救いの手アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
玲梛夜
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
6.3万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
02/10〜02/14
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●本文
『わたしはきっと、あのてに、いつかすくわれる』
この穢れた魂は、すくわれる。
その時まで、私は‥‥
この世界で絶対の救いであるのは、七曜。
七曜が一人、太陰の手は、全ての穢れたものを浄化する。
触れなくていい、ただかざして願うだけ。
その存在は悪鬼、妖魔、死人などがはびこるこの世界にとってはとても重要なもの。
だからこそ、狙われもする。
七曜―太陽、太陰、ケイ惑、彗、辰、太白、鎮。
太陰はこの中でも特殊であり、戦いもするが護られる存在でもあった。
それは歴代ずっと、変わらない。
だが、当代の七曜は特殊であった。
太白は、死人なのだ。本来なら、あってはならない事だが、太白は変わることなく太白自身で居続けていた。ただ自らが死んでいるのは分かっているのに、何故か死ぬことなく存在し続けている。
このことを知るのは、太陰だけ。
太白は、いつか太陰の手によって、救われることを望んでいる。
だけれどもその前に。
七曜は過去から続く因縁を断ち切らなければならない。
永遠と思われる昔から続く因縁。
二人。
九曜であったころはあと二人いた。。
離れていった計都と羅ゴウは、今七曜と対するものと、なっている。
共に手をとることは、もうきっとない。
二人が離れていった理由も、今も覚えているものは七曜にはいない。
●『救いの手』出演者募集
キャスト募集
・七曜(太陰は女性、太白は男性であることが望ましい。)
・計都
・羅ゴウは璃久アイジが演じること決定済。
それぞれ、名前は好きにつけてもらうことは可能。
●ストーリー
ある代の太陰と太白、二人中心に話は進んでいく。
日々、人々に害なす悪鬼や妖魔を退治して回っている。
そして当代の計都と、羅ゴウが現れる。
争いつつも、引き際に太白に意味深な言葉を残していく二人。
太白が死に、また死ぬことができないのは二人の術のせいであった。
そして他の仲間にこのことがばれて、太白は。
太陰は。
他の五人は。
●世界背景
鎌倉時代イメージ。服装等は和洋折衷とファンタジー気味。
撮影場所は山野、およびセット使用。
●リプレイ本文
●出演
太白・空斗:ルーカス・エリオット(fa5345)
太陰・桂:千音鈴(fa3887)
太陽・葵:悠奈(fa2726)
ケイ惑・篝:月葉・Fuenfte(fa1234)
辰・流:タブラ・ラサ(fa3802)
歳・青瀬:七瀬七海(fa3599)
鎮・萌:ミミ・フォルネウス(fa4047)
計都・宵:玖條 響(fa1276)
羅ゴウ・暁:璃久アイジ
●波紋の始まり
「暁、何してるんだ?」
「呪を、かけている」
「相手は」
「七曜の、誰かに‥‥宵、投げろ」
暁が宵に石を渡す。受け取った宵は卓に広がる盤上にそれを投げる。
転がる石が、とまる先にある名前。
「‥‥太白?」
「らしいな」
何がどう動くのか、投げらた一石。
それは、七曜が一人の『太白』に向けて。
●これが日常
七曜たちが住まうのは人里から離れた隠里。
何も起こっていない時は、それぞれが好きなことをしている。
「平和ね〜」
家事全般を引き受けるの葵は今洗濯物の真っ最中。袴と薄紅、金糸模様の水干風上衣。その袖を揺らしながら楽しげに。
そしてその近くでポニーテール揺らしながら白地に銀糸柄の水干とミニ巻スカート姿で桂は杖術の鍛錬中。
その相手をしているのは翠色の直垂まとった空斗だ。
と、空斗がふと物陰からの視線に気がつく。
