【AbySS】雑音乱舞アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 玲梛夜
芸能 フリー
獣人 フリー
難度 易しい
報酬 なし
参加人数 8人
サポート 0人
期間 11/08〜11/10

●本文

 ロック中心なライヴハウスAbySS。
 先日、ロシアンシューで見事ライヴハウス三日間貸切権をゲットした渋谷蓮。
 ハロウィンライヴも終って、ライヴハウス使ってOKの許可がおりる。
「シブちゃん」
「なんでございましょう」
「何するの?」
「サポメンと音出し。んでも午前中だけかな、午後は予定有りのヤツもいるし」
「そう、じゃあ午後は遊びましょうね!」
「おう、遊ぼう!」
 と、いうことで。
 こそっとライヴハウスで音出しあったり遊んじゃってるぞ、という噂が流れる。
 むしろ、オーナーが『遊ぶのフフフ』と言いふらしているとかいないとか。

 ライヴハウスで遊びましょう。
 午前中は音出しとか練習してる子がいるから邪魔しないように混ざるのよ。もちろん遊びにきちゃったー、でも大丈夫!
 え、誰がいるのかって? うちにくるのあの子しかいないでしょー。
 音出しに関しては真面目にやる子だし、楽器扱える子も来るから技盗むのもいいわね〜。
 うふふ、楽しみ。
 はしゃいじゃうわよ!

●今回の参加者

 fa0379 星野 宇海(26歳・♀・竜)
 fa1463 姫乃 唯(15歳・♀・小鳥)
 fa2837 明石 丹(26歳・♂・狼)
 fa3211 スモーキー巻(24歳・♂・亀)
 fa3398 水威 礼久(21歳・♂・狼)
 fa3461 美日郷 司(27歳・♂・蝙蝠)
 fa3887 千音鈴(22歳・♀・犬)
 fa4657 天道ミラー(24歳・♂・犬)

