【AbySS】海へ行こう!アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 玲梛夜
芸能 フリー
獣人 フリー
難度 易しい
報酬 なし
参加人数 8人
サポート 0人
期間 08/20〜08/22

●本文

 ロック中心なライヴハウスAbySS。
 オープン前、ビルの地下に続く螺旋階段を下がって誰もいなければオーナー達は厨房にいたり、屋上にいたり、はたまた事務所にいたり。
 今日の出現場所は事務所。
「海?」
「うん、アクティブにイギリスにいった反動で引きこもってるあいつを連れ出そうってことで、日帰り。それに知り合いがヨット出してくれるって言うから‥‥行く?」
「暑いからイヤ」
「‥‥言うと思った。まぁそういわず行こうね、セイリング気持ちいいよ。日焼け止めしっかり塗って、ね?」
 気分転換に、とも付け足してカオルは笑う。
 それなら、とメアは承知。
「折角だから他の子も一緒に。きっと良いインスピレーション受けるはずよ」
「うん、それは大丈夫だよ」
「そう、じゃあ決定!」
 さらさらっと手近にあったメモに、メアは何か書く。
「はい、じゃあこれライヴハウスのボードにぺったりしといて」
「はいはい」

 海に行くわよ!
 一緒に行く子は言いに来てね。
 日帰りでヨットのってバーベキューよ!
 カオルちゃんが連れてってくれるわー!

「‥‥バーベキュー‥‥」
「うん、準備よろしくね!」
「てゆか拒否権ないよね、これ」
 もちろん、と頷くメアに、カオルは苦笑を返した。

●今回の参加者

 fa0379 星野 宇海(26歳・♀・竜)
 fa1376 ラシア・エルミナール(17歳・♀・蝙蝠)
 fa1514 嶺雅(20歳・♂・蝙蝠)
 fa3060 ラム・クレイグ(20歳・♀・蝙蝠)
 fa3398 水威 礼久(21歳・♂・狼)
 fa3887 千音鈴(22歳・♀・犬)
 fa3997 香凪 志乃(24歳・♂・小鳥)
 fa4028 佐武 真人(32歳・♂・一角獣)

●リプレイ本文

●海へGO!
 平木カオルの借りてきたバスの中、席で丸くなり渋谷蓮はブツブツ言っていた。心配そうに愛ハスキー犬と愛トンキニーズにふんふんくんくんされながら。
 その様子にカオルは溜息一つ。
「荷物積み手伝ってよ」
「カオルがケモノ質とるからしょーがなくいるんだって!」
「そんな渋谷さんにも特製『海へおでかけのしおり』配布!」
 千音鈴(fa3887)はしおりを渡して、そして「ちーって呼んでね、シブって呼ぶから」と断言する。
「渋谷さんも楽しみましょう。愛犬愛猫も一緒なんですね。俺も蛇を飼ってるんですけれど‥‥流石に今日はお留守番です。その代わりその子達と遊べたら嬉しいです」
 にこりと笑顔を浮かべて香凪 志乃(fa3997)は言う。
「そうだ、その二匹を撫でたい、抱きしめたい」
 志乃の後ろから佐武 真人(fa4028)は真面目な顔で覗き込む。
「‥‥大切にするならいいよ‥‥!」
「よし、撫でるために早く終らせよう、手伝え」
 そして蓮を引きずり出し積み込みせっせ。全て終わり、いつでも出発ヨシ。
「地図渡しておきますから‥‥迷ったら携帯に」
「レイ、運転はよろしくね」
「任せて! ラシアと二人のり!」
 嶺雅(fa1514)とラシア・エルミナール(fa1376)は大型バイク二人乗りで向かう。
「待った! 特製『海へおでかけのしおり』」
 出発寸前の二人に千音鈴はしおりを渡し、お見送り。
 そして。
「忘れ物、ないですか?」
「無いわよカオルちゃん!」
「Liveも楽しいけど、遊びに行くのも楽しい〜♪ メアちゃん、カオルちゃんお誘いアリガト!」
 カオルとメア、まとめて千音鈴は抱きつき感謝を伝える。
「いいのよ、人多いほうが楽しいし」
「顔見知りが多いようですし楽しみです」
 志乃は酔い止めもしっかり持ってきましたと笑う。
「さー行くわよー!」
 星野 宇海(fa0379)は、和気藹々な様子に自分も笑顔。
「カオルさんはお仕事でお世話になりましたわ♪ メアちゃんの噂はかねがね。うふふ、何だか気が合いそうですわ〜、次は是非歌いに♪」
「是非きて!」
「しゃべってるとおいてくぞ」
 真人はバスからひょいっと顔を出し、ラム・クレイグ(fa3060)も早く、と手招き。
「ねーさん達の荷物は大丈夫かい?」
 水威 礼久(fa3398)は最終確認。
 そしてバスは発進する。

