【AbySS】Wonderland!アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
玲梛夜
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
4.4万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
10/07〜10/09
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●本文
ロック中心なライヴハウスAbySSにて。
オーナーの平木メアは楽しそうに一冊の本を捲っていた。
一人の少女が白兎をおいかけて不思議の国に迷い込む、あのお話。
メアの好きな物語だった。
「‥‥いつ読んでも素敵、大好きだわ」
ぱたり、と本を閉じてじーっと眺める。
「あ、そうだわ、折角だし‥‥皆できる子たちばっかりだから」
そして、傍にあったメモにさらさらっと。
お知らせ!
『Wonderland』
シロウサギにトランプの兵隊さん!
あのお話を元に、歌で、曲で。
一つのお話をロックでオペラみたいにやって頂戴!
皆ができる子って私知ってるの。
見に来る子もきっと楽しみ!
「これで、よし‥‥オペラみたいにするのも前からずーっとやってもらいたかったのよねー。衣装とかも楽しみねっ! キャラの格好で歌ってとか‥‥あぁん想像しただけで楽しいー! 音源はもちろん自分で確保してきてもらって‥‥」
机をだんだん叩きながら一人ハイテンションなメア。
そんな状況に運悪く遭遇した甥っ子はびくっとして立ち止まった。
「な、何一人ではしゃいでるの‥‥?」
「あらカオルちゃん、次のライヴの内容決めたの!」
「そう、よかったね」
カオルは笑顔を返した。そしてメアの傍にある本を見てなんとなく次のテーマを知る。
またちょっと難しいテーマを出して、と思いながら。
「アリス、だよね?」
「そうよ、楽しみだわー!」
ウキウキのメアは、ぺたりとメモをボードへ。
相当、楽しみな様子だった。
●リプレイ本文
●Wonderlandはいかがなもの
「もうすぐ始まるわね」
「うん。僕実はどうなってるか不安」
オーナーの甥っ子は、笑いながら言う。
その言葉にメアは言葉を返そうとしたけれども、ライヴの幕が上がるので口を閉じた。
●穴の中へ‥‥
ライヴハウスはしん、と静まっていた。
そこへ音が、飛び込んでくる。
「 乙女の罪は好奇心 不思議な兎追いかけて
飛び込んじゃった Large Rabbit‐hole
帰り道など頭にない 今は兎に夢中なの
どんどん落ちてくわ!(Down×3)
どこまで落ちていく?(Down×3) 」
スポットライトの加減で穴に落ちていく様子を表現。
明るい音は徐々にテンポアップ。
間奏はさんでミドルテンポに。
「 落ちた先 再び発見白兎
好奇心は甘くない
でも困ったわ 角を曲がれば貴方はいない
沢山のドアは開かなくて 途方に暮れる私
机の上に金の鍵 ドアの向こうは花畑
小さくなくちゃ通れない 薬瓶には(Drink Me‥‥)
OK,Let’s Go! 小さな私 でも鍵の忘れ物Mistake
大きくなくちゃ届かない ケーキ箱には(Eat Me‥‥)
OK,Let’s Get! 大きな私 でもドアは通れないMistake 」
舞台上、アリスに扮する姫月乃・瑞羽(fa3691)とぐるぐるっと追いかけっこしながらお手製白ウサギ耳ヘアバンドつけ白シャツに黒ベスト。蝶ネクタイとモノクルつけて、インテリ風。そしてしっかり懐中時計をぶら下げた紗綾(fa1851)はエレキギターを弾きながら舞台の端へ。
そして観客に向かって。
「どうしよう! 遅刻しちゃうよ〜!」
曲の終わりと共に台詞残して紗綾は舞台を下りる。
そして残されたのはアリス。
と、ぱっと舞台にスポットが。照らし出されたのは頭にはターバン、ゆったりとした中東系の民族衣装を着こなしたKanade(fa2084)だ。演じるのはイモムシ。
ピンスポットは当たる中、ふぅっと水パイプを吸い煙を吐くふりをしたあとにステージの中央へ。
そして歌い出すのは『caution』。
ギターとベース、ドラムの音が低く交じり合い怠惰じみた音を奏でる。
「 キミが見つめているから見つめ返す
何も言わなければ何も解決しない
キミの言い分は何だ
姿が違っているのがおかしい?
