【AbySS】イタリア旅行ヨーロッパ
種類 |
ショートEX
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担当 |
玲梛夜
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芸能 |
フリー
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獣人 |
フリー
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難度 |
易しい
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報酬 |
なし
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
02/23〜03/01
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●本文
ロック中心なライヴハウスAbySSのオーナー平木メアはるんるんで旅行の支度をしていた。
「メアちゃん‥‥パスポートは」
「ばっちりよ!」
「すごく、心配なんだけど」
「何いってるのよー、私の庭よ庭! イタリアー久しぶりのイタリア〜。それに今回はツアーだし」
鼻歌交じりでメアは言うが、やっぱり甥っ子は心配です。
「‥‥ツアー、まだ募集してたよね」
「あら、カオルちゃんいくの?」
「僕仕事。誰か‥‥息抜きでいける人いるかな‥‥お金かかるし時間もないといけないけど‥‥ものは試しだよね‥‥」
と、いうことで甥っ子は知り合いツテコネ、一週間イタリアに行く余裕のある人を探すのだった。
●旅行日程
一日目
東京発ロンドン着
ロンドン発ローマ着 ホテルへ
二日目
終日ローマ市内観光
コロッセオ トレビの泉 サンピエトロ寺院 システィナ礼拝堂
午後はスペイン広場付近でフリータイム
お昼はボンゴレビアンコ
夜はカンツォーネを聞きながらイタリア料理
三日目
二時間半かけてポンペイへ
ポンペイ着後遺跡観光
ナポリへ移動
水中翼船でカプリ島へ
ウンベルト広場、天気がよければ青の洞窟へも
お昼は魚料理、夜はナポリ風ピザ
四日目
イタリアの新幹線で三時間半かけてフィレンツェへ
徒歩でフィレンツェ市内観光、ウフィッツィ美術館、ドゥオモ、シンヨーリア広場
夜はローストチキン
五日目
ピサへ
ピサ観光、ピサの斜塔、ドゥオモ
ベニスへ4時間かけてバス移動
昼はトスカーナ料理、夜はアドリア海のシーフード
六日目
ベニス観光
ドゥカーレ宮殿、サンマルコ寺院、べネチアングラス工房、ゴンドラ遊覧
ミラノへ
途中でヴェローナへ
ロミジュリのジュリエッタの家に
昼はイカ墨パスタ、夜は中華
七日目
ミラノ半日市内観光
ドゥオモ、スカラ座、ヴィットリオ・エマヌエーレ2世アーケード
午後自由行動
昼はミラノ風カツレツ
八日目
ミラノ発ロンドン着
ロンドン発翌日東京着
旅費20万円
●リプレイ本文
●出発、飛行機の中で
「‥‥うっかりだわ、そうよ、皆芸能人だったのよね」
空港で、芸能人よー! と取り囲まれたのを必死にかき分け乗り込んだ飛行機。さすがにここになるとぎゃーと寄ってくるミーハーっ子たちはいない。
イタリア旅行、日本からの参加者はflickerメンバー集合。ラシア・エルミナール(fa1376)、黒羽 上総(fa3608)、紗綾(fa1851)、嶺雅(fa1514)と、弟の豊城 胡都(fa2778)。そして佐武 真人(fa4028)に蓮 圭都(fa3861)。さらに現地で亜真音ひろみ(fa1339)が合流する予定だ。
「まぁ‥‥何があるか分からんし適度に変装しとくか」
「そうね‥‥あ、機内食よ機内食! 写真撮らなくちゃ!」
「レンジでチンしなくてもいいの楽ね」
圭都の呟きに、メアは笑う。そしてその反対側の座席では。
