PassionMusic:SpringWアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 玲梛夜
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 5.5万円
参加人数 10人
サポート 0人
期間 04/13〜04/15

●本文

『Passion Music』という看板がライヴハウスにかかる。
 その看板がかかると同時に、そこには収録の機材が運び込まれセットが始まる。
 それが完了するとそこにロッカーたちが現れて熱い熱いライヴを。
 いつ、どこでするのかはわからずゲリラ収録のロックライヴ番組。
 収録に出会えるかどうかは時の運。
 そこでプレイするロッカーたちにも場所のイメージは伝えられるが前日まで明確な場所は明かされない。
 集合場所、集合時間指定を受け、暗幕の張られたバスに乗せられてその場所へと連れて行かれる。
 準備の終わったライヴハウスでは今か今かとロック好きの観客がテンションをあげて、待っているのだ。
 ぱっと、舞台上にスポットがあたる。そこにはマイクとカンペを持った司会者、渋谷蓮(しぶや・れん)。
「今回は、曲名『春の風』! 爽やかな風も春の嵐のような風もまとめてー‥‥吹いて来い!」
 舞台の照明がばっと明るくなる。
 最高のプレイを、そこで‥‥!


『Passion Music』出演者募集
 ゲリラロックライヴ番組収録、出演者募集
 こちらから指定するのはライヴ日の集合場所、時間のみ。
 今回は曲名『春の風』統一。それぞれの個性を出してください。
 舞台は特に特徴も無く、自分達と観客が面するのは一方。自分達のほうが少し高い位置、ということになります。
 ソロ、グループを組む、は自由です。
 収録に取り直しはありません、一発勝負です。
 舞台に関しては通常の舞台です。

 なお、日程は以下です。
 初日  参加者顔合わせ
 二日目 スタジオでのリハーサルなど
 三日目 ライヴハウスでの演奏、収録

 ドラムセットやピアノ等大きな楽器は備え付けのものがあります。
 バックバンドが必要であればこちらで用意します。
 グループ掛け持ちは禁止。
 演奏順は特に希望が無ければ阿弥陀くじです。

●今回の参加者

 fa0034 紅 勇花(17歳・♀・兎)
 fa0259 クク・ルドゥ(20歳・♀・小鳥)
 fa1590 七式 クロノ(24歳・♂・狼)
 fa1591 八田 光一郎(24歳・♂・虎)
 fa1592 藤宮 光海(23歳・♀・蝙蝠)
 fa2657 DESPAIRER(24歳・♀・蝙蝠)
 fa2837 明石 丹(26歳・♂・狼)
 fa3867 アリエラ(22歳・♀・犬)
 fa4657 天道ミラー(24歳・♂・犬)
 fa5241 (20歳・♂・蝙蝠)