成長すれば姿は違ってくるのは当然
キミの感覚がすべてではない
『ウィリアム父さんお歳をめして』
間違いだらけの暗唱を言うキミ
現状に甘えるなんて理解できない
甘えられなく投げ出す
俺からのcautionは届かないだろう 」
アリスへの忠告は終わり、次の場面へ。
流れる音はキーボードのインストゥルメンタル。
騒々しさとくしゃみのリズムを楽しく面白く、青紫のドレスとベール姿のEUREKA(fa3661)が弾く。
そしてそのまま、アリスには欠かせないチェシャ猫登場。
嶺雅(fa1514)は黒猫耳に尻尾、明石 丹(fa2837)も耳と尻尾をつけて、アームセパレートの黒シャツで二人ともあわせる。丹はベースも持って演奏しつつ。
公爵夫人に扮するEUREKAの両脇からニマニマした表情を浮かべて。
緩急激しいテンポの曲が流れ始める。
主旋律と平行してEUREKAは聞き覚えある曲を弾いて。
そしてアリスとのチェシャ猫の掛け合いの始まり始まり。
「 Please tell me チェシャにゃんこちゃん
私は何処へ行けばいい? 」
『 それはかなりあんた次第 』
「 それはかなり 」「 あんた次第 」
チェシャ猫は言葉をそろえ、そして丹、嶺雅と歌うたびにスポットライトがチェンジ。
「 何処でもいいの 何処かへつけば」
『 どっかへはつくさ 』
「 間違いなく 」「 たっぷり歩けば 」
「 あっちへ行けば帽子屋 」
「 あっちへ行けば三月ウサギ 」
『 好きな方へ どっちもいかれてるけど 』
「 どうせあんたもいかれてる 」「 ぼくもいかれてる 」
『 ここじゃみんながいかれてるのさ 』
アリスと掛け合うように歌い、曲は終る。
「猫がいかれてる理由はね。嬉しいと唸って、怒ると尻尾をふるからさ」
と、丹にスポットがあたり、ふっとライトが消える瞬間台詞とニマリ笑顔が浮かんだ。
●お茶会へ
「パーティをしてるわ! 私も混ぜてもらえるかしら」
と、場面は変わってアリスはお茶会へ到着。
「ここは満席だよ!」
今度は三月ウサギをする紗綾は先ほどきていたベストなどをとって、よれよれのジャケットを着崩して羽織っている。
陽気に、アップテンポで賑やかな音が流れ出す。
そして猫セットをとって嶺雅が黒ジャケットはおり大きな水玉模様のネクタイ、そして大きな値札付き帽子を被ってイカレ帽子屋として再登場。
ヤマネも先ほどまでチェシャ猫だった丹がグレーのスペンサージャケットを着てベース弾きながらこなす。
「 jajajaja tick‐tock Crash!
今日も狂ったtea party!
何せいつでもteatime!
『カラスが書き物机に似ているのはな〜ぜだ?』
答えのない謎を問いかけるのは時間の無駄だって?
じゃあ君は時間と話したことはあるのかい? 」
「 『時を刻む』なんて残酷な言葉! 」
「音楽では拍を打って時間を刻むっていうのは知ってるわ」
アリスの台詞は歌詞に合わせて。
「 なんせ時間のやつったら バラバラに刻まれた事を根に持ってるんだ
だからいつも同じ時間で 俺達の頼みはちっとも聞いてくれやしない
こうして最高のバターで修理してあげてるのにさ 」
「バターで修理なんて聞いたことがないわ!」
間奏の上に重ねてアリスの台詞が入って、動けるメンバーはその様子を身振り手振り入れて表現。
「あぁ、極上バターだったのに‥‥食べたかったな‥‥」
「食い意地張ってる!」
そして三月ウサギもしょんぼり呟いて軽くつっこみを他のメンバーから受ける。
「 gagagaga tick‐tock Bang!
今日もイかしたtea party!
何せいつでもteatime! yea! 」
と、曲からベースの音が消えて、なんでだろうとヤマネにスポット。
見ると眠っているらしく、すぐさま三月ウサギとイカレ帽子屋から起きてコール。
「眠ってないよ〜むにゃ」
ヤマネは起きて、賑やかな音は続く。
「 jajajaja tick‐tock Crash!
gagagaga tick‐tock Bang! 」
ユニゾンで繰り返し歌いながら音と照明は小さく。
スポットが当たるのはちょっと呆然としたアリス。
ふっと照明は消えて次の場面へ。
音はアップテンポ。
忙しくしろバラを慌てて赤へ塗っていくシーンをキーボードで。
テンポはアップテンポ、白鍵のみから黒鍵のみの旋律へといつの間にか変わっていく。
と、音は途切れてゆっくりとした、そして物悲しい曲か流れる。
メインを務めるのはにせウミガメイメージ、グリーン系のジャケットを羽織ったスモーキー巻(fa3211)。
「 何より美味しい green great soup
これさえあれば何もいらない 」
「裁判が始まるよ!」
と、紗綾の声が響いて次へ進む合図。
止まった音はまた始まり、のろのろゆるゆるとフェードアウトしていく。
「 栄養満点 hot healthy soup
これ一品でみんな満足 」
ふっと灯りは消えて、シーンはクライマックスへ。
●裁判
パイプオルガン風の音が流れだす。
まだ舞台には誰もいない。
ぱっとジャケット抜いて、王様風コート、そして冠と付け髭をつけたスモーキーが登場。
「裁判を始める! では陪審は判決を」
「王様証人がまだです!」
「む、さっさと呼べ!」
三月ウサギから白ウサギに紗綾もチェンジ。王様にツッコミを入れて他のメンバーを呼ぶ。
嶺雅はそのままイカレ帽子屋で、ちょっとびくびくおどおどしながら。
丹はチェシャ猫に戻り、Kanadeは黒のミリタリージャケットにレザーパンツ、首にはシルバーチェーンと服装チェンジでジャックになる。そして公爵夫人とラム・クレイグ(fa3060)扮するハートのクィーンも登場。
ハートのクィーンは白と赤に金をアクセントにしたドレス、立て襟のマント、銀のティアラやアクセサリー、そしてハートモチーフのステッキを持って。
最後に登場は、アリス。
アリスが登場すると同時に『ハートのクィーン』の曲が始まる。
ミドルテンポ、ロックにクラシックを混ぜて。
「 その首を切り落として! 」
最初は叫ぶように、インパクト強く。
「 ゲームだと思ってる?
本気じゃないと思ってる?
私は何時でも本気
ハートのクイーンは最強のカードよ
キングだって私の顔色を伺うわ 」
間奏ではそれぞれがまた掛け合いを。
「さっさと証言を聴かせなさい」
と、クィーンが言えばキングが。
「この件について何か知っている事は?」
と、キングが。
「 その首を落として!
気に入らないのあなたの全て
そう、癇癪じゃないの
絶対に違う
私は何時でも本気
歌い手の一覧をみていても
誰も私の意には逆らえない
この裁判の判決も決まっているの
Off with her head!
Off with her head!
Off with her head! 」
曲を支えるのはジャックのギター。
ハートのクィーンはステッキ振り回しつつ、歌う。
「 僕がタルトを盗んだ?
