花見でGOGO!アジア・オセアニア
種類 |
ショートEX
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担当 |
玲梛夜
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芸能 |
フリー
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獣人 |
フリー
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難度 |
易しい
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報酬 |
なし
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参加人数 |
10人
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サポート |
0人
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期間 |
04/10〜04/12
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●本文
「おお、マネちゃんありがとねー、許可とってきてくれてー、仕事もお休みだしお花見!」
「はいはい、羽目外し過ぎない程度に外してくださいね。でもばれないようにね」
「わかってるってー!」
とある日の午後。
渋谷蓮はうっきうきのわっくわくだった。
花見に心躍らせて。
「一応まだ寒いかもしれないからストーブもっていって‥‥おにぎりにーいっぱいお惣菜で、カレーも作って‥‥」
「‥‥まず人を誘いなさいあんたは」
「‥‥そうだね。えーっと‥‥えーっと‥‥」
「携帯ごときで動きかためないで、この前ちょっとレクチャーしてもらったでしょ!?」
「そうだけどっ! いやだってボタンこんなにあるんだよ!?」
必死の蓮、マネージャーはひんやりとした視線を送る。
「哀れむような目はやめて」
「哀れよ」
「‥‥そうかもしれない」
二人の間には微妙な雰囲気が、あった。
『渋谷さんからお誘いメール!
白やぎさんたら読まずに食べたなんてことしないでねー!
えーと花見するので暇な人おいでー!
場所は某大学屋上!
許可とってマース!
芸能人だからばれないように注意してねー。
時間は夕方から夜!
もちよりとかして騒いじゃうぞー!』
「メアちゃんとカオルこれるかなー? 電波とかにも声かけとくかーあとで煩そうだし」
ということで身内にも送信。
数分後。
「うわ、紅陽むかつくー!! ノロケかあああ!! お、電波も返信はやいなー、電波意味不明な文章を‥‥これるのか、よし」
なにやらメンバーは、にぎやかなことになりそうです。
●リプレイ本文
●花見までの道のり〜黒ちゃんの車隊
その日、その車はぎゅうぎゅうだった。
「おい! 車ゆれてる!」
「だってお花見ダヨ〜!」
黒羽 上総(fa3608)のストップワゴンGにはクク・ルドゥ(fa0259)、嶺雅(fa1514)、DESPAIRER(fa2657)と美日郷 司(fa3461)が詰め込まれていた。
差し入れやら楽器と色々なものと一緒に。
「そうそう! 楽しみ〜!」
運転しつつ後ろはおとなしくしているのか、いやしてないな、と上総は達観気味。
何も言わずにハンドル握り目的地へと向かう。
「にぎやか、ですね‥‥」
「そうだな‥‥嶺雅、何をしている」
「司ちゃんの髪をあみあみと‥‥暇つぶし」
落ち着いた司とDESPAIRERが静かに着席。
一番後ろに座っていた嶺雅はここぞとばかりに編み編みとご機嫌だ。
だが花見が楽しみなのは変わらない。
「黒羽さん、車にのせてくださって‥‥ありがとうございます」
「いや、どうせいくならな」
「そうだな‥‥礼にあとでコーヒーを淹れよう」
「コーヒーか‥‥楽しみだな」
「俺にもー!」
と、しているうちに花見場所の学校へ。
学内へとゆっくり車は入っていく。