●リプレイ本文

●結成探検隊
「午前終わりーおなか減った食べ物ー」
 一日目、午前中は渋谷蓮とそのサポートメンバーたちの音出しメイン。
 それをみつつ、混ざりつつ、無事に終了。
「桃饅と月餅、どちらがよろしい?」
「月餅デッカ!」
 星野 宇海(fa0379)のお土産は本場中国風、直径30cm以上の月餅がまず目を引く。
「僕もお土産。蓮君にもメンバーさんにも会えて嬉しい、宜しくね」
 じゃーん、と明石 丹(fa2837)が取り出したるガトーショコラ。もちろん手作り。
「私もお決まりの差し入れ! 栗蒸羊羹! 栗だけ抉って食べる子は拳骨かましちゃうわよ!」
「ちょ、本気だ、それ本気だ‥‥!」
 爽やかな笑みを浮かべ、ぐっと握り拳作って千音鈴(fa3887)は笑顔を浮かべる。
「ふふ、皆仲良しさんねー」
 と、そんな様子をオーナーのメアはニコニコ眺める。
「冷蔵庫貸してくれてありがとうございます! どうぞメアさ‥‥メアちゃん!」
 勢い良くどーんとサッパリ林檎ゼリーを天道ミラー(fa4657)はさす出す。
「あなた良い子! ありがとう」
 メアはそれを受け取って笑む。
「あとハーブティーも。肌を整えてくれるローズヒップと、喉と気管支に優しいマローブルー。美味しい紅茶をご奉仕するワン!」
「! ワンコ! ワンコがここに!」
「あ、私も差し入れに紅茶の茶葉持ってきたからどうぞなのですっ。ミントティーも一緒に持って来たから、苦手じゃなかったらこれもどうぞ」
 水威 礼久(fa3398)に楽器を習っていた姫乃 唯(fa1463)も差し入れを渡す。
「差し入れいっぱい、嬉しいわねー。司ちゃんは珈琲入れる! 食べたら皆でお遊びね、ほらほら隅っこじゃなくて真ん中真ん中」
 メアは美日郷 司(fa3461)にメアはビシっと指図し、そして今までの事をメモしていたスモーキー巻(fa3211)を呼ぶ。
「紅茶が飲みたいでーす」
「はい潤に紅茶一杯!」
 ざわざわ話しつつ、それぞれ食べたいものをとってちょっと休憩。
「メアちゃん、お願いしたい事があるんだけど‥‥」
 何を、と聞かれて丹は一つ咳払い、そして右手挙げて宣誓のポーズ。
「大人として迷惑かけずに弾けることをメアちゃんに誓います。だから、アビス探検隊の出発を許可していただきたく。ビル丸ごとメアちゃんの? 実はリッチさんなのかな‥‥秘密?」
「はいはーい、あたしも一緒に行きた〜い! ライヴハウスの裏側が見られる‥‥!」
「それならペンライトもって行くわ!」
「ビルは持ちビルよ、リッチリッチ。皆行く気満々ね‥‥いいわ、いってらっしゃい。鍵かかってる所は行っちゃダメよ」
 と、許可も下りたのでアビス探検隊結成。
 二階は事務所なので面々は三階へと進む。
「三階の最初のお部屋はー‥‥」
「ん? 体が勝手に‥‥」
 すすーと自然に体が動いて礼久があけた扉の先、そこは風呂場。
「これは、お約束として覗きにいかなければ‥‥」
「礼久君、それしたらメアちゃんにシめられるよ」
 蓮は礼久の肩をぽん、と叩いて忠告一つ。
 と、その間に他方では和室発見。扉を開くと少し高さつけた段の上に広がる畳。そこにはぐしゃっと丸められた紙が散乱。
「あ、これはカオルが仕事した後だねー。お泊り組は今晩ココ」
「後で片付けなくちゃいけませんわね」
「お泊り‥‥兄に反対されなきゃ‥‥でもその分めいっぱい見学して勉強して遊ぶんだ!」
「お泊りの機会はまたあるよっ!」
「そうだなっ!」
 ミラーと蓮は手をがしっと握り合って何故だか意気投合。
「鍵のかかっている部屋が気になるね‥‥どこが閉まっていたかメモしておこう」
 スモーキーは手にしていたメモにさっと書き、それをしまう。
 そしてまだまだ、探検は続く。三階の他の部屋は鍵がかかっており入れず。
 四階の部屋も一つ以外は鍵がしっかりと。
「もう、鍵かかりすぎー! 気になる! えい!」
「わぁ‥‥」
 扉を開けると、そこは衣装部屋だった。色とりどりの服、というかドレスが仕舞われていた。
「あ、これメアちゃんの現役時代のイロイロじゃない? ブハ、ヅラもあるううう!!」
「全部持ち物‥‥やっぱりメアちゃんリッチさん」
 服や他にも色々とあった小道具見て回りご満悦の面々。
「あー、楽しかった。さって、それじゃ午後のお遊び色々いってみよう!」

●異種楽器セッション練習
「それじゃ、最初は‥‥司君の持ってきた曲しよー」
「最近おろそかになっていたギター強化だな‥‥」
「あ、それ愛用ギターだっけ。銀色いいな‥‥渋谷俺に買え、特注八弦でいいから」
「紅陽、自分で買って」
 と、いつものように話つつ、まず司の持ってきた曲を全員で少しずつ音出して練習開始。それぞれの手には譜面がある。
 一通り、全員できるようになってあわせてみるもののまだまだで。
「‥‥あさってまでに各自練習ということで」
 全員首縦に動かして、同意。
「他の曲もちょっとやっとく? 他も‥‥あさってまでに、ってなりそうだけどさ」
 ドラムを軽く叩きつつ、トワが言うと確かにそんな気がする、と試しのあわせ、そして思ったとおりに。
「‥‥練習、がんばろう‥‥」
 それぞれ同じ楽器通し、似た楽器通しで集まって。
「声だって立派な楽器ですわ。蓮さん一緒にやりますわよ〜。趣味と勉強をかねて」
「私も! つ、ついていけるかな? でも頑張る!」
 歌組は、蓮と宇海と唯。ホールで声を出して、はしゃぎつつ練習。
 楽器組はというと。
「譜面‥‥すごい書き込みだね」
「書かないと忘れるんだよ」
「勉強熱心なんだね。僕も頑張らなくちゃ。少し前までは抑える程度で、指立てるので精一杯だったんだよね、独学状態だったから。指弾きは殆ど個人の癖だから、盗むより耳で聞いて音追いして、合わせていこうかな。なんにしても楽しみ」
 スモーキーが熱心に譜面を見るそばで丹はベースを撫でながら言う。
 そして、そばでもう一つ音。礼久の鳴らす音は丹の音とはまた違う。
「‥‥」
「‥‥じっと見られるとやり辛いと思うのは俺だけでしょうか」
「や、それ気のせいじゃない、維澄さん」
「あ、私のことは気にせず練習してください! エレギ盗むの‥‥って楽器じゃなくて技!」
 千音鈴は紅陽と維澄の手元をじーっと観察しつつ、自らも練習する。
「‥‥千音鈴はすごい執念だな‥‥」
「欲張り万歳! 欲深じゃなきゃ向上心は生まれないの」
 納得させる言葉に、司もみられていた二人もなるほど、と頷く。
 そして、練習を眺めていたミラーも瞳キラキラさせつつ自然と指動かして音をとり始める。
「お、やるならやろうぜ。ほらギター持って」
「え、あ、やってイインデスカ!」
「ヨシ」
 ホールでは賑やかに、音が奏でられていく。