「胡都、お兄ちゃんのデザートあげようか!?」
「くれるんだ、ありがとう」
さわやかに笑う胡都。だがそれには踏み入らせないものがある。
「‥‥私が恋のキューピッドならぬ兄弟のキューピッドしなきゃ‥‥!」
そんな二人の様子を見て、紗綾はぐっと拳を握りつつ決意。
「‥‥黒羽、何読んでんの」
「ガイドマップだ。今から予備知識を蓄え、あとしっかり睡眠もとろう」
「日本からでるのって何か久しぶりだし、イタリアも初めてだから楽しみ」
飛行機の一角は、とても楽しく、静かに騒ぎ、眠り、そしてイタリアへ。
●ヴァチカン、ローマの大冒険
天候は生憎の雨。朝は早起き、時差ぼけと闘いつつ、ヴァチカンへ。
「ここよ、この入り口が空いて‥‥ても混むのよね‥‥」
昨日の学習を踏まえてそれぞれちょっとずつ変装。ひろみも合流。
「ということでいくわよ!」
気合を入れて突入。
まず美術館へ。
「広い中庭ー!」
ヴァチカン美術館の中庭には金色の球体あり、ライオンの口から水が出る噴水、まつぼっくりオブジェ付きがあり。
「とりあえず写真とらないか、記念すべき一枚目」
近くにいた観光客のガイドさんを捕まえて、写真をぱしゃり。
真人はビデオも回す。
ヴァチカン美術館の中は写真、ビデオと禁止なのでここからは、心に留め置く。
長い長い通路には美術品がたくさん。天井にももちろん絵が書かれている。
「あ、教科書で見たー!!」
「はいはい、もうちょっと静かにいこうね」
知ってるものみつけた、と声あげる嶺雅にラシアは注意。
立ち止まりつつ、進みつつ。一行は美術館をぬけて、システィナ礼拝堂へ。
人はここで上ばかりをみあげる。
天井の青はまさしく青。
「青‥‥」
「描いた本人も人間の皮として描かれているんですよね、確か」
胡都は小さく呟き、メアはうんうん、と頷く。
「天井画、フラスコ画なんだけど修復が終わって本当に綺麗な青に戻ったの。すごいわよね、昔使った青に戻っていくなんて」
上をずっとみあげているわけにもいかない。次はサンピエトロ寺院へ。
「こっちは石造りだから昔の物も割と残ってるのね。日本は木の文化で残すには石以上に補修が必要だしそのままって訳にはいかないから寺院って言ってもやっぱりうちとは全然違うわね。デカイし」
寺の娘は関心しつつ高い天井を見上げる。
「ここは世界で一番大きな寺院なのよ。あ、写真もOKだし一枚‥‥」
写真ぱしゃり、ちょっと画面は暗いがそれはそれで仕方ない。
ぐるっと中を一回りし、外へ。
外は外で、大きな広場、中央には噴水。
外からみつ寺院の概観も、また重い。
「上に天使のオブジェー!」
紗綾は指差しつつ言う。
「寺院の上に天使‥‥うちの寺だと屋根の上に‥‥」
「七福神をおけばおなじよ、圭都ちゃん!」
「いや、それは違うと思うぞ‥‥」
真人さんのつっこみは、届きません。
さて、ヴァチカン市国を一歩出ると、そこはローマ。
まずはご飯、ということでボンゴレロッソを食べに。
「全部食べると、太るわよ、こっちの食事」
「え!?」
「その分動けばいいんだけど‥‥あ、きたわー」
食事前のメアの一言。その意味が分かるのは、これから。
お皿に日本人感覚でいくと一人分、これでおなかいっぱい、な量のボンゴレロッソ。
アサリやムール貝がはいっている。
「おいしい‥‥幸せ〜」
きゅ〜、となる紗綾。
そして、そのボングレロッソを食べ終わった頃に出てくるサラダ。
「サラダ‥‥」
「‥‥サラダだな」
「いただきまーす」
気にせず食べるのは、日々コンビニ食で野菜が足りない圭都。
と、それを食べていると、もう一皿。
「サルティンヴォッカよ、郷土料理、薄味でさっぱりこってりな味の豚肉さん」
出てきたら、食べるしかない。
でもそこにデザートがさらに、甘味は別腹が基本。
「え、とうふ?」
四角い白い物体に嶺雅は一言。
「パンナコッタよ、パンナコッタ!」
「でもなんだか硬くないか」
スプーンでつついてみると、それは妙な弾力性を持っていた。
「‥‥食べてみればいいかな」
と一口はぐっとする胡都。
