PassionMusic:QuietSeaアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 玲梛夜
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 5.5万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 02/06〜02/08

●本文

 『Passion Music』という看板がライヴハウスにかかる。
 その看板がかかると同時に、そこには収録の機材が運び込まれセットが始まる。
 それが完了するとそこにロッカーたちが現れて熱い熱いライヴを。
 いつ、どこでするのかはわからずゲリラ収録のロックライヴ番組。
 収録に出会えるかどうかは時の運。
 そこでプレイするロッカーたちにも場所のイメージは伝えられるが前日まで明確な場所は明かされない。
 集合場所、集合時間指定を受け、暗幕の張られたバスに乗せられてその場所へと連れて行かれる。
 準備の終わったライヴハウスでは今か今かとロック好きの観客がテンションをあげて、待っているのだ。
 ぱっと、舞台上にスポットがあたる。そこにはマイクとカンペを持った司会者、渋谷蓮(しぶや・れん)。
「今回は曲名すべて『静かの海』! それぞれの奏でる楽曲がまたとっても楽しみ! 大波小波ざっぶーんはないけどどんな曲がでるか楽しみだー! んではGO!」
 舞台の照明がばっと明るくなる。
 最高のプレイを、そこで‥‥!

『Passion Music』出演者募集
 ゲリラロックライヴ番組収録、出演者募集
 こちらから指定するのはライヴ日の集合場所、時間のみ。
 今回は演奏する曲名が『静かの海』で統一。それぞれの個性を出してください。
 舞台は特に特徴も無く、自分達と観客が面するのは一方。自分達のほうが少し高い位置、ということになります。
 ソロ、グループを組む、は自由です。
 収録に取り直しはありません、一発勝負です。
 舞台に関しては通常の舞台です。

 なお、日程は以下です。
 初日  参加者顔合わせ
 二日目 スタジオでのリハーサルなど
 三日目 ライヴハウスでの演奏、収録

 ドラムセットやピアノ等大きな楽器は備え付けのものがあります。
 バックバンドが必要であればこちらで用意します。
 グループ掛け持ちは禁止。
 演奏順は特に希望が無ければ阿弥陀くじです。

●今回の参加者

 fa0034 紅 勇花(17歳・♀・兎)
 fa0597 仁和 環(27歳・♂・蝙蝠)
 fa1465 椎葉・千万里(14歳・♀・リス)
 fa2657 DESPAIRER(24歳・♀・蝙蝠)
 fa3461 美日郷 司(27歳・♂・蝙蝠)
 fa3861 蓮 圭都(22歳・♀・猫)
 fa5181 雪架(18歳・♂・小鳥)
 fa5241 (20歳・♂・蝙蝠)