その視線はの萌。二人の視線が合い、萌は驚き、おたおた。物陰から走り出るものの、機動性の悪い、薄茶色の十二単なみに重ねた服が邪魔をしてずべっとこける。涙堪えて立ち上がった先に、葵の姿を見つけて裾ずるずる引きずりながら走りよっていく。
「葵‥‥!」
葵の後ろにさっと萌は隠れてきゅっと服の裾握ってこそっと様子を伺う、そして伺ってはさっと隠れて。
「萌ちゃん?」
葵はそんな萌をどうしたのかと不思議な表情でみる。
いつ頃からか、萌が感じ始めた違和感。それは空斗から、これが何なのかを知るためにも、じっとみては、隠れてを繰り返す。
「‥‥最近、萌に避けられているような‥‥」
「気のせいよ、空、続きしましょ!」
もう一度身構えて、距離をとる桂と空斗。再開、と一歩踏み込んだところで空斗の動きが止まる。
「!! 妖魔だ桂!」
空斗のもつ力の一つ、妖魔感知。
桂は頷き、葵と萌にも視線を送る。
「皆、妖魔よ。集!!」
桂の声が響く。その声が届かないところにいた者にはテレパスで。
屋敷の奥で書物を読んでいた流は静かに黒の童水干の袖さばきながら立ち上がり、外へ向かう。
「皆さんもう揃って‥‥遅くなりました」
流が外に出ると青瀬、そして篝もすでにそこに。
「全員揃いましたね」
名前に持つ青の色の水干と四幅袴をまとった青瀬は笑顔浮かべて言う。
「準備はばっちりだよ!」
腰に箙を差し、背中に大弓を担いだ篝は動きやすく袖無しの上衣に長ズボン。長い髪はツインテールにしてやる気みなぎる表情を浮かべる。
「萌、お願い」
桂に言われて、萌は頷き膝を突く。地に、地脈に触れて妖魔の場所を探る。
しゃらん、と空斗の持つ錫杖が鳴る。
「‥‥空、大丈夫?」
「ああ‥‥大丈夫だ」
本当は、そうではないけれども本音は言わない。
妖魔らと闘うたびに、大きくなる罪悪感。
桂は知っているが、もう自分は人の外に出てしまったのだと感じる。
痛感して、なぜまだ存在し続けているのか悩み続けている。
「空は、しっかり後ろから守っててよね」
「しっかり、守ろう」
「見つけたの‥‥縮地の法‥‥」
と、小さく響く萌の声。
一瞬にして周囲の風景が、変わる。
「!!」
変わった風景は、またどこかの山中。そして目に入るのは、多数の妖魔たち。
人でない異形たちは突然現れた者たちに敵意を向ける。
「先手必勝、とっとと片付けるよッ!」
素早く篝は弓を構え、群れの中心にそれを放つ。矢には爆炎の術が付与され、敵の中につっこむと同時に爆発の轟音。
「さっすが! いくわよ!」
篝の矢によりわらわらと乱れる妖魔の中に、それぞれが突っ込んでいく。
「‥‥行きます」
手には太刀、その刃が熱を帯びて光り始める。
「煌耀」
葵がその太刀を振れば、漸撃が飛ぶ。その瞬間がら空きになる背後から遅い来る妖魔。けれどもそれは。
「砂岩の衣‥‥」
萌がクルクルと舞いながら、扇子を翳した瞬間に壁となった砂岩が防ぐ。そしてその砂はそのままがばっと敵を飲み込む。
「土竜の顎‥‥」
ぱしっと、音を鳴らして閉じられる扇子。その瞬間にその砂岩は全ての重さ、それ以上の重さを持って捕らえた敵を押しつぶす。
「敵の弱点‥‥物理攻撃には弱いみたいです‥‥それなら」
と、闘いながらも敵の弱点を見抜いた流。符を構えて、敵に翳す。
そこから勢い良く放たれた水は飛沫さえも無数の刃となって降り注ぐ。
「さっすが皆! 頼りになるわ、私もしっかりやらなく、ちゃ!!」
勢いつけて杖を振り下ろす。そしてすぐさま、浄化。
かざすだけで浄化するその手で、拳を入れたり遠慮はない。
桂が抱える想い、空斗にできるだけ闘わせたくないという想いは彼女の身体を動かす。
「!」
と、目の前に現れた妖魔に防御が間に合わない。攻撃を受ける、と目を閉じたがそれは、こない。だが硬い音が響く。
「桂」
「ありがとう、空!」
桂を守ったのは空斗の結界。その内側から、守られたまま桂は手をかざして浄化をする。
妖魔の中に入って直接攻撃しあえば怪我もする。それは青瀬がしっかりと直す。
倒して倒して、妖魔はだんだんと減る。
妖魔を倒していく七曜、彼らを見つめるものたち。
