【AbySS】Moonrightアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 玲梛夜
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 易しい
報酬 なし
参加人数 8人
サポート 0人
期間 11/23〜11/25

●本文

 ロック中心なライヴハウスAbySS。
 現在時間は夜。オーナーの平木メアは屋上にいた。
 屋上で絶賛酒盛り中。
「だんだん空気が澄んで星とか綺麗に見えるようになるわねー」
「そうだねー」
「だね‥‥そして普通になんでいるの。ちょ、くすぐったい」
 何故かいる渋谷蓮の愛犬に顔をぺろぺろ舐められ、カオルは困る。ちなみに膝の上では猫が丸くなってすやすや。
「メアちゃんに呼ばれたからいるんです」
「‥‥有名人がここにいていいの?」
「いれるんだからいいんだろ」
「そういいの! カオルちゃんと二人でお月見とか淋しかったし」
「あ、そう」
 月見上げつつ、蓮が思いついたように言う。
「寒いけどこういうのやっぱいいね、ライヴとかしても楽しそう」
「あら、じゃあする?」
「するする」
「‥‥いつもながらに勢いだけだね‥‥」
「ドラムは気合で運んで、ピアノは‥‥延長コードもってきてキーボードで代用。あ、ご近所迷惑になったらいけないからアコースティックだけ」
 メアはさーっとライヴをどうするか考えて挙げる。
「場所、狭いよ」
「そうね‥‥じゃあ、内輪だけのひっそりライヴってことでお客さんは無し、報酬は‥‥ご飯で」
「ものすごーく凝ったものじゃない限りは僕作れるよー」
「はい、決まり。ちゃんとご近所にも言っておいて、楽しくやっちゃいましょう。寒そうだからストーブも用意しといて」
 と、いうことで。
 今回は内輪のひっそりライヴが決定される。
「あ、カオルちゃん色んな手配宜しくね」
「なんで僕が」
「カオルだからだろー」
 カオルは溜息一つついて、諦めたのだった。

 月の下ライヴ
 寒いけど、夜空の下で、お月様の下でライヴをしましょう。
 ご近所への迷惑もあるからほぼアコースティック。
 演出は‥‥スモークとかはできないわね。やわらかいライトだけ。動かすのも無し。
 お礼はおいしいご飯。
 観客に対して、じゃなくて自分が楽しむのが一番のライヴになるわね。
 ライヴのお誘い、良かったら演奏しにきてね。

●今回の参加者

 fa0379 星野 宇海(26歳・♀・竜)
 fa0453 陸 和磨(21歳・♂・狼)
 fa0597 仁和 環(27歳・♂・蝙蝠)
 fa0760 陸 琢磨(21歳・♂・狼)
 fa2495 椿(20歳・♂・小鳥)
 fa2837 明石 丹(26歳・♂・狼)
 fa3398 水威 礼久(21歳・♂・狼)
 fa3887 千音鈴(22歳・♀・犬)

