PassionMusic:NearYouアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 玲梛夜
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 やや難
報酬 0.7万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 06/06〜06/08

●本文

 『Passion Music』という看板がライヴハウスにかかる。
 その看板がかかると同時に、そこには収録の機材が運び込まれセットが始まる。
 それが完了するとそこにロッカーたちが現れて熱い熱いライヴを。
 いつ、どこでするのかはわからずゲリラ収録のロックライヴ番組。
 収録に出会えるかどうかは時の運。
 そこでプレイするロッカーたちにも場所のイメージは伝えられるが前日まで明確な場所は明かされない。
 集合場所、集合時間指定を受け、暗幕の張られたバスに乗せられてその場所へと連れて行かれる。
 準備の終わったライヴハウスでは今か今かとロック好きの観客がテンションをあげて、待っているのだ。
 ぱっと、舞台の端にスポットがあたる。そこにはマイクとカンペを持った司会者。
「えー、今日の収録に居合わせた人はラッキー。僕もラッキー? いや、僕はいつもだからね‥‥さ、今宵ここでライヴをするのはこいつらだあ!!」
 舞台の照明がばっと明るくなる。
 最高のプレイを、そこで‥‥!

『Passion Music』出演者募集
 ゲリラロックライヴ番組収録、出演ロッカー募集
 こちらから指定するのはライヴ日の集合場所、時間のみ。
 演奏する内容にテーマはありません。曲のセレクト演出等はお任せします。
 収録に取り直しはありません、一発勝負です。
 今回のライヴハウスのイメージは密接。観客と舞台との距離が近い事が特徴であるライヴハウスです。

 なお、日程は以下です。
 初日  参加者顔合わせ
 二日目 スタジオでのリハーサルなど
 三日目 ライヴハウスでの演奏、収録

 グループ、ソロでの参加は問いません。
 ドラムセットやピアノは備え付けのものがあります。
 また、ソロの場合、バックバンドが必要であればこちらで用意します。

●今回の参加者

 fa0034 紅 勇花(17歳・♀・兎)
 fa1359 星野・巽(23歳・♂・竜)
 fa1590 七式 クロノ(24歳・♂・狼)
 fa1591 八田 光一郎(24歳・♂・虎)
 fa1592 藤宮 光海(23歳・♀・蝙蝠)
 fa2957 ぇみる(19歳・♀・パンダ)
 fa3596 Tyrantess(14歳・♀・竜)
 fa3847 宇津木 驚(25歳・♂・犬)

●リプレイ本文

●初日顔合せ
 顔合わせもラスト、ぇみる(fa2957)は立ち上がりにこりと笑顔。
「ぇみると言います、宇津木さんと一緒にこのライヴに参加しました、宜しく御願いします」
 ぇみるが礼をすると同時に、隣に座っていた宇津木 驚(fa3847)もそれにあわせ立ち上がる。
「宇津木 驚です、未熟な所も有りますが、皆さん宜しく御願いします」
 二人は挨拶無事終わり、と一瞬視線を合わせて座った。
「今日はこれで終わりです。テーマ等は最初にお話した通り。何かあればこちらにどうぞ。集合は18時に局の正面玄関。では明後日お願いします!」
 番組の説明と全員の自己紹介が終った後、番組のスタッフは解散、と声を上げる。
 それと共に、ぇみるはぱっと隣に座っていた星野・巽(fa1359)とTyrantess(fa3596)へと顔を向けた。
「あの、良かったら一緒にやりませんか?」
「構わねーぜ、歌はあんまり得意じゃないしどうすっかなって思ってたところだ」
「俺も大丈夫です。即席なので練習しないと、明日は大変そうです」
「やった! メドレーでも良いみたいだから、三組の歌をメドレーにしてみるって面白いかなぁっと思うのですけど?」
「ぇみるさん、そういう話は立ち話じゃなくて、スタジオで。他にも決めることあるだろう」
 身を乗り出しながら言うぇみる。そんな彼女に驚は苦笑する。
 巽もTyrantessも、その通りとばかりに頷いた。
 と、一組結成の間に紅 勇花(fa0034)はスタッフと話を進めていた。一人で参加する彼女には音が足りない。
「バックバンドにベース、ドラム、キーボードを依頼したいんだけど‥‥大丈夫だよね?」
「はい、それじゃ楽譜なんかを‥‥」
 勇花はスタッフとそこで簡単に打ち合わせを開始。そしてその後ろでは三人組が意気揚々、テンションをじわじわと高めつつあった。
「俺達は、いつも通りに。どうやら三組でライヴらしい」
 周囲のざわつきを観察し、七式 クロノ(fa1590)は仲間を見る。
「おう、ネクサスとしてやるだけだぜ」
 にひっと笑顔を八田 光一郎(fa1591)は藤宮 光海(fa1592)へとVサインと共に送った。
「そう、いつも通りネクサスの最高を」
「演奏順はスタッフ任せだが、いつ演奏してもそれはかわらない」
 その通り、と光一郎と光海は頷いた。
 三組三様、一日を挟んで、そして本番を迎える。