「お、やってんじゃん」
軽やかに木の枝の上に現れて、七曜たちの戦いぶりを見る。
いつもは、それで終わりだったが今日は。
「宵」
「行く?」
その問いには無言、代わりに暁は二本持つ刀の一本を抜く。
「よし、俺も!」
長い黒髪閃かせながら木から飛び降りる宵。そのまま、乱戦の中へ。
●来訪者の残すもの
「!」
振り下ろされかけた杖に何かが絡み動きを止める。それは鋼糸。
「な‥‥何なのアンタ達!」
いきなり現れた二人、桂の邪魔をしたことから敵とみなして篝は、宵に向かって矢を放つ。けれどもそれは暁によって叩き落される。
「あなた方ですか‥‥羅ゴウと計都‥‥」
面白くなさそうに流は言い、珍しくいやそうな表情を浮かべる。
「あら? 女の子じゃないのね? 趣味なの?」
と、今まで紅い女性着物を着た宵をじーっと観て、そして首を傾げながら呟く葵。それにすぐさま、宵は反応する。
「俺の趣味じゃねぇっ!」
「あら‥‥ではそちらの、羅ゴウの‥‥? まぁ!」
「いや、それは違う‥‥」
「!? ストライクじゃなかったのかーーー!!!」
葵の言葉を否定する暁、その言葉に宵はショックに陥る。
だがすぐに、ぽん、と頭に手。暁が撫でてくる。
「宵は、宵の好きなようにすればいい」
「‥‥うん」
それだけで宵は機嫌を良くし、元気になる。
「こんな変態に負けたくないッ!!」
敵対意志は明確。篝は身構える。
「確かに‥‥敵さんのようですわね〜」
おっとりとした口調でありながらも、葵も気を、張り詰める。
「暁」
問うように名前を呼び、それに頷きが返る。
宵は表情嬉しげに、楽しげに飛び出す。
攻撃はかわして、鋼糸で絡める。
「調子こいてるんじゃないわよこの女装癖!」
「うわっ、太陰凶暴!」
からかうような言葉に、桂はイライラを募らせていく。
「あなたは闘わないんですか〜?」
「相手をしてくれるのならいつでも」
そして葵と暁が、対する。
葵の放つ漸撃技を暁ははじき返す。
「嘗ての仲間でも、容赦はしない」
「仲間‥‥?」
「七曜は‥‥昔九曜だっただろう」
と、桂たちの方に異変。
「っ‥‥! 幻影なんて‥‥せこっ!」
「いいの、これも戦略だし!」
桂の一撃が宵の急所に入る。
異変に気がついて暁は宵、と呼ぶ。
それは引けと、言っているようで。
「俺まだ‥‥!」
「宵」
「‥‥わかったよ‥‥」
桂たちから距離をとって離れる宵。
「なぁ、倒そうとする相手、違うんじゃねぇ?」
「敵意向けてくるのは、あんたたちでしょ」
「妖魔や死人を倒すのがお前らの仕事なんだろう? ほら、お前らのすぐ横にいんじゃん。なぁ? 太白」
去り際に、太白を指差し投げられた言葉。
「!」
くくっと喉の奥で笑う宵。
「死人が同じ立場のやつらを倒す‥‥それってどんな気分ー? 今度教えてよ、俺らの術がある限りお前は生きてるんだしさ」
「女装癖、あんた達が元凶かっ!」
宵の言葉に、怒りをあらわにする桂。踏み込んで拳をあげ振り下ろしたては宵には届かない。
腕は暁に捕まれて、動かない。
「痛いんですけど」
「そうか‥‥」
捕まれた手を離されると同時に後ろに下がって距離をとる。まっすぐいっただけではすぐ防がれてしまうのがわかる。
「そのうち、また会うだろう」
「次は倒すからな!」
ふっと、消える二人の姿。
残されたのは、七曜のみ。
空斗は真っ青、ぎゅっと錫上握り締めて硬直したままだ。
「何で‥‥何で黙ってたの!? そんなにあたし達の事が信用できなかったの!?」
「術をかけられたのは、いつですか」
問われても、今戸惑う空斗には応えられない。
「終わったんだし、帰りましょう」
この雰囲気を感じて、桂はそれぞれを促す。
「あのね‥‥空が死人、だから如何したの? 今迄何か問題あった? ほら、空も確りする!」
「っ!」
驚きポカーンとする空斗に桂はゴン、と一発。
そのまま空斗の手をとって帰るわよー、と全員引っ張るように歩みだした。
●絆
「‥‥気まずいわね」
宵と暁と遭遇してから数日、七曜の間にはぴりぴりした空気が流れていた。
「空斗君、大変ね〜」
