それぞれのバレンタインアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 玲梛夜
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 9.4万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 02/14〜02/18

●本文

 バレンタインです。
 バレンタインといえば。
「とりあえず恋人たちいちゃつく」
「一人身さみしい」
「一人身ですが何か、あてつけですか。これクリスマスにもやりましたよね」
「‥‥そうだな‥‥」
 さて今回のへたれのお話は。

 ドラマあらすじ
 彦星は夢を見ていた。
 そこは自分の知らぬ世界でがやがやと人が多い世界。
「‥‥どこだろう‥‥あ、織姫!」
「彦星、変な格好ね」
「え? 織姫も‥‥」
 いつもの服装とは違う。
「あ、お揃い」
 胸にはキャラクターの絵。薄い羽根がついた男の子と女の子。
「織姫と会えて嬉しい‥‥あ、せっかくだから人の多い方いってみよう!」
「え? ちょっと、もう‥‥!」
 行動的な彦星。織姫の手を握ってダッシュ。
 ここは、バレンタイン一色のファンタジーランド。

 補足
 今回、現代にあるファンタジーランドを舞台にメンバーで騒ぎます。
 一般の方々からそれなりにガードはつきますが半獣化、獣化には注意。
 一般の皆さんに迷惑がかからないように、というのも要注意。
 もちろん七夕メンバーに加え、他にも広く募集中。
 皆共通の夢をみるというオチ。
 バレンタインネタを仕込むために、誰かがバレンタイン情報を女性陣に流すよう仕込みお願いします。

 なお、こちらのアトラクションは組み入れます。
■ミラー・オブ・トゥルーラブ:迷路系
 男性用と女性用の入り口があり、カップルはそれぞれの入り口から迷路へ。
 中は鏡だらけの迷路で、男性と女性が迷路内で鉢合わせする事はないように作られている。
 ところどころがマジックミラーになっていて、タイミングが合うとお相手の姿を垣間見られる。
 出口前ではガラス越しに互いの姿を確認できるようになっているほか、マイクで声も聞こえる。
 そこでお相手に対する愛の言葉を言わないと、出口への扉は開かない。
 ちなみに、制限時間は10分。
 出口の外にはモニターがあり、出口前の様子がリアルタイムで放映されているという何とも恥ずかしいアトラクション。

■マーメイド・ベイ:探索系
 そこは人魚姫と王子様が出会い、結ばれたという小さな入り江。
 その入り江の先端には、王子様と結ばれた人魚姫の石像が記念に建っている。
 しかし、人魚姫の石像の表情は悲しく、とても王子様と結ばれた事を喜んでいるとは思えない。
 実は王子様と結ばれたのは悪い魔女で、人魚姫は魔法を掛けられて石に変えられ、悪い魔女と入れ替えられてしまったのだ!
 その事を知った人魚姫の兄弟姉妹達は、悪い魔女の魔法を解く為に、王子様が人魚姫に贈り、悪い魔女が捨ててしまったサムシングフォーを探しに珊瑚礁の迷路へと向かう。
 珊瑚礁をモチーフにした迷路の中を突き進み、珊瑚や海草の中に隠されたサムシングフォーを探す。
 クリアーできると人魚姫と王子様(ファンタジーランドのキャスト)と記念撮影ができる。

●今回の参加者

 fa0441 篠田裕貴(29歳・♂・竜)
 fa0642 楊・玲花(19歳・♀・猫)
 fa3369 桜 美琴(30歳・♀・猫)
 fa3487 ラリー・タウンゼント(28歳・♂・一角獣)
 fa4002 西村 哲也(25歳・♂・ハムスター)
 fa4374 逢月・遥(8歳・♀・ハムスター)
 fa4619 桃音(15歳・♀・猫)
 fa5202 ユキカ(21歳・♀・小鳥)

●リプレイ本文

●出演
彦星:西村 哲也(fa4002)
織姫:楊・玲花(fa0642)
月華:桜 美琴(fa3369)
煌:ラリー・タウンゼント(fa3487)
洸:篠田裕貴(fa0441)
ざらめ:桃音(fa4619)
麗:ユキカ(fa5202)
少女:逢月・遥(fa4374)