入り口で守衛のおじちゃんに止められるが、許可はとっていたので快く中へ。
「ところで屋上ってどこだろうな」
「校舎いっぱいあるもんね」
「‥‥あそこじゃないでしょうか」
と、夕暮れ時、一箇所だけぼうっと明るい場所がある。
車の中から伺い見る外は人はまばらで少ない。
「変装は?」
「ばっちり‥‥だ、大学生だよね?」
ジャケットにジーンズ、髪はひとくくりに結わえて帽子のなかにいれ、黒カラコンをはめてダテメガネかける嶺雅。
気になるところはないかな!? と確認も十分。
ククとDESPAIRERは着物で。
普段とは違うメイク、髪も黒く染めて簪でまとめるクク。だがぴょこんとアホ毛はそのまま忘れなく。
DESPAIRERも髪をまとめダテメガネとぱっとみただけではわからない。
上総はいつもよりカジュアルに、ダテメガネと長い髪は隠していく。
司は黒系コートにグレー系のシャツとパンツ、そしてダテメガネ。髪は帽子の中へとまとめいれ、なんだかできそこないの探偵みたいだと笑う。
それぞれ自分の持ち物を持って、準備は万端。
車組移動開始。
●実はすでに一部で始っていた花見
「み、みどりのぶったいー!」
屋上の扉を開けてびっくり、ククの目にとびこんできたのは緑の物体、もといぐりーんさうるすなベス(fa0877)だった。
びっくり作戦、成功。
「ここまでこの格好できたんだよー! なんちゃって」
「僕、それ最初に信じた‥‥」
屋上出入り口付近、蓮も皆をお出迎え。そしてうなだれる。
そんな蓮にビシっとお言葉が。
「そんなのじゃ私に司会奪われますよっ!」
「そ、それは阻止!」
阿野次 のもじ(fa3092)は真っ白い運送業者を装った服装でマイクをもって高らかに言う。(マイクに電源は入っていない。)
「予定より早くやってきて色々とごにょごにょ準備お手伝いしておきましたっ!」
しゅぴっと敬礼、自己アピールもばっちり。
「それにしても‥‥ぼんやり灯りがいいな‥‥」
「あ、これはね、べス嬢がこれどーよっつってよかったからした! してよかった!」
あたり見ると、電球入り提灯がセットされている。
ぼんやりと淡い光だ。
「やや! 前! 前進めない!」
と、入り口でだべっていると、ぴょんぴょんと飛び跳ねる人一人。
朱里 臣(fa5307)がぴょこぴょこ。
「ハッ! 有名な人一杯! 一般人のフリしてサインしてもらえばよかったかも!」
「今からでも遅くない遅くない」
「ウン、いくらでもしてあげるよー!」
「わーい! そして身長高い人いっぱい‥‥!」
うずうずする臣。
今は我慢、あとでチャンスをうかがって登る気は満々。
「お、臣。やほ」
「あ、欅ー!」
またまたつまる出入り口。
デコだして視界良好の欅(fa5241)とアリエラ(fa3867)がそこに。
欅は白Yシャツに黒コートとデニムでラフにしダテメガネ。
アリエラは和服に髪を下ろして、同じくダテメガネを。
「‥‥あ、欅君か! 親父っぽい、ほらあの存在感がある、あのアレがほら、うん。なんでそこにはまってるの」
「元からあるんで‥‥そんなに違います?」
「欅君の目はちゃんとあるんだよ〜」
「そうだね、あるね、なんか残念‥‥」
と、じとーとした視線を受けても欅はひるまないすねない騒がない。
なぜならアリエラが一緒にいるのでとても心和やかだからだ。
「アリーちゃん幸せそう‥‥」
「ああ‥‥幸せそうだね‥‥」
臣と蓮は並んで見る。
「いつまでそこに皆でいるのー? 早くこっちいらっしゃい!」
と、すでにどんちゃんちゃーん、な雰囲気だった面々からお呼びがかかる。
そこにはメアとカオル、蓮のサポートメンバーの潤がいた。
「とりあえず、他にもあとから来るだろうけど‥‥先始めちゃおう! いやもう始ってるんだけど」
すでにお重三段ほど、空っぽ。
「!! 食い尽くされるかも‥‥!」
油断してたらあっという間な雰囲気に、俄然食べる気満々部隊は燃え上がる。
「まだあるから大丈夫だよー。にしても皆変装してきて偉いねっ! 僕帽子目深にかぶって怪しい人だったよ‥‥」
「私髪を編んで貰ったんだよー!」
シャツとジーンズ姿の臣はかぶっていた帽子をとる。
長い髪は綺麗に編みこみまとめられていた。
「あら、臣ちゃんかわいいわね!」
「えへへ、ありがとうメアちゃん! でもぎゅっと結んでると肩が凝るの‥‥ほどきほどき‥‥緩く結び直‥‥あ、いつもやってもらってるから自分でできない‥‥」
と、気がついたときにはすでに遅し、臣の髪はしっかり解かれていた。
「あらあら、じゃあ私が結んであげるわ」
おいでおいで、とメアは手招き。本当ー? と、臣はそそと嬉しそうに寄っていく。
それをみて。
髪の毛弄るの大好きな人が、黙っているわけがない。
そして、その対象(生贄ともいう)たる人物は、覚悟を決めていた。
「‥‥黒ちゃん‥‥」
「言いたい事はわかってる‥‥わかってる、わかってるからそんな視線を送るな」
髪弄りさせて、と熱い視線をククと嶺雅は送り、上総の許可が下りたとなったらもうやるしかない。
「お団子かな、お団子だよね!」
「うん、お団子〜!」
さぁ、やろう! と上総を座らせて、二人は作業に嬉々として取り掛かる。
と、反対で臣の髪は完成。長い髪はみつ編みに。しかも綺麗にゆるく編みこみ。
「メアちゃんありがとー! あ、忘れないうちにお土産‥‥キャロットシフォン!」
「私のキャロットシフォン!」
キャロットシフォンはがっつりメアの荷物の中に、人知れずしまわれ‥‥なかった。
「メアちゃん、皆で食べようが普通だよ」
「あらカオルちゃん、いいじゃないの」
「‥‥よくないよ」
よくないとにっこり笑顔を向けるカオル。
臣は、大きい人とうずうず。
うずうずは止まらなかった。
じー。
「? 臣さんどうしたの?」
「の」
「の?」
「登ってもいいですか‥‥!」
「いいわよ!」
「わーい!」
許可を出したのはメアだが臣は喜び登る。
「まぁ、楽しければそれで‥‥」
カオルは苦笑しつつ、好きにされる。
「てかなんかもう皆どんちゃんしてるけどっ! 一応仕切りなおしでカンパーイ! だけはしようよ! しましょう!」
「そーだねー、仕切りなおしー、未成年はジュース! 大人は、酒ー!!! ぎゃははは!!」
「はい、電波ちょっともう酔っ払いなので気にしないでー」
蓮はそれぞれに飲み物を渡していく。
「あ、差し入れも並べて並べて‥‥いっぱいある感が花見っぽいよね! 花見は‥‥ここ立つと良く見えるよ!」
すたすたと蓮が歩いて手招く場所。
フェンスの傍にたつと、そこから街頭にほんのり照らされて、薄ピンク色の桜が枝を伸ばしているのが良く見えた。
「わぁ、綺麗‥‥」
「こういうのもありだな」
「そうですね。乾杯の音頭くらいは譲ってあげますよ、渋谷さん」
と、つつくのもじ。
「それじゃあ‥‥」
『カンパーイ!!!』
本格的に宴会の始まり始まり。
●いちゃつけば、そこは邪魔をするのが王道(絶対違う)
「俺キムチもってきたんだよー!」
「私、お鍋の材料持ってきました〜」
「奇遇だねー、俺鍋もってきたよー!」
嶺雅がキムチ、アリエラが鍋の材料。
そして潤が鍋。
鍋をせねばなるまい。
「そうなると思ってコンロもってきたよー」
こうなることを予測していた蓮はコンロ持参。
「シブママ作って下さい〜」
「なーべ、なーべ! 作るよー!」
鍋で盛り上がる中心。
それを眺めつつ欅は酒とからあげで幸せをかみ締めていた。
と、その横へアリエラはちょこんと座る。
「頑張ってお弁当作って来たですよ〜。う〜ん、いなり寿司とか太巻き寿司とか、愛情込めて一杯作ってきたのです! 愛情は量かな」
えへへ、と笑いながら欅の前に広げられるお弁当。
「アリー、ありがとう」
それを嬉しそうにつまみつつ、酒をこくこくと飲む欅。
「欅君お酒強いですか?」
「うん、俺は強いから平気、実家はビール醸造所だし。日本酒も良いよな、辛いのも甘いのも、ワインもビールも全部」
「すごいです! 私はちょびっとのめばふにゃーって眠く‥‥ふぁ‥‥」
「あ、飲みすぎアリー」
「控えめに飲んでたんだけど‥‥ちょっと寝ちゃえ‥‥」
と、こてんと欅の肩に頭を預けてすやすやと眠り始めるアリー。
欅はそれをかわいいなぁとご機嫌で見る。
この幸せ状況、堪能しないわけがない。
そしてそんな幸せ状況、邪魔されないわけがない。
「あ、欅がアリーちゃんに破廉恥なことを!」
「してないし」
「何だってー!! 臣嬢、突撃! 守るんだ!」
「ラジャー!」
「え、ちょ‥‥アリー起き‥‥」
キムチ鍋中の蓮の命令をうけ、突撃するのは臣。
わーぎゃーと騒がしさにアリーは起きる。
「アリーちゃーん!」
「あ、臣ちゃーん!」
わけわからないままにぎゅむっと抱き付き合う二人。
「もうちょっと見てたかったんだけどな‥‥」
ぼそ、と幸せ時間を反芻する欅だった。
●宴会といえば
「宴会といえば一発芸! この良き日に一番、朱里臣、空手の型やります!」
盛り上がってきたところで出し物開始。
しゅたっと臣は立ち上がりよっはっとっ! とシュバシュバ動く。
そしてそのまま。
「続けてモノマネ『メモリーモンスター』主人公!」
こほん、と咳払い一つ。そして視線が、なぜか潤と合う。
電波がちょっと、通じてしまったらしい。
「わー、やっぱり相棒の放電野郎してくれたー!」
「ここはしなきゃダメだよねー!」
がしっと通じあう二人。しかも、物まね、何気なく似ている二人。
その後しばらく、二人はメモモンの真似ではしゃぎあう。
「出し物か‥‥それならリクエストがあれば何かひこう」
「あ、それなら俺も一緒に」
「ヴァイオリンなら俺も持ってきてるんだよな。トリオとかどうだ?」
トリオヴァイオリンに返る答えはもちろんいいね。
即興で三人は音を合わせる。
そしていつのまにか、曲はパッヘルベルのカノンに。
「音楽流れて、下を見れば桜、上はお月様っていいね」
「そうですね‥‥」
ククとDESPAIRERはふたつ堪能しつつ、ちびちび酒をのみ、食べる。
「‥‥DESPAIRERさんさっきから結構のんでる?」
「今日は、夜倉紗無です‥‥お酒はまだちょっとですよ」
変わらない様子のDESPAIRERにククはならいいや、とまた自分もちびちび。
そしてDESPAIRERにもすすめる。
だがこれがいけなかった。
飲んでないようで、DESPAIRERはかなり飲んでいた。
どうぞどうぞとすすめられると断れないタイプのDESPAIRERは、かなりの酒量をとっていた。
「あら、飲んでる? まだ飲めるわよね、ささぐいっと」
「これはどうもどうも‥‥そういえばメアちゃんとちゃんとお話するのは始めてかな?」
「あら、そういえば‥‥いつぞやはかぼちゃモンブランありがとうね」
「どういたしまして」
と、ここでキムチ鍋召集。
「お酒ちょっとストップでお鍋タイムね」
月のうつる杯をちょっと置いて、鍋の方へと向かう。
●鍋のあとは
「おいしかった‥‥! 渋谷さんの御飯おいしいって聞いてたから楽しみだったんだよね!」
「マジ? マジでー? ぎゃー雑炊大盛りにしちゃう」
鍋の後には残りでキムチ雑炊。
蓮は臣にどさっとつぐ。
「キムチ鍋のあとは、ちょっとまったり、少しは情緒を‥‥という訳でもないけど、お手軽気分で抹茶点てに挑戦! ‥‥って、昔習ったけどね」
「ああ、抹茶もいいですね!」
はふはふしつつ臣は抹茶にも期待。
「それなら、和菓子屋さんでお団子に桜餅買ってきたので‥‥」
「私も自家製桜餅もってきたのでどうぞ」
DESPAIRERとのもじは和菓子を出し、ククが抹茶をシャカシャカ。
「茶筅でシャカシャカするのが楽しいんだよね。あ、抹茶オレにもできるよ〜」
「じゃあ抹茶オレで!」
のもじは抹茶オレチョイス。
「あれ、そういえばのもじ嬢は飲んでるー?」
「んー飲まないよ飲まないよ、だってアイドルだもの」
「えー?」
「何ですか、そのえーは」
「えーえーえー、だって実年齢はぶふあっ」
「その記憶のみ失えー何故知っているー」
「いやほらPassion資料とかで! わかった忘れる! 忘れる!」
のもじと蓮は、戯れ遊ぶ。
「てかまだ運送業者ルック?」
「あ、そういえば‥‥あるときは謎の白ネコ運送の配達員。また、あるときは謎のロック美少女、だが、その実態は!!! 野に咲く愛の華・阿野次のもじさ☆」
ばばっと脱ぐ運送業者衣装。その下にはいつもののもじらしい服。
「早脱ぎー! てかなんであの衣装の下にその服ー!」
「そこもつっこまない」
どげし、とアタック受ける蓮。そんな様子みつつ臣ははふーと抹茶で一息。
「おいしい‥‥」
●ゲームもしよう!
