魔王様の下僕たちアジア・オセアニア
| 種類 | ショート |
|---|---|
| 担当 | 玲梛夜 |
| 芸能 | 3Lv以上 |
| 獣人 | 1Lv以上 |
| 難度 | 難しい |
| 報酬 | 8.6万円 |
| 参加人数 | 10人 |
| サポート | 0人 |
| 期間 | 03/04〜03/08 |
●本文
こことは別の世界。そこでは魔王とその10人の下僕「十将」が人々に恐れられて‥‥いませんでした。
なぜならば。
魔王は『世界征服？ めんどい、寝る、起こすな、起こしたら怒るから』と言って冬眠（？）し始めもうすでに200年だとか500年だとか‥‥もうずっと寝てろお前。
そして、魔王の一の下僕は『魔王様が寝るなら私も（以下略）』ということで同じく。
二の下僕、三の下僕も同じく。
あんたたち本当魔王大好きですね。
『そうなんです、ムニャ』
で、四の下僕は『じゃあ、魔王様が起きた時に食べるものとか無いと困るから無農薬菜園でも作ってます』
今じゃその野菜のできがすばらしく、人々が押し寄せるように買いに来ます。儲かってます。
五の下僕は『起きた時に城が埃まみれじゃダメだから掃除しときます』
ぴっかぴかの居城。
こんな調子で、以下五人も似たり寄ったり、悪意も何も無いような腑抜けさんの集まりのようだったのです。
だけれども『腑抜けどもの魔王なんぞたいしたこと無いはず！ 俺が魔王になる！』とやってくるものたちは『なぁに言ってんだよ、ハッ！』と鼻息で吹っ飛ばす感じで叩きつぶされている。今までずっと。やはり、彼らは魔王の下僕。生まれ持った力というのは計り知れない。
魔王の下僕、十将は穏やかな時を過ごしている。
●魔王様の下僕たち ストーリー
魔王の城でのお話。
シリアスでもコメディでも可のおまかせフリー。
話の雰囲気、ノリの参考案、これを使っても使わなくてもOK。
コメディ
１．野菜守りつつ菜園に出現した魔物対峙。
２．絶対進入禁止の魔王様の寝顔を見に行こうとする一陣と邪魔しちゃだめと阻止する一陣。
３．伝説の魔具スペシャル箒掃除機不要です君を蔵で探すことに。
シリアス
１．魔王の城地下に封印されていた魔王と対となるものが目覚めた。どうする十将。
２．十将の一人と人間が恋をした。それは、許されないことだった。
３．世界崩壊の危機、その危機を十将は救えるのか！
などなど。
●魔王の下僕 キャスト募集
キャストは魔王以外であれば何でも可能。
魔王は絶対進入禁止の部屋にて爆睡中であるのででてくることはない。
寝ている十将が起きて動き出すのは可能。
三の下僕、四の下僕は上記の菜園、掃除にプラスアルファ可能。
基本的にのほほんな部分と冷酷な部分を持ち合わせている十将。
十将は魔王大好き、これは絶対条件。いろんな方向で大好き。
なお、テンプレ埋めを是非。
１．名前
２．肩書き
３．人称
４．口調
５．性格
６．その他
７．台詞など
【埋め例】
１：梛
２：農民その１
３：私
４：ですます調
５：テンション高い
６：癖はウィンクバチコン。乱暴な行動は絶対しない（嘘だ）。
７：魔王様ラヴ！
●リプレイ本文
●一日の始まり飛び起きて、耳尻尾ぴょこ。現在時間は朝の四時。
塔の天辺にある自室から、ベース持って外に出て、天辺によじよじ。日の出と共に楽器を掻き鳴らし始めるのは二将、トロ（瑛椰 翼（fa5442））。
「魔王様のお目覚めの時の為、超すんばらしい曲をプレゼントするぜ！」
魔王様大好き、でも下克上したい、日々悶絶‥‥！
「ふんふんふーん、まーおうさまーだーいすきだっけどぉーげーこーくじょー」
そしてこの演奏から城の一日は始まる。
「‥‥朝か‥‥」
トロの歌が始まれば次におきるのは四将、エリム（ラリー・タウンゼント（fa3487））。
目をこすり、いつもの青のつなぎに麦藁帽子。毎日手使っている農具持って菜園へ。
「今日も美しいね、野菜達。これならいつ魔王様が目覚めても‥‥」
ふふ、と笑顔浮かべ今日のベスト野菜を収穫していくエリム。
そこへ。
「師匠ー！ 声かけて下さいッス！」
たたたーと籠背負って走ってくるノラ（西村 哲也（fa4002））。