●リプレイ本文

●お月様の下で
 今回の準備は「すべて自分たちでするからお手伝いはいらないわよ」のお達しが参加の面々に伝わる。お仕事じゃなく、お客様として呼ばれ、そして演奏とのことでホストがしっかりやるのです、ということだった。
 お約束の時間に、ライヴハウスを訪れると反応が無く。
 面々遠慮なく屋上へ上がって行くと、すでに出来上がった人たちがそこに。
「いー感じに寒いっ」
「寒いからこそのおでん!」
「あらー、皆いらっしゃーい、早く早くー」
「‥‥すみません、すでに出来上がってます、すみませんすみません‥‥」
「あらあら‥‥これはお土産、サツマイモのレアチーズケーキですわ」
 星野 宇海(fa0379)はお土産を渡しつつ苦笑。
「俺も姉貴行きつけの店で買ってきたモンブランだ」
 と、水威 礼久(fa3398)もお土産差出し。
「おでんー!!」
 椿(fa2495)はおでんにダッシュ。頂きます体勢で座り込む。
「AbySSは初めてだな。オーナーさんはじめ皆さん宜しく」
 仁和 環(fa0597)は名乗って一礼。と、その間に椿はメアにごそごそ耳打ち。
「僕からのお土産は、ライヴのお供にホットレモネードはいかが? 寒いから、喉大事にして、風邪ひかないように暖かくしてね」
 和みの笑顔浮かべて明石 丹(fa2837)。自身もしっかりショートマフラーで喉はガード。
「宇海さんと明石さん、礼久さん達はお久し振りです。一緒に楽しみましょうね。俺今日は兄さんい拉致られ‥‥ごめんなさい、嘘です冗談です俺から頼みましたっ! だから兄さん怒らないで眉間に皺寄せないで半獣化して傷を浮かび上がらせないで怖い怖い怖い〜〜〜っ!!」
 と、挨拶もそこそこに陸 和磨(fa0453)は兄である陸 琢磨(fa0760)からのプレッシャーにガタブル。
 そしてそのお隣では。
「あ、お誕生日おめでとう。これプレゼントだよ」
「わ、マコちゃんありがとう!」
 と、22日が誕生日だった千音鈴(fa3887)に丹はプレゼントを渡す。
「お誕生日だったのね、おめでとうおめでとう。プレゼントが無いわね‥‥では私の餅巾着をちーちゃんにー」
「酔っ払いは静かに食べててくださいね。お誕生日おめでとうございます」
「僕からは特大おにぎりー!」
「‥‥すみません、本当にすみません‥‥」
「も、カオルちゃんったらさっきからすみませんばっかり! さー一番手歌いなさーい!」
 月の下ライヴは、酔っ払いがいる状態で始まったのだった。

●純愛
「それじゃ一番手いかせてもらうぜ。ソロでやるのは初めてだが今回はソロでやらなきゃ意味がない曲なんだ」
 フォークギターを持って、礼久は舞台の上へ。
 最初は自分の声だけで切々と想いを込めて。

「 今宵今夜一夜限りの宴
  辺りが寝静まった月が映える夜
  きっと同じ空の下いる君に
  拙い想いを届けよう
  初めて会ってその笑顔にノックアウト
  いくつか言葉を重ねて心は跳ね上がった
  惚れたのは外見じゃない
  その優しさや心遣い
  君となら最高の二人になれると思ったんだ
  俺はまだ君に釣り合う人間になれてないかもしれないけど
  その瞳に引き込まれ俺はずっと抜け出せずにいる
  だから俺はこんな晴れ渡る
  ミカヅキの夜おどけて
  カッコ付ける ただ
  君に自分の全てを伝えたくてナンパな男だと
  がっかりしないでくれ
  好きになったのは
  きみが最初で最後なんだ
  だからこの唄を君に
  ー捧げるー 」

 途中からアップテンポになり、最後はまたアカペラで。
 礼久は歌い終わり、笑う。
「想い伝えたい相手はこの場にいないんだけどな‥‥この前、その子に久し振りに会ったんだ、俺の事覚えててくれてさ、惚れなおした」
「若いわね‥‥でもそういう歌は本人の前で歌わなくちゃー、ねー?」
「そうだね、本人前だよねっ! さー、次は本人の前で歌うためにもこんにゃく食べようこんにゃく!」
 はい、と席に戻ると同時におでんのこんにゃくを渡されて、礼久はそれを食べるのだった。

●Wish My Life
「燗が美味い‥‥」
「おでんに熱燗きゅーは‥‥幸せだけど親父ぽい」
「次はそこの燗組〜! 歌い終わったらじゃがいもとか大根とか待ってるわ」
「ご指名!? Thousand Moon出動よまき!」
 熱燗で幸せをかみ締める環と千音鈴。二人はご指名受けて舞台へ。
 オフホワイトのニットワンピにブーツと、厚手のワイン系チェックケープで防寒もしっかりの千音鈴。
 環は普段の和装で。
 演奏はアコースティックギターと、三味線で。
 そしてそこに椿が手伝いで加わる。

「 数え切れない宝石と金色月の夜空
  頬杖ついて見上げ想う‥‥ 」

 始まりはスローテンポ。そこからドラムと三味線が加わり間奏、一気にやや早いミドルテンポに。
 のびやかに声を響かせていく。

「 幼い頃の『一生に一度のお願い』
  いったい何度繰り返したんだろう
  あの時は本気だったはずの願いなのに
  今は笑っちゃう可愛い望み
  だけど飾らない願いが きっと私を創ってくれたんだね

  (Step by step)少しずつ
  (Day by day)大人に変わってく
  (In my days)日々の中
  たった一つだけ叶えたい 今の私の願いは何? 」

