PassionMusic:Anotherアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 玲梛夜
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 5.5万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 04/29〜05/01

●本文

『Passion Music』という看板がライヴハウスにかかる。
 その看板がかかると同時に、そこには収録の機材が運び込まれセットが始まる。
 それが完了するとそこにロッカーたちが現れて熱い熱いライヴを。
 いつ、どこでするのかはわからずゲリラ収録のロックライヴ番組。
 収録に出会えるかどうかは時の運。
 そこでプレイするロッカーたちにも場所のイメージは伝えられるが前日まで明確な場所は明かされない。
 集合場所、集合時間指定を受け、暗幕の張られたバスに乗せられてその場所へと連れて行かれる。
 準備の終わったライヴハウスでは今か今かとロック好きの観客がテンションをあげて、待っているのだ。
 ぱっと、舞台上にスポットがあたる。そこにはマイクとカンペを持った司会者、渋谷蓮(しぶや・れん)。
「アナザーストーリー! 今まで自分たちが演奏した曲を、いじって手を加えて他の雰囲気に! 奏でる音は別の物語を、生み出す!!」
 舞台の照明がばっと明るくなる。
 最高のプレイを、そこで‥‥!


『Passion Music』出演者募集
 ゲリラロックライヴ番組収録、出演者募集
 こちらから指定するのはライヴ日の集合場所、時間のみ。
 今回は今まで演奏した曲を別の形にしての演奏。過去に演奏した曲と別の雰囲気をだしてください。
 舞台は特に特徴も無く、自分達と観客が面するのは一方。自分達のほうが少し高い位置、ということになります。
 ソロ、グループを組む、は自由です。
 収録に取り直しはありません、一発勝負です。
 舞台に関しては通常の舞台です。

 なお、日程は以下です。
 初日  参加者顔合わせ
 二日目 スタジオでのリハーサルなど
 三日目 ライヴハウスでの演奏、収録

 ドラムセットやピアノ等大きな楽器は備え付けのものがあります。
 バックバンドが必要であればこちらで用意します。
 グループ掛け持ちは禁止。
 演奏順は特に希望が無ければ阿弥陀くじです。

●今回の参加者

 fa0034 紅 勇花(17歳・♀・兎)
 fa1555 シード・エルミナール(17歳・♂・蝙蝠)
 fa1744 雛姫(17歳・♀・小鳥)
 fa2495 椿(20歳・♂・小鳥)
 fa2657 DESPAIRER(24歳・♀・蝙蝠)
 fa2837 明石 丹(26歳・♂・狼)
 fa2993 冬織(22歳・♀・狼)
 fa4980 橘川 円(27歳・♀・鴉)