●知らない場所で皆集合
 少女が楽しげに走っていく、楽しげな音が流れる場所、のどうやら入口。
「何かのお祭りかなあ」
「彦星、キョロキョロウロウロと‥‥はぐれますわよ」
 知らない場所だが中身は変わらない彦星に織姫はなんとなく安心する。
「あ、姉様たちだよ!」
 と、手を握りダッシュ。
「姉様〜、煌〜! あ、煌のお兄さんとざらめちゃんに‥‥ええと?」
 彦星は知らない顔を見つけてぴたっと突撃をやめる。
「私の幼馴染の麗ちゃんですの」
 ざらめはずいっと前に麗を出しながら紹介。麗も笑顔を浮かべる。
 いつもと違う服装、全員集合。
 月華は裾広がりのデニムクロップドパンツ、体のラインに沿ったオフショルダーのニットカットソーに太い飾りベルトとブーツ。
 煌は黒のシャツに細身のジーンズとシンプル。
「この場所どこかしらね‥‥」
「前にも似たようなことがあったし‥‥どうせ、為るようにしか為りませんわよ。あとの心配は煌様にでも任せておいて、楽しみましょうか、彦星。あなた一人の面倒ぐらいわたくし一人でなんとでも出来ますわ」
「織姫‥‥ありがとう!」
 よい雰囲気の二人を回りは優しく見守る。
 だがしかし、未知の世界も気になる。
「危険は無さそうだし、探検よね?」
「そうだね」
「麗ちゃんいきますの!」
 白いコートの裾からピンクのヒラヒラワンピースがちらり。黒ブーツはいてピンクのストールひらひらさせながらざらめは麗を引っ張っていく。
 麗は細身のデニムに白のパーカーと逆にボーイッシュに。
 全員向かうのは、入口の中!

●愛の示し方
 アーケードの中を進んでいく一行。人の流れにそって、そのまま進んでいく。
「なんだか周りがピンク色ね〜」
 まわりのほわわん、ピンクの、なんだかちょっとカップルが多いような雰囲気を感じ取り始める。
「あ‥‥これはバレンタインですの!」
 ざらめは手をぽん、とうって思い出したと呟く。通販情報がここで発揮。
「ばれんたいん‥‥って何?」
「それは‥‥麗ちゃんお耳!」
 ごにょごにょ、と耳打ち。二人は顔を見合わせて、そして笑いあう。
 ざらめは織姫に、麗は月華にごにょごにょ。
 男性人は置いてけぼり。
「気になるよ、織姫」
「‥‥そうなの‥‥!」
「バレンタイン‥‥」
 月華と織姫、何を言われたかというと。
『世話になっている人にチョコを渡して気持ちを使えるですの!』
『好きな人にチョコを渡す日よ』
 あっているようでずれているような。
「織姫、ばれんたいんってなぁに? 羽恋多印?」
 その当て字はちょっとあってるかもしれない。
「バレンタインは‥‥そのうちわかりますわ、お忘れになって!」
「えー‥‥あ、待ってよ織姫ー!」
 つかつかと先へ進みだす織姫を追いかける彦星。
「相変わらずの二人だね。で、月華、結局バレンタインって?」
「チョコなるものを渡す日よ、そうよね」
「そうですの!」
「うん、そうなの」
 微妙にはしょっています。
「あ、すごいわ‥‥」
「わー! おっきい建物!」
 と、アーケードが終わり視界が開けると、そこに見えたのは大きな城。ここのシンボルともいえる建物だ。
「こんなのはじめてみたわ〜」
「すごいね、いつかあんなところで一緒に住もうね、織姫」
「さ、さぁそれはわかりませんわ!」
 にっこりストレートに告げる彦星と、ツーンとしてそれをごまかす織姫。
 せっかくのバレンタインなのにいつも通り。
 と、長蛇の列があるのが目に入る。
「あら、あれ何かしら‥‥」
「面白そうだね、いってみようか」
 と、いうことで移動。
 たどり着くと長蛇の列はいつの間にか消えて、すぐに入れますよと案内担当らしき人がにっこりと笑顔で出迎えてくれた。
「あとらくしょん‥‥?」
「ミラーオブトゥルース‥‥入ってみる?」
「どうぞこちらへ‥‥あ、これはカップルの方だけですので他の方はあちらへ」
「かっぷる?」
「恋人同士です」
「そういうことなら‥‥いってらっしゃい彦星!」
「ぎゃっ!」
「織姫も、ほらほら!」
 彦星は月華の蹴りで叩き込まれ、背中を押されて織姫はしょうがないわねと後を追い中へ。
 と、案内に沿って入ると二人は離れ離れ。
「お、織姫ー!!?? どこー!!??」
「恋人の方とはこの迷路の中で姿を垣間見たり、ゴールで出会えます」
「こ、この中にいるんだね、よーし‥‥」
 彦星ダッシュ開始。
 そして、織姫はというと。
「どこにいるのかしら‥‥どっちにいってもつるっとした壁‥‥」
 いつものツンではなくか弱い乙女モード。
 一枚の鏡をはさんですれ違うこともしばしば。
「何か眩しい、僕が動くと全部動く‥‥うあっ!」
 視点が定まらず、硬直する彦星。やがてくらくらして、傍の鏡にガン! と頭をぶつける。
「な、なんの音ですの!? もしかして‥‥彦星かしら」
 離れてみると(鏡一枚だけど)よりいっそう気持ちが、わかる。
 と、ロマンスしつつ織姫と彦星が迷路の中で一生懸命頑張っている頃、他のメンバーはというと。
「あ、これおいしいな‥‥」
「え、私にも」
「飲み物はー?」
 有意義に過ごしていた。
「早くこないかしら」
「織姫様、頑張って‥‥!」
 二人を見ながら。
 最初は『ちっちゃい箱の中に織姫と彦星がいる! なんで、どうして!?』と騒いだものの、二人の今の様子が映し出されているのだと説明されて納得。
 月華は「今助けてあげるから!」と攻撃体勢(もちろん蹴り)にも入ったり。
「あ、彦星ぶつかった‥‥」
「必死に、若者らしくていいじゃないか」
 モニターみていた煌はため息を漏らす。
 と、そのため息をみて洸は言って笑う。向けられる視線は彦星も、煌も含めて微笑ましいなと優しい。
「もうすぐ出口のようね、織姫はたどり着いたわ」
 着実に少しずつゴールの方へと進んでいった織姫は最後の場所へ到達。
「彦星‥‥織姫を待たせるなんて、やっぱりへたれだわ‥‥」
 と、言っているうちに激突の連続でぼろぼろ気味の彦星もゴール一歩手前へ。
 二人は久方ぶりの姿を見合い、彦星は盛大に態度で、織姫は心の中で喜ぶ。
 だがしかし、まだ本当に二人は出会えない。
 最後の関門。
 愛の言葉を囁いてください。
「愛の言葉? これ? これに向かって言うの? よし」
 つんつん、とマイクつつく彦星。一つ息を吸って、両手をあげてぶんぶん振りながら。
「織姫ー愛してるー!!」
 その瞬間画面前の皆さんは。
「へ、へたれなのにさらっと言った!」
「彼、なかなか男だね」
「彦星は成長してるのですよ、なんだかちょっとさびしいな‥‥」
 と、先に彦星がラブコール。
 織姫は、そういわれたのを知らずにマイクの前で真っ赤になっていた。口の中で言葉呟き、やがて決心。
「目の前にいますのに! ‥‥好きですわ。愛してますわ、誰よりも彦星の事を‥‥これで満足ですの?!」
 小さくぼそっと呟いた声は、マイクがばっちり捕らえる。
 そして、目の前の壁がなくなり。
「会いたかったよ織姫ー!」
「彦星、飛びついてこないでください!」
 喜びの再会はそっけなく、だがそれでも二人は仲良し。
 ちょっと成長した彦星は織姫の手を握って外へ出て行く。
「おかえりなさい! みてたわよ〜」
「彦星、最後は立派だった」
「え、なんで皆知ってるの?」
「あれに映ってましたの」
「ばっちりみていたわ」
 にこにこ。
 にやにや。
「‥‥い、今のは無しですわ! 聞き間違いですわ! 忘れなさい!」
「織姫どうしたの? 好きって、愛してるって本当のこと言うだけだもの恥ずかしいとは思わないよ」
「‥‥き、聞かれてるとは思いませんでしたの!」
 彦星さん、織姫さんは、ツンデレなんです。

