へたれ星を救え!アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 玲梛夜
芸能 3Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 普通
報酬 7.9万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 11/15〜11/19

●本文

「またやるぞ」
「えー」
「えーじゃねぇ!」
 ということで、どういうことかというと。
 七夕のへたれ星。
 上のえらーい人たちが気に入ったのと、続きをとの声があり製作が決定された。
「で、今回はだな。最近RPGにはまっていることから」
「‥‥」
「風の神にさらわれたへたれ星を救出に向かう一行の流れで」
「アイテムは全部ほにゃららの搾乳機な」
「意味わかりません。搾乳機ってその前にでっかいですよ!?」
「それはあれだ、あの、取り付ける部分だけで」
「最後にへたれ星が鑑定するんだよ、アイテム」
 と、話はよくわからない方向へ向いてゆく。

 ドラマあらすじ
 季節外れの台風。へたれ彦星は牛たちを守るために風の神様にお祈りをしていた。
「どうか僕の大切な牛たちを傷つけないでください!! 牛を傷つけられたら‥‥想像するだけで恐ろしい!」
 風の神様、こんなけなげな彦星を見て気に入り、勢いのまま拉致。
 この事実に皆が黙っているわけがない!
 七夕チームはすぐさま彦星救出のためにパーティーを組んで出発したのだった。
 いざ、風の神様の城へ!(半径五キロ以内にあったりする城。)

 補足
 ドラマの結末は『彦星救出ハッピーエンド』。そこにいたるまではお任せ。
 顔のよさだけで彦星を拉致した風の神様。審美眼がちょっとおかしい等の付加設定可能。
 面々はコベコの鼻を頼って彦星を救出に向かう。
 七夕ワールドは、本来のイメージを基準に、捏造などでご都合世界改変され、つじつま無理やり合わせられていく。
 途中、アイテム『〜の搾乳機』を得たりするが、鑑定し、価値がわかるのは彦星しかできない。
 今回、七夕メンバーに加え、風の神様、その部下、情報をくれる町人など広く募集中。

●今回の参加者

 fa0642 楊・玲花(19歳・♀・猫)
 fa2495 椿(20歳・♂・小鳥)
 fa3369 桜 美琴(30歳・♀・猫)
 fa3487 ラリー・タウンゼント(28歳・♂・一角獣)
 fa4002 西村 哲也(25歳・♂・ハムスター)
 fa4263 千架(18歳・♂・猫)
 fa4559 (24歳・♂・豹)
 fa4619 桃音(15歳・♀・猫)

●リプレイ本文

●空飛ぶへたれ星
「な、なんだあのけなげで美しい青年はっ!」
 風の神様、風貴(笙(fa4559))。散歩中に庭でお祈りするへた‥‥彦星(西村 哲也(fa4002))を発見。
「これはお茶会に招かなくては‥‥よし今すぐ連れて行こう!」
 彦星はというと、強風で牛が傷つきませんようにと必死。
 そんな彼の体がふわりと浮く。
「どうぞ神様僕の牛さんたちをこわ‥‥ええええ!?」
「さぁ我が城へいざ!」
「え!? や、コベコオオオオオオ!!!! 姉さまああああああ!!!!」
「あら、彦星が飛んで助けを求め‥‥彦星が星に?!」
 彦星の姉、月華(桜 美琴(fa3369))は家事の最中、叫び声に窓の外を見る。すると空中浮遊中の彦星目撃。
「あの子は‥‥一人じゃ手が足りないわね。翠、翠!」
 さらっと手紙を書き、居候中の鵲を探す月華。
 探し人は、食料庫の前で倒れていた。
「‥‥お使いに行ってきなさい」
「オナカ‥‥空きまシタ‥‥」
 居候の大食い鵲、翠(椿(fa2495))は視線だけ月華に向けて言う。
 月華は手紙をびっと翠に突き出して。
「コレ持って織姫にゴハン貰いに行って来なさい。ついでに渡すのよ」
「ゴハン! 行ってきます!」
 渡された手紙には『織姫の所でゴハン』の文字。忘れないためにである。翠はしゅぴっと立ち上がり羽を広げて飛び立つ。
 それを見送って。
「私は‥‥煌の所に行きましょう」
 指をぱちっと鳴らすとどこからとも無く愛牛『黒颯』が鼻息荒く登場。その後ろにはコベコも薄桃の鼻すぴすぴ鳴らしつつちゃっかり。
「コベコも一大事を悟って‥‥さぁ行くわよ!」
 どすどすと存在感有りすぎ状態で宮廷へ。
「どこかしら」
 月華は部下と話をしている煌(ラリー・タウンゼント(fa3487))を発見すると駆け寄り、事の次第を告げる。
「‥‥わかった。後の仕事は任せて‥‥彦星救出に向かう」
 と、宮廷から月華たちと共に出て行く煌には女官たちのあっつい視線が。
「煌は人気者ねぇ‥‥」
「私自身を好いているのではなく、兄上に似ている私を好いているのだろう」
 煌は溜息一つつきながら短く答えた。
 そしてその頃、織姫(楊・玲花(fa0642))は手紙を受け取り読み終わって。
「彦星を情報から見て風の神ですわね‥‥城の見取り図も、大丈夫ですわ」
 と、天界数百万の織姫ブランド愛好家のネットワークを駆使して彦星の居場所を突き止めたところだった。
 額には、うっすら青筋。
「‥‥彦星は‥‥少しは月華様たちにご迷惑を掛けることなく過ごせないのかしら?」
 そして溜息。でもそんな彦星が織姫は好きなのです。
「でも、仕方ありませんわね」
 準備万端、月華たちの到着を織姫は待つ。
「‥‥ゴハンは‥‥?」
「そんなものありませんわよ」
 手紙を渡して倒れこんでいた翠は、織姫に問う。だが答えは冷たい。
「‥‥俺騙された?」
 月華があなたの扱いを心得ていただけです。

