ビバ☆悪魔生活〜出張編アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 玲梛夜
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 7.9万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 05/14〜05/18

●本文

 北欧です。
「こんにちわー、頼まれた薬作って持ってきましたー」
 ここは北欧神話世界。
 オーディンに頼まれたチャーミングHANADI薬をもってやってきた悪魔の面々。
 薬のお届けは第一だが、観光(?)もしたい、というかする気満々。

 何も、起こらない、わけが、ない。

●キャスト募集
 深夜のファンタジーなドラマ『ビバ☆悪魔生活』ではキャストを募集しております。
 有名所からマイナー悪魔、広くとって魔物まで、個性色々で演じてください。もちろん創作悪魔も可。なお、東洋等の住人さんを演じる場合はご近所で遊びに来た、というようなノリになります。
 地獄と妖怪世界、魔界等はご近所さんでつながっている、というイメージです。
 なお、今回は北欧世界に出張ということで北欧神話キャラもふんだんにOKです。
 今回、オーディンが必須役となっています。キャラ作りに関しては自由設定OKです。

●補足
 お話は北欧神話世界にて展開。
 行動は自由ですが、全破壊などの行動はダメです。
 半獣化、獣化は可。容姿を特殊メイクで補うことも可能。
 お話の終わり方はお任せ。
 必須悪魔さんがいない場合はこちらで役者さんを引っ張ってきます。
 継続で万魔殿のボス、引きこもり俺様ナルシスト、いきなり鼻血がつー、なルシファさん投入です。役者は璃久アイジ。脱引きこもりをと無理やり引きずられてきて息も絶え絶え。
 今までの出演者は役を継続でも、別役でもどちらでもOK。

●今回の参加者

 fa0467 橘・朔耶(20歳・♀・虎)
 fa0612 ヴォルフェ(28歳・♂・狼)
 fa2726 悠奈(18歳・♀・竜)
 fa2837 明石 丹(26歳・♂・狼)
 fa3887 千音鈴(22歳・♀・犬)
 fa4002 西村 哲也(25歳・♂・ハムスター)
 fa4657 天道ミラー(24歳・♂・犬)
 fa4728 レイス アゲート(26歳・♂・豹)

●リプレイ本文

●Cast
チャーミングHANADIに憧れる北欧世界の神・オーディン:明石 丹(fa2837)
オールバック貴公子(職業オカマ)な運び屋・セーレ:西村 哲也(fa4002)
故郷で大ハッスルな元気一杯パワフルワンコ・ガルム:天道ミラー(fa4657)
無邪気にお馬鹿で怪力で抱きつき魔竜・ファーブニル:悠奈(fa2726)
JustFit命、神速センスBI☆MYO☆Uなお針子悪魔・アデランメルク:千音鈴(fa3887)
実は一番まともなのかもしれない警備隊長・べリアル:レイス アゲート(fa4728)
サウナに叩き込み、ワルキューレの一人・ヘルヴォル:橘・朔耶(fa0467)
酒がないと不機嫌なんです、な風の魔神・パズス:ヴォルフェ(fa0612)
引き籠りで鼻血な俺様・ルシファ:璃久アイジ

