ACOUSTIC ROCK!2ヨーロッパ
種類 |
ショート
|
担当 |
玲梛夜
|
芸能 |
3Lv以上
|
獣人 |
1Lv以上
|
難度 |
普通
|
報酬 |
4.4万円
|
参加人数 |
8人
|
サポート |
0人
|
期間 |
09/03〜09/05
|
●本文
「ロックのライヴがしたいよ」
「すればいいじゃないですか」
「よし、じゃあする」
現在イギリスでお仕事中の渋谷蓮。
とっぴな彼の思いつきでそれは始まった。
「どうせなら異文化交流とかしたいからさ、そのへんの学校に行ってライヴとかしたいんだけど。許可とってきて」
「えー」
「えー、じゃねぇ」
鬼スタッフが一人はあからさまに嫌そうな表情をする。
「歌うことは、ストレス解消、生きがい、やらなきゃ死ぬことなんだよ!」
「‥‥わかりました」
「マジか、やったー!!」
「ただし、あんた一人はちょっと心もとないのでそれに付き合ってくれる人を最低8人みつけたらです!」
びしぃっと効果音の出そうな勢いでスタッフは蓮の顔面に指一本たてて言う。
「一人で大丈夫なのに‥‥まぁ、妥協のラインなんだね、それが」
「そうです」
「わかった」
と、いうことで。
イギリスのロンドンのとある学校にて、ロックライヴの許可がおりました。
ただし、相手は小学生の年代。
そして学校側からはアコースティックな楽器のみでの演奏がいいです、とのリクエスト有り。
場所は学校の中庭で。
中庭と言ってもライヴをするには十分な所。舞台はもちろんありません。
このライヴに参加してくれる人、絶賛募集中。
●リプレイ本文
●天気もよろしく
「ピアノとドラムもおっけー!」
とある学校の庭に並ぶのはピアノにドラム。
そしてその周りでは着々と準備が進められていた。
まだ、子供達は授業時間中だが、もうじきそれは終わる。
「んー楽しくなってきたー、やっぱりいいねーライヴ前のこの感じ、今日も楽しんでいこうぜ皆!」
八田 光一郎(fa1591)は明るく笑顔で言って、面々を見回す。それに渋谷蓮も頷き。
「だよねー最高だよねー!」
「なー!」
「コウ、始まる前からテンション上げ過ぎない! 渋谷も酸欠で倒れたら大騒ぎって事覚えておく!」
と、はしゃぐ二人を藤宮 光海(fa1592)はびしっと指差しつつ注意。
それに七式 クロノ(fa1590)は苦笑する。
「光海‥‥いつもの事だろ、でも蓮に倒れられるのだけは勘弁な。思い出じゃなくてトラウマ作りそうだ‥‥」
「酸欠は多分大丈夫!」
「でも、もしもの時の為に‥‥はいこれ」
笑顔で明石 丹(fa2837)が差し出したのはちょっと歪んだウサ耳付座布団だった。
「これを頭の後ろにつければ倒れてもしっかり頭守れるから。大事にしてね」
「おお、ありがと丹君!」
蓮はそれを後頭部にセット。ウサ耳が動くたびに揺れる。
「これでしっかり歌えますね! 蓮さんの歌を聴くのは初めなのですよ! 楽しみ〜! あ、サイン下さい!」
しゅばっとペンと色紙を出してアリエラ(fa3867)は瞳輝かせる。それに蓮はいいよ、とOKしてさらりとペンを走らせる。
「わーい、ありがとうございます!」
「サインの一つや二つ良いってー」
「よかったね、アリエラ」
「あ、パパもサインいる?」
「蓮さん、その認識改めて、パパじゃないから」
「えー」
えーじゃないから、とツッコミを入れる早河恭司(fa0124)だがそれは無駄に終わる。くすくすと、その様子にEUREKA(fa3661)は笑う。