●海です
 快晴の中、一同は目的地の海へ。
 そこにはすでに嶺雅とラシアも到着済。
「遅いー」
 バスを降り、視界に広がるのは砂浜と海。
 海水浴の客はあまり見られないのはヨットハーバーだかららしい。
「日焼け止めもしっかり塗っておかないと焼けるな。タッパはあるから日除けにでもしてくれ」
「日除けいるわ! 役に立ってくれて有難う」
 真人は太陽を見上げて言う。真人の作った影にはさっそくメアが。
 嶺雅は日焼け止めを取り出し余念なく塗り始める。
「俺V系歌手だから健康的な日焼けダメなんだよねー。だから日焼け止めヌリヌリとタップリ。メアちゃんにも塗ってあげようかー?」
「嶺雅ちゃんは私よりラシアちゃんにでしょう」
 そのラシアは日陰で子犬の相手の真っ最中。
「ぶっといお手手がかわいいんだよ、ハス」
「‥‥もしかして、ハスキー犬だからハスとか‥‥」
「うん、にゃんこはニー」
 それを聞いた者はネーミングセンスゼロと思ったがそれは口にせず心に仕舞う。
 一同、日陰で日焼け止めを塗り塗り、出発前にも塗ったが今日の日差しはそれでは足りない強さで。
 それに海は、照り返しもある。
「あ、嶺雅さんの日焼け止めのメーカーどこ? 強力そうだから教えて」
「コレ!」
「ありがとっ! ふむふむ、覚えたわ」
 全員ばっちり日焼け対策済み。
「昨日テント張っておいたので、そこに荷物おいて‥‥皆はセイリングしてきちゃってください。その間にバーベキュー準備しておきますから」
「カオルちゃん、一人で大丈夫? お手伝いは‥‥」
「炭に火つけるのとか慣れてるんで。桟橋にとまってるヨットですよ」
「結構大きいですね」
 カオルが指差した先、停泊しているヨットにこれから乗るらしい。
「14人乗りだったかな? ちゃんと慣れてる人が操舵してくれるから安心ですよ」
 と、いうことで。
 桟橋へ向かう。停泊していたヨットには陽気そうな兄さんが3人。
 酔い止め飲まなくちゃ組はしっかりと飲んで。
「あ、乗った乗った。ここの綱もって、気合であがって」
「マジか」
「マジ」
 えー、と思いつつも、綱持ってよいしょとヨットに上るのは中々楽しいもので。
 バランスとるように座れと言われ、全員乗り込み完了。
 船室もあるが、そこは今回用は無し。
「で、これをつけてもらわなきゃなんなくて」
 と、渡されたのは救命胴衣。
「一応決まりだから、暑いけど我慢してくれな」
「あ、これ飲み物です、海の上で飲んでくださいね、いってらっしゃい」
 桟橋からカオルにクーラーボックスを渡され、見送られつつ、ヨットは出発。