●その頃‥‥
「コベッ‥‥コベコッ」
「ほら見てくださいこれ。下界の扇風機にドライヤーです。凄いんです。これが風や熱風を作り出すんです!」
 風の神なのに風を送り出すものに感動してどうするのだというツッコミはさておき。
 一歩的にまくし立てる風貴に彦星は怯え、自分の殻に包まれまくっていた。
「勇気をもってちょっと散歩に出てよかった、本当に良かった。文通と通販以外にも楽しいことはあるんですね」
 風貴はニコニコし合わせ満喫中。
 と、ぐぎゅるううううと鳴る彦星のお腹。
「空腹なんですね、どうぞ召し上がってください、美味しいお茶もあります」
 桃マンどうぞ、と近づく風貴。
 一定の距離以上近づかせまいと逃げてこける彦星。
 追いかけっこをしていると、バーンと扉が開く。
「どこですのー!? 牛ちゃんは! コベコちゃんがなんでいないんですかつむじ風ー!」
 猛ダッシュで頭突きをかますのは風貴の城の家政婦となりかけている雲の神、ざらめ(桃音(fa4619))。ちなみに頭突きは顎にヒット。
「ざらめさん痛いです‥‥コベコさん、ですか? どなたでしょう‥‥」
 痛さに涙する風貴。そして風貴の言葉にざらめはまた頭突き。
「もう、ちゃんと御持て成ししなきゃだめですの!」
「ちゃんとしてましたよ、コレクションの話をとうとうと‥‥」
「私の雷雲で電気起こさないと使えないガラクタ」
「ぐさっ!」
 と、この間もずっと彦星はびくびく。そしてとうとう、明後日の方向へ向いて通信を始める。
「‥‥助けてっ俺‥‥今なら翠になれそう。うぅ、それとコベコ‥‥織姫を守ってあげてね」
「彦星、大丈夫ですの。私と一緒にコベコちゃんについてお話しましょう?」
「コベコ!」
「私も一緒に‥‥」
「!!」
 風貴が近づけば、彦星は俊敏に動き柱の影へ。
「ふーちゃん!」
「ぐはっ!」
 風貴のせい、とざらめはすぐさま頭突き。そんな様子をみた彦星は。
「あ、あれ? なんだかあの子、姉様と‥‥でもっ」
 物陰からちらりちらり、ざらめに心を開こうかどうしようか、迷っている彦星なのでした。