キラキラ輝く目で師匠、農民の鏡、と懐いてくるノラにエリムは戸惑いつつも嬉しくある。
「気持ちよさそうに眠ってたから」
「ふかふか寝床の力ッス。あ、でも姫な天蓋‥‥アレ外しちゃだめスか」
「花嫁仕様だからね、そのうち議題に取り上げて貰おうか」
「お願いするッス！ あと高齢化もお願いするッス！」
ノラ、伝説により数百年に一度『花嫁』という面目で魔王に送られる生贄。だが魔王様寝てるし、と言われ、じじ様ばば様に盛大に生前葬儀されて帰れないんス、と主張し居座る事に。今は生活に馴染みまくり。
収穫した野菜を背負って、二人は城の中へと戻っていく。
と、城中で歌が聞こえてくる。
「今日も〜お掃除〜らいらいら〜」
ウクレレの音と歌と言えばこの城では五将、マキシ（真喜志 武緒（fa4235））しかいない。
「‥‥農民さん、土足禁」
「掃除よろしくッス！」
「あぁ、また汚れが‥‥」
マキシの歌声に情けない響きが加わる。足跡を掃除魔具『吸引嬢』（つまりは掃除機）でがーっと吸う。と、ごぼっと変な音たてて何かを詰まらせた。
「ああっ、わたくしのフリル吸い込まないで下さいですの」
マキシの頭上から叫びに近い声。見上げると八将、ユン（リーニャ・ユンファ（fa4489））がふよふよ浮きながらレースで高い天井際を装飾している最中。その落ちた一枚を吸い込んでしまったらしい。
「朝から頑張ってますね」
「ここはその一枚を飾ればばっちりですの。そして朝御飯の後で薔薇、蔦を華麗に繊細に彫るんですの」
ふふふと幸せそうに笑うユン。
「おねーさまっ！ 聞きましたわ！ 彫物なんて阻止しますの！」
もうすぐ朝食、と丁度城内に戻ってきた門番担当、六将、リナ（桃音（fa4619））は姉のユンをびしっと指差し宣戦布告。
「え‥‥リナちゃん冷たっ‥‥」
リナの言葉にうるっとくるユン。リナはそれに、イラっとする。
「もう！ すぐ泣く！」
ユンを魔力行使でおろし、引きずる様に連れて行く微ヒス中リナ。
「姉妹はいつも元気なのである」
いつの間にかマキシの横に立っていたのは黄レンズ眼鏡に白衣の姿の七将、ルズ（ルーカス・エリオット（fa5345））。
と、二人の前をぱたぱた可愛らしい足音立てながら歩いていくのは九将、レイ（大海 結（fa0074））だ。白のパーカーにハーフパンツ、エプロン常備つけて、手には大きな箱。
「新作菓子でしょうか？」
「あ、レイその先には我輩の罠‥‥」
ルズが注意する前にレイはずべっとこけ、涙目で立ち上がる。
「‥‥新作が！ 誰だよ！ こんなところに糸張ったの！」
それは古典的防衛罠。
「大丈夫であるか、レイよ。たとえ潰れておってもレイの菓子はうまい。気にするな」
ルズはレイを助け、話を摩り替える。誤魔化されないで、こけた原因はルズの罠。
そして三人がいつもの様に朝食とる一室につくとすでに全員集合。
十将、レン（シヅル・ナタス（fa2459））がざわつく面々を静める。
「では第１４万３４５６回、朝の定例会議を始めます」
その一言で毎日会議は始まる。
●いつもと違う朝会議
「えーっさえーっさえっさほいさっさー」
会議は、朝食椅子取りゲーム、イェーイ！ から始まる。食いっぱぐれはないのだけれども、これをやらないと始まらない。曲担当はトロ。
朝食料理担当はロハスな生活どっぷりなエリム。
「‥‥野菜NO！」
「師匠、葉っぱばっかりはいただけないッス」
「今文句言ったの誰？」
誰、ってわかってるけども、また葉っぱ的発言した者の前をフォークが飛び、背面の壁へビィーンと音たてて突き刺さる。
「ヒッ！ 脳天チョップから進化してる！」
「進化してこそ魔王様の将たる者。この食物なら魔王様の目が覚めたときも食事面は安心！ でしょ」
「でも肉とか肉とか」
「お魚」
「肉なら牛が」
「駄目ッス！ 牛は嫁入牛、じゃない生贄入牛ッス！ その前に乳牛ッス！」
牛の危機を察知してノラは必死。
「牛さん‥‥牛さんも魔王様のもの‥‥ハッ！ フリルで美しく飾らなければいけませんわ！」
「え、フリルさん牛飾っちゃうッス！？」
「飾りますよ、白レースにピンクのリボン‥‥」
想像してうっとり、のユン。その隣でリナはもぐもぐ、彫物以外はどうでもいい様子。
「‥‥そろそろ会議、本題に入りますよ」
と、静かに響くレンの声。騒ぐのをピタっととめる。怒らせると怖いので。
十将＋ノラの会議は、そこから朝食とりつつスムーズに。
暴れ猪がでただの、とあるお嬢さんが駆け落ちしただの内容は様々、井戸端報告のような物。大した報告はないのでレンも事前確認無しの流し読み、だったので。
「では次の報告です。魔王様に隠し子発覚‥‥えっ？」
とある一つの報告に、場の雰囲気が変わる。
エリムは飲んでいたスープにげほげほ咽る。
「げほっ！ なんだよ、ソレッ！ 僕、そんな話聞いてないけど！？」
レイはテーブルの上にのりそうな勢いで立ち上り、目を据わらせる。
「誰！？ どこの誰！？ 魔王様は僕だけのパパだもん！ 見つけたら抹消、即抹消するんだから！ お菓子だってあげない！」
マキシ、リナ、ユンは微ボケの三連続。
「魔王様‥‥いつ産んだのでしょう？」
「ま、魔王様にお子様なんて‥‥私‥‥いつ産んだのかしらっ！？ 身に覚えがないわっ！」
「魔王様に隠し子‥‥隠し子‥‥リナちゃんの子！？ という事はわたくしと親戚‥‥！ ああ、でも御子様なんてっ」
そしてルズはちょっとずれた方向に思考が走る。
「我が輩の完璧な警備システムをかいくぐった謎の女スパイの登場であろうか！？ くっ、まだ落ち度があろうとは‥‥！」
こんな騒ぎの中、トロは迷い込んだ蝶をご機嫌で追い回す暢気っぷり。
騒ぎの中、一瞬驚いたが静かに落ち着くようにと言っていたレンは、我慢の限界到達。効果音は『ゴゴゴ‥‥』、背景は『雷ビッシャーン』。
「静かにしろと言ったのですよ。皆様方」
動きに叫びはぴたっととまって着席。
「隠し子ですが‥‥」
「え？ 何？ 隠しゴボウ？」
「トロ、隠し子です、魔王様の。ともかく、真偽を確かめましょう」
真偽を確かめる事に対しては異議無し。
その方法は、まだ不明。
●降臨奥方様
「準備オッケーッス！」
「わたくしもOKですわ、ちゃんとフリルで大根も美しく」
「人数が多いほうが楽しいですわ」
エリム、ノラ、ユン、リナ。
菜園に並び、両手には、葉のついたままの青首大根。
「大収穫前、農業の誇りを胸にレッツ大根ダンス！」
鼻歌交じりの歌と共にダンスダンスと踊り狂う四人。
その途中で。
「あ、ヤバ‥‥」
ノラの動きが止まる。よく憑かれるノラに、何かが降臨。
「ノラ君？」
「‥‥私の出番ね！ おーっほっほっほ！！」
「‥‥ノラ君が‥‥変になった‥‥？」
「どなたかいらっしゃいましたわね」
のんびりと踊りつつ状況説明のユン。リナも踊りつつ頷く。
「あの、どなたですの？」
「奥方様と名乗っておくわ！」
高笑いするノラは、いつものノラではない。憑いてるんです。
「‥‥奥方様って、誰の‥‥」
「一人しか、いないでしょう。あら、何て貧しい格好なの。折角だから磨いてってあげるわ」
艶がかった微笑を向け、ノラ、というか奥方様はダッシュ！
「一人‥‥まさか魔王様の！？」
「リナちゃんよろしいの？ ライバルですわよ？」
「魔王なんですもの、愛人の百人や二百人いたほうが格好がつきますの」
愛人、それも素敵とリナはうっとり。
「と、とにかく追いかけよう！」
大根を持ったまま追いかける、三人。
「そのお子さんの特徴は！？ 髪が黒いとか、痩せてるとか太ってるとかッ！」
「ほほほっ！ 知りたいなら私を捕まえてごらんなさい！」
と、言うものの体はノラ。エリムたちにすぐ追いつかれ、腕を掴まれる。
「お、お子さんはどこに！？ 何者ですかっ！！」
「正体なんて隠し子本人掴まえて聞けば良いじゃない！」
私は忙しいのよ、と言い奥方様ノラはドレスルームへ。
「‥‥何なさるのかしら‥‥」
「気になるわね‥‥エリムちゃんは駄目です、男子禁制！」
興味津々の姉妹は、奥方様ノラに続いて部屋へ入り、鍵をがちゃりとかける。
「‥‥本人を捕まえ‥‥城内に、いるの、か‥‥？」
奥方様の言葉にエリムははっとして、すぐさま将全員に事態を知らせる。
捜索城内ローラー大作戦、開始。
●御子様？
城の地下から、上に向かって捜索開始。
地下は、マキシの庭のようでもある。