「‥‥おいしい」
途端にちょっと幸せオーラ。
「お店によってパンナコッタはちょっとずつ違うのよね。ここは固めかしら」
昼もしっかり食べて、午後はいよいよローマ市内。
「ここから自由だけどどうする? ちょっと一緒に動いて、それから分かれてみる?」
最初は一緒に行動。有名なトレビの泉に全員で。
普通の町並みに、噴水がドーンとある。
ここでやることは一つ。コインを一枚、泉に背を向けてぽいっと。
「よくわかんないけど、便乗!」
「次はいつこれるかわかんないけど‥‥って便乗なんだ、レイは」
噴水にはたくさんの硬貨。今まで同じように何人もの人が投げてきたのがわかる。
「次は一緒にこれますように‥‥」
「あら、紗綾ちゃんは一緒に来たい子がいるのね、誰かしら」
「聞かれて‥‥! 内緒、レイ君には内緒ね」
「わかったわ、内緒ね」
紗綾と秘密の会話するメア。
「‥‥他の願いはかなえてもらえないのかしら‥‥」
と、圭都はぽつっと呟く。
「お願いかなえてくれる、じゃないけどあ、二回目すると恋人と別れるっていうのがあるわよ、ジンクス」
「!!」
「もう一回! 紗綾もう一回!」
「絶対しないから」
ほほえましく騒ぐ姉弟のその隣、冷静に関心する上総。
「二頭の馬は荒れ狂う海と静かな海を表現しているらしいな。確かに表情が違う」
「そうなのよ、上総ちゃんがガイドブック説明してくれるから、私は違うところのご案内しましょう。あそこのジェラートは本当においしい。お勧めはミルク」
「ジェラート!」
瞳キラキラさせる甘党ズ。
大きなカップにいろんな種類を買って、一口ずつ分け合う。
「おいしいね、メアお勧めのミルクもいいけどストロベリーも甘酸っぱさがいいな」
「でしょう、賞とっちゃうくらいのお店だから、他にも柑橘系もおいしいのよね」
「幸せです‥‥」
ジェラート食べまくる姿を、真人はビデオに収める。
「あら、食べないの?」
「いや、もう食べたし、記念にな」
思い出一つ、また増える。
「私はサンタンジェロ城にいってくるわね。ここからだとチョコ屋さんも通り道ね」
「チョコ!」
「チョコ! お兄ちゃんが胡都に買ってあげるよ!」
兄の威厳をここぞと発揮したい嶺雅は、ターゲットを紗綾から胡都へ。
「買ってくれるなら‥‥」
ということで場所は変わりチョコ屋。
ショーウィンドウにはさまざまなチョコが並ぶ。
「プロダクションの皆にはチョコの詰め合わせにしようかな」
「お店の人がいろいろお勧め詰めてくれるわよ」
それぞれの食べたいチョコを指差しつつセレクト。一つずつもちろん手作りで、さまざまなものがある。
もちろんかわいくラッピングも。
「底の深い箱に入れるんだね、平たい箱に一つずつ並ぶのかと思ってたよ」
「そうすると大きくて持ち運びが大変なのよだから紙しいて、上に上に」
チョコレートも買い終わり、さらなる甘味ツアーに出発の一行と、メアの庭散策についていきますな一向にわかれる。
「時間忘れずにね、スペイン広場集合よ」
「はーい!」
「目印にはこの背の高い人よー!」
「旗はないもんで、ハンカチでも振るか。お父さんはここですよ」
引率者気分味わいつつ真人は笑い、庭散策スタート。
てくてくと少し離れた場所にあるサンタンジェロ城へ。
城、というか要塞の跡。そこへ続く端には天使の像がある。
「全部違うポーズなのね、表情も」
圭都は関心しつつ、自分より大きいそれを見上げる。
「そうね、さてお城の中へ! ちょっとぐるぐる回ったりするわよー」
ぐるぐると回りつつ城を上へ上へ。
小さな、外をうかがうためにあけられた窓からは午前中にいた寺院が見える。
「お、ここから全部見渡せるんだな」
「良い眺めー!」
「そうなの、だからここ好きなのよね」
しばらくぼーっと無意味に眺める。時間が流れるのは、ゆっくりだけれども早い。
「‥‥いつまでもここにいたいけどそうはいかないのよね、他の場所も見に行きましょう!」
一方その頃、ナヴォーナ広場で。
「ストリートミュージシャンとか‥‥残念、いないか」