●大声告白大会!
 練習も、続けていると集中力がふつっと切れたりもする。
 と、いうことで。
「大声告白大会〜はい拍手〜!」
「メアちゃんお手本お願い!」
「わかったわ、一番平木メアー」
 すぅっと息を吸い込んで、声はお腹から。
『旅行に行きたいのーーー!!』
 声は高く高く上がるように響き、ふっと息一つ、
「ソプラノが専門でした。はい、次の人!」
 と、メアが示したのは唯。
「発声の基礎は習ってるから、少しは声を出せると思うけど‥‥何を言えばいいんだろう? 魂の叫び?」
「うん、それそれ」
『早く大人になりたーいっ!』
「切実っ! 早く大人になってお泊りで遊びましょうね!」
 唯はその言葉に頷く。そして次は礼久の番。
『好きになった人にストーカーと言われるのが恐くて追い続ける事が出来ない、どーせ俺はシスコンの甲斐性なしさっ!』
「ドンマイシスコン!」
 励ましているのか、追い討ちなのか蓮は笑顔で言う。
「じゃあ次は僕。ネタ抜き本気の声出し」
 片手挙げて、丹は立ち上がり息吸い込む。
『リバティー!』
「丹君はグループ名かー。皆に今日の事行ってきた?」
「しっかり連絡しておいたし、PCに着たメールは形態に転送、飼ってる黒豆柴は実家に預けてるからね」
「ワンコ!」
「あ、見る? 小さいけど成犬」
「見る見る!」
 丹は携帯取り出して待受を見せる。そこにはちょこんとお座りしたワンコが。
「自慢の子です。さ、次誰?」
「それじゃ私っ! お腹から声だして歌うようにネタ披露よ!」
 千音鈴は気合入れて立ち上がる。
『兄貴はシブより年上だから騙されるな! てか仲良くない!』
 力の限り叫んですっきり。
「次は星海ね!」
「では告白内容はオペレッタ風に曲をつけて」
「あら楽しみ」
『嫁入りを妹に超されそうですわ〜♪』
 宇海は叫んだ後に苦笑する。
「恋人は居れども滅多に会えず‥‥」
「宇海嬢切ないね‥‥僕も恋人に会いたーい」
「え、シブちゃんいるの!?」
「ファンと音楽がが全員恋人。あと叫んでないのはー」
「俺俺!」
 ミラーは元気欲手を上げ、そしてギターを持つ。
「曲付けて行きマス!」
 短い前奏をじゃららんっと演奏して、そして息を吸う。
『旅行帰りの空港 お店物色してただけ なのに迷子になったハタチの夏』
 ジャジャンっと最後は弦を鳴らす。
 そしてモゴモゴしつつ自分へのフォロー。
「空港って色んな店あるし広いし人いっぱいだし! だから迷子にならざるをえないと言うか‥‥!」
「かわいらしい子ね、大賞決定!」
 と、メアの一存でミラーは大賞に決定されたのだった。