どうしてそんな事をすると思うの
僕は罪を犯してない
首をちょん切られるのはゴメンだ! 」
と、ジャックの訴えも入り、舞台上は混乱する。
「 Off with her head! 」
アリス以外の全員で声をそろえて『Off with her head!』と歌い、切迫した雰囲気を作って。
その中でアリスは戸惑いつつ自己主張。
「私は何もしてないの!」
「身長1キロ以上の者には退廷を命じる!」
どたばたとした音を奏でながらそれぞれ台詞を言いながら。
「遅刻しちゃう!」
「 Off with her head! 」
「首を切り落としておしまい!」
ハートのクィーンは高い声で叫ぶ。
「 Off with her head! 」
と、一層強く音が奏でられ、ぴたっと止まり暗転。
そしてスポットライトに照らされて出てくるのはアリス。
「あれ‥‥今までのは‥‥夢?」
目が覚めて、アリスは自分の世界に戻ったことを知らせ、照明は落ちた。
ライヴはどたどた有りつつも無事に終わり、観客からは拍手が帰ってきた。
●ライヴは終って
「お疲れ様。今回は大変だったし‥‥片付けはカオルちゃんが全部してくれるわ」
「え」
観客もいなくなり、ライヴハウスのホールでお疲れ様とかぼちゃのモンブランを皆で打ち上げ代わりに食べながら。
「今回至らない所が多くて‥‥アリス長いから、どのシーンをとか最初に決めといたほうが良かったみたいね、思慮足りなかったわ。皆どたどたさせちゃってごめんなさい。でも見てて楽しかったわ、アリスでした」
私満足、とメアは言って笑う。
「そういえば皆の知り合い来てたのよね。手振ってたりしたけど見えたかしら」
「あ、見えたヨー!」
「うん、わかったよ、ばっちり」
「そう、よかったわ。来るらしいのは知ってたけどお知らせするタイミング逃しちゃって。そのモンブランも差し入れなの、だから大事に食べてね」
今回のライヴお疲れ様、を労って、反省もちょっとして。
「アリスの瑞羽ちゃん、お疲れ様。可愛かったわ」
「ありがとうございます」
「チェシャにゃんこ二人、ニマニマ表情がばっちりだったわ。嶺雅ちゃんは帽子屋さんお疲れ様。蝶ネクタイ似合ってたわ」
「何着ても似合っちゃうから!」
嶺雅は当たり前、というように胸張って言う。
そしてメアと丹の視線が合うと、丹はにこりと柔和な笑みを湛える。
「ヤマネお疲れ様。むにゃがかわいかったわ」
「ありがとう、むにゃ」
丹はそれを再現して、周りから笑いが起こる。
「ウサギさんは紗綾ちゃんね。元気に色々駆け回ってお疲れ様」
「ウサギさんへ愛情がありますからっ」
ちょっと照れつつ紗綾は言う。
「ゆーりちゃんは素敵な公爵夫人でした。あとインスト沢山お疲れ様。それぞれ個性あって、場面伝わる曲だったわ。白鍵から黒鍵へ移行する曲が一番好き、公爵夫人の所も良かったわ」
「好きな曲があったの、嬉しいわ」
「あとにせウミガメと王様‥‥とろとろしたスピードの曲が良くあらわしてたわ」
「フォローに専念も考えたけど‥‥本当にお疲れ様」
EUREKA、スモーキーに言葉かけ、そして次はKanadeにメアは顔を向ける。
「二役お疲れ様。どっちもキャラが違って、それがわかってよかったわ」
「アリスは子供の頃に読んだきりだったんだが、面白かったかな」
「それはよかったわ、最後はハートのクィーンね。女王様っぷりがちゃんと出てたわ」
「女王様できて、よかったです」
と、全員に一言ずつ。
「とにもかくにも、ちょっとはらはらしてたけど無事に終って良かったわ。今回のこと私もしっかり学習して次に活かすから、皆もそうしてね」
メアが締めくくり、アリスなライヴは成功の形で終るのでした。