●リプレイ本文

●春です、春ですよ
「ぶぇーっくしょい!」
「すっごいくしゃみ‥‥この前のお花見で風邪ひいた? お転婆娘がお世話になったそうで、ありがとう」
「どういたしましてー、賑やかだったよ、うん」
 結構久しぶり、寂しかったという明石 丹(fa2837)と蓮は色々と話をする。
「今日は‥‥あの登ってる子と一緒にだよね」
 と、蓮が指差した先、アリエラ(fa3867)が欅(fa5241)によじよじと登っていた。
「なんか登ってるのみてうらやましかったんだってね」
「あー‥‥がんばれー」
 ひそりと応援しつつ、他にも久しぶりさんは一杯の蓮。
 ネクサスの七式 クロノ(fa1590)、八田 光一郎(fa1591)、藤宮 光海(fa1592)の三人もそのうちにはいる。
「ライブスタイルは久々だな」
「そうだな、何故か俺だけオフだった時もあったけど」
「あー、年明けすぐの‥‥ま、いいじゃない、それからレコーディングやらプロモ活動やらと地道に活動してきたんだし」
「そうだよな! さぁ、ライブ、ライブ! 俄然楽しくなってきたっ!」
 張り切る光一郎に、光海は一言釘を刺す。
「コウ、アンタが張り切りすぎると熱風になるわよ?」
「それはマズイ‥‥って光海ちゃん、そりゃないよー」
 そんなやり取りしつつも、しっかり三人の気持ちはライヴに向かっている。
「や、元気だねあそこも。春の風、楽しみだ」
「春の風かぁ‥‥春の風に吹かれるとさ、何となく懐かしい記憶が蘇ってくるような気がしない? ‥‥僕だけかな?」
 紅 勇花(fa0034)は挨拶がてら、思ったことを口にする。
「え、何か懐かしいのあるの?」
「そこは内緒。まぁ、それは兎も角今回も一つ宜しくね」
「うん、宜しくね。ちょー期待してるから!」
「軽く期待のプレッシャーじゃないかそれ」
 うん、と蓮は笑って返す。
「DESPAIRER嬢もよろしくね」
 DESPAIRER(fa2657)に向かっても蓮は言う。
「テーマが‥‥少し、難しそうですけど‥‥がんばります」
 少し考えてDESPAIRERは言う。
 と、蓮ににじりよじり接近する影が二つ。
 クク・ルドゥ(fa0259)と天道ミラー(fa4657)だ。
「シブサーン!!」
「蓮さーん!!」
「!!!」
 よみがえる記憶。
 サンドイッチアタック。
 だが今回はやさしめで衝撃度は低かった、がアタックに変わりはない。
「ちょ、僕中身!? ほらそんな力いれると中身はみ出る!!」
「中身‥‥卵?」
 アタックを目撃した欅は呟く。
「ああもう卵でいいや。卵はみでるううう」
「はみ出ちゃだめ! しょうがないなぁ‥‥」
「シブさん根性ないよー」
「なくていいでっす」
 開放されて、笑いながらぜぇはぁ。
「まぁ、僕が大好きだからってアタックかけるのはいいけど、ほどほどにね、ほどほど。ほどほーど!」
「はーい」
「ハーイ」
 二人は並んで小学生のように返事。
「妖精はか弱い生物なので、取り扱い要注意」
「ぇー」
「ぇー」
「その返事何」
 こんなやり取りをしばらくして、打ち合わせは終わる。
 そして、本番。

●クク
「今日はすべてお前らに向けて春の風ー! 吹かれ飛ばされるもただ感じるもそれは自由! 一番心地よい風、持って帰ってください! んではー、最初に風吹かせてくれるのはクク‥‥!」
 照明は蓮からククへ。
 真っ白いライトの中に、ククは浮かび上がる。

「 穏やかに過ごせたらと願う瞬間がある
  でもそれは叶わなくて
  どうしようもないのかと感じた瞬間
  つよい春風吹いて 通り過ぎた

  愛しさで瞼が震える
  いとしい愛しい想いは 唯々笑顔を願って

  春風を呼ぶのは あの思いを吹き飛ばしてほしいから
  春風を呼ぶのは あの想いをカラダ中で感じたいから
  せめて一瞬だけでもと 」

 白かったライトは薄桃を帯びる。
 ククは、少し泣きそうな声で歌う。
 自分の声を活かして。
 テンポはミドルテンポ、バックバンドの慣らすエレキギターの音は琴に似せて際立つ。

「 あなたと過ごした時間(とき)は刹那のようだった
  あなたはどうだったんだろう?
  出会いと別れがあるのは当たり前だと そう語るだろうか?