●リプレイ本文

●打ち合わせ、柏餅
「ちょっとみんな過去VTRあるなら提出! 提出! 僕も勉強するからっ!」
 打ち合わせが終わり、渋谷蓮は過去VTRをそれぞれにせびる。
「うーん、僕のはAbySSでだから‥‥」
「メアちゃんとこ? 聞いてみるオーケィ!」
 紅 勇花(fa0034)はあるかどうかわからない、と続けようとしたが蓮がことば重ねてさえぎる。
「私は‥‥年越しライヴの時の‥‥いろいろ、考えましたが‥‥今回は、これで‥‥」
「年越し‥‥ヴァニプロのだよね、じゃああると思う。ありがとうねっ!」
 DESPAIRER(fa2657)はいつのものか告げ、それに蓮は笑顔を返す。
「わしらのところはソロでそれぞれじゃからなぁ‥‥わしはヴァニプロのライヴでじゃ」
 冬織(fa2993)はがお太郎と命名されたぬいぐるみを腕に伝える。
「じゃあヴァニプロで探してみる。で、何してるの?」
「新聞紙でおった兜プレゼント! これかぶってタンゴ踊ってください! 日本伝統行事なんだよね! タンゴタンゴ!」
 椿(fa2495)は蓮の頭に新聞紙の兜を乗せ、タンゴを踊る。
 蓮は冬織をどういうこと、と見る。
「『タンゴの節句』じゃと毎年疑いもせず‥‥愉快じゃ」
「椿君‥‥」
 冬織の黒い笑みをみて、蓮は眼がしらを抑える。
「まぁ、憐れじゃと思うなれば力作使うてやってくれ、渋谷殿。タンゴを踊る踊らぬは、おぬしの判断に任すゆえ」
「タンゴは、踊れない僕なのでリンボーなら。でもその前に皆の曲! 曲!!」
「私たちはPassionで歌った曲だから、探すの大丈夫よね」
 橘川 円(fa4980)はそう言って笑む。
「うん、それはもうスタッフに持ってきてもらうことになってる」
「久々にチェロが弾けるから嬉しいわ。そういえばあの時からよね、綺麗なおねーさん認定が広まったの」
「綺麗なおねーさんとご一緒できてうれしいです、がんばりましょうね、シード様もご一緒に」
 雛姫(fa1744)はにこりと柔らかな笑みをシード・エルミナール(fa1555)にも向ける。
「随分久しぶりの仕事のような気がするが‥‥そういえば一番最近の仕事もこれだったな。さて、今度は何処に行くのやら」
「次もPassionで!」
 蓮がそう答えて、シードは考えておこう、と返す。
「あ、これ差し入れ。スポーツドリンク、ボーカル用にのど飴。あと酸素缶を持っていくといいと言われたような‥‥」
「それ僕専用グッズ」
「差し入れと言えば柏餅もってきました。漉し餡と粒あん2種、蓮様はどちらがお好きですか‥‥?」
「もったり漉し餡かな? でも粒あんも好きだね」
「わしも柏餅の差し入れじゃ。どこぞの小鳥が来ぬうちに‥‥」
「何? 柏餅? 食べる!」
「‥‥遅かったのじゃ」
「まぁまぁ、たくさんあるし、ね」
 明石 丹(fa2837)は様子を見守りながら笑顔を向ける。
「あ、丹君のはー? VTR!」
「僕はバトザロだね」
「オッケー、多分ある! はず!」
「とりあえずひと段落かな? 柏餅でてるし、お茶入れてちょっと一休みしたら?」
「そうだね、あ、ちょ、漉し餡、僕の漉し餡!」
 椿の手に紛れ込む漉し餡奪取。
 全員でこの時期にまつわる思い出などを話しながらお茶を飲んだのだが、誰も『タンゴ』の節句には触れなかった‥‥。


●DESPAIRER ―It’s time to go
「後ろ髪ひかれながらの出発、でもそれは、今回は前へ進んでいくという前進をみせる。年忘れライヴで歌われたDESPAIRERの楽曲は過去の姿にさらに飛躍をもたせて‥‥It’s time to go」
 ライトに浮かび上がるDESPAIRERの姿。
 やや明るめの色のドレスが光に照らされより淡く見える。

「 いつもと同じように 日差しは差し込み
  旅立ちの朝の 訪れを告げる
  荷物はもう全て 片づいたけれど
  気持ちの整理は できないままで 」

 歌いだしは静かに。
 そして少しずつ強く強く、テンポはミディアム、少し勢いを持たせて。

「 心の鞄に入りきらずに こぼれ落ちた思い出の欠片
  拾い上げたい私の背中 時計の針が静かに押した

  It’s time to go
  もう行かなくちゃ
  It’s time to go
  It’s time to go

 『それが君のためになるなら』と 笑顔で送り出してくれた
  そんな優しさが嬉しくて でも やっぱり少しだけ寂しくて 」

 強く揺れる想いを吐き出すように言葉は歌われていく。
 もともと抑えめに歌われたいたサビは言い聞かせるように、逆に強く強く。
 そしてふっと、言葉の重みをためて、歌はラストへと向かう。

「 It’s time to go
  もう行かなくちゃ
  It’s time to go
  It’s time to go

  It’s time to go
  もう行かなくちゃ
  It’s time to go...