●リプレイ本文

●一日目組、いらっしゃーい
「一日目組は火付け組だからよろしくー僕もがんばるぞーおー‥‥」
「久しぶりだな‥‥シブ、いつもより覇気がないぞ?」
「いや、テンション今からあげると力尽きそうだし」
 美日郷 司(fa3461)の言葉に渋谷蓮はちょっと遠い目。三十路には三日間きついらしい。
「若い子は元気だね‥‥まぶしいよ10代‥‥! 一番若いのは千万里嬢ー?」
「そうですー、初めましてでよろしくお願いします」
 椎葉・千万里(fa1465)はぺこっと頭さげて礼。
「今回はお二人と一緒で、楽しみです。仁和さんは後で少しヴァイオリンお貸しします」
「え、環君ヴァイオリン弾けるの?」
「三味線以外は殆ど我流だが、一応概ねの楽器は演奏出来るんだよな‥‥擦弦楽器を除いて。ヴァイオリンはいくら頑張っても多分ノコギリ音‥‥」
「隅っこで弾いておいで‥‥!」
 仁和 環(fa0597)、隅っこへ。
「似合う、似合うよ‥‥! あ、二人と一緒にするんだよね、よろしくね」
「はい‥‥今回も、よろしく、お願いしますね‥‥お二人に声をかけていただいて‥‥がんばります」
 静々とDESPAIRER(fa2657)は挨拶を。
「あと10代は〜、勇花嬢もそうだっけ?」
「うん。迷い蝶ぶり、よろしく。これが今年初のライヴか‥‥なんか出遅れた感があるけど、気合いれていくよ!」
「おう! 若さパワーよろしく!」
 年明けての初ライヴとあって紅 勇花(fa0034)もやる気は満々。
「しょぼりーぬママ、三日間テンションもたせて頑張って!」
「ママがんばるわ!」
 と、蓮 圭都(fa3861)とタッチタッチ。
 そしてちょっと離れたところでなにやらブツブツ中の雪架(fa5181)捕捉。傍では欅(fa5241)も待機中。
「いつも挨拶固いよな‥‥もう初めましてじゃないんだし‥‥」
「セッカ‥‥」
「何、今考えてるんだから。よし、今回はフレンドリーに。練習!」
 ちょいちょいっと欅がつっつく手を払って雪架は振り向く。
「ヤッホー! 渋谷サーン!」
「はい、ヤッホー!」
 ハイターッチに普通にタッチが帰ってきて雪架は驚く。
「うわ‥‥っ、スミマセンほんの出来心で! いると思わなかった‥‥!」
「だから肩突っついただろう」
「もっとわかるように‥‥!」
「あっはっは、元気だね。その調子でよろしくね」
 と、いうことで。
 顔合わせも終わり一日目組頑張っていただきます。

●anemone+
「はーい、今日から連続収録なんですよー。三十路頑張ります‥‥! ではトップバッターいってもらいましょ! 今回は全曲『静かの海』、それぞれの曲にたゆたえお前ら! anemone+!!」
 ライトは蓮から舞台に並ぶ三人に切り替わる。
「ハイっ、みんなノッてますかー! ってこれからノってもらうんだけど。今日は司先輩に一緒してもらってanemone+です!」
 雪架は司の手をにぎり上へ上げる。司はお前も、と欅の手をつかんで三人で万歳ポーズ。
 欅はレザーライダースジャケットに黒地青プリントのTシャツ、デニムをエンジニアブーツにイン。そしてファーストールにサングラス、髪は左側に長めのエクステ付けアシンメトリー。色は黒で揃えあげる。
 司も同じく黒でちょい悪なロック親父風に。細身レザーライダースジャケットにロックプリントTシャツは黒。同じく黒のスキニーパンツをエンジニアブーツインで、細身のサスペンダーを垂らしてアクセントに。髪は後ろで無造作に括り、黒ハットを頭へ。ワイルドファーのストールは茶系で色味をちょっと変えてポイントに。そしてグラサン。
 雪架はモノクロ派手柄のシャツにクラシカル、そしてパンタロン、軽くラメ入り白なスーツ。首には白いファーを巻き、レンズの大きい、深い青のサングラスをかける。紅一点ならぬ白一点。
「静かの海だからって静かな曲だけ来ると思ったら甘い! 踊れる曲持ってきたから、みんな波のように揺れてー!」
 と、語尾にかぶせる様に始まる音。ふっとライトは一度消え、三人の背後から眩いライト。スポットで切り替わっていき、上から光が降るように。
 演奏始まる前に、舞台上で司がいつものお呪いを一つ。観客から黄色い声がちょろっと響く。
 ドラムのビート、欅の弾くベースは裏拍から入り全音階で降下。そしてギターが軽い音を響かせる。

「 儚い肩 揺れる
  月明かり降る水面 白線を滲ませて
  波音 混じる君の声
  ずるいね こんなシチュエーションで 」

 テンポよいメロディに雪架の声が甘く囁くように。
 ベースのシンプルなラインにギターのカッティングが心地よく重なる。
 そこから細かいリズムが少しずつ加わり弾むような雰囲気に。
 ギターの音域は高音域から下がる。けれども反対にボリュームは上げて。

