滑らかに。
 色は黒、そしてゴシック系のロング丈のノースリーブシャツの裾を翻し、嶺雅は動きながら伸びのある声を乗せる。

「 Jump!(Jump!)その想い届く所まで
  Dash!(Dash!)その想い伝えるために
  想いの強さで 人は変われる

  More!(More!)笑って、もっともっと
  Yes!(Yes!)君のその笑顔こそ
  俺にとって何よりのご馳走

  これこそ不思議な SMILE POWER
  俺と君とで GIVE AND TAKE 」

 アップテンポ、弾むリズムにベースも自己主張をし、音と声は重なる。
 と、曲調は一転して。
 激しい音の中心はベース、キーボードはそれをサポート。
 その音に丹の甘やかな、誘うような艶ある声が乗る。

「 『慎み深く』それは美しいものか
  否定はしないけれど
  お前は素直になれるコでしょう
  欲しいならただ言えばいい yeah ねえ? 」

 一音の余韻、それに重ねて元気な音が響き雰囲気が変わる。

「 さあ鐘鳴らして! 」

 自己主張するように一際強い音。

「 追い風に煽られて STARTING LINE
  始まっちゃいない
  踏み出しちゃいない
  だから今夜 」

 勢いづいていた音はふっと止まり、三人腕を上げてカウント準備。
 観客と息を測って。

「 3・2・1 」

 曲終わりの静けさは一瞬で、その後には歓声。
 舞台を降りるとそこにはメアが待っていて。
「お疲れ様、素敵なメドレーだったわ!」
 三人もそれぞれお疲れ様、と声を掛け合って。
「途中の曲、オープンの時のね」
「うん、覚えててくれてありがとう」
「お客さんもわかってる人いて喜んでたわ」
 と、ホールでの事を報告すると丹は嬉しそうに笑んだ。

●Suncalm 〜夏色太陽〜
「いつか一緒にと話していたので嬉しいです」
「結構早く現実になったな‥‥よろしく頼む」
「ね、アレはしないの?」
 目を輝かせながら言われ、司はすると答える。
 愛用のエレキギターのネックにキスを。
「お呪い、ですか? 俺も舞台に上がる前は願掛けしてるんです」
 志乃はそう言って、左中指に嵌めている蛇を象った指輪へとキス一つ。
「それじゃあ行くか‥‥」
 舞台上には、向日葵の花束を飾って。
 微かな白色ライトが舞台を照らす。
 司は黒タンクトップに白のロングベストとパンツ、志乃は紺のノースリーブタートルにライトブルージーンズを合わせ大振りのシルバーアクセを。

「 暑さ蹴り飛ばして 」

 無音の中、志乃の声だけがゆったりと。

「 all together 盛り上がれ 」

 ややテンポ上げ、そして華やかに楽器の音が解放される。

「 へたれてる場合じゃないよ? ice creamでヒットポイント回復したら
  夏空に喧嘩を売って
  right now 外へ飛び出そう 」

 アップテンポに、陽気なラテン系のリズム。
 明るく前向きな音。
 パーカッションの音もキーボードでカバー。

「 暑さ忘れるほど
  roaring 盛り上げろ
  クーラーのスイッチOFFにして summer heatの友人をその気にしたら
  太陽を味方にして
  come now 海へ繰り出そう 」

 キーボードの主旋律のみで、少し音を抑えて。
 けどそれはアクセント。再びテンションは上昇。
 ギターの音は遠慮無しに力強く。
 ライトも青が混じり夏の日差しのように。

「 南風 炎天下 カラカラの喉に神様お慈悲を
  波の音 海人魚 燦燦の夏に歌のスパイスを
  声嗄らすほど 謳い合おう
  夏色太陽 友達にして 」

 舞台に飾ってあった向日葵を観客に向かって盛大に投げて。
 そして音は抑えられ、照明も消えてゆく。
 暗がりに歓声が返る中舞台を三人降りた。
 そこではもちろんメアが待っていて。
「はい、メアちゃん」
「あら向日葵」
「一本残しておいたんです、どうぞ」
 志乃がに笑顔で渡すのをメアは受け取って嬉しそうにありがとう、と言った。