  Bye‐bye my love 」

 ゆっくりと、音を響かせて強く歌う。
 思いを強く、伝えるように。

●Stagione ―Wild Innocence
「今までこの曲は今までソロのみの披露、それを今回は二人で歌い響かせる、初披露。Stagione、冬織と椿‥‥Wild Innocence」

 青い照明に照らされて、白シャツと黒ジーンズで自然な感じを出す椿。手にはエレキギター。
 もう一人冬織は白シャツにブルージーンズ、足は素足で髪はラフアップに。
 響く声は、遠吠えのように。

「 Ah―― 」

 ドラムのリズムにギターとベースのメロディが重なり、歌声は凛と響く。

「 瞳開き 初めて見た色は 遥か遠い蒼
  産声あげた小さな命 見守るように 試すように
  何処までも続く天 」

『 息弾ませ 駆け抜けた風に 寄り添う色は翠
  意識と爪研ぎ澄まし 吠える魂 包み込んで
  様々な想い溶かす森 』

 二人で音階をあげながら声を響かせ合う。
 音は盛り上がり強く凛と響く。
 出だしを揃えて強く強く。
 ふっと一瞬光が絞られて、またぱっと明るくなる。 

「 暁を告げる鳥の声
  まどろみから覚めた白き獣
 『野性の色翻し 今出来ること貫いて』

 『Stand up and Run』
  絶望に心切り裂かれても
 『Stand up and Run to the Victory』
  諦めず走り続けろ 幾つもの夜を越え 」

 最後に近づくたびに音は徐々に力強く盛り上がっていく。
 全体に散らされた光。そしてひらりひらり、銀紙がふる。

「『誰の為でもなく 生きることが勝利の証』
  いつしか全ては白き光となる 『Wild Innocence』 」

 最後に一間、そして高く遠くまで響くよう最後のフレーズを。
 締めはギターの音、そしてシンバルが余韻を残す。

●明石 丹 ―咲く‐SAKURA‐
「あのバトザロで有終の美を飾った春の芽吹き、春の始まりをはらんだ桜を歌った歌は、夜の幻想的な桜に今宵変る。アドリバティレイア、明石 丹‥‥咲く‐SAKURA‐」
 暗闇の中浮かぶシルエット。
 丹は黒の衣装に、頭から表情は透けて見えるヴェールを被って立つ。
 胸元には桜モチーフのヘッドが揺れる銀のペンダント。
 流れ出す音は勢いを持っているがそれは主張しすぎずにある。
 歌声か重なれば、緋色のライトがともる。

「 歩いて来たこの道も確信に変わる
  雨のつぶてを けぶる緑が笑う
  足の下 ほら、背筋をのぼって 頭上、腕を伸ばす!

  花も盛り(hila hila)
  熱をはらむ 空を仰ぐ 何でもできる
  隠れた力なんてない あるがままの自分 」

 ヴェールから見える表情、そして向けられる視線は艶やかに。
 少し曲の早さはおちてゆったりと。
 切なく語りかけるような歌声。

「 これがリアル
  坂の上からなら少しは見える
  それは『今ならわかる』という言葉にも似ている 」

 広がる音は大きく花開くように。
 それは変わらずにある。

「 花も盛り(hila hila)
  熱をはらむ 空を仰ぐ 何でもできる
  世界ごと花開く 全身で咲くよ 」

 しっとりと歌いきった丹が観客に笑みを向ける。
 高音から低温まで広く使い、メロディをアレンジしたボーカルの楽曲は違う姿をまたみせた。

●紅 勇花 ―Deadwish−the LastShooting−
「最後の最後に流れる星は何を表すのか‥‥最初から最後までのりきって、紅 勇花‥‥Deadwish−the LastShooting」

「 流れ堕ちる星に祈りを捧げ 朽ちた願いを託す
  堕ち逝く果てのあの人へと、届くように‥‥ 」

 音は無く、心持ゆっくりとしたテンポで歌い軽くギターを一鳴らし。
 それを合図に音が鳴り始める。
 勇花は黒いTシャツにショートパンツ、そして帽子をかぶりゴスパンク風の服装で。