「諦めなきゃね。さてさて、学校でなんて初めてね。ピアノは楽器フェチの名にかけて丁寧に扱うわよ」
「では皆さん、音楽家としては、まだまだヒヨッコですが宜しくお願いします」
仙道 愛歌(fa2772)は頭を下げて一礼。
「うん、よろしくー。やー愛歌嬢個性的だねー、異文化交流だね、インパクトあり!」
愛歌の服装は空手着。その服装は周りから、浮いていた。
と、この突発ライヴ準備を手伝っていた鬼スタッフの一人が全員へとあと10分くらいで授業が終わるらしいと伝えた。
もうすぐ、ライヴは開始。
●ファンファーレは盛大に
ざわざわしてきた庭、メンバーの周りにはちらほらと子供達。
彼らをひきつける一発目のアクションは盛大に。
クロノはサクソフォーンを、光一郎はウッドベースを構え、光海はドラムの前に、そしてEUREKAはトランペットを。
最初に音を響かせるのはEUREKA。彼女の即興演奏に三人は音を合わせる。
明るい華やかな音に、子供達は惹かれてやってくる。
「おおお、良い感じ良い感じ! うずうずするー!」
と、何やら音に自分も引き寄せられ、蓮は飛び出す。
頭上で拍手を促し、子供達はそれに答える。
即興の曲に『LALALA』のフレーズをのせて。
最初は時々かみ合わない音と声だがそれもご愛嬌。最後にはしっかりと奏であう。
最後の一音はそれぞれ視線合わせてタイミングを計り、弾けるように音を生む。
蓮はその一音にあわせてジャンプ。
そして子供達はわーっと、もっともっとというように拍手と声を返してくる。
一区切り、ということで仕切りなおし、両腕広げて蓮は注目ーとアピール。
「あいあむれんしぶやー、へろー! 今日はここでロックライヴしちゃうよー楽しんでってねー!」
と、蓮の言葉をEUREKAがばっちり通訳、テンションもそのままに。
子供達から「OK!」の声がライヴ本格開始の合図となる。
●今日から未来(あした)へ 〜ネクサス〜
明るく柔らかい音が、そよそよ風にのって伝わり始める。
アコースティック独特の音。
「 迷うキミの手を引きたいよ
ボクは何時も前とキミだけ見ている
走ったって歩いたって辿り着けるなら
まずは走り出そうよ 」
クロの声に重ねて所々入る光海のコーラスは柔らかく優しい。
ドラムの音はしっかりと、ウッドベースとアコースティックギターの音はそれにのって綺麗に重なる。
そしてクロノの声に光一郎の声が加わる。
「 好きな事も嫌な事も全部やって行こう
何があるかわからないから
人生って面白い 」
音ははじけるように楽しく。
言葉は通じなくても身体で感じるロックは子供達に伝わる。
そして、ネクサスらしく三人の声を重ねる。
「 目に映る今日もまだ見えない明日も
ココロの底から楽しもう
何時だって今は一度きり
ココロとカラダ自由にして
おもいきり駆け抜けよう
二度と無いこの瞬間を
今日から未来(あした)へ 」
間奏をはさんで繰り返される同じ部分。
同じリズムは身体に馴染みやすく、途中から我慢できなくなった子供たちも手拍子やハミングで一緒に歌いはじめる。
もちろん、蓮もその一人。
言葉は通じないが、しっかりと曲の意味は、子供達に伝わったようだった。
●サムライ 〜仙道 愛歌〜
愛歌は年代物のボタン式アコーディオンをもち、子供達の前へ登場。
その空手着に子供たちは興味有といった様子。
「 奴が来る今夜も来る!
地獄の底からやってくる!