「うー、雨降ってなかったらやりたかったなぁ‥‥」
午前中からの雨は少し強く。これでは楽器もぬれてしまう、さらに立ち止まる人もそうそういない。
でも、雨に降られる広場も良し。
雨によって、建物の中へと自然と足は向く。それぞれがこれだ、と気に入ったものを見つけ、買い物。
「アクセ欲しいなー。なんかビビーっとインスピレーション合うの無いかな」
「なだ初日だしね、これとか似合いそうだよ」
カップルは、ひそりと仲良く距離詰めあう。
「‥‥まだ増えるのか、荷物」
嶺雅の荷物持ちとなっている状態の上総は、ぽつっとぼやく。
そして見守るものも有り。
「レイ君‥‥その調子その調子!」
「紗綾さん、もうちょっと体引っ込めないとバレます」
「‥‥まだ増えるのか、荷物」
他にもカフェでまったりしたりと雨の日の楽しみもばっちり。
時間が流れるのは早くて、集合時間もすぐに。
全員問題なく集合、そして場所を変えて、カンツォーネ。
海の幸マリネに始まり、ペンネ、海の幸焼き、そしてジェラート。
「それで今後どこかで活かせたらいいね、今聞いてる歌い方。ロックにはあんまりそぐわないかもしれないけどさ」
「そんなことないわよ、基本は多分同じだから」
「料理も、歌も堪能しなくちゃな」
「歌は耳に刻み付けて、帰ろう」
と、こじんまりとした舞台で歌っていた歌手が歌えるなら一緒に、と料理食べに来ていた客に促す。
知っている有名な曲のリズム。
「‥‥うずうずしちゃうわね」
「そうだね、混ざろうか」
「羽目はずしすぎないようにね」
そしてそれぞれ、想い想いに曲の中へ混ざる。
楽しい雰囲気ではしゃぎながら、二日目はふけていく。
●雨は降らず、でも大荒れ
今日もまた早起き。
最初はポンペイの遺跡へ。高速のインターで一休みすると、ベスビオス火山が見える。
「あの山が噴火して、ポンペイはなくなったんだよな」
「そうよ、これから行くところは、その一つね」
休憩終えて、またチャーターしたバスにのって遺跡へ。
朽ちてはいるものの、しっかり残る石造りの家。石畳の通路。
それを堪能し、一向次の場所へ、ナポリからカプリ島への移動はもちろん船。
「荒れてるわね‥‥青の洞窟は今日も無理そう‥‥」
「青の洞窟は行きたかったんだけど‥‥運が悪かったみたいだね。何となく落ち着きそうかと思ったんだけど‥‥種族のせいじゃないよね」
「残念だな、俺も行きたかった」
「入り口だけでも見て帰りましょうね」
荒れる海を越えて、カプリ島へ。ウンベルト広場、そしてお昼ご飯を食べて、青の洞窟の入り口を見に。
「狭いんだな、身長がひっかかりそうだ」
長身の真人は呟く。入り口から鎖が張られ、それをもって中に入っていくらしい。
「中‥‥さすがに見えないね、残念」
その後その辺でごろごろしている猫たちとちょっと戯れたり。
「和むね」
「異国の兄弟たちこんにちわ」
またしてもジェラート食べたり。
「レモンおいしいー!」
夜はナポリに戻り、陽気な音楽流れる店で自分の顔以上ピザを苦しいと良いながら食べる。
その店ではタンバリン鳴らし歌い踊るおねーさんがいて。
「タンバリン‥‥!」
借りて嶺雅もはしゃぎ夢中に。全員においていかれそうになったとか。
●六日目、ベニス
四日目は花のドゥオーモ! シニョーリア広場! ウッフィッツィ美術館! とまたはしゃぎ、五日目は長時間移動中のトランプで「負けた奴が荷物もちな」といった人が負けて渋い顔を一瞬したり、斜塔キャー! と支えるポーズとあわせて写真とったりとあっという間に終わる。
そして、ベニス。
天候は雨が降るか降らないか、といった感じ。激しい波に揺られながら、船で渡って到着。
「水路の街って事で馴れ親しんだ東京の下町に近いイメージを抱いてるけどどうなんだろうね」
「歩いてみれば分かるわよ、しかもお祭りに重なってる‥‥!」
「そういえば‥‥以前何かでベニスの商人という物語を読んだような‥‥関係ないでしょうか」
「その舞台はここよ、お話思い出しながら回るといいわね」