●幕間
「司もやるカイ?」
「ギターセッションか‥‥それは面白そうだ‥‥」
 準備の合間に観客にちょっとしたプレゼント。
 二人は舞台に上がった。
 最初に奏で始めたのはx‐cho。
 自分の持つテクニックを披露して、音を切る。
 すると今度は司が。
 それにいつの間にかx‐choの音も加わって。
 華やいだ音が、観客の声と交じって心地よく。
 ちょっとした幕間の演奏は喜ばれた。

●佐武 真人 〜The most beautiful half〜
 照らされるのは、美しく光るピアノのみ。
 髪を瞳と同じ青のリボンでくくり、ノータイのスーツ姿の真人。
 そして表情は真剣。

 高い一音が、静寂に響く。
 その余韻を残して一瞬の間。
 叩きつけるような激しい音が空気を揮わせる。
 そのままに、速いテンポで鍵盤全てを使い強いメロディーを生む。
 けれども強いだけではなくて、繊細に。
 と、少しずつテンポはゆったりとなり、音も柔らかく、なる。
 それは心地よい音。
 そんなメロディーが続いた後、雰囲気が転換する切欠はド・レ・ミと区切られて繰り出された音。
 低音から高音へ遠慮ないほどに急速グリッサンド。
 そしてまた速いテンポに。
 低音が響き、先ほどまであった柔らかさがまるで嘘の用に対照的な鋭く強いメロディー。
 けれども軽快なリズムに観客は音に身を任せて反応する。
 そしてまた低音から高音へのグリッサンド。
 そのまま和音を、響かせた。

 音がホールに反響して、その音が消えてから真人は鍵盤から手を離す。
 そして立ち上がり、優雅に一礼。
 盛大な拍手に送られながら舞台を降りた。
「どうした?」
「‥‥お疲れ様。ピアノの音、好きよ。曲も、良かったの」
「ありがとうな」
 褒めるの嫌、けど音は良かったから褒めたいの、というようなメアの姿に真人は苦笑した。

●流れる音の中
「片付けも終わり‥‥かな? ゴミ分別もきっちり‥‥司さん有難う」
 ライヴ後手伝いに来たメアの甥、カオルはてきぱきと支持をして片付けを終らせる。
「さすがカオルちゃん」
「メアちゃんがぐだぐだなだけです」
 きっぱりと言ったカオルを、メアはちょっと睨む。
「なぁ、ピアノ弾いていいか?」
「きゃあっ!」
 と、背中から突然かかった声に驚いて、メアはカオルの後ろに隠れる。
 声をかけた真人は一瞬吃驚しつつも、すぐ言葉を続けた。
「テンション上がったままで弾き足りんのだが‥‥」
「いい、けど‥‥」
「佐武さんが苦手?」
「ちょびっと」
 嬉しそうにピアノへと走る真人をみつつ、こそっと二人は喋る。
 黒い相棒最高、とばかりに流れ出す音は、片付け終了の合図。
「俺もギター、やろうカナ。マコトもベースやらない?」
「そうだね、即興セッションとかも面白そう」
 嶺雅と丹は楽器を持ってピアノ周りへ。
 音が流れ出すそこへ次第に人が集まる。
「‥‥寂しそうだな」
 と、ギターを寂しく爪弾く司に由良は声をかける。
「弄る奴がいないからな‥‥代りに由良を‥‥」
「遠慮する」
「冗談だ」
 和やかムードの中、流れる音。それはやっぱり良い音で。
「音楽って良いわ。そうだ、お素麺とカキ氷」
「手伝うよ」
 メアとカオルは厨房へ。
 しかしそれらはすでに準備万端。
「ちーちゃん、志乃ちゃん‥‥素晴らしいわ!」
「茹でただけよ」
「俺は蜜買出しに行ってきたくらいで」
「立派なお仕事よ、さぁ行きましょう」
 準備したものをホールに運んで。
 今回は素麺とカキ氷で打ち上げもしっかりと。
「‥‥打ち上げ‥‥後でまた片付けだ」
 カオルの呟きは誰にも聞こえる事は無く。
 今回もライヴは無事に、終了。