「あ、皆でゲームしない? イントロで曲当てとかどう? ギターで弾くから当ててね、勿論皆の曲も出るよん」
「あ、それいい楽しそうー! あたしが勝ったら初恋の話聞かせてもらいますよー!」
「ぶふ、初恋負けられない!」
スチャっとギターもって臣はゲーム開始、と言う。
「あ、ならオレもイントロる方がいい!」
「潤逃げたああ!!!」
さっき意気投合した潤も楽器持ち出しいそいそ。
ノリノリで相談してイントロ流し始める二人。
いくつか問題だして、やはり音楽職業面子は音には強い。
結局僅差で勝ち負け微妙なライン。
「じゃあ俺から〜!」
「あれ、嶺雅君負けてないのに話すの?」
「むしろノロケッ! 蓮クンも後でっ! えーっと‥‥恋人さんがねークリスマスにプレゼントした黒ドレス着てくれてすっごい可愛かったの‥‥!」
その姿を思い出しながら嶺雅ははしゃぐ。
「嶺雅さん初恋は〜?」
アリエラはミーハー発揮でおっかけしていた嶺雅にキラキラ視線。
「初恋? 初恋は‥‥・ゴーヤの味ー! いや、ドリアンかなー。出会いが最悪だとなかなか仲良くなれないよね・・・! あとはねー‥‥あー‥‥姉に恋人が出来たのは複雑デス。すっごい複雑‥‥!」
「おめでたいことよ! 祝わなきゃ!」
「でも、複雑‥‥!」
嶺雅にはメアの恋愛は応援しなきゃ講座が開始される。
そして紆余曲折、いつの間にか好みのタイプな話に。
「俺は‥‥はどちらかというと年上の知的美人が好みでした。アリー、アリー視線が。過去形だから、アリーが大好きだから」
「欅君‥‥!」
「アリーちゃんと欅らぶらぶー。私も現在進行形で‥‥大好きさ!」
臣も幸せそうに頬ちょっと緩ませて笑う。
「あ、じゃあ欅君の初恋は?」
「初恋? 同年代の子で初めて可愛いと思ったのは5歳の時会った子‥‥親父の友達のお子さんです、今では腐れ縁の幼馴染で親友‥‥色々訳あって可愛いと思ったのは本当に一瞬だけだったから初恋って感覚ゼロです」
「誰だろう‥‥」
「‥‥アリーはその相手知ってるし、喋った事もあるよ? 俺より有名で俳優な‥‥」
「‥‥わかったかも」
アリエラはその相手がわかったようで笑う。
「皆、若いっていいねぇ‥‥」
「ぴー、負けちゃったからには話さなきゃ‥‥初めて好きになったのは、同じ高校に通ってた人だったんだけど、‥‥意外と遅いでしょ? その人はちょっと恐そうなんだけど、弄ってみると楽しいんですよー」
べスはその当時を思い出しつつ話す。とっても、楽しそうに。
「それとなくモーションかけても全然こっち見てくれなくてですね、そんな事してる内にあたしが芸能界に入ってばたばたしてて、久しぶりに学校に行ったら別の女の子から告白されて付きあってて‥‥ちょっととほほ。ちゃんと気持ちを伝えておけば良かったかなと思うんですけど、今ここで話して少しすっきりしました!」
「すっきり! よかったね! まだ出会いは一杯あるよ、うん」
「初恋か‥‥俺の初恋は‥‥とうの昔にシブには暴露されているからな‥‥対価交換だシブ‥‥耳打ちで可‥‥」
「ぶはっ! そういえば、そういえばそうだねっ!」
司の言葉に一瞬噴出す蓮。
「‥‥ぴー。渋谷さん聞くだけってずるいですよー! やっぱり渋谷さんも話してくださいー!」
