秋の学園祭ドラマSPアジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
玲梛夜
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
7.9万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
10/29〜11/02
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●本文
「季節が外れてても良いじゃないか」
「やりたいことはやりたいんだよなぁ‥‥」
とある会議室にて男二人会議。
さくさくっとドラマの内容は独断と偏見で作られていく。
「牛が逃げて、それをおっていくとあら不思議でいいと思うんだ」
「帰ってくるときも、牛発見捕獲で追いかけてあらもとの世界でいいよな」
「いい」
「よし決定」
と、話が纏まった所で、静観していた新人は口を開いた。
「あのー、本当にやるんですか? やるんですか?」
念押しで二度聞く新人。
もちろん、二人の意思は変わらない。
ドラマあらすじ
へたれ彦星を筆頭とする個性あふるる七夕メンバーたちは、脱走した彦星の牛をおっているうちにあら不思議、学園祭の真っ最中の世界へなぜかたどり着くミステリーに出会う。
学園祭、服装ずれててもあら何かの仮装の一環かな、で終る周囲の目。
学園祭を満喫しつつ、牛を追う一向。
果たして牛を捕獲し元の世界に戻れるのか!?
補足
ドラマの結末は『脱走牛再発見。追っているうちにいつの間にか元の世界へお帰りなさい』です。学校にある繁みをがさがさしてください。抜けるとソコは天界。
衣装についてはそれぞれの希望を最大限叶えるよう努力するが、一般的範疇からは外れないように。
今回、七夕メンバーのほかにも学園祭満喫中の学生など新たな配役も募集です。
●リプレイ本文
●不思議な世界へ
薄桃の鼻先をしたコベコは、涙を流し疾走していた。
コベコ、ヘタレ星もとい彦星(西村 哲也(fa4002))から脱走。
そして彦星に請われてだったり自主的に追いかける面々。
「せっかくの私との逢瀬というのに、あなたという人は満足に牛の世話もできないのですか!」
「だって‥‥! コベ、コベコッ!」
「‥‥まったく仕方ありませんわね、わたくしも協力して差し上げますわ」
彦星を叱るのはツンデレ姫もとい織姫(楊・玲花(fa0642))。服のすそを持ち上げつつ共に走る。織姫は怒りつつも少し照れ、嬉しそう。
そして彼らの後ろには彦星の姉と親友、居候中の鵲。
「宮仕えから帰ってきた途端にコレでごめんなさいね」
「いや‥‥まぁ、なんとなくこういう事があるかもしれないとは思っていたな‥‥」
「あはは‥‥ってコラ! ちゃんと飛んで探しなさいっ! ご飯食べさせてあげてるんだからっ!」
彦星の姉、月華(桜 美琴(fa3369))は煌(ラリー・タウンゼント(fa3487))と翠(椿(fa2495))に言いながら走る。
「愛牛に乗ってくるんだったわ‥‥!」
「あ、彦星兄貴が繁みに突っ込んだー」
彦星が進む後にどんどん突入して行く面々。
そしてもう一人。
「彦星様‥‥おいたわしや‥‥わたくしがコベコ様を見つければ、彦星様だってわたくしの事を見てくださるに決まってますわ!」
物陰から見ていたものの、繁みへとダッシュする綾(姫乃 唯(fa1463))。
そして、皆が繁みを抜けた先、そこは。
●学園祭の真っ只中
「コベコオオオ!!」
盛大に叫びながら繁みを抜けると集中する視線に彦星はびくりとした。
活気ある人に、屋台。見知らぬ服装の人々。何かの祭りを思わせる雰囲気。
「彦星! あなた先に‥‥」
彦星の次に繁みからでてきた織姫は知らない場所に驚き、そして驚きでどこかへ逃げようとする彦星をとっさに捕まえた。