「 砂の上 足跡を靴で追って
  サミシイなんて呟かないでくれますか
  抱き締めずにいられない
  気持ちにさせないで 」 

 しっとりと伸びやかに声は響いていく。
 暗めだった舞台は明るくなり、後ろには色が流れる。
 そしてふっと光は落ちて、それぞれにあたるスポットと、足下にスモークが広がる。

「 Quiet Sea 揺らぐ
  まるで二人だけの世界
  心の底 想いにまだ気付かせないで 」

 雪架は語るように、観客と自分を交互に示しつつ歌い上げる。
 テンポいいノリそのままに、厚みのある音。
 ベースの音は一音一音伸ばされ、ギターのサウンドは心地よく。
 最後はユニゾンでスパっと惜しげもなく音を切って動きを止める。
 同時に照明を落とし、最初と同じように逆光。

 退場際、蓮の頭にすぽっと司が帽子を被せてサプライズ。

●紅 勇花
「帽子をいただきました‥‥こうして増えていく持ち物‥‥! さて次はー‥‥勇花嬢! 今回は女物衣装でどしたのーって言ったら何でもないって言われました‥‥感情入れて歌っていただきましょう!」
 ライトの中浮かび上がる勇花の姿。
 黒いドレスは誰かを悼むような喪服のよう。

「 凍てつく風に揺られ 歌う潮騒の音
  静謐の響きが誘う 嗚呼、遠い日の‥‥“二人”‥‥ 」

 ゆっくりとしたテンポに、静かなメロディは物悲しげに。

「 あの日の風に乗せて 漂う百合の花
 たゆたう姿に見た 嗚呼、遠き地の‥‥“あなた”‥‥ 」

 勇花のギターの音と、声が響く。
 短いギターソロには気持ちを込めて。
 そして他のお供加わり、テンポそのままに曲は激しくなる。

「 再会の日を願った“誓い”‥‥今は永遠を引き留める“鎖”‥‥ 」

 重い音、力強くも悲しげな音。
 一音一音、全てを込めるように響かせていく。

「 忘れない‥‥忘れない‥‥最後の笑顔
  絶望も知らぬまま、只、時は止まる‥‥
  忘れたい‥‥忘れたい‥‥終わらない幻(ゆめ)
  何処(いずこ)の声にも、嗚呼‥‥答えは無い‥‥ 」

 静かながらも叫ぶような歌い方、それは慟哭のように。
 そのまま感情引き継ぐような演奏は、最後余韻を残しつつ静かに、終わる。

●蓮 圭都
「なんだろ、なんでか涙でちゃった‥‥さてお次は蓮 圭都嬢よろしく!!」
 深い青、ディープブルーに染められたステージ。
 最初の、全ての音合わさった一音とともにスポットライトが強く強くメンバーにあたる。
 アップテンポが似合う駆けていくようなリズム。インパクトのあるメロディはギターの音が映える。

「 誰かのナミダ一雫 落ちたところで
  鏡の水面は揺らがない
  ありのまま私を映すわ I’m OK 」

 圭都はギターを引く手をとめて、マイクを包み込むように持つ。
 そして囁くように。

「 多少イビツな果実 アカイ色して熟していくの 」

 衣装は真紅のミニドレスの上に黒のメッシュカーディアンを羽織って、足元はブーツ。
 歌詞と同じように赤。
 音はドラム抑え目になり、けれどもボリュームは上がる。

「 旅立つ時 君の名前を教えて
  遠く離れても心で呼ぶから 『baby‥‥』
  きっと誰も 耳を澄ませ待ちわびている
  手繰れば流る群生に 群生に so lonely for you 」