祭とあって人は多い。広場にでるとそこには。
「守護聖人サン・マルコのシンボル、あれね! 雄々しいわね。かっこいー! 写真!」
「そうだな、記念に」
圭都はすちゃっとカメラとりだし、上総も同じように周りの雰囲気も含めて写真をとる。
ドゥカーレ宮殿は写真禁止。長い階段は息も上がる。
「天井キラッキラ! 金!」
「贅沢ね‥‥」
眩しい金天井、それぞれの部屋には武器やら他にも色々飾ってある。そして壁面がもまた多々。
そのままサン・マルコ寺院の中にも。外観から見るよりも高く感じる天井。
めぐる距離はほんの数メートルだけれども、薄暗い中の空気は外とは違う。
「寺院の中も色々回ったけど、どこも同じじゃないわね、あたりまえだけど」
「そうね、じゃあガラス工房行きましょうか」
細い道入って店並ぶ中へ。
立ち並ぶ店はさまざまで、それぞれウィンドウに仮面にグラスなど色々と飾ってある。
「あ、これいいね‥‥あとで買いにこよう」
「自分用にこのグラスだな」
真剣に物を見定めるのはやっぱり良いものを得たいから。
お土産をみるのは楽しみの一つ。
「鳥モチーフのアクセないかなー‥‥あった!」
紗綾は密かに、二つ同じものを買いそれを大事にしまう。
「メア、ちょっと似合いそうなの選んでくれないかな。人のは選べても自分のものはなかなか」
「いいわよ、うーん‥‥ネックレスならひろみちゃんはこれかしらね」
と、しているうちにおなかも空きお昼ごはん。イカスミスパなどを食べ、ゴンドラのりに。
「じゃあFlickerチームと胡都ちゃんは一緒でそっちね」
「ん、手貸してやろう」
先に乗っていた真人はゴンドラ乗るときに手を貸す。
それを見ていた嶺雅は。
「ラシア、俺が手貸‥‥」
「邪魔です」
胡都に邪魔をされて失敗に終わる。胡都自身邪魔をした気は無いのだけれども。
「ドンマイ、レイ君」
紗綾の慰めは優しい。
で、ゴンドラスタート。ゆっくりとゆっくりと、進んでいく。
「あんまり揺れないのね、快適だわ」
「よしそこで写真を」
と、カメラ構えると船頭さんも一緒にピース。
そして陽気に歌い始める。
「あ、私も歌っちゃおう! 知ってる曲なら鼻歌でもいいわよね」
「じゃあせっかくだし皆で」
と、一報のゴンドラ歌い始めるともう一方も。
「負けてられないね」
「こっちも!」
ゆっくり動くゴンドラからは陽気な歌。
途中で止まっているゴンドラに人がいれば手をふったりはあたりまえ。
そしてオペラ座の前も通る。
「オペラ座‥‥!」
「ここから見れるんだな、よしもう一枚」
「すごいわね、こういうのが残ってるって‥‥地盤沈下で洪水が起こりやすくなってるとかいうし、いつまでこうしてみれるのかしら」
「自然には逆らえないものね‥‥沈む前にまた来たいわね」
こうしてゆっくり水路を回り、陸地へと戻る。
「なんか、ぐらぐらするな‥‥」
「やっぱり今まで揺れてたみたいだね」
そしてまた賑やかな広場に戻ると、午前中そんなにいなかった仮装さんたちが、増えている。
「わーすごーい! 屋台もいっぱいね」
「圭都ちゃん‥‥いつの間に手にお菓子を」
「だってそこに屋台があったから」
ぱくぱくとおいしい、と食べる圭都。
屋台は他にも仮面やよくわからないものを色々と並べておいてある。
「じゃあしばらくフリーにする? 一時間くらいで、集合目印は」
「俺だな。ここに戻って来るんだぞー」
と、それぞればらばらと。
「じゃあ、ちょっと顔にペイントとかしてもらおうかしら、それよりも仮装さんと一緒に写真‥‥」
広場では似顔絵描いてもらったり、顔にペイントしてもらったりと色々ある。
ペイントも、仮装さんと一緒に写真も両方。
「このイセエビ、イセエビなのにコサックダンスなんて!」
「それはロブスターじゃないんだろうか」
「一緒よ一緒!」
時が流れるのは早く、すぐに集合時間。
また船に乗り、ベニスを離れる。
「楽しかった‥‥! 」
「いいものも見つけられたし、満足」
「次は‥‥ヴェローナだったか」