 声を重ねるところは伴奏抑えつつも歌も音も歯切れ良く。
 千音鈴の声に環と椿がコーラスを。
 元気良く、伸びやかな声が夜空に染み渡って。

「 根拠レスの自信で不安を隠し
  目の前の(Life)踏みしめて(Live) 今日という日を歩いて行こう
  限界の向こうは可能性無限大
  乗越えて(Wall)時々は(Fall) 傷つくたびもっと強くなれる

  今日の月の果てに待つのは 新しい『今日』だから
  Wish 神様どうぞ
  今日も私らしくいられますように 」

 一拍、アクセントを入れて。
 抑え目にし、伴奏にあわせるかのようにテンポ落として音が消える。
 ぱちぱちっと拍手。三人舞台を降りようとするのだが
「まだよ、そのまま、そのままー続けなさーい、椿ちゃーん」
 と、メアより続けてやりなさいとの命令発動。
 お先に、とおでんにありつく千音鈴と対照的に、椿とお手伝い環は楽器をチェンジして居残り。

●月華
 カジュアルにセーター、ジーンズ、ハーフコート姿の椿が持つ楽器は、メアがどこからか借りてきた馬頭琴。
 環はキーボードの前に。

「 鈴音に彩られた風が 甘い香のせ
  見上げる夜空から はらはら金色の花

  キミの髪に肩に 月から零れ落ちた光
  そっと触れてみたくて 一歩近づいた

  二人の距離も心もそっと近づく
  言い訳は要らないと どうか笑わないで 」

 ミディアムスローの緩やかな馬頭琴の音に、歌声と、キーボードのピアノの音。
 和音のピアノに柔らかく、馬頭琴の音。
 語りかけるように歌は続く。

「 そのまま動かないで 月の花纏うキミ
  このまま隣にいて 一緒に月仰ごう
  そのまま動かないで 月の花香るキミ
  このまま腕の中
  朝が来ても消えない 月華に埋もれていたい 」

 最後は、椿の声に、環の声が合わさる。
 落ちたテンポは、元に戻り、歌も楽器の音も華やかに。
 先に消える音はピアノの音。そして最後の一音は、馬頭琴。
 演奏終わって。
「寒い!」
 と、ストーブ傍によりいそいそと半纏を着る椿。
 そして。
「まきサンの指定席はあっち!」
 と、屋上の隅っこに、わざとらしく用意された席が。
「‥‥」
「まき、隅っこ好きなんだ‥‥」
「隅っこ用意したわよ! さぁ、さぁ!」
「それが噂の環ポジション! あ、毛布差し入れですわ」
「ありがとう‥‥」
 優しさが、ちょっと痛い。

●RELOAD
「俺はギタリストじゃないんでな‥‥それなりにしか弾けん。そこは愚弟‥‥なんでもない。楽しんで、気持ちよく歌えれば其れで良い」
「そうそう、楽しく気持ちよいのが一番よね!」
「ベースは専門分野ですし、張り切って行こうと思います。珍しく兄さんにも期待され‥‥」
 ギロっとした琢磨の視線に和磨は後の言葉を飲み込む。
 と、そんな兄弟のやり取りがありつつも、曲はスタート。
 和磨はベース、琢磨はヴォーカルとギターと。

「 ふと振り返って見返す足跡に

  昔の面影を感じながら

  髪を優しく撫でる風に目を細めながら

  言葉を交わそう 昔の言葉を

  新しいだけの言葉じゃなく

  振り返るように 見詰直すように

  互いを感じて 歩きたいから

  一緒に歩いて行きたいから

  RELOAD‥‥ 」

 明るい音に琢磨の声。
 今もてる精一杯を出し切る和磨。
 夜空の下で兄弟の演奏は一つ灯りをともすように。

●クレッセントムーン
「ではトリは私たちですわね〜。すかっと白さ爽やか、まるで洗剤のうですわ〜」
「リバティーブルーでざぶざぶ進出。宇海さんお手をどうぞ」
 丹は舞台まで宇海をエスコート。
 白いショールに淡い桜色の小紋は、桜花の染め抜き模様。帯は牡丹と桜模様が黒地に映える宇海と、白のVネックセーターに淡いベージュのジャケット、そしてカーキのタイトパンツにショートマフラーしっかりの丹。丹はギターを持ち、いつでも演奏OK。
 二人は視線を一度合わせて、声をそろえる。

「 クレッセントムーン 雲のドレスをまとって
  ミステリアスナイト 星のピアスゆらして
  ほのかに漂う 残り香のように 」

 始まりはユニゾン、そして二人でハモって。
 ギターの音は静かに支えるように、優しく静かに鳴らされるだけ。

「 銀の光が ふりそそぐ
  そんな夜には 気をつけて
  闇のベールが 幕を開け
  姿 現わす ムーンライトレイディ 」

 歌は伸びやかに。
 そして二人は掛け合う。

「 謎めく微笑 甘い薔薇
  ささやく美声 甘い歌
  ウインク一つ
  恋のとりこ
  けれど届かぬクレッセントムーン 」

 語るような歌と、それに重ねられるLalalaとのハーモ二ーは顔をあわせながら。
 宇海は歌いつつゆったりと歩き、丹の肩に手を置いたりとほのぼの和やかな雰囲気を漂わせる。

「 クレッセントムーン 雲のドレスをまとって
  ミステリアスナイト 星のピアスゆらして
  ほのかに漂う 残り香のように

  静かに去りゆく 面影のように 」

 ラストはハモり、その余韻を残すように声を響かせていく。
 しんしん、夜空に溶け込むように。
「うふふ、素敵な歌を贈ってくれた二人には‥‥」
「あっつあつのお餅のお迎えです!」
 こうして、身内ライヴは終わりこれからがある意味本番。

●出来上がりがさらに出来上がり
「はい、一人目潰れましたー!」
 最初の犠牲者は、下戸なので食べる側に徹しようとしていた和磨だった。
 無理矢理飲め飲めの挙句、色々とつつかれ注がれ逆らえず。
 そんな姿を、料理足りない事(主に一人の所為)となりそうになり、それならばと中華料理の腕をふるい、戻ってきた和磨は目撃。
 もちろん深い溜息と睨みがビシ。
 そしてある意味アリーナの環に救いの手が。
「環さん、ストーブ前あいてますよ」
「あ、何いってんのカオル! そこは僕の席!」
「ストーブが相変わらず遠い‥‥で、誰だ!? 俺の特等席が隅っこだと吹き込んだのは!」
「椿ちゃんでーす!」
「俺デース!」
 もちろん、思ったとおりの犯人でそこからおでん奪い合いに発展。
「平和ですわねぇ‥‥あ、ちーちゃん、お誕生日のお祝いにケーキの一番大きなところを‥‥」
「え、ありがとー!」
 千音鈴はお祝いに、と宇海からケーキの一番大きなところを受け取りご機嫌。
 そして隅っこでは丹がのんびり、それに気がついて蓮は缶ビール片手にご機嫌で近づき、見上げる先を追う。
「丹くーん、お月様ー? 二人の歌はクレッセントーだったけどは今日は満月だよねー」
「そうそう、お月様。寒いと余計に冴え冴えして綺麗だね。いつもとちょっと違うのもまた刺激になったかな。この充実感で一曲出来るかも」
「ああ、できそう。今そういう気分! じゃあ作っちゃおーか。」
「今から?」
 と、いうことで。
「カオル、紙ーなんか紙ー」
「‥‥紙、事務所」
「酒まわってないのカオルだけなんだからいーじゃん! 何その強さ!」
「しょうがないなぁ‥‥」
 と、カオルは一度階下に。その途中、潰れメンバーを下へ引きずって降りる。
「あら、何かやりますの?」
「やります! 今からお月様な曲作成!」
「突発イベントみたい。こういうの楽しい楽しい」
「じゃー生き残ってるメンバーでやっちゃう? 音はギターでじゃーん、じゃーんじゃん、みたいな、ゆっくり。バラードだけどハートはロック魂イェーイ!」
「‥‥蓮さん大丈夫ですの?」
「僕オールオーケィ!」
 酒によってテンション高い蓮を心配しつつも、戻ってきたカオルから紙受け取って。
「曲名は‥‥もー『月』で」
「そのまんま‥‥」
「そのまんまですが何かー! それじゃ僕からーえーと‥‥」

 月の下ライヴは終了。
 そして、月の下で宴会も終了?
 月の下作曲会は、これからこれから。