爪を研ぎ牙をむき! 」
アコーディオンの音にのせ声はそこそこ通るのだが、微妙に音が外れた感じ。
そして先ほどの盛り上がりがしゅくしゅくと消えていく。
と、まだ曲は続くはずなのだが子供達と愛歌の間に蓮が飛び込む。
子供達はいきなり何だ、と驚くのだが気にせず愛歌の歌を消すように蓮は歌を重ねた。それはキラキラ星を『LALALA』だけでロックにアレンジした曲。
蓮が惹きつけるその間に、スタッフが愛歌を子供達の前から引き離す。
「小学生くらいの子たち相手にその歌はちょっと。事前にどんな曲歌うかのチェックをしなかったのも失敗でしたが、ライヴの相手は子供です、ここは学校です。この場に合う曲をするというのは暗黙の了解だと思ってたんですが‥‥残念です」
スタッフは溜息を付きつつ、もう出なくて良いですと愛歌に告げた。
そしてライヴの方は、なんとか形となって次にバトンタッチされた。
●光明〜Shining〜+PLEASE×3 〜be mixied〜
「あぁーとってもゴージャスな布陣! ライヴの醍醐味なのです!」
「リバティに蜜月、flickerかぁ‥‥自プロダクション名をユニット名に使うって言うのは何となく気恥ずかしいね」
「それじゃあ派手に、やりましょう! 保護者の皆さんもちょこっといるみたいだし」
「そうだね、ガツーンと、皆で楽しんで」
四人は頷きあって、子供達の中へ。
ベージュのチノ、黒っぽい色のシャツをさらっとラフな感じに着こなす恭司はピアノの前へ。
EUREKAは淡水色のシャツとブラックジーンズを合わせ芝が気持ちよいと笑いながら裸足でアルトサックスを構える。
アリエラは英国、ということで白カットシーにブリティッシュチェックの七分袖シャツをあわせジーンズ。そしてトレードマークのサイドポニーテールを揺らしながらアコースティックギターをもって笑顔。
そして丹は白シャツとブルージーンズ。
全員の個性を合わせて、彼らは曲を贈る。
入りはサックスから。スローなテンポは早くなっていき、ピアノにギターの音と順に重ね合わさっていく。
「 迷路のような街を色とりどりに飾り立てるネオン
『他とは違う』『もっと目立つように』なんて結局見掛け倒し
他人を引きつけるものは外見かもしれないけど
他人を惹きつけるものは内面だから‥‥ 」
声を楽器の音に重ねるのは丹。
音をしっかり踏まえてとる歌は、耳にも良い。
そして曲に入ると同時にサックスの音は止み、ピアノの音が重なり音を広げて響く。
EUREKAはサックスを置いて、恭司と連弾。立ち弾きは自然と音も弾んでいく。
「 だからプライド取り去り 飾りを剥ぎ取って
本当(リアル)を見たい
ネオンなんか無くても夜空には星が瞬く
電飾で飾り立て 他人の力で光るんじゃない
全てを晒して 自分の魅力(チカラ)で輝く星が見たい
街の光で星の見えない夜空を見上げる そこにあることを信じて 」
声は、丹の声にアリエラと恭司のコーラスが重なる。
曲は力強くあるが、ハーモニーは反対に大切に。
歌が途切れると、ピアノの連弾は止まりまたEUREKAはサックスを。
駆け上がるような音と共にカットアウト。
と、一瞬しん、とした空気となるがまた溌剌と明るい音が始まる。
アップテンポで華やかに。
「 I LOVE YOUR GRACEHUL FACE AND NATURE
NO,ALL! 」
歯切れ良いリズム。
そして英歌詞と、子供達は素直に意味を受け取る。
アリエラはコードが無いのを幸いに、子供達の中へも入っていく。
そして歌詞にあわせて顔を覗き込んだり。相手はもちろん吃驚だが、良い笑顔を返してくれる。
「 I WANT YOU TO STAY WITH ME,SO MORE
TURN MY FACE!
PLEASE! PLEASE! PLEASE!