●ヨットですいすい
「実はジェットボートに乗るのが好きなんですの♪ だから‥‥きっとヨットも楽しいはずと楽しみにしてましたの」
「結構早いよね、早いよね!」
 風が気持ちよいですわーとご機嫌な宇海と、びびりの蓮。
「初体験だよ! 乗り物酔いの薬もばっちりだし、風がいいなー、ラシアの楽しい?」
「いいね、気持ち良いよ」
 ヨットの帆は真っ白、風を受けて海面をすべるように進む。
「5ノットだよ、競技になるともうちょっと早いかな、いい風いい風」
 と、ヨット操舵中の兄さんが教えてくれる。
「今エンジンついてないんだよな? それでもこんなに早いのか‥‥」
 真人はちょっと関心しつつ、膝の上にいる猫を撫でながら言った。
「ヨットの帆に赤い毛糸、あれが水平になってると真っ直ぐ風を受けてる印なんだ」
「あ、本当だ、毛糸あるある」
 千音鈴はじーっと帆をみてそれを見つける。それは今水平の状態。
「今は真っ直ぐ風受けてるのね!」
「だな。あ、暑いから水分はとっときなよー」
 クーラーボックスから飲み物を出して全員に。
 顔面に当たる風の中、冷たい飲み物で一息。
「あ、浜がもうあんなに遠くに‥‥」
 ふと浜の方を振り返ったラムは呟く。
 いつの間に、というほど開いた距離。
「カオルちゃんは今頃あそこでお肉やいてるのね‥‥」
「お肉‥‥!」
「と、この辺でとめて沖釣りとかできるか?」
 礼久は言ってヨットを止めて貰うよう頼む。
「釣りしたら、帰る頃には肉は炭になってるよ。糸たらしながらも、スピード結構あるからなぁ‥‥」
「大物狙いでいこうと思ったんだが‥‥時間がねーとなるとなぁ」
「それにこの辺にいる魚って小物だからな、もっと沖にでないと」
「釣りにも挑戦してみたかったけど‥‥ちょっと無理そうですね」
 礼久と同じようにラムもちょっとしょんぼり。
「ビギナーズラックで釣れないかしら、と思ってたのだけど」
「また次の機会があるわよきっと。ね、二人とも」
 メアに言われて仕方ない、と釣りは断念。
「さて、ヨット反転させるから、しっかり捕まっててな。帆の向き変えるから」
 そう言って、操舵してくれる兄さんたちはてきぱき、仕事をする。今まで風を受けていた帆は一度畳まれ、向きを変えられ、そして一気に広げられた。
 その瞬間、ヨットは浜の方向へ向く。
「ちょっ‥‥これ酔う!」
「あっはっはっは」
「にーさんたち笑い事じゃない!」
 いきなりの反転は三半規管に強烈なパンチ。
「よ、酔い止め飲んでいて本当によかったかもしれません‥‥」
 その揺れっぷりに志乃は苦笑する。
「反転はやっぱり揺れるからな。ま、浜までの残り、楽しんでくれ」
 そして最初出発した桟橋まで、ヨットは戻っていくのだった。
 ちなみに、海からの照り返しで腕下の辺りに日焼け止めを塗っていなかったうっかりさんは日焼けする痛手を負う事になる。

●BBQ!
「体が揺れてる‥‥」
 桟橋に帰還、ヨットからおりた志乃はまだ揺れる感覚に苦笑する。
 その感覚は志乃だけでなく他の面々にも。
「確かに揺れてる〜」
「わー、皆大変そう‥‥BBQは準備バッチリです」
 桟橋まで迎えにきたカオルは笑顔でそう言う。
 だが暫くするとその揺れも収まって、元気一杯に。
「バーベキュー! 肉争奪戦! 沢山食べるぞー」
 嶺雅は箸を握りぐっと気合入れ。
 網の上ではほどよく焼ける数々の食材。
「鉄板も持ってきたので焼きそばもあります」
「‥‥気が利く子に育って嬉しいわ!」
「立派なお嫁さんになれるよ」
「男だし」
 網の上で焼かれる材料はどんどんなくなり、お腹一杯になった人から焼く方へ回るように。
「ほら、レイお肉」
「ありがと!」
 と、バーベキューの様子を志乃はカメラに収める。
「今日の記念ですね」
「俺もカメラもってきてるからな、後で撮ろう」
 真人も言いつつ、食材焼き中の面々をぱたぱた団扇で扇ぐ。
「焼くくらいなら私でも出来ますわ」
「あ、おにぎりも食べなくちゃね! それにししゃも〜」
 海へ来る前、ライヴハウスで作ったおにぎりも出現。
 十分すぎるくらいお腹一杯になった面々はこれからビーチで遊びを満喫することになる。