「僕の初恋は‥‥」
「あら、シブちゃんの初恋の話? あらぁ、また懐かしい‥‥」
「ちょ、NO! メアちゃんNO!」
「シブの初恋は」
「ちょ、カオル!」
「一人だけ言わないのはアレかなと思って」
「聞きたいでーす!」
そういわれれば、言わないわけにはいかない。
はいはいあつまってーとちっちゃくまとまる。
「僕の初恋はー‥‥あうあっ! やっぱ無理!」
「シブちゃんの初恋は近所の美人な新妻さんよ」
言わないシブに、メアがドーンとかわりに言い切る。
「ぎゃあああああ! 言われたー!!!」
「ちなみにその新妻さんとシブちゃんの出会いはね」
「やめてくださいお願いしますうううう」
「幼い子供としては‥‥まぁいいんじゃないか‥‥?」
「案外普通な感じ?」
「これ以上は私からは言わないわ。ふふふ、ね、シブちゃん?」
「言わないで下さい‥‥」
と、ばぁんと屋上の扉が開く。
そしてがらがらと何かもってくる。のもじが仕込んでいだものだ。
「さらにゲームを盛り上げるアイテムここにー! 芸能人一度はやってみたいアトラクション第5位」
ばさっとかぶさっていた布を外すとそこにはダーツ。もちろん的は回転し、そこには色々書いてある。
「追い討ちのように恋話の比率多いよ!」
「気のせいです、さぁ第一投目は誰? 皆でやってみよう!」
のもじはそれぞれにダーツの矢をわたし、ぐるぐるまわる的を回し始める。
マッハで。
「わー、もうどこ狙うとかできない次元の速さで回しちゃってるよー‥‥」
「ぴ! 時の運だね!」
さて第一投は?
●宴も終わりに近づいて
花見も、終わりに近づく。
ふいにどこからか聞こえてきたのは鼻歌。
ククが気分よく歌っていた。
思い切り食べまくってお腹一杯幸せのべスは、上総がもってきたブランケットにくるまり寝ている。
他にも臣は眠りこけて、持ってきたぬいぐるみをぎゅーっと抱いていた。
二人ともまとめて膝枕。メアの回りいったい爆睡組が広がる。
「やー、鍋もお重もからっぽだねー。いっぱい作って、いっぱい持ってきてもらったのに、ほとんどないね。あ、DESPAIRER嬢のレンコンとゴボウのきんぴらおいしかったんだよね! 隠し味は?」
「えっと‥‥」
「内緒ならひっそりと」
ごにょごにょ、とDESPAIRERから耳打ち。なるほど、と蓮は覚えておく。
片隅ではカップルタイム。
さすがに最後は邪魔するものもいない。
欅とアリエラは並んで桜を見る。
「また来年も一緒に見れたらいいね」
「うん、来年といわず毎年見たい」
「そうだね〜‥‥えへへ、ええと‥‥」
「何?」
照れつつ、酒の力もあるだろうがちょっと顔赤くしてアリエラは口ごもる。
「‥‥一緒にいてくれて有り難う」
「どういたしまして」
欅は笑顔で答えて、ちょっとアリエラの傍に身を寄せる。
そんな姿をほほえましいなと司は見つつ、ひっそり楽器をもって小声で歌う。
「 言い尽くせない言葉と想い
降り積もって視界を染めた‥‥
Cherry blossoms
この手離れて見送る人に
どうか忘れず今この時を‥‥ 」
「即興歌?」
と、そこへ酔いつぶれメンバーの世話終えて紅陽がやってきて、となりに座る。
「うちの女帝様が昔つくった歌だな‥‥作っていた時に覚えてしまった」