「通り道だし、ロミジュリのジュリエットの家見に行きましょうね。ジュリエット像の胸に触ると良い出会いがあるんですって」
「良い出会いか‥‥」
「それは‥‥少し男は複雑ですね」
上総は呟き、胡都は苦笑しながら言う。
そして、少しまたバスに揺られての移動。
ここで上総が像の胸を触れたかどうかは、本人のみ知るところ。
●ミラノでぜぃぜぃ
観光するという面での最終日はミラノ。
天気に恵まれ、空は真っ青。
最初に訪れたのはスフォルツェスコ城。ぼつぼつと規則的に開いた穴は、建てるときに支柱をいれていた名残なのだが。
「今ではハトのマンション状態よ‥‥」
くるっぽー、ハトがぴょこっと顔を出したりする。
裏に回ると凱旋門がみえ、ここからまっすぐ行くとパリの凱旋門にたどり着くらしい。
そして。
「栗ー!!」
「栗! おいしい!」
「甘いですね、ほくほく」
大量に買い込む人たち。できたての焼き栗はおいしい。
それを持ったまま、また別の場所へ。
ヴィットーリオエマヌエーレ二世アーケードとスカラ座、そしてドゥオーモは近くにある。スカラ座前で、まず立ち止まる。
「メア、やっぱりオペラ関係に興味あるかい? 確かオペラ歌手だったんだろ?」
「そうね、好きは好き。見たいけどチケットさすがに‥‥」
「有名さんでてるかな? 一時期声楽やってたから気になるね」
「うっとり‥‥メアちゃん、また前にやったアリスライヴみたいなの、またやりたいな」
じーっと紗綾の視線をうけ、メアは良いわよ、と言う。
「さて、次行きましょう次!」
と、いうことで。
ドゥオーモへ上ることに。
「‥‥か、階段しぬ‥‥」
「ま、まだまだ上よ‥‥」
「年にはちときついな」
「あなた元気じゃないの!」
降りてくる人をよけつつぐるぐるぐるぐる、階段を延々と上がっていく。
そして。
「うわー! スイスの山まで!」
屋根の上に上りきると風が吹く。
そして、ミラノを一望。
「すごいわねー」
ここでもまた写真。
近くにいた人を捕まえて、全員並ぶ。
「一番上まで、はさすがに入らないみたいだな」
「それはしょうがないわね」
とったデジカメ画像を確認しつつ、言い合う。
「‥‥降りるときもまたあの階段使うのかな」
「ってエレベータあるってかいてあるよ!」
「えー!!」
上ってから、気がつくものです。
午後は、それぞれ好きにショッピングやら、最後の晩餐を見に行ったり。
思い思い、プレゼントをかって渡したりとすごしていく。
そして夜。
「ラシア‥‥プレゼント‥‥!」
「あ、ありがと‥‥」
ひっそりこんなやり取りがどこかであったとか。
●そして帰国
また朝早く、出発。
飛行機乗り継ぎ、イギリスから日本へと。
その飛行機の中で疲れて寝ているものもいれば、デジカメ見直すものも。
「静かだと思ったら‥‥メア寝てたんだな。このままにしておいてやろう」
こてん、と頭傾けて寝てるメアに真人は方を貸す。
圭都は、イタリアのお菓子を買い込み、機内にいくつか持ち込んだものを食べていた。もうすぐ機内食でるのに。
「外国のお菓子もおいしいわ‥‥帰ったらコンビニ食かぁ‥‥チンしなくてもご飯の日々さようなら」
しゅーんとなる圭都をまぁまぁと紗綾は声かけてなだめる。
そして視線は別の席のラシアと嶺雅に。
「レイ君、頑張ったんだね‥‥! でも胡都君との仲は‥‥」
「どうしたんですか?」
いつもと変わらない胡都。そして兄を見る目も変わらない。
「‥‥進展なしだったのね」
紗綾は笑って、そして自分の手にあるお土産をみる。
早く渡したいな、と。
そしてひろみも、次は旦那ときたいな、と思う。
またチャンスがあったら、と思うのは皆一緒だ。
「ラシア、今度は二人でどこか行きたいね」
「ん、そうだね」
で、皆さん忘れてるかもしれませんが。
日本に帰るんです。
飛行機から降りる際は、変装を忘れずに、しっかりと。
こうしてイタリア旅行は、無事怪我することも無く、それぞれぱーっと遊び終了。
これからまた、お仕事の日々の始まりです。