●恋話と飛び交う枕
 唯とミラーはそれぞれの事情もあり、お泊りは断念。
 だがしかし、他の面々は和室にて恋話の真っ最中。この場でお泊り、男性陣は寝袋で屋上、と蓮が行っていたが寒さで断念。
「司の初恋って女装した弟だったかしら? 司5歳で‥‥」
「勘違い諸々でそのまま‥‥遠い思い出だな‥‥」
「つ、司君カムバック!」
「俺の初恋の相手はたまたま番組で組んだ、ギタリストなんだ、告白して様子見てからって言われてしばらく交流してたがそれも今は切れててな、きっと今は俺の事も覚えちゃいないさ、情けない話だろ?」
「僕もちょっと似てるかな。小学生の頃、相手は明るい性格の人気者。友達にはなったが卒業で疎遠になってそれっきり」
 礼久に便乗するようにスモーキーは言って苦笑する。
「丹君は?」
「僕の初恋は可愛い子だよ? どうもこれまでの傾向から元気な子がタイプらしい僕」
「シブはー?」
「僕は、内緒!」
「えー、それはせこいわ、よっ!」
「ブフ! 顔面顔面!」
 と、ここから枕投げに突入。巻き込まれないように端に待機の面々にも容赦なく飛ぶ枕。
「『河』の字の為に勝利‥‥できるかな?」
「ちょ、なんで僕総攻撃!? 礼久君壁!」
「宇海ねーさんとちーちゃんを敵に回したのが間違いだったか‥‥げふっ」
「僕はサイドから攻撃‥‥」
「司も傍観で済む訳ない!」
「‥‥何故巻き込む‥‥」
「私はちーちゃんの味方ですわ♪ えいっ」
 枕投げの勝利者は、もちろん女性陣だった。

●総まとめセッション
「それじゃーいってみよ!」
 ホールに広々陣取って、それぞれ楽器を抱え、歌う準備もOK。
 借りてきた和楽器、筝の音とギターやベース、ドラムの音が重なる。

『 風散白梅泉落
  泉白鷺一羽在
  白銀月明照鳥

  白嶺遙飛立鳥
  天空飛翔白翼
  星天舞踊白鷺

  星天舞踊白鷺 』

 歌詞は、訛らせて英語のように。『白麗〜HAKUREI』は和風ミディアムテンポから重厚でアップテンポなロックとクラシックの混ざったものになり、そしてエスニック風のエッセンスを感想で入れてラストは和の音で締めくくる。
 そしてそのまま続けて『星の砂』。

『 あなたの居ない 波打ち際に
  温もり探して 独り寝ころぶ

  さらさら さらら 素足をくすぐる
  泡立つ波が 幸せのようで

  さらさら さらら 肌に零れる
  星の砂が 想い出のようで

  さらさら さらさら 流れていきます 』

 和洋折衷、ヴァイオリンの音も混じったり、元は切ない演歌がロックテイスト加えて宇海に歌われる。そこに蓮もハモりをいれて一緒に歌う。
 そして雰囲気を少し変えて、『Temptation Smile』を。
 前後奏の無い曲の元はアップテンポ。けれどもテンポを目一杯落としてスローに。

『 平凡な色の世界 キミと出会い華やぐ
  もう戻れない 巡り会う前には

  悪戯な微笑みが 僕を捕らえ離さない
  甘い誘惑に完敗 』

 スローな分、歌い手は声を伸ばして息が少し苦しくなる。けれども練習した分はしっかり成果として現れる。
 そのまま『Burnin’Sun』へ続けて行く。
 アップテンポなハードロックは、テンポ落として激しさより威厳を押し出すアレンジで。

『 I’m the burnin’sun
  I will shine on you and make you all happy
  But if you come too close,
  I’m gonna burn you to ashes!

  Come one step closer and that’ll be the end of you
  So keep distance and adore me from afar 』

 最後の一音まで響き終わると、拍手が聞こえてくる。
「すごいですっ! あたしもいつかこんなライブハウスで歌えるようになりたいな」
「セッションいいわね、良かったわ! 一日目から考えると‥‥さすがね〜」
「セッションを間近で見られる‥‥っくー! 超最高!!」
 そばで見て、聞いていたミラーも興奮気味で、自然と指は動いていた。
「とりあえず、もっかいやっとく?」
「それなら曲順変えて」
「あ、最初にこの曲もってきて‥‥」
「つーか、渋谷、さっき音はずした。二曲目ど真ん中あたり」
「テヘ、うっかり」
「うっかりだなんて、しっかりしなきゃダメですわよ〜」
 と、互いに色々言い合い、まだまだ楽曲の進化は止まらず、意見は飛び交う。
 そして、そんな切磋琢磨する面々をみつつ、メアは『またこんな風なことしましょう』と思うのでした。