 再びギターに戻された手が奏でる烈しいメロディ。
 それに切なげな声を重ねて。 

「 私の鼓動ひとつきり 響いたところで
  真青な星は廻らない
  どこまでも漂っていくわ I’m OK 」

『I’m OK』を曲の流れに乗せ、繰り返しながらフェードアウト、消え行くように。

●SILEN
「お次はSILEN! 仁和環、椎葉千万里とDESPAIRERの三人だ! 今日の最後、奏でてもらいましょう『静かの海』」
 ふっとライトに浮かぶ影は三つ。
 ピアノの前にすわる環はモノトーンのノータイカジュアルスーツ。
 千万理は体のラインに沿う黒のシンプルなドレスを。襟元には白い花のコサージュをつけ、ヴァイオリンを持つ。
 DESPAIRERはメインは白の、ゆったりとしたモノトーンのドレスを纏う。
 始まりの一音はヴァイオリンの高く澄んだ音から。
 抑揚のない静かな淡々としたメロディーラインだけれども、音には深み。

「 Been no wind for days
  Been no rain for days
  Everything’s so calm... 」

 照度高めの青から蒼へと、ライトの色は変わっていく。
 ヴァイオリンの高音に対してピアノの中低音は、静寂への不安と諦めと、残酷な美しさを表現し、誘うように。

「 風もなく 雨もなく 頭上にはただ 晴れ渡る空
  凪いだまま 澄んだ海 魚の影の 一つとてなく 」

 滑らかで、でも硬いヴァイオリンの音が透明感を引き出す。

「 Been no move for times
  Been no move for days
  Everything’s too calm...

  波もなく 潮もなく 今日もまた 船は動かず
  時だけが 流れゆき ただ静寂が 全てを包む 」

 同じようなメロディをもう一度、でもそれは転調してゆき少しずつ違う形へとなる。
 低音から高音へと響くアルペジオで印象転換。
 けれども澄んだ音は変わらずそのままに。
 そして曲は一番高潮部分。

「 酷なほどに美しく どこまでも透き通る碧き静寂
  忘れられた海の真ん中で 全てはやがて碧の中へ消えゆく 」

 強い音から始まった音はだんだんと小さく小さく。泣くようなヴァイオリンの音色が消え、静かなピアノの一音が響く。
 蒼から碧へとかわったライトはフェードアウトしていく。
 海の中へ、沈んでいくように。

●ライヴハウス『DEAREST』
「『静かの海』でしたっ‥‥! やっぱり同じテーマでもみんな考え方感じ方違うからいろんな方向に向かって奏でてくれていいよね‥‥僕はいろんな音がきけて嬉しいわけです。お前らもそうだろー!!!」
 その問いにもちろんと返ってくる声援。
「よーしよし、次の曲名でGOGOは何しようかー、何がいい? はいそこのお前! ネタでもなんでもいいから、ほら言ってみ」
 と、観客の一人に話を振る。
「‥‥おっけおっけー。じゃあ次それ提案しとく。PassionMusicは皆さんの要望に応えるのがお仕事です。そのかわりお前らにも最後は協力してもらうからなー」
 そして、蓮はいつものようにマイクを置いて。
「『静かの海』で溺れたやつは、救助してやるから叫びやがれええええええええ!!!!」
 いつものように、観客からは雄叫びが返ってくる。

●収録終わりまして
「お疲れ様でーす」
 収録終わってお疲れ合戦。その中で。
「おーハッケーン!」
「渋谷さん‥‥」
「所長さん、プロダクションの所長さん、うちに所属しませんか?」
 見つけた後姿にダッシュ。
 そのお相手は、DESPAIRER。
「うん、僕ずっとDESPAIRER嬢の歌う曲好きだったんだよねー。歌う方向にテーマっていうか、こう一本通ってて。てことで、気が向いたらでもいいやーヴァニプロに来るといいよ! そいじゃ僕まだ仕事あるから!」
 と、言いたいことだけ言ってダッシュ。
 忙しい蓮なのでした。