「そうなのよねーどうしよう‥‥」
「今まで通りで良いんじゃないの? 彼の望むようにしてあげたいわ〜」
「‥‥そうね‥‥よし!」
このままではいけない、と全員集合をかける桂。
「もし呪を受けたのが自分だったら‥‥どうしてた? 綺麗事じゃなく本音でね」
桂は、皆に問う。
「それは困るわね〜」
ほんわか笑顔で葵は言い、続ける。
「‥‥桂には言うと思う〜他の皆には秘密‥‥心配かけたくないもの。自分の事なら浄化しちゃっても良いよ? とか思ってる。でも、まずは原因を調べに行くと思う〜輪廻は魂の救済‥‥なのにそれが無いって‥‥悲しい事だから」
「篝は?」
「あたしはっ‥‥」
篝は答えがすぐにはでず、つまる。
「流は?」
「ひとまず対策がないか検討した後、手に余るとわかれば正直に告げていました。私ならね。ですが」
「ですが?」
「太白のような性格なら、確かにそれは難しかったかもしれませんね」
「でも、皆気まずいし‥‥いっそ浄化する? 今の状態続ける訳にはいかないでしょ?」
「私は‥‥それでかまわない」
「そう、さよならね」
桂は、空斗に向かって手をかざす。
「え、だ、だめだめ! 死人だからとかそんなのはどうでもいいの! ただ‥‥仲間でいたいだけなの‥‥!」
「死人であることは、空斗がずっと空斗自身であったのだから何も問題ありません。なぜこれほどまでの大事をずっと隠していたのです。あなたが七曜の絆をその程度のものだと考えていたことの方が、私は許せないのです」
「だって、空何かある?」
話をふられて、空斗はぐっと拳を握る。
「私は‥‥言おうと思った! 何度も何度も!! だけど‥‥怖かったんだ‥‥! 皆と一緒にいたい‥‥けれど私がいれば七曜の‥‥妖魔などを退治や浄化する使命から外れてしまう‥‥私は‥‥皆と、一緒にいたい‥‥」
堰切って、いつも抑えられ、溜め込んでいた想いを一気に吐露する。いつものおとなしさは嘘のように流れ出すそれ。
想いを全部だしきって、空斗はぐるっと全員見る。
「‥‥黙ってて‥‥すまなかった」
「‥‥まぁ、謝ったことですし七曜としては機能していることだし、特に問題なしでしょう」
「そうね‥‥今まで通り」
「空斗君の命‥‥僕の命で助かるなら助けてあげたい‥‥無理なのはわかってるけど」
「ほら、空、大丈夫でしょ」
「だが‥‥」
「もう! 空が望む限り一緒にいましょ」
まだ戸惑う空斗を、ぎゅっと桂は抱き締める。
「桂‥‥」
「心の温もりはこの手に感じるわ」
優しい微笑。
その微笑に空斗は自然と笑み返す。
「なら‥‥一つ我儘を言わせてほしい。皆と、いたい‥‥けれど私は死人だ‥‥生者には戻れない。だから‥‥いつかその時が来たら、桂‥‥いや、太陰‥‥」
「‥‥わかったわ、約束ね」
『どうか あなたの 手で』
自体は収集したかのよう。だがまだ一人、納得できないものがいる。
どうしよう‥‥なの‥‥
心の中で何度も何度も呟く。わかっているけど納得はできない。
自分ができるのは距離をとること。
萌のわだかまりが解けるのは、まだ先のこと。
「ところで‥‥桂、本当に浄化しないよね?」
「もちろん冗談に決まってるでしょ」
悪びれずにケロリと一言。
「桂ちゃん、よかったわね〜」
「うん、良かったわよね?」
ふふ、と嬉しそうに笑う葵の言葉の深さをわからないまま桂は答える。それに溜息一つ、葵は返した。
「桂ちゃんたら‥‥鈍感」
●舞台裏
「悠奈おねーさん!」
ひさしぶりとぴこぴこ悠奈のもとへ行くミミ。
「タブラ君もお久しぶり‥‥なの」
「そういえば‥‥懐かしいな、よろしく」
再会を和やかに和気藹々する一方、台本とにらめっこ中の二人。
「女装」
「女装だね」
ネタ!、と千音鈴は瞳輝かせる。
「賑やかだ‥‥」
と、それぞれを眺めるアイジ。
「おはようございます&元気ですかー」
エリオット到着、近場にいたアイジから挨拶。
「元気だ」
「なんか端的すぎー」
「‥‥そうか?」
「此度は宜しくお願いします」
礼儀正しく頭を下げる月葉に反射的に同じように返す二人。
撮影開始です。