●浜遊び!
 お昼を食べ終わった後、水着にチェンジする人はチェンジ。
 宇海は桜色のサマーワンピースから白の帆ルターネックビキニにシースルーの花柄ロングパレオをまく。
 ラシアはワンピースタイプの水着で、嶺雅は泳がないから着ない、と半ズボンにパーカーでラフに。
 ラムは白とチェリーレッド、サーモンピンクのハイビスカス柄のリボンホルターネックのビキニにパレオ、そしてサンバイザーと長袖のシャツで紫外線カットもさらにばっちり。
 千音鈴は薄紅地に桔梗の和風柄のワンピース水着で。
 礼久は海パン、パーカー、サンダルで、女性陣の水着姿が眩しいと満足気。
「審判希望! 男女比率同じだから紅白戦もできそうだけどね」
「俺も審判しますね、ばっちり判定しますよ」
 嶺雅と志乃は審判組。
「真人お父さんとペアを組んで必勝!」
「親子タッグで勝ちを狙うぞ。実の娘じゃないけどな」
 千音鈴と真人、やる気満々でタッグ結成。
 そしてラムは蓮に声をかけ。
「渋谷さん、よかったら私と一緒に」
「オッケー、がんばろー!」
「うふふ‥‥負けず嫌いさんが多いですわね〜」
「あたしらはあとだね。そういやなんで渋谷はヒッキーしてたんだ?」
「楽しく観光って時に引き戻され、スタッフに缶詰にされてたのを引きずってたみたいで」
 ラシアの質問にカオルが苦笑しつつ答える。
 テントの下でビーチバレー見守り隊は応援中。
 現在一方的状況で試合は進んでいる。
「うりゃぁっ!」
「ほい」
「その身長反則!」
「そうです!」
 真人の身長にラムと蓮は文句を言うが真人曰く。
「アタックとブロックは背伸びでハンデをちゃんとつけている」
 というこで。
 余裕を残し親子チームの勝利。
「あっという間でしたわね〜、あらノンビリしていたらいつの間に‥‥」
「佐武のおっさんに勝つには星海のパワーに期待。小細工しないと勝ち目薄いかも‥‥」
「敵討って!」
「頑張ってください!」
「ラシアがんばれー!」
 応援は女子二人組の方が多く、真人と千音鈴は笑う。
「こっちは二戦連続なのに」
「宇海パワーに対抗するためにジャンプも解禁だ」
 と、真人はジャンプも織り交ぜる。
 負けられない気持ち前面だしで結局引き分け、ビーチバレーも終わりそれぞれ好きな事を始める。
「ちーちゃんに泳ぎ教えてあげる約束だったよな」
「犬かきしかできないのよね、速いんだけど」
「私もお手伝いしますよ」
 礼久、ラムと千音鈴は海の中へ。そこでクロール習得教室が始まる。
「ラシア、砂で遊ぼー!」
「ん、いいよ。砂の城でも作ろうか」
「将来住む予定の豪邸の未来予想図とか。仕事ですれ違いが多いけど‥‥また一緒に歌いたいね」
「そういやしばらくこういう風に仕事抜きで会うってのもなかった気がするなぁ‥‥」
 砂をぺたぺた、嶺雅とラシアは砂城作りに専念。
 その様子を遠くからメアは見守る。
「早くカオルちゃんも彼女‥‥」
「あはは。あ、シブが寝てる」
「‥‥ゴザしいて万全だな‥‥」
 と、蓮に二匹がふんふん砂をかけている。
「‥‥やるか」
「やりますわ」
「俺も手伝います」
 宇海、志乃、真人もうずうず。
 手が開いたものから何をし始めたかは言うまでもなく。

●〆はやっぱり
 蓮が目を開けると、隣には礼久、スイカという状況。
 動こうにも、しっかり埋められて身動きとれず。
「しっかり埋めたから安心してね、シブ」
「安心してって‥‥」
「えいっ♪」
 宇海の振り下ろした棒、その威力で砂浜がえぐれる。
「宇海ねーさん気合入ってるな‥‥」
「これはやばいって、本当助け‥‥!」
「嫌ですわ、冗談ですのよ」
 見下ろす一同、笑いながら頷く。
 この後二人は掘り出され、真っ当にスイカ割りは行われた。
 そして夕闇、ちゃっかり花火も。
「時間が足りないわ〜!」
「そうだ、引きこもりのヒッキー、欧州土産は?」
「スーパーで買った菓子ならあるよ」
「それでいいー!」
 と、礼久はメアに姉の結婚報告を忘れる所だった、とする。
「あら、お目出度いわね、おめでとう!」
「メアちゃんには姉貴、世話になったから報告しとかないとな」
「もうすぐ帰りますよー」
 そして、名残惜しいも帰りの準備。
 来た時よりも美しく、をモットーに掃除も終了。
「暑かったな‥‥暑いの苦手なメアも渋谷も、よく連れてきたな、カオル」
「あの二人は扱いにくそうで扱いやすいんですよ」
 にっこり笑顔でカオルは真人に答え、そしてバスに荷物を運ぶ。
「あ」
「ん、どうした?」
「はしゃいでお疲れ組は寝てます」
 こうして今日一日海でのお遊びは無事に終わったのだった。