●拉致バス詰込!
 乗れ、とスタッフに詰込まれたバス。向かう先はまだ明かされないまま。時間にして30分前後、バスが止まりエンジンが切られる。
「お、到着か?」
 どんな場所か楽しみだとTyrantessは笑う。
 どんなライヴハウスか、それが楽しみなのは皆同じ。バスの扉が開くと、そこはライヴハウスの裏口。
「くぅーっ盛り上がってきたぜ!」
「コウ、落ち着く‥‥でもやっぱりいいわね、このライヴハウス独特の空気」
 軽く光一郎の肩を叩いてまだ早いよ、と宥めるが光海自身も気持ちは高ぶっていく。
 それぞれが気持ちを高める中、スタッフが早くと急かすような声で一組目の出番を告げた。
 一組目に呼ばれた面々は、颯爽とライヴハウスの中へ‥‥

●TEKTITE 〜Three Songs Runs!〜
「はいはい注目ー。今日このライヴハウスで運の良い君らを最初に沸かせてくれるのは、これまた運良く僕が阿弥陀して特攻隊長に決まった‥‥TEKTITE!」
 紹介と共に熱いほどのライトがスタンバイ済の四人を照らす。そして始まるドラムスティックのカウント。
 全楽器が一斉に、華やかに音を掻き鳴らし景気よく流れ出すイントロにギターがビートを刻み、巽とぇみるの声がそこへ乗る。

『羅針盤』作詞作曲 BLUE−M
「 凹んだまま ドアを蹴ったって 何も出ないよ!
  探してみなよ ほら目の前に転がってる宝石の原石
  追い求めること 忘れたら駄目さ Dont give it up ! (諦めるな!) 」

 二人のユニゾンに驚のコーラスが重なる。曲はアップテンポ、それがさらにヒートアップしてゆく。

「 夢の彼方への片道切符 飛び立つ翼 手に入れ一直線に
  飛んで行けるなら 恐い物なんて無いはずさ! 」

 ヒートアップした雰囲気は壊さず、巽とぇみるの声は伸びやかに。

「 進め! 心の羅針盤の指すまま
  道草 寄り道 回り道 全部必要! 無駄じゃない
  全勝 圧勝 完全燃焼 全部纏めて掴み取れ! 」

 ユニゾンを引き立たせるようにコーラス。
 思い切り良く歌われ、観客のエンジンもかかってくるところで一曲目は終る。
 そこでメンバー紹介。
 白いTシャツ、共に赤いジャケットに皮のハーフパンツ、そして動きやすさ重視ではいたブーツの踵を鳴らしながらぇみるが一歩前へでて名前を呼ぶ。
「ギター、Tyrantess!!」
 羽織っただけの赤のショートジャケットの下は黒のレザーブラ、同じく赤の、ややタイト目のマイクロミニスカートを着こなすTyrantess。すっと前にでて愛用のギターを抱き寄せヘッドに軽くキスを。自分の持ち味を殺さずセクシーに振舞う。
 派手な動きではないものの観客が近い為、煽るには十分。
 そして観客の嬉しいざわめきが残る中。
「キーボード、宇津木 驚!!」
 黒いシャツの上に赤に近い茶色の皮ジャケット、そして同系色の皮のパンツを纏いキーボードを演奏しながら驚は前へ。
「宜しく」
 驚の声はそのプレイと共に観客へ届く。
「さ、次はヴォーカル、星野・巽!!」
 黒系ワイン色細めジーンズに赤系ムラ染めショート丈の半袖ブルゾン、前を開け放した胸では黒タンクトップの上でゴシック風クロスネックレスが踊る巽。
 ぇみるが差し出すマイクに巽は声を送る。
「巽です! 宜しく」
 と、巽はそのままぇみるの手をとって舞台中央へエスコート。
「同じくヴォーカルで、ぇみる!」
 ぇみるの名前を呼んだ後、するりと手を離し巽はモデルの本領発揮、上着を脱ぎクルリとターン、去り際のウィンクは女性の観客に悲鳴に近い声をあげさせる。
「ぇみえみのぇみるです、私達の歌が少しでもみんなの心に残るように気持ちを込めて歌うから、みんな応援よろしくね♪」
 巽のパフォーマンス後すぐにぇみるは観客に言葉を伝える。
「じゃあ二曲目いっくよー!」