●賑やかに到着
「御覧下さい。右手に見えますのは小指です。そしてこちら、たぶん北欧です」
 案内よろしくセーレの示す先。
 そこには北欧世界が、広がる。
「ふるさとー!! ふるさとー!! ルー様とセーレサンと皆とお外〜お散歩〜♪」
「北欧ですぅ〜。ルーさまーお出かけ用でゴージャスに服つくったのにぃ〜いつも通り‥‥悲しいから採寸ですぅ」
「や、あれ白いし。鼻血でたらあとあと大変だしな、ほら。こら、どこ触ってるお前」
 お出かけ用と真紅に銀ラメのメイド服姿でメジャーをもち、ご機嫌でアデランメルクは抵抗する力のない瀕死なルシファの採寸を始める。
「‥‥‥‥酒がねぇ‥‥」
 そしてその横では、パズスが不機嫌。
 それぞれの行動、思っていることはまったくのばらばらだ。
「‥‥俺の警備、いらないんじゃないか。まったく平和じゃないか」
 そんな様子を警護ということで同行しなければいけなくなったベリアルはため息ひとつつきながら見守る。
 どたばた悪魔のご一行は、ただいま北欧世界に進撃中。
 その頃、北欧世界の中心にある宮殿、その玄関では。
「‥‥いつまで待たせるのだろう。できたから届けると連絡があってもう一週間だ‥‥」
 この世界で一番偉いオーディンが、まだかまだかと腕組みして待っていた。
 彼が待っているのは、先日発注した薬。
 離れていく部下たち、募る寂しさ。
 その寂しさがマックスに達し、何故離れていくのかを自分なりに考察した結果、彼は間違った。
「薬が届いたら、皆戻ってくる、そうに違いない」
 それはどうだろう、と突っ込んでくれるまともな人物が、彼のそばにはいなかったのも一因。勘違い驀進中。
 と、その時。
「久しぶりの古巣ー! ハッ! オ様ー!!」
 聞き覚えのある声をもったものが前から突っ走ってくる。
「ガッ‥‥」
「ガルムー!!! 寂しかったよ〜」
 オーディンをみて飛びつこうとするガルム、そのガルムに飛びついたのはふみふみ泣きつつのファーブニルだった。
「ぐぇっ! 腕を上げたな!」
 グッと親指立ててガルムは一瞬気を失うがすぐ復活。
「イカしたハグをするファーブニル! 友達デス!」
 そんな二人をオーディンは優しく見守る。
「どうも、初めまして、大勢で失礼する。って殺気を感じる!?」
「お客さんいらっしゃいませー!」
 礼儀正しく挨拶をするベリアルに飛びつく影。
 ガルムとの抱擁に満足したファーブニルが抱きつきに走る。
 だがベリアルはそれを交わす。だがファーブニルの勢いは止まるわけなくパズスが巻き込まれる。
「ぎゅー! いらっしゃいませー!」
「あーいらっしゃいましたー」
 パズスはぽんぽんと頭を撫でる。酒が切れた状態で限界間近。
 ファーブニルは撫でられてにこにこだ。
 予想外の来客の多さ、最近人が減った分以上の訪問に、嬉しさを隠しつつオーディンは言う。
「よく来たな。薬届けるだけなのに‥‥俺の為に大勢で‥‥! 手土産はどこだ?」
「ま、図々しい子ね! でもお土産よ、はい」
 かぽっとオーディンの頭にのったのはチリパー。イィ笑顔でセーレは続ける。
「ルー子とお揃いね」
「ルー子‥‥ルーがよく出てきたな」
「俺は帰る、帰る帰る帰る」
「だめよ、折角来たんじゃない。私達と一緒じゃ楽しくないの?」
「帰る」
「私は楽しいから、やっぱり帰っちゃだめよ」
 セーレは笑顔で言って、ルシファを引き留める。
 そして、はた、とまだ採寸していたアデランメルクとオーディンの目があう。
 アデランメルクに、電撃系電波、降臨。
「‥‥なんだ?」
「‥‥採寸」
 ギラギラした雰囲気でじりじりっと距離を詰めるアデランメルク。だがオーディンも警戒して、今すぐにはできそうにない雰囲気。大物の予感にアデランメルクの心は高まる。
「なんだか変な娘だぞ」
「気にしなさんな。そうそう、忘れるところだったわ。鼻血はどうかと思うけど‥‥レティの薬、大事に飲んでちょうだいね」
「! こ、これがっ! セ、セーレが運べば一瞬だろうが」
 どきどきしながら薬を受け取って、用法守らず、一気飲み。
「あ」
 あのフルーレティが作った薬なのに、そんな危険なと誰もが思う。
「む、効かぬではないか。遅効性なのだろうか。仕方ない暫く待ってみよう。ついでに観光案内してやる」
 ということで観光に出発です。
「俺待機で」
「俺も」
「何いってるのムッツリトリオ! アクティブになりなさい! あの生き生きっぷりをみて!」
「‥‥ムッツリ? 誰がだ? あの2人は、別だろ? お前ら、緊張感無さ過ぎ‥‥無口にもなるぜ」
 ムッツリ一号、ルシファ。二号、パズス。三号、ベリアル。
 トリオ扱いにさらにムッツリ。その三人に見習いなさいと示された対象は。
「採寸‥‥採寸をっ!」
 ぎらぎらのハンターアデランメルク。
「ワンワン!」
「ガールムー!」
 はしゃぐガルムと尻尾どたばたのファーブニル。
「でも、ガルムもう少し落ち着いて! 腱鞘炎になっちゃうわ!」
 その言葉に一瞬きゅふんとしゅーんとするガルム。
 本当に一瞬で、すぐまた元気にはしゃぎだし。
「ああん、イイ子! って一瞬だけなのおお!? ‥‥もうこの勢いで花畑よ!」
 セーレもダッシュ!
 広がる花畑北欧スペシャル!
 ぶわわっと咲き乱れる躑躅他にも色々。
「お花畑! すごーい!」
 感激を抱きゅ! で表現するファーブニルはセーレに抱きつく。
 セーレももれなく一瞬の空白時間、だが桃色雷が落ちファーブニルを抱き返す。
「お嬢さん、お茶はどうかな?」
 そして素に戻り甘く囁く。
「お茶? するする!」
「お前もか、ファーブ‥‥! 前まであっちに行ってしまうのか!」
 魔界の一行にハグをかけてまわるファーブニルにお前もいってしまうのかとショックをうけて膝をつくオーディン。
「! 一番大好きなのはオー様ですよぅ〜!!」
 セーレからぺぺっと離れてオーディンに抱きつくファーブニル。ぎゅーっとしても平気なオーディンは大好きなのです。
「そうか」
 そしてオーディンもそれが嬉しくて撫でる。
「平和そうだなぁここ‥‥」
 そう思えるのも、今のうちです。
 というか早く観光に。まだここ玄関先、1メートルも進んでないから。

●皆しっかり
「ヘルