PassionMusic:Red!アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 玲梛夜
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 やや難
報酬 0.7万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 06/29〜07/01

●本文

 『Passion Music』という看板がライヴハウスにかかる。
 その看板がかかると同時に、そこには収録の機材が運び込まれセットが始まる。
 それが完了するとそこにロッカーたちが現れて熱い熱いライヴを。
 いつ、どこでするのかはわからずゲリラ収録のロックライヴ番組。
 収録に出会えるかどうかは時の運。
 そこでプレイするロッカーたちにも場所のイメージは伝えられるが前日まで明確な場所は明かされない。
 集合場所、集合時間指定を受け、暗幕の張られたバスに乗せられてその場所へと連れて行かれる。
 準備の終わったライヴハウスでは今か今かとロック好きの観客がテンションをあげて、待っているのだ。
 ぱっと、舞台の端にスポットがあたる。そこにはマイクとカンペを持った司会者、渋谷蓮(しぶや・れん)。
「はいはい、静かにー、先生来ちゃうよー。君らには嬉しい音楽の先生がね。ん、静かになったよし。それじゃ呼ぶぜー!」
 舞台の照明がばっと明るくなる。
 最高のプレイを、そこで‥‥!

『Passion Music』出演者募集
 ゲリラロックライヴ番組収録、出演ロッカー募集
 こちらから指定するのはライヴ日の集合場所、時間のみ。
 演奏する内容にテーマはありません。曲のセレクト演出等はお任せします。
 収録に取り直しはありません、一発勝負です。
 今回のライヴハウスのイメージは赤。イメージカラーが赤のライヴハウスです。観客との距離などは一般的。観客との高低差も一般的。

 なお、日程は以下です。
 初日  参加者顔合わせ
 二日目 スタジオでのリハーサルなど
 三日目 ライヴハウスでの演奏、収録

 グループ、ソロでの参加は問いません。
 ドラムセットやピアノは備え付けのものがあります。
 また、ソロの場合、バックバンドが必要であればこちらで用意します。

●今回の参加者

 fa0952 x‐cho(19歳・♂・兎)
 fa1376 ラシア・エルミナール(17歳・♀・蝙蝠)
 fa2122 月見里 神楽(12歳・♀・猫)
 fa2228 当摩 晶(19歳・♀・狼)
 fa2657 DESPAIRER(24歳・♀・蝙蝠)
 fa3004 ラム・セリアディア(14歳・♀・リス)
 fa3386 硯 円(15歳・♀・猫)
 fa3997 香凪 志乃(24歳・♂・小鳥)

●リプレイ本文

●初日顔合せ
「また参加できてうれしいです!」
 元気に挨拶をしたラム・セリアディア(fa3004)。今回も前回と同じバックバンドメンバーで心強い。
「あ、蓮お兄ちゃんだー!」
 と、司会の渋谷蓮の姿をみつけラムは走る。
「お、ラム嬢! やっばい、変な噂立てられるの大歓迎!」
「この前の言葉嬉しくって! 一緒にステージ立ちたいよー! 司会と出演者じゃなくて」
「ん、僕もやりたいなー。よーしそのうちできるように上にかけあって‥‥」
「渋谷さんですね‥‥お会いできて感動です」
 と、話をする二人に近づいてきたのは香凪 志乃(fa3997)。両手を組んで、物凄く感動している。
「えっと‥‥香凪君だっけ。楽しみにしてるぜー」
「志乃おにーちゃんも一緒にがんばろー!」
「はい」
 仲良く話をする三人の後ろではx‐cho(fa0952)がDESPAIRER(fa2657)へと声をかけているところ。
「DESPAIRER、一緒にお願いできるカイ?」
「‥‥え? あ‥‥私で、宜しければ‥‥こちらこそ、お願いします‥‥」
 DESPAIRERはぺこっと頭を下げてx−choへと礼。と、x−choを呼ぶ声が一つ。それは当摩 晶(fa2228)が発した声。
「出来ましたら、こちらもお手伝いしていただけたらと」
 晶の隣には月見里 神楽(fa2122)も一緒に。どうやら三人で、という感じらしく。
「オーケィ、任せトイテ」
「初めて組むね、どんなライヴになるか楽しみです」
 にこにこ笑顔で神楽は言うと、それに二人は頷いた。
「この中では一番ちっこいのかな? 前回見せて頂いたFromHighじゃないけど、ちょっと見上げないといけないよね。観客席は同じぐらいの高さみたいだから大丈夫かな」
「その辺もうちょっと詳しくスタッフに聞いてみましょう」
「ウン、疑問解決するにはそれがイイヨ」
 それに神楽は頷いて、そうですねと返した。

●拉致バス詰込!
「酔い止め飲んでおいてよかった‥‥」
 バスを降りてほっと一安心、志乃は笑顔だった。
「ゲリラライヴね。こういうの好きだし、楽しませてもらおうじゃん」
「そうですね、楽しみです!」
 言葉を交わし合うのはラシア・エルミナール(fa1376)と硯 円(fa3386)。今回共に参加する二人は笑いあう。
「一組目、お願いしまーす!」
 と、スタッフから声がかかり、一組目はライヴハウスの裏口から中へと、入る。

●DESPAIRER&x‐cho 〜In This RED〜
「周りが赤で目がチカチカする‥‥でも関係ないよな! さー今日もいってみよ! 一発目は情念だ、重苦しいの歌わせたら右に出るもの無しのねーさんと経歴一切不明、でも顔は良いから黄色い声があがりそう! DESPAIRER&x‐cho!!」
 蓮の紹介でばっとライトが舞台上へ。
 そこには、対照的、黒のドレス姿のDESPAIRERと白い衣装のx−cho。
 始まりの音は、やや静かに、そして物悲しく。

「 気づいてたよ? アソビだってこと
  わかってたよ? この日が来ること
  ただお互いに 寂しかっただけ
  最初からそう 知っていたのに 」

 『狂気』と『衝動』がテーマ。
 その心をDESPAIRERは歌う。
 メロディは不穏な空気を漂わせて。

「 二人にとっての誤算は 私が愛しすぎたこと
  一度狂ったシナリオは 二度と元には戻せない 」

 と、音が止まり、一瞬の間。

「ア・キ・ラ・メ・ル ク・ラ・イ・ナ・ラ‥‥!」

 音の無い中、ありったけの想いを込めてDESPAIRERは言葉にする。
 それは観客を慄かせるのには十分なほど。
 そしてここから一転、x−choの奏でるギターの音はこれでもかというほどに激しくなる。

「 All I can see is RED 真紅に染まり閉じていくココロ
  All I can feel is MAD 狂気の炎に焼け落ちる理性
  All I can see is RED 真紅に染まり閉じていくセカイ
  And I gonna get you...forever in this RED

  All I can see is RED 真紅に染まり倒れ伏すアナタ
  All I can feel is MAD 狂気の炎は我が身すら焼き
  All I can see is RED,ALL OVER! 真紅に染まり閉じていくミライ
  And I wanna be with you...forever in this RED 」

 激しく、激しく、その長い髪を振り乱すように歌うDESPAIRERの赤は観客へと強い印象を残していった。

●香凪 志乃 〜REaD −game−〜
 観客のテンションは高い。舞台上、そのまま先ほどに引き続いてx−choは残り、そのギターの腕前を披露。
 その音の広がりに魅了されている観客。
「ちょ、僕の存在を忘れさすような事を‥‥! と、言いつつ僕も聞きほれてました。あんがとーお疲れさん! また後で痺れるプレイをお願いするぜ!」
 と、舞台上に乱入してきた蓮によってx−choのパフォーマンスは終了。彼は手を振りつつまたネー、と舞台を降りる。
「さて、お次は感動屋、けどその声は多種多様ミラクルヴォイス、最高のパフォーマンスを頼むぜ、香凪志乃!!」
 蓮の紹介の声を消すように、響く声は激しく熱く。
「あああああああああああっ!!!!!!」
 その叫びが終ると同時に一斉に音が始まる。
 舞台上の志乃は黒のノースリーブタートルネックにライヴハウスのカラーである赤の革パン。バックバンドもその衣装に合わせた姿。

「 ちょっと待ってくれ これで終わりだなんて
  まだまだ足りない どうしてくれるんだ

  真っ赤な嘘を並べて お前等だけ楽しんで
  これで終わり? 冗談だろう 」

 ハードで荒々しいのだけれども音はしっかり纏まっている。
 それがどこか、心地よく。

「 読めないゲームをしたところで 所詮楽しんだもん勝ち
  危険警報は鳴りっ放し 頭では解ってる
  でもココで止めるだなんて それこそ冗談じゃない

  どうせなら 楽しめるまでやってやる!」

 普段の志乃と違った、猛々しい雰囲気。
 それは客をしっかり煽り、それが声となって返ってくる。
 観客のテンションは上がるばかり。それはプレイする本人達も、どうやら同じようだった。

●ラム・セリアディア 〜You drunk RUM!!〜
「男にテンション上げられるなんて‥‥! 不覚、でも良い音には変わり無し! で、自慢です、ご報告です、とりあえず最初はお友達から。お友達になりました、前回に続き今回も! ラム・セリアディア!」
 ぱっと舞台の上、ライトに照らされるのは赤のチューブトップとミニスカで臍出しルックのラム。
「はろーえびばーでぃー!! また会えた人、いるかなーっ? ラム・セリアディアよっ☆ ふふ、この真っ赤な空間‥‥興奮しちゃうっ♪ 皆もガンガン盛り上がってこーーねーー! それじゃあ聞いてねっ『You drunk RUM!!』」
 ニコニコ笑顔で明るく声を投げかけたラム。
 そして音楽が鳴り出す。
 ジャカジャカと楽しいサウンド。

「 もう貴方はすでに飲み込んでる
  気づいてない? 仕方ないわ
  だって 甘〜いチョコの中に隠したんだから

  体内に浸透してるわ 諦めて頂戴
  気分はいかが? すぐ心地良くなるわ
  だって アルコールのキツ〜いRUM酒だもの

  潤んだ瞳のアタシ いつもより魅力的に見える?
  それならば 作戦成功!

  ね 拒んだりしないで 流れに身を任せて
  タブーなんてないわ
  今度はチョコで包まず 飲み込んで
  ありのままの『RUM』を

  You drunk RUM!
  Your cheeks are red!
  You are already my captive! 」

 自分の名前もかけてある歌詞はそのまま観客へと伝わる。
 最高のライヴを送るために一生懸命練習したのがちょっとずつちょっとずつ、形になっていく。
 最後まで観客のテンションは落ちることなく、ラムは舞台上で思い切り弾けた。

●ラシア&円 〜avvampare〜
「‥‥硯、手と足が一緒にでてるよ」
「えっ、あっ!」
 初めて人前で歌うという緊張を隠せない円をラシアはフォローする。
「ほら、リハは大丈夫だったし‥‥絡み恥ずかったけど‥‥本番ではそんなこともないし」
「はい」
 と、落ち着いた所で、舞台から響く蓮の声。
「次は姫二人のはずが姫と‥‥うん、まさにぴったり男装の麗人! でも僕としてはどっちのお相手もしたいさせてくださいっ! あの『flicker』のラシア・エルミナールと硯円が魅せてくれるぜ!!」
 赤いクラブドレスを纏う円と、髪を後ろへと撫で付けた男装姿のラシア。二人が舞台に上がると黄色い声が盛大にあがる。
「男装効果かな‥‥」
「さすがです」
 ラシアはちょっとばかり遠い目を、でもそれは音楽が始まってしまえば意識の外へ。
 メインの音はギターが奏で、そこに二人の歌声を重ねていく。
 始まりは、ゆるりと。

「 舞い上がった花びらは情熱の赤
  吹きすさんだ風に巻かれ鮮やかに舞う 」

 歌詞の通りに情熱の赤を、ラシアは歌う。
 そして円もそれに続いて。

「 強く高鳴る胸の奥 燃えさかる火が
  理性と言う名の鎖を燃やし尽くす 」

 歌い手の交代。
 違和感も何もなく。
 そしてテンポも徐々に速くなって。

「 愛という禁断の果実 」
「 手の伸ばしもぎ取って 」

 耳元で囁いて、さそって。
 二人の声を合わせながら。
 その情熱に観客は叫んだり、吐息を漏らしたり、二人の奏でる赤に曲名の通り、興奮する。
 ラシアに身を預けるような円、けれども円の方がリードしているような雰囲気の中、テンポは一気にあがる。
 と、円はスカートの丈をびりっと破り捨てるパフォーマンスを。

「 耳元で熱く甘く囁き 私を誘う貴方の手 
  その腕に抱きしめられて 強く口付けるの
  輝く月の下 」

 そしてふっと音が止まる。
 静かな中に響く声。

「 燃える炎のように熱く 」
「 疼いてるこの身体 」

 また始まる音は速く速く。
 一気に駆け抜けていくような音の上に二人の声が重なる。

「 情熱の色に染め上げられた 世界の中で抱かれたい
  重ねた心握って 狂おしく震える瞳を見つめてる

  耳元で熱く甘く囁き 私を誘う貴方の手 
  その腕に抱きしめられて 強く口付けるの
  輝く月の下 」

 音が途切れる。
 と、同時に観客から盛大な声。
 手を振りながら舞台を降りる二人。
 観客の方に気が向いていたのか、円はバランスを崩して舞台を下りる直前にコケッと。
「うきゃっ」
「ほら」
 ラシアの差し出した手につかまりちょっと苦笑。
 そんな様子は観客にとって微笑ましかったようで、かわいーとどこからか声が聞こえた。

●晶&神楽&x−cho 〜SCARLET MEMORY〜
 ギュイーンと響く、弦から発される音。そのメロディに観客は沸く。
 先ほどとは衣装を変えて登場したx−choのパフォーマンスはラストステージ前の準備演奏。
「x−choの音にキュートな御嬢の音とクールビューティーの声が重なってそりゃもうすんばらしい物になること間違い無し! 月見里神楽&当摩晶の登っ場!!」
 今まで舞台上に姿を見せなかった蓮は二人をエスコート。
 スーツ姿の晶を舞台の中心に、そして赤いカチューシャをつけワンピースの裾を翻す神楽をキーボードの前へ。
 その後蓮は舞台を降り、そして曲が始まる。
 激しいリズムに音を乗せて。
 けれどもその音には深みがある。
 神楽は全ての指先をキーボードの上で躍らせて音にバリエーションを出す。

「 街で一人 胸を押さえながら
  空を見上げる 彷徨う瞳は儚くて
  想う心は重過ぎて 私は押し潰されそう

  でも‥‥

  遠ざかる貴方に 付いて行きたい
  貴方の傍で 感じたい 」

 ふっと一瞬の間、晶は想いの全てを込めるように叫ぶ。

「 だから―――! 」

 また一気に激しい音。
 加速するのは音も声も、観客も。
 全て巻き込んでいくような、そんな感覚。

「 赤く染まる 空の下で
  駆け出すの 貴方のもとへ
  弱い心が押し潰されない様に
  ぎゅっと 貴方の手を掴みに‥‥
  SCARLET MEMORY 」

 最後の一音まで丁寧に。
 曲が終わり舞台を降りる、その前に。
 神楽はたたっと舞台端まで行き、胸に飾っていたダークピンクのバラを投げる。
「花言葉は感謝、トゲがないから誠意と友情もこめて」
 そのバラは観客の手に無事渡って、そしてライヴは見事に終った。

●ライヴハウス『鳴』
「はーいお疲れ様! 今回はライヴハウス『鳴』での収録でしたっ! ふっふっふ、神楽嬢から葉っぱ付きのバラもらっちゃったぜ、いーだろー! 赤バラの葉っぱはあなたの幸福を祈るっつー花言葉あるんだって。僕祈られてる! 赤バラは情熱だし、情熱的に祈られてるどうしよう! ‥‥って、待て、お前らその薄笑いはなんだ、引くな、引かないでくれ。引いてると嬉しいお知らせしないぞー」
 蓮の言葉にざわざわと、ブーイング。それは何だと反応が返る。
 それに蓮はニヤリ、と笑みを浮かべる。
「突発気まぐれ、いつやんのーって収録なんだけど、次は‥‥」
 言葉を待って静まる観客。蓮の声が響く。
「次は連続で収録するぜー! 僕毎日移動だよ、うわぁ忙しい死んじゃう! 場所は内緒だけど、まーヒントは‥‥夜明け溌剌お立ち台! 順番未定! ってことで、ラスト付き合えよ!」
 何時ものようにマイクを置いて、一声。
「今日のライヴは、熱かったかーーーー!!」
 その声に返ってくる答えはもちろん肯定。
 熱く熱く、観客の想いが返ってきた。