「 闇蒼の天幕彩る白銀の光
  降り注ぐ輝き、数多の願いを乗せて
  最早叶わない願いも天河に溶かし
  逝き場失くした想いと共に解き放つ‥‥ 」

 若干抑えめ、けれども途中で掻きならされるギターとテンションは決して低くはない。

「 愛した君は遠く空の果て、でも今一度届かせて‥‥
  涙流れるままに見上げた夜空‥‥駆け抜ける光と共に‥‥ 」

 ヴォーカルに沿うようなギターの音。
 リズミカルなベース音は駆け上がるように響く。

「 流れ堕ちる星に祈りを捧げ 朽ちた願いを託す
  堕ち逝く果てのあの人へと、届くように‥‥

  流れ堕ちる星に捧ぐ最期の祈り 朽ちた願いと共に
  最果ての君へ贈る最期の言葉 」

 一気に響く音はそのまま流れる。
 最後までそのまま、と見せかけ最後のフレーズ。
 ふっと音は消えて静かに。

「 ‥‥さようなら、と‥‥」

 静かに心の入った歌声は観客の心に、響いた。

●Trinity ―nightmare
「今日のラストはシード・エルミナールが両手に雛姫と橘円の花で登場、Trinity! 曲はnightmare、甘く囁くような歌声で過去このPassionで響いた妖艶な曲は、今宵違う姿をまた見せる」
 シードはスーツ、白い手袋をはめ髪は後で一つに。
 雛姫は白いロングドレス。ドレスの裾はサイドから斜めにカットされてスリットから足が覗く。腕や首、髪のアクセサリーは蔦や葉を模したもの。
 円も服の色は白。ホルターネックのロングドレスに、またアクセサリーは蔦や葉を模したもの。円が抱えるチェロにもエンドピンやペグに蔦の飾りがある。
 それぞれ背中には半獣化しての翼。
 シードには蝙蝠の、円には紫がかった黒い翼。雛姫には瑠璃色の翼がライトの色で少し変わった色に。
 ドラムのカウントの後、優雅に流れ出すチェロ、そして歌声。

「 遠くこだまするは 『楡の森』
  夢のほとり 彷徨いながら
  甘く囁くのは 『昏き闇』
  足音だけ 響かせながら 」

 雛姫はマイクを左手、自由な右手は詞に合わせて動かす。
 スモークにあたるライティングは森の中のように。
 ゆっくりと進むロックバラードは重くならないようチェロがリズムを刻む。
 ふと、音は止まる。

「 もう 眠っていいのよ
 『深く深く口付けて』 」

 マイクに口づけする仕草。
 濃い緑のライトが一瞬暗転し、ふっと白いライトに切り替わる。
 雛姫の歌声に円の声が重なり生まれるハーモニー。

「『錆びた光の中 ふたり溶け合うの』
  密かな永遠 そっと誓いましょう
 『滲む景色の奥 見えたものは何?』
 瞼を閉じたら そこはもう楽園 」

 ふと円の声は消えて、次に重なるのは雛姫とシードの歌声。

「 盲目だと笑ってもいいわ
  指を伸ばして 貴方を辿る 」

 そして響く声は雛姫のものだけに。

「 もう 眠っていいのよ
  良い夢を 」

 台詞のようにささやかれる歌声にのせて、曲は消えていく。
 最後に雛姫は柔らかく微笑んで、投げキスひとつ。
 暗闇に戻る舞台に、観客からの声が響いた。

●ライヴハウス『LULALA』
「別のお話みたいに紡がれる歌、歌、歌。どうだったー? あ、いやお返事はあとでね。あれだよね、カバーっていってもいいよね! またやれたら嬉しいでっす! んじゃあー、最後にいつものアレ! お願いしますっと!」
 マイクを置いて、観客に向かう蓮。
「今日のライヴ、どうだったあああああ!!!!」
 その声に観客が返す声はいつも以上の声。