●もう一つの行方
 織姫も落ち着き、一向は次なるアトラクションへ移動。
「彦星、煌様と月華様の仲って‥‥どうですの? 月華様が危機に陥れば、朴念仁の煌様とて動かざるを得ないだろうけど‥‥」
「姉さまたち? ‥‥! そうか! 姉様に春よこい! ドーンと可愛い弟にお任せください!」
「お、お待ちなさい! 何か間違ってそうよ彦星!」
 突撃の勢いで何かを試みようとした彦星を織姫は抑える。
 こうしよう、ああしようと相談しているうちに、二人以外の姿が、ない。
「彦星‥‥皆様がいませんわ」
「あれ?」
 ちょっとピンチ?
 その頃他の皆様は。
「いないわ、どこに行ったのかしら!」
「織姫とは一緒だろうが‥‥」
「大丈夫だよ、二人が心配するよりもしっかりしているから」
 鶴の一声ならぬ洸の一声の力は絶大。月華も煌も本当にそう思えてくる。
「そうですね‥‥」
「私たちも‥‥何かしてみます? そこにあるし‥‥」
 近くにあった『マーメイド・ベイ』がサムシングフォーを探すアトラクション。
 何もしないのも面白くないし、と三人で行くことに。
「そういえば‥‥小さい頃はよく2人で洸を取り合ったわね♪」
「そんなこともあったかな」
「久し振りだね、月華ちゃんと煌と一緒に出掛けるのって。ああ、これは遊ぶかな?」
 昔の雰囲気のように和やか。憧れの人洸を前に月華は乙女へと変わっていく。
「月華お姉様両手に花ですのー」
「ざらめ、前に出すぎよ」
 実は離れた、と見せかけ三人の様子をこそこそと観察するざらめと麗。前に出すぎになりそうなざらめを麗は制する。
「あれは三角関係ですのよ、展開が進むにはアクシデントですの!」
「まぁアクシデントは確かに‥‥面白そうだし、いいんじゃないかしら?」
「織姫様の言うように月華お姉様を危機に‥‥」
「ばれたら‥‥後が怖いと思うわよ」
 そう思っていても止まらないのが人のサガ。ざらめは神様だけど。
 こそこそと後をつけていく二人。
 ばれていないと思っているのだが、バレバレです。
「煌、ちょっと歩くのはやいよ」
「あ‥‥探し物をみつけてちょっと急ぎ足に。ここにひとつ」
 本当は後ろでこそこそしている二人が気になって早足だったのだけれども。
「あら、煌ったらすごい、あと一つね。最後は私が見つけるわ」
 いつもとは違う微笑を浮かべ、月華は止めるまもなく道を進んでいく。
 残された煌と洸は、まぁすぐ追いつくしと思っていた、のだが。
「きゃあっ!!」
「月華!? あ、兄上急ぎましょう!」
 響いた月華の声に過敏反応する煌。
 洸はさしてあわてた様子もなく、煌に言う。
「私みたいなおじさんじゃ、王子様の役目には相応しくないってね」
 兄から弟への、一押し。
「あ‥‥はい!」
 煌は月華の声がした方へと急ぐ。月華は、誰かに背を押され、ぽっかり明いた空洞の中に落ちていた。
「もう‥‥いきなり何かしら、これもイベントなのかしら‥‥早く助けにきなさいよ、煌ったら」
 と、ふともれた相手の名前にあら、と月華は思う。
 そしてその気持ちを再確認するよりも前に。
「月華‥‥良かった、心配したんだぞ」
 ほら、と手を差し出すのは煌。
 月華は、ときめく自分を感じる。
「あ、ありがとう‥‥あ、待って。これって‥‥最後の一つ!」
 偶然にも落ちた先で発見。煌は月華を助ける。
「月華ちゃん、怪我はない?」
「ええ、ないわよ」
「そっか、大事にならなくて、良かったよね」
 と、洸は後ろを振り返りざらめと麗ににっこり。
「バ、バレてましたの!」
「そうですね」
 内心あわてる二人。
 そして。
「姉さま、無事でよかったです! 自分で登れそ‥‥なんでもないです!」
「月華様、良かったですわね」
「え‥‥そ、そうね、怪我もなかったしみつかったし!」
 明るく笑う月華のそれは、照れ隠し。
 ちょっと前に進んだのだった。
 そして、無事に四つみつけた月華と煌、洸はキャストに囲まれてぱしゃりと写真を撮ったのだった。