「マキシ、ここに壷、なかったかな？」
「それなら汚かったので、封をはがし可燃不燃でゴミステーションに出しましたが？ 何か？」
「それ、魔王様の対存在入ってなかったっけ？」
三秒の間。
「マキシイイイ！！」
「マキシさん後で下剤入りお菓子あげるね」
「ありがとうございますううう」
マキシをがくがく揺さぶるエリム、黒にっこりのレイ。
「お子さまと一緒に探すしかないですね‥‥」
捜索の目的はもう一つ増える。
その頃奥方様はというと。
「何あの格好‥‥む、婿に行けなくなるとこだ‥‥」
ノラに戻っていた。
リナ、ユン、奥方様の楽しいファッションショー。しばらく楽しく続いていたのだが、ユンがここにも彫物、と言い出した瞬間リナは目をギラリ光らせ激しい攻防が始ったのだった。
その間に、奥方様の去ったノラは逃げ出したわけで。
と、気がつくとそこは魔王部屋の前。
「‥‥あんたのせいで生贄なんてエライ迷惑ッスけど‥‥皆さんに会えたから許してあげるッス」
まだ言いたい事はたくさんあり、それを言おうとしたのだけれども。
「ダディー、どこー？」
「ん？」
初めて聞く声が、響く。
「あ、おはようございます。ダディどこ？」
「ダディって誰」
「ダディはダディ」
わかるかー！ と突っ込みたいノラはぐっとこらえる。相手は子供、自分は大人。
「名前は？」
アエグリン（アルヴィン・ロクサーヌ（fa4776））と名乗った子。
「ダディは皆さんの誰かかもしれないッス」
という事で、その皆さんを探す事に。
最初に出会ったのは城内疾走散歩中のトロ。
「最近まで寝てた俺にいる訳ないない！ 一と三も今頃ゴス女装、額に魚肉で寝てるからないんじゃね」
「そ、そんな格好を！」
「俺がしたんだけどねー」
あっちこっちと動き回る。とりあえず姉妹はダディなんて事ないだろうが念の為。姉妹で戦ってる所にお邪魔します。
「リナちゃん、彫物は素晴らしいのっ！ 曲線美に直線美でぐすん！」
「よくわからないのよ！ 蹴り避けないでくださいな！」
避けます。
「あのー、お取り込み中すみませんッス。この子のダディ探して‥‥」
二人の視線がそちらに向く。途端リナは瞳輝かせて。
「まぁ！ 可愛いらしい！ 可愛い御子様には可愛らしい格好！ 魔王様も目覚められたときにお子様が可愛らしい格好をなさっていたら、親たるものきゅんきゅんですわ‥‥きっとお喜びになるはずですもの‥‥っ」
「魔王ダディ」
アエグリンの一言。場の空気が固まる。
『御子様！！？？』
「なんだってえええ！！！」
「ど、どこから！？ 全員集合！？」
ノラびっくり、将は全員、地獄耳。
アエグリンを全員で囲み、まじまじと見る。
「御子様ならわたくしが三日三晩かけて編んだレースをふんだんにあしらったお洋服を‥‥！」
「姉様っ！ そんな場合じゃないですわよっ！」
「御子様って‥‥封印してた者ですよ」
レンが淡々と言う。
「ならば再封印か？ 我輩としてはどうやって忍び込んだなど詳細を聞きたい所だが」
ルズがどーんと構えて言う。
「そんな必要ないよ。この御菓子でトドメを」
アエグリンは一人ずつ見回して、レンの所に歩み寄る。
「一目惚れしたんだから、結婚しよう！」
「却下、壷」
菜園で肥料入になっていたのを回収、エリムに担がせていた壷。レンの支持でそれをかぽっとアエグリンに被せ、ひっくり返し蓋。
「封印符」
マキシがぺたりと、貼る。がたがた動いていた壷は、その瞬間に静かに。
「御子様の話、聞いてもよかったんじゃないの、レンちゃん？」
「封印されていたという事は魔王様のお考えがあっての事でしょう。目覚められるまでこのままが一番です」
文句はおあり？ と笑まれれば、ないでーす、と答えるしかない。
こうして騒動は一応決着がつき、いつもの日々に戻る。
「じゃあ最初から」
「アールティメット・ダイコーン・ボンバー！」
「トロ、それは何か違う気も‥‥ノラ、右手もうちょっと上！」
「ハイ！ あ、この大根すごくいい、さすが師匠！」
「ところでリナちゃん、門番はよいのですか？」
「敵来ないんですもの‥‥暇なのよ、それにルズもいるし」
いつもの日々、それは進化する大根ダンス。