  霞む煙のようにもう見えない あなた

  恋しさで瞼が揺れる
  あなたは大切な存在(ひと)だと改めて感じて

  だから春風を呼んで この想いを届けてもらおう
  綿毛に託した想い どうか届けてと春風に頼んで
  もう見えないあなたを もっと見送っていたいから
  もっともっともっと

  どうか届いてください 」

 ククは自分の想いを乗せて歌う。
 曲は盛りあがったままで終わる。
 そしてククに向けて観客からの歓声。
 それはわーっと叫ぶようなのではなく良い歌だったというように。

●ネクサス
「少し寂しく優しい風のあとに、風ふかすのはネクサス! 今日の彼らはどんな風を吹かせてくれるのかっ‥‥!」

「 春の風がボクを誘ってる
  このまま退屈って子守唄で眠る前に
  探しに行こう大好きな生き方ってヤツを 」

 舞台上にはクロノ、光一郎、光海。
 それぞれギター、ベース、ドラムといつもの楽器。
 メロディアスなギターに柔らかとしつつもしっかりとしたベース。
 ドラムはリズムをテンポ重視して刻む。

「 春の風がキミに囁いてる
  ココロのカレンダーめくって風を感じよう
  本当のキミにはコートも帽子もいらないんだ

  今吹く風が背中を押す
  今だから出来るんだ
  ここから始めよう
  新しい二人の一歩目を 」

 それぞれがしっかり音をだして、柔らかな雰囲気を出すためにユニゾンのメインは光海が歌う。

「 誰も見たことのない空の向こうまで
  この風に乗って行くんだ
  二人で作る新世界
  ずっとずっとずっと
  続く二人の夢を乗せて
  春の風世界を彩る 」

 強い思いを飛ばすように、三人の声を合わせて。

 演奏終わっていつものように観客に答える三人。
「皆、ありがと。今日も楽しかったよ」
「サンキュー、楽しんでくれて俺も嬉しいぜ」
「舞い落ちる花びら2つってね」
 クロノと光一郎は使っていた薄桃色のピックを観客へと投げる。
 それは幸運な誰かのもとにたどり着く。

●DESPAIRER
「春の風は様々な面を持ち合わせる‥‥それを恋と重ねて歌うのはDESPAIRER、今日もその声響かせてもらいましょう‥‥!」

 スローに、切なさを感じさせつつも強いメロディが流れ始める。
 そこにDESPAIRERの声。

「 私が愛したあなたは まるで春風のような人
  恋の華も桜とともに 風の中に散りゆきました 」

 いつものモノトーン調とは違う淡い色のドレスは春を感じさせる。
 強く押されていた音は抑え目になって、声はしみじみと思い返すかのように。

「 あなたの見せる笑顔は まるで春のそよ風のようで
  私の心を温め 華やかに彩ってくれた
  あなたの不意の思いつき まるで春の嵐のようで
  私はただ振り回され いつもハラハラし通しだった 」

 曲は強く、また盛り上がる。
 抑えられていた音は強くなり、そして徐々にゆっくりとなっていく。

「 わがままで 気まぐれで でも優しくて
  本当は 誰よりも 暖かくて
  戸惑う私をいつも そっと包んでくれた
  その温もりだけは 決して忘れないから

  さよなら私の愛した まるで春風のような人
  次の春も私はきっと あなたを思い出すでしょう 」

 最後は割り切ったようでいて、少し未練がのぞく心を感じさせるように余韻を残して音が途切れた。

●アネモネ
「恋でしっとり心ふれるもの感じた後は、ちょっと元気にいってみる? お次はさぁっとアネモネの風!」
 舞台が明るくなり、演奏前に欅とミラーは一つハイタッチ。
 欅は淡いグリーンのYシャツに黒デニム。人差し指にはピジョンブラッドの指輪が。
 ミラーは白のジャケットに白シャツ、ジーンズ、首には桜の飾りつきの首輪。
 それぞれヴァイオリンとギターを持っている。
 まず響いたのはヴァイオリンの音。
 優しい音に短く歯切れ良く、ヴァイオリンとギターの音が響く。

「 風の調べ 光の鼓動
  目覚めの世界で 私は踊る 踊る
  貴方の瞳に届くまで 」

 二人で声を重ね、軽快に。
 そこから一転、曲の雰囲気は激しく切ないものになる。
 全体を明るく照らしていた、薄くグリーンの入ったライトは、それを強める。
 床のライトは点滅して、曲に合わせて、踊る。