「彦星兄貴〜。あれ? ココどこ? ‥‥何かイイ匂いイッパイ‥‥」
「ダメよ翠!」
「ナイス月華!」
「え゛!? 酷いよ、姐サン‥‥」
ふらふらと羽根をぱたつかせて匂いに誘われ飛ぼうとする翠を、月華の華麗なる蹴りと連携して煌が捕獲する。
「『有り難う、綾。やっぱりキミは最高だよ』『そんな、当たり前の事をしただけですわ』なんて‥‥きゃ〜っ!」
と、一人芝居しつつ綾も繁みを抜け、そして周りの状況に目をぱちくりさせる。
「‥‥集合!」
月華の一言で全員集まり円陣を組む。
センターには、彦星をおいて。
「姉様、ここはどこで‥‥コベコはきっと今頃一人で心細く‥‥!」
「彦星、泣いてる暇ないでしょう? しっかりしなさい」
べそ、とする彦星に織姫はぴしゃっと言い切る。
「まずここはどこか、よね。私たちの世界とは違う‥‥異世界よね」
「この世界では飛べる事の方が非常識のようだ、その羽根は飾りだという事にしておけ。先ほども少し浮いただけでヒソヒソされていた」
「イイ匂いが気にな‥‥」
「言ったそばからこの健忘症!」
またも翠は月華に叩き落される。
「翠は‥‥月華に任せた。どうやって元の世界に戻るか‥‥」
「帰るときは、コベコも一緒おおお!!!」
「わかってます、彦星様のためにみつけますわ!」
「頑張りましょう」
と、円陣組んで騒ぐ一行に近づく人影が。
「随分と賑やかですね‥‥学園祭なので賑やかなのは当然なのですが。報告にあった牛の次は仮装の皆さんですか」
「牛!? どこですかどこですか!?」
学園祭実行委員長である西園寺怜(水鏡・シメイ(fa0509))は、ひしっとしがみつく彦星にあっちです、と指差す。
「コベコオオ!!!」
「お待ちなさい彦星!」
「あなたこそ待ってください! 素敵なお嬢さんですね。どうです? ミスコンに参加してみませんか?」
「みすこん?」
「一番の美人を決める大会です。貴女方のような美しいお嬢さんなら学園祭実行委員委員長の権限で特別に参加を許可しますよ」
「そりゃあ織姫は美人だよ! なんてったって天界の姫で僕の恋人だし」
「天界? それは素晴らしい! これは是非とも参加してもらわなければなりませんね」
「え? どこへ‥‥」
怜は彦星の話を聞いて織姫の腕をがしっと掴んで連れて行く。
それを見た綾は。
「何だかよく分かりませんけれど‥‥織姫様がご参加なさるのなら、わたくしだって!」
織姫ライバル視でついて行くのだった。
「コベコを探す事に専念しよう。ひこ‥‥彦星!?」
「いないわねあの子」
いつの間にか彦星はいなくなっており、残されていたのは煌と月華と翠のみ。
●お化け屋敷へ
「ここに入るのか‥‥?」
「私は翠と一緒に入るわ。逃がさないわよ‥‥」
「えー、おいしい匂いがするのに‥‥羽根、じゃなくて足が勝手に」
「行くわよ!」
月華と翠が足を踏み入れたのはお化け屋敷。
そして煌も行かなければならないのだが、カップル以外入場禁止。相手を探さなくてはいけない。
そこで煌は。
「すみません、少しご一緒願えますか?」
「え‥‥はい、もちろん!」
無自覚天然タラシ振りを発揮し黒髪美人の女子学生を捕まえて一緒に入って行く。女子学生、服装は何かのイベントのための仮装と思ってた。
「大丈夫だよ、ほら、作り物だし‥‥」
煌は騒ぐ女子学生をなだめるが、彼女は煌にくっつくためにそうしているだけで。
「‥‥彦星いないな‥‥」
「何か言いました?」
「なんでもないよ」
独り言を聞かれて誤魔化すかのように爽やかな笑み。
気があるのかと女子学生はくらり。
「平気? 早く外に出ようか」
「いえ、大丈夫です!」
ひしっと彼女は煌の服を握りこみ、まだ楽しみましょうと引き伸ばそうとするが、煌はやんわり、外へ誘導。
そして眩しい陽光の下へ出ると同時に。
ぴんぽんぱんぽーん。
『迷子のお知らせです。仮装をされた美青年の方が‥‥あ、ちょっと勝手に!』
ガタガタと物音が聞こえなんとなく、煌は予感した。
『コベコ、コベコオオオ!! コベコ、僕はここだよー!! あ、煌迎えに来てえええ!!! わっ、やめっ』
「‥‥彦星‥‥」
『‥‥大変失礼致しました。本部にいらっしゃいますのでお心当たりのある方は至急お迎えに来てください』
ブツンと放送が切れる音が聞こえて煌は一つため息をついた。
「それじゃあ、どうもありがとう」
女子学生が引き止める間もなく煌はダッシュ。
だが一つ、重要な事を忘れていた。
「‥‥本部って、どこだろう‥‥」
●本部で
「おかしいわ、今日は‥‥空から牛がふってきたり‥‥報告したら委員長はどこかへ行ってしまうし‥‥それに‥‥」
「コベコ‥‥あ、美味しそう」
迷子というには年の行き過ぎている青年を保護してから石清水春香(堀川陽菜(fa3393))の苦労は始まった。
目の前を通って行く食べ物の移動販売モノに視線が向かう彼。
「お願い、早く迎えにきて」
「‥‥コベコ早く迎えにきてっ‥‥煌、姉さま‥‥織姫‥‥」
スンスンと、彦星は無意味にキラキラしつつ膝を抱えて、名前を呟き続ける。
その声が聞こえなくなって春香は何かおかしいと彼が座っているはずの椅子を見ると。
「‥‥いないし! もう仕事ふやさないでよ!」
春香の苦労はまだ続く。
●捕獲劇に拍手、再会は舞台の上で
「いないっ!」
周りにいると思っていたのにいない人物二名。
翠と、煌。月華は立ち止まって辺りを見回しつつ、考える事一分。
「彦星の影に煌有りと信じて! まずは! あの鳥頭よ!」
月華は自分が捕獲すべき人物を決め、その辺に置いてあった縄を掴み、走り出す。
「食べ物ある所にきっといるわ!」
良い匂いのする方向へ月華は走る。
そしてあっちがいいかな、こっちもいいな、とふらふらしている翠を発見。
投げ縄の様に月華は縄を回し、翠に向かって投げる。
ひゅんっと、風を切る音とともにその縄は翠にかかる。
「決めた、あれに‥‥アレ、この縄ナニ‥‥? ぎゃあっ!!」
獲物を定めて手を伸ばした瞬間思い切り引っ張られて、翠の手はそれから離れる。
「! 月華姐サン! この縄は何ー!?」
「捕まえたわよー、さぁ行きましょう」
月華は微笑む。と、周りから拍手が起こる。学祭のイベントだと思われたらしく、感嘆の声。
「あら、何かしたかしら? ありがとうー」
「うう、お腹減ったよー!!」
月華は笑顔で手を振りつつ、翠は涙ながらに引きずられていくのだった。
そして、野外舞台前にたどり着く。舞台の上で、男に迫られ困っている女子学生を見て、月華は助けなければと走る。
なんだかどこかで見た事あるような人物なのだが気にせず。
「困ってるでしょうが!」
「ぎゃあ!」
「あら、この声‥‥」
蹴り一閃。蹴った相手からもれた声は聞き覚えのある声で。
「ね、姉様ひどいよっ! 僕はただコベコはどこですかって、聞いて‥‥コベコオオオ!!! 姉様ー! 翠ー!」
ひしっと月華の足に抱きついて、彦星は喚く。
「ここにいたのか‥‥という事はここが本部か? いやそんな事は無いな‥‥」
月華たちが上がってきた舞台の反対から、煌が三人見つけてやってくる。
煌の姿を見た途端、彦星はそちらへダッシュ。
「煌!!! さ、淋しかったんだよっ!」
「な、なんだ? そんなにくっついて‥‥昔にもこうやって探したなぁ‥‥すまないな、淋しい思いをさせて済まない。これからは一週間に一度は帰ってくるからな」
「煌‥‥!」
煌は彦星の頭を撫でる。美形男二人は舞台の上でキラキラ輝きつつ、それはもう存在感ありまくりで。
「二人とも仲が良いわね‥‥ちょっと心配だわ‥‥」
と、ぴんぽんぱんぽーん、とまたお知らせアナウンスが。
『これよりミスコンを始めます。みなさまどうぞ会場へお越しください』
それを聞いて月華は。
「美人を決めるやつね! こうしちゃいられないわ!」
「姉様、でも年齢が‥‥」
「そこは気にしないの、さぁ行くわよ!」
「‥‥月華、元気だな‥‥」
こうして一行はミスコン会場へと向かう。
●波乱有りのミスコン
すでに始まっていたミスコン。
舞台の上で織姫はいつものように振舞う。
「如何に隠そうとしても、生まれ持っての気品、美しさというのは隠しようもないモノなのですわね」
舞台の下からの視線が釘付けなのを感じ、織姫は手を振り満面の笑みを向ける。
「やっぱりどうしたって織姫様には勝てませんの‥‥? いえ、勝負はまだまだこれからですわ! ガッツ綾!」
綾は織姫に視線が集まるのを感じて敗北感に打ちひしがれるが、五秒で立ち直り負けじと手を振り笑みを送る。
「あら、彦星だわ。あれは何ですの、月華様や煌殿はともかく、何なんですの、あれは?」
月華に引きずられつつ、彦星にしがみつく鵲である翠をみて、織姫は嫉妬するのだが、すぐにそれを隠す。
「皆織姫の綺麗さにどよめいてるね、天界のお姫様だし」
と、月華はそも翠を引きずりつつ舞台の上へと上がってくる。
「おっと、ミスコン飛び入り参加者さんです!」
月華と翠乱入。舞台の下から彦星と煌はその様子を見守る。
優勝は織姫、の方向で決まりと思われていたのだが、二人の乱入でそれは覆される。
お腹が空いて我慢できずに涙うるうるの翠は、性別男でも、女と言って通じるほどに破壊的だったのだ。それに見ている観客は翠の性別は知らない。
ミスコンを取り仕切っていた怜はマイクを握り、宣言する。
「ミスコンの優勝は‥‥‥‥縄で縛られて登場した彼女です。拍手!」
「え、俺?」
「お、おまけに負けるなんて‥‥!」
「な、なんであんたなの翠‥‥!」
月華の縄を持つてがふっと緩む。同時にそれを感じた翠はチャンスを見逃さず盛大に羽を広げて逃走。
「もうお腹が空いて我慢ができないよっ!!」
どういう仕掛けなんだー、やら、すごーい、という声を受けつつ、翠は食べ物屋台に一目散。
のはずが、視界の端っこに動くコベコが。
「あ、彦星兄貴! あっち、あっちの繁みに!」
「え!? あ、コベコのカホリ!!」
その言葉にダッシュで指差された方向へ。もちろん他の面々もそちらへ向かって追いつく。
「彦星! 蹴った方が勢いがついて早いわ!」
「姉様お願いします!」
月華は彦星を蹴り飛ばし、繁みへと落とす。
そして後でゆっくり繁みへガサガサと。
「ふふ、またいらしてくださいね〜」
怜は彼らを微笑みつつ見送り。
と、後ろから怒ったような声が響く。
「委員長! 今の騒動で皆さん大騒ぎなんで収集つけてくださいね! あっ、きゃあっ!」
怜へとつかつか早足で詰め寄る春香は、勢いつけすぎてコードに引っかかり前へつんのめるのだった。
●お帰りなさい、七夕ワールド
がさがさわさわさ。
コベコを再度発見、おいかけて繁みに入り、そこを抜けると。
コベコの薄桃の鼻先がドーン。
「ごめんよ、最近かまってあげれなくて、ごめんよ!」
「彦星、これからはちゃんと世話するのですよ」
「うんっ!」
織姫に言われて、彦星は頷く。
そんな二人の様子を物陰から見る綾。
「彦星様‥‥わたくし、諦めませんわよ!」
そんな綾に気がついて、織姫は彼女の近くへ。二人の視線はバチッと火花を散らす。
「お間違えにならないで。わたくしが彦星を好きなのではなくて、彦星がわたくしに心の底から参っているのですわよ‥‥まあ、そこまで愛されていれば、わたくしも心の一つも動かされますけれど」
ひそかに女の戦いがここに。
「‥‥元の世界よね、夢だったのかしら‥‥」
「さぁ‥‥幻だったのかもしれないな」
「ううん、現実だよー。だってこんなにおいしいものが‥‥」
翠の手にはちゃっかりとあの世界の食物が溢れ返っていて。
呆れられつつも、それは違う世界へ行った証拠になるのだった。