LOOK AT ME DARLING! 」
いつの間にか、子供達も立ち上がってはしゃぎ印象強い『PLEASE!』を繰り返す。
わらわらっと囲まれると最初のうちは戸惑うのだが、それも慣れるのはすぐだった。
そしてこのまま、囲まれる中ちょっと苦労しつつ、楽器を変えたり最後の準備を始める。
●I’m glad I met‥‥
とんとん、と単調でとりやすいリズムが流れ出す。
明るく軽くノリ易く。
両手を使えるものは頭上で手拍子。それを子供達は真似してくれる。
「I am Ren! What’s your name?」
リズム乗ってこの言葉は借りたカンテレを奏でる恭司に振られる。
「I am kyo‐ji! What’s your name?」
「I am Aliera!」
恭司はアリエラにバトンパス。そして子供達も、どう繋げるのかを理解し始める。
アリエラは近くにいた子に笑顔を向けて名前をつなぐ。
そしてその子から光海へ。
「I am MItumi! What is your name?」
ドラムに興味津々で見ていた子へ笑顔と共に送った言葉は、また別の子へと繋がれ、そして光一郎へ。
「I am Kou! What is your name?」
「I am Chrno! What is your name?」
光一郎、クロノと続いてまた歌は子供達の中へ。
子供達の中を回って、歌はピアノを立ち弾きするEUREKAのところに。
軽快なリズムに乗せて、EUREKAから丹に、全員から繋がれた歌が回る。
「I’m Makoto! I’m glad I met you」
「I’m glad I met you」
「I’m glad I met you」
「I’m glad I met you」
あなたに会えて嬉しい、と続く歌。けども言葉はいつの間にか皆に会えて嬉しいに変わっていた。
そして、手を繋げるものは繋ぎあう。
「I’m glad I met all」
最後は全員声を合わせて。
名残惜しくも、茜色の空の下、ライヴの最後の一音が響いた。
●ライヴ終わって‥‥
「まったねー!」
「see you again!」
家路に着く子供達をお見送り。
帰り際の子供達の中にはこの人好きっとぎゅーっと抱きついて離れない子もいたり。
「もてもてっ! パパもてもてっ! 逆ナンパされてるっ!?」
「そういう蓮さんももてもてっ! てか丹君埋もれてる埋もれてる!」
「あはは、大丈夫だよー」
自然と屈んで視線を子供達とあわせる丹は沈んでいる。
と、EUREKAは笑顔浮かべつつもう暗くなるからと子供達に促す。
「残念だけどまた会える会える! 気をつけて帰るんだぞー!」
光一郎も促しつつ、まだ子供たちとはしゃぎあう。
「あれ、アリエラ嬢は‥‥って、一緒に何帰ってるの!」
「え、あれ? い、いつの間にか混ざってたー!」
子供達に流されてお帰りコースに運ばれそうになっていたアリエラは慌てて戻り、見送る側に。
手を振りお見送り、その場はたメンバーだけ残された。
そして楽器の片付けを始める。
「ピアノは借りたものだからちゃんと綺麗にしないとね!」
EUREKAはピアノの足についた芝をぱたぱたっと軽く落とし、しっかり手には拭くもの用意。
「んじゃ運ぶかピアノ」
「そうだね。後で学校の偉い人のところにも挨拶に行きたいな。場所貸してくれて有難うって。一羽、千代紙の折鶴持ってきたんだ、喜んで貰えると嬉しいな」
「きっと喜んでもらえますよ! ライヴも楽しかったー! 憧れのリバティさんの歌が歌えて‥‥神様ありがとうです〜!」
サイドポニーテール揺らしつつアリエラは嬉しそうに言う。
丹も良かったねと笑顔。
「ドラムの積み込みは終わったわよ。ほら、男はピアノ運ぶ!」
「そうだな」
「後片付けもちゃんとしなくちゃな!」
と、ドラムの積み込み部隊の光海は、クロノと光一郎にびしっと指示。
男衆はピアノを傷つけないようにもとあった場所へと運ぶ。
構内に入る前にちゃんと土を落とし元あった場所へ。
「はー、ピアノ運ぶのお疲れ様! んでもって‥‥」
くるっとそこにいるメンバー全員一人ずつ、ちゃんと顔をみて。
「今日はわがままにつきあってくれてありがとーね。すんごい楽しかった嬉しかった感謝してます!」
その言葉に声をそろえて、どういたしまして、と皆返しす。
「よし、そのうち日本の小学校でもやろう!」
と、今回のライヴを気に入ったらしい蓮は、そう宣言するのだった。