「 愛しい人よどうか気付いて
  貴方の瞳に映るため
  幾千の昼と夜 じっと過ごしたの
  可愛い人よどうか気付いて
  貴方の瞳に映れたならば
  私はきっと 今以上に輝ける 」

 強く流れるような音にミラーの声が乗せられ、ふっと余韻を残して音が消える。
 その余韻に乗せて語りかけるように静かに、ゆっくりと。

「 踊る踊る 私は踊り続ける
  貴方が存在(い)る このセカイで 」

 ミラーと欅は声を揃えて締めくくった。

●勇花
「雰囲気は裏腹に、一つだけじゃないもの感じさせる風、そういうのを、吹かせてくれると思いまっす! じゃー、よろしく! 紅勇花!!」
 空色のパーカーにショートパンツ、そして帽子をかぶり春らしく。
 テンポ良く軽快に、声も心持ち明るく響く。

「 穏やかに流れ来る春の温もり
  花の香り・鳥の囀り・生まれ来る季節の祝福 」

 明るい雰囲気から変わり、同じメロディラインだが声色を少し沈めて歌う。

「 時と共に流れ逝く君の温もり
  肌の匂い・愛の囁き・消えて逝くあの日の祝福 」

 音が、増える。
 それでもって音を重く沈んだ雰囲気に。

「『命の季節』の風、流れる先は明るい未来
  だけど、僕は‥‥この胸の過去を捨てきれずに‥‥ 」

 テンポはあがり、演奏も、歌声も激しさを増す。
 それは想いを曲にのせるように。

「 移り行く空に巡る、今は遠き日々
  咲き誇る花と共に、蘇る、何度でも‥‥
  風に託した記憶、夢に映して
  色褪せて消えるまでに、嗚呼、もう一度‥‥ 」

 曲調とメロディラインを引き継ぎ、ギターの音を掻き鳴らして強調していく。
 そのまま曲は、最後まで激しさを伴ったままで終わった。

●アドリバティレイア
「最後は、移り変わることが常の世の中、その中の一瞬の風を歌に‥‥アドリバティレイア!!」
 アリエラは白いふんわりワンピースに桜色のボレロ、髪はサイドポニーテールで白いレースのリボンで結ぶ。そしてピアノの前。
 丹はトライバルの覗く、白のオフショルダーシャツに黒のデニムパンツ。
 ピアノ音に、バイオリンとドラムの音が重なる。
 灯りはうっすらと、間接的に照らされる。

「 冷たい露が落ちる いつか繋いだこの手
  芽吹きの時は いっそ乱暴なくらい鮮やかだった
  戸惑い躊躇いの暇 与えないまま 全て揺り起こした 」

 歌に専念する丹は身振り手振り表情豊かに思うままに動く。
 歌にはアリエラの高音のハモりが、入る。
 伸びやかに、盛り上げていくように、緩やかだったメロディも勢いあるものになる。

「 我先に春よ あたたかで新しい風がさらう
  我先に花よ 咲き誇れ 短い夢と知って 」

 再び緩やかになった曲。
 ピアノは悲しむように切なく。

「 変わる時に 変われない心
  冷たい余韻残す指先 今は一人握るけど
  あの風がさらっていった

  桜の花弁が すりぬけて ゆく 」

 丹は手を伸ばし、すり抜けていくさまを表現。
 音は丹の声に合わせて高音を一音ずるおいて、静かに消えていった。

●ライヴハウス『CoDe』
「色んな風が吹き抜けました、と‥‥本当、人それぞれなんだよね。多分僕が歌ってたらまた違う感じのになってたー。いやはやおもしろいもんです! てことでー最後の感想をお前らにシッカリと答えてもらいましょう! 風よふけふけーぴゅーっとなー!」
 蓮はマイクをおいて口の横に手を。
 そして観客に向かう。
「今日お前らの中に吹き込んだ風ってば‥‥最高だったかーーー!!??」
 しょぼい風なんてなかったー! と観客から激しい風が、吹き返される。