●いざ風の神の城
「まあ、そのような事がございましたの‥‥おいたわしや。確かに彦星様かと存じます。コベコ様の名をしきりにお呼びで‥‥『コベコ様の名だけ』を」
「彦星ね‥‥それは‥‥」
 彦星救出へ向かう一行は、とある街で彦星情報の提供者とであった。月神の娘、桂花(千架(fa4263))に。この娘さん、とっても腹黒で織姫を一方的ライバル視しているのだった。
「皆さん大変そうなご様子‥‥わたくしも協力いたしましょう。織姫の大事な方ですものね」
「‥‥云っておきますが、これは月華様や煌様の為であって、彦星の身を案じてのことではありませんからね。そこの所はお間違えにならないで。それにしても‥‥桂花、あなたがわたくしに協力して下さるなんて、珍しいこともありますのね。 まあ、今は猫の手も借りたい非常時ですから、素直に感謝致しますけれど‥‥」
 ちょっとあやしい、と思ってしまう。
「急いでも失敗するかもしれません、気を落ち着けるためにちょっと休憩なさってください。ほら、あそこに茶屋が‥‥」
 と、桂花は一休みを促す。
「私は情報をもっと集めてこよう」
「俺も行って来るネ!」
 煌と翠は他のものたちを茶屋に残して情報収集へ。煌は街の娘さんたちが声をかけなくても情報を提供してくれる。
「そうか、ありがとう‥‥道を開けてくれ‥‥」
 そして翠は、買食いに勤しんでいた。
 そんあ二人が茶屋に戻ると、織姫が軽い腹痛で少々青ざめており桂花が介抱の最中だった。
「この薬をお飲み下さいませ。彦星様を心配の余りでございましょう」
 しれっと言うが、織姫に軽い腹痛を起こす薬を投入した張本人は彼女である。
「あ、ありがとう‥‥」
 しばらくして、復調した織姫。一向は目的の場所へと進みだす。
 黒颯に乗った月華は、進むにつれてきょろきょろと辺りを見る。
「どうしましたの?」
「あら? たしかこの住所って風貴の家じゃないかしら‥‥?」
「‥‥何だ、この看板は」
 と、辿り着いた城。
 どーんと構えられた門。そこには看板が。
 煌は溜息をつく。黒い看板、白で書かれた家主の名前。
「ごめんくださーい」
 扉をドンドンと叩く。
 しばらくして返事が聞こえ、扉が重い音をあげつつ開いてゆく。

●めでたしめでたし?
「お客とは珍しい。やはり案内板は役に立ちます。機能美というものですね‥‥と、はい今開けますので‥‥ぇっ!?」
「やっぱりお前かぁー!!!」
 扉を開けて現れた風貴に、月華は遠慮なく蹴りをいれる。
 風貴の便底眼鏡がその衝撃で飛び、月華好みの顔がそこに!
 と、誰かきた、とこそこそ風貴についてきていた彦星は、姉が蹴りをいれる現場を見ていつものように余計な一言。
「ちょ、姉様! 神様ですよ! ネジぶっ飛んでるんですかあ!?」
「お黙り!」
「あう。眼鏡眼鏡‥‥」
「老眼だろ」
 風貴へのツッコミをスパッといれるざらめ。
 そしてうっかり蹴った神であり通販文通仲間の風貴が自分好みの顔だった事で、八つ当たり半分以上で彦星にも月華の蹴りが。
「ね、姉様ひどっ‥‥あ、お、織姫っ‥‥」
「元はと言えば! あんたが姫みたいに攫われるからよっ!」
「彦星っ」
 彦星は織姫に向かってダッシュ。そのまま愛の抱擁、と思いきや。
「‥‥」
「コベコオオオオ!!!!」
 織姫の後ろにいるコベコを見つけ、彦星はそちらへ。
 織姫、内心ビキっときております。
 そして。
「煌あああああ!!!」
 コベコと喜び合った後は風貴の城内にあふれかえるものをみて呆然の煌のもとへ。
「何だ、このわけのわからないものの数々は‥‥? 彦星」
 淡いオレンジ背景にキラキラっと白い花が咲き乱れ、花びらが飛ぶ。
「心配したんだぞ‥‥無事で良かった」
 煌は彦星の頭を撫でる。彦星もとっても安心と笑顔だ。
「あいたたた‥‥おや、翠じゃないか」
「えーと‥‥ダレ?」
「えっ!?」
 その様子を綿菓子食べつつ見ていたざらめはぷっと噴出して見る。
 翠は、その綿菓子をじーっと。
「食べる?」
「あれ、えーと見覚えあるよーな、綿菓子ちゃんいるし。くるくるの子だ‥‥ぐは!?」
「くるくるパーはそこの瓶底神! って誰がパー子かー!!」
 ざらめは頭突き一発。そして綿菓子を翠の口に突っ込む。
 風貴も翠にこれで思い出せとお菓子を渡して。
「‥‥綿菓子ちゃんと‥‥あ、このお菓子というコトは‥‥風の神様のふーき様だネ!」
 思い出したー、と手をぽむっと叩き、翠はにへらと笑って言う。
 月華はそのノーテンキさに蹴り!
「って月華姐さん、何故蹴るのっ!?」
「神様なのに忘れられてるなんて‥‥!」
「ぶもっ」
 彦星にあえて嬉しいとご機嫌のコベコが、傷心の風貴の視界に入る。
 コベコの薄桃のお鼻と、円らな瞳。
 胸キュン。
「か、かわいいっ‥‥!」
「そうですの! コベコちゃんはかわゆいですのっ! ふーちゃんやっとわかりましたの! 遅い!」
「!! コベコはかわいいんですよっ! だってコベコなのでっ!」
 神様二人にコベコをべた褒めされ、ご機嫌の彦星。
「よかったですわね、彦星様。来るのが遅くなったのは織姫が腹痛をおこしたからなのですが‥‥」
「え、織姫大丈夫!?」
 桂花はさりげなーく、彦星に織姫のせいで来るのが遅れたと教える。
 だがしかし、それは返って彦星に織姫を気遣わせるだけで逆効果。
 桂花、内心舌打ちをし、敗北感を味わう。
「彦星‥‥」
 駆け寄ってくる彦星に、織姫は思わず蹴り。そしてその後で優しく抱きしめ。
「わたくしに心配を掛けるだなんて、まったくどうしようもありませんわね。仕方がありませんから、今回だけは許して差し上げますわ。その代わり‥‥」
「有難う。もう織姫に会えないのかと思ったら悲しくて堪らなかったんだ。で、その代わり?」
 頬を染め、そして首をかしげる彦星に、織姫は目元は笑っていない笑みを浮かべ。
「‥‥こういうことは今回限りにして下さいませんと、次は本気で捨てますわよ」
「!!!!!!」
 彦星、思いもしなかった言葉に硬直。
「それにしても‥‥」
 煌は、本当に神か、と思わせる風貴をみつつ溜息。ごそごそ、ととあるものを懐から取り出す。
「ネタ神は不要だ‥‥暫く大人しくしていろ」
 煌が取り出したのは封印符。それを風貴にぺたり。
「!? う、動けない!?」
「師走も間近で忙しいと言うのに、全く持って傍迷惑な神だ‥‥」
 帰るぞ、とすたすた歩き出す煌く。
 と、桂花が硬直。そしてめそり中の彦星に差し出したのは、搾乳機。
「こ、これはっ!」
「どうぞ、使いませんから‥‥」
「兄貴! 俺も俺も〜」
 と、彦星の元にいくつも搾乳機が手渡せる。いつの間にか拾っていたらしい。
 彦星は、その搾乳機を見て、ハッとある事に気がつく。
「こ、この搾乳機があればっ!」
 しゃがみこんで何かがさごそする事三分。
「できたああ!!!」
 すくっと立ち上がり、天に右手を突き上げ、できたものを陽光にかざす彦星。
 彦星の持つ謎能力で数々の搾乳機は、伝説の山田さん家の搾乳機に合成されていた!
 効果は特には無い、いたって普通の搾乳機である。
 だが、彦星は大満足で、コベコを手招きして呼ぶ。
「コベコ、おいで。帰ろう帰ろう」
「ぶもっ」
「まったく、忙しい一日だったわ‥‥」
「‥‥あれ、桂花サンいない?」
「先に帰ったのでしょう、きっと」
 と、一向は岐路へとつく。
 桂花は、物陰から「勝ったと思うんじゃないわよ、織姫!」と、呟き、打倒織姫を硬く誓っていたのだった。
 そして帰り道では、織姫の隣を彦星が満面の笑みで歩いていたとか。
 なんだかんだあっても、やはり織姫が一番なのです。

●後日談
「脱ヒッキー! 脱運動不足っ! ふーちゃんっ、はいしーどうどうですの!」
「ざらめさん、暴れるとあぶなっ‥‥コベコさんっ!!」
「お、おさわりはダメですっ!」
 彦星宅に一目ぼれのコベコに会うために通い、祝脱ヒッキーの風貴。
 そして面白そうと一緒にやってくるざらめ。
 コベコへのおさわりを阻止する彦星。
 そんな三人を、月華は生ぬるく眺める。
「まぁ鵲便の値段も馬鹿にならないし、良いか‥‥」
 七夕ワールドは今日も平和です。