●パレー‥‥ドオオオ!!??
「麗ちゃん、結局お二人は‥‥」
「恥ずかしがってただけなのかもしれないわね。まぁ、進んだからいいんじゃない? ほら、何か始まるわよ」
 夜も暮れ、明るくライトが光りだす。
 楽しげな音楽と共に光り輝くパレードが動き出す。
「ねえ、煌。自分から欲しがらないような人は、幸せになんかなれないよ」
「はい」
「偶には当たって砕けることも大事だよ。ね?」
 洸は笑いながら煌の額をちゃんと話を聞きなさいとつつく。
「月華ちゃんにとっては、私の存在は『憧れの人』でしかないと思うよ。遠い昔に憧れた王子様、みたいな‥‥ね」
「御助言有難うございます、兄上」
「あ、もうこんなところにいたのね煌、洸!」
 と、手に何かを持った月華がやってくる。
「はい、今日はチョコあげる日なんですって」
「‥‥有難う、月華」
 照れくさそうに笑顔を浮かべる煌。月華もちょっと頬を染めていた。
 そして、彦星と織姫はというと。
 仲良く並んで。
「海の人魚姫と王子様かぁ‥‥天の織姫と俺なんて牛飼いだけど‥‥幸せになろうね」
「そうですわね」
「あ、きらきらすっごい豪華なのがきたよ‥‥って、あれ? あれって‥‥」
「どうしました?」
「コ‥‥コベコオオオオオオ!!!! お前も来てたんだねー!!!!」
 一際豪華な一団にコベコとその親、黒颯の姿を見つけて彦星は立ち上がる。
「‥‥もう! またこの状況ですのね!!」
「ほら、織姫も早く、一緒に行こう!」
 走り出さず、織姫に差し出される彦星の手。
「‥‥仕方ないですわね」
 織姫はその手を、少しはにかみつつとったのだった。