『edcape』作詞作曲 ぇみる
「 この思い如何すれば良い この気持ち何処にぶつければ良い
  僕らはこんな世界は望んでいない この平穏な世界に
  僕らが光を照らしてみせる 」

 アップテンポは先程と同じ。けれども奏でられる音は違う。
 ラップ調、弾ける様な声でぇみるは歌い、驚がコーラスを重ねた。
 と、曲調がパンクロック系のものへと一気に転じる。
 その変化に観客はどよめくがすぐに対応し、楽しむ。

『DO IT!』作詞作曲 Tyrantess
「 昨日を引きずり 明日に怯え アンタ それで楽しいかい?
  未来のために 今を生きてる アンタ それで満足かい?

  心の奥に くすぶり続ける 燃えさしのオモイに また火をつけろ!

  DO IT! ホントの自分解き放て!
  DO IT! やりたいようにやってやれ!
  DO IT! DO IT! DO IT NOW!!
  過去も未来も振り切って 今だけのために生きてみろよ! 」

 前奏、間奏、サビに使われているリフが耳に残る。
 重なる声はぇみると巽。
 激しく熱い音が観客をテンション最高潮に持っていく中、TEKTITEの四人のライヴは終った。

●紅 勇花 〜誘夜−IZA/NIGH−〜
 前組の熱さ覚めやらぬライヴハウス、落ちたライトが舞台の一部を照らすと共に観客の声が、叫びが上がる。
「お、気が早いよー、ざんねん僕でしたー。じゃあ行くよ準備オーケィ? 明朗快活なお姫様、とか言ったらどう反応するかな? 紅 勇花!!」
 ライトは舞台中央の勇花へ、それと同時に観客の視線も独り占め。
 バックバンドを従え、自分はギターを持ちインカム装着。男物のシャツとジーンズ、そして帽子をかぶり格好いいイメージを押し出す勇花の姿。
 流れ出す前奏は暗鬱、ざわりと観客はどよめく中、勇花は歌いだすのではなくて囁くように言葉を送る。

「渇きたる日々に‥‥ あなたは、何を欲しますか?
 言葉にはなさらないで‥‥望みは、その心の中に‥‥
 貴方の為に、今宵、道を開いて差し上げましょう‥‥
 この、夜の彼方へと‥‥さぁ‥‥この手を取って‥‥」

 それは目前の男性の観客に向かって送られ、送られた本人はもちろん興奮。勇花がギター演奏の手を止め差し出した手を握ろうとするがするりと、勇花は逃げ、まだ続く暗鬱なリズムにのせてアルトの声を響かせる。

「 プラチナの月は瞳に揺らめき 不埒なる月はココロを揺らす 」

 ワンフレーズを歌い終わると今度は女性の観客に向かってまた囁くように。

「嗚呼、麗しき君よ‥‥この世にて尚輝く君よ‥‥
 この煤けたる世界よりも、輝ける場所がある‥‥
 貴女の為に、今宵、道を開いて差し上げましょう‥‥
 あの、空の彼方へと‥‥さぁ、この手を取って‥‥」