「あー、周りの音ってすぐ体に入ってくるよな。言い尽くせない言葉か‥‥」
「‥‥言い尽くせないか‥‥」
「あるよな、そういうの」
「そうだな‥‥」
司は誰かを思い出しつつ言う。
「‥‥おのれっ、鍋っ!!」
と、静かなムードの中、謎の叫びとともに臣起床。目は自然とそちらの方に。
「あれ? 何? 何々?」
「謎の寝言言っておきたのよ、おはよう」
「え、寝言?」
「おのれ、鍋って‥‥」
「鍋? 鍋食べたからかな?」
臣はきょとーんとして首捻る。
そして膝枕してもらっていた事実に気がついて。
「やや! 膝枕してもらってた? ありがとうございますっ」
「いいのよ、お礼は次きたときにキャロットシフォンで」
ちゃっかり。
「できた〜!」
「力作っ!」
と、今までもくもくと何事かしていたククと嶺雅は手を取り合いつつ喜び合う。
上総の髪弄り第二章の終了。
お団子から髪あみこんだりとちょっと謎っぽくなっていた。
「‥‥どんなになっていようとも帰りは車だからな‥‥」
「や、ここは記念写真だよ」
蓮はぱしゃっと一枚。
実は他の面々もいつの間にか写真とられていた。
「写真はあとで送っとくね」
「蓮さんありがとー! 今回さそってくれてもありがとう! 桜って‥‥どこかしんみりとした雰囲気にさせてくれるから好き。お月さまも一緒にみれて良かったよ」
ククはアホ毛ぴょんとゆらしつつ笑顔浮かべてぺこっとおじぎ一つ。
「いやいやいや、どうせなら人多い方がはしゃげるしね。また来年もやれたらいいねー」
「やれたらいいじゃなくてするのよ」
「来年もするならくるー!」
もう心はすでに来年に向かう。
「うん、来年はもっと作ってやるよ、やりますよ」
来年もまたここで、集まれるといいねと口にする。
言葉にすれば、きっと形になる。
●宴の後
「‥‥そろそろ片付けしないとね」
「寝てる子起こすのかわいそうよねー」
「いやそれでも起こさないと」
寝ている人それぞれにさまざまな方法で起こしにかかる。
くすぐったり、フライングボディアタック(むしろ自分の方が痛い)。
「あまったものお持ち帰りする?」
「酒は俺が持って帰ります」
すちゃっとしっかり欅は手をあげて、酒ゲット。本人心ほくほく。
「甘いものは‥‥」
「希望者いなければ私」
と、今度はメア。目が皆手をあげちゃだめと真剣であげるにあげれない。
「シートかたしてー、ごみは僕持って帰るし」
「定員あるが‥‥希望者いれば車のせて帰るぞ?」
「お、上総君、素敵。皆送っていってあげて」
「そのつもりだ。運転するから酒飲まなかったしな。のんびりと夜桜に料理、堪能できてよかった」
「そかそか! よかった! じゃあ‥‥まだ騒ぎたいけどお開き。二次会するなら各自でね」
花見はお開き。
「アリー、帰ろうか」
「うん!」
欅とアリエラは、手を繋いで帰っていく。
上総の車組みと自分の足で帰りますと、ばらばらと帰宅。
残ったのは蓮とメアたち。
「‥‥僕らはお方付けでーす」
「もうほとんど片付いちゃってるけど、ホストだものね」
「うんうん。あ、紅陽と潤はあとでちっとばかしライライの打ち合わせねー」
「おう」
「わかったー!」
お掃除さかさか、忘れ物も無しとチェックして。
「お花見お疲れ様ー!」
無事に、花見は終了。