 そしてまた差し出した手をすぐ引っ込める。
 と、ここで曲調が一転。
 狂的な激しさへと変わる。この落差が観客達を盛り上がらせる。

「 プラチナの月は瞳に揺らめき 不埒なる月はココロを‥‥
  プラチナの月は瞳を濡らして 不埒なる月はカラダを濡らす

  満月の夜に溶けた二人に もう二度と朝は訪れない
  嗚呼、奪われた二つの魂は何処へと‥‥ 」

 声を奥底から出して、フレーズ一つずつ大切に歌う。
 そして激しい曲調は後奏でまた暗鬱に。

「満月の夜は‥‥誘いの手にお気をつけて‥‥」

 後奏に乗せて最後の台詞を観客すべてに向けて。
 優雅に一礼。
 余韻を残しつつ曲は消えていった。

●ネクサス 〜gloriousdreamer〜
 舞台に上がる前、三人は互いに互いを見合った。
「さぁ出番だ」
 クロノは仲間に、言葉をかける。
「おうよ! 最高の夜にするぜ!」
「OK、さぁ暴れてくるわよ」
「昨日のリハで最終調整もした」
「トリだしな!」
 気合の入った三人の耳に司会の声が響く。
「70年代を感じさせるレトロでストレートなサウンドと三人のコーラスは息ぴったり、さてラストー、ノリにのって倒れるには十分すぎるほどだろ? んじゃ登場してもらおうか、ネクサス!!」
 舞台に苛烈なライトが向くと同時に三人は飛び上がる。その瞬間押し戻されそうになるほどの歓声。
 クロノはギター、光一郎はベース、光海はドラムを演奏すると同時に三人とも歌もこなす。きっちりヘッドセットマイクを装着だ。
 勢いのある、疾走感が心地よいハイテンポ。
 ギターは一気に盛り上げるようにパワフルに、ベースは主張し過ぎず埋もれ過ぎずパワーに溢れ、ドラムはその小柄な身体からは想像できないよう熱く激しい音を奏で支える。

「 立ち止まったら見失ってしまう 夢と言う名の道標
  遅くたって前に進むまなきゃ 霞む小さな輝き
  倒れたら立ち上がって ただ前に向かえよ
  振り返る余裕は無いって知っているだろ 」

 クロノの声が、音に乗る。

「 ここでもう一歩(その勇気で)
  前に踏み出せ(その決意で)
  退く訳には
  イカナイ デキナイ オワレナイ 」

 メインボーカルはクロノと光一郎。そこに光海の声が合わさりハーモニーを生み、観客を魅了。

「 gloriousdreamer 超えてみせる空も夢も
  gloriousdreamer 掴んでみせるあの小さな輝き
  gloriousdreamer 次の輝きが俺達を呼んでる
  さぁ駆け出せ gloriousdreamer 」

 そしてユニゾン。
 三人の声はそれぞれのキーを活かし合い綺麗に重なっていく。

「 挑んでいこうぜ
  スリル求めて
  たった一度の
  人生ってレースを! 」

 観客に挑むように、煽るような光一郎の歌声。それに呼応し観客は飛び跳ねてライヴハウスは揺れていると錯覚するほどの熱気。
 観客のノリの良さにお返しだと、ギターソロでクロノは背面弾きを披露。
 ネクサスメンバーも、観客も互いに互いを煽りあっていた。

「 gloriousdreamer 超えてみせる空も夢も
  gloriousdreamer 掴んでみせるあの小さな輝き
  gloriousdreamer 次の輝きが俺達を呼んでる
  さぁ駆け出せ 栄光の道を
  gloriouswinner!! 」

 ラストは再び三人でユニゾン、これが自分達の音楽だと見せ付ける。
 弾けるような演奏に観客は大満足。演奏後もまだ足りないとばかりに三人の名前を呼び続ける。
「サンキュー!」
「サンキュー、お前等皆最高だぜ!」
「皆っアリガトッ!」
 その声に応えなきゃなと、クロノは手にしていたピックを近場に投げる。
 観客はわっと動いて、運の良い物の手に渡った。
 同じように光一郎もピックを振りかぶって遠くへと。
「おー飛んだ飛んだ! んじゃなー!」
 まだ舞台にいろよと引き止める声を振り切りつつ、ネクサスは舞台を降りた。

●ライヴハウス『EIDETIC』
「さって、今日の収録場所はEIDETICでしたー。あ、もう来ても僕達いないから。次はどっこかなーそれはまだわかんないんだよね、いや本当、僕知らない」
 三組のライヴが終わりテンション最高潮の観客は司会に何言ってるんだと笑う。
「僕も仕事忘れてお前らと一緒にライヴ参戦したいんだけど‥‥ほら、ほらそこのスタッフが睨んでる、仕事しろって睨んでる! 怖ぇー! え、それはいいから話進めろ? 何それもう‥‥はいはいはい、そんじゃ最後お前らにも付き合ってもらうよ、顔みりゃ答えはわかってるんだけど」
 ざわめく声を抑えて抑えて、と司会はジェスチャーで伝える。
 そしてしん、と静まるライヴハウス。
「今日のライヴは‥‥どーだったよお前らー!!!!」
 マイクを使わず地声での問い。
 答えは、観客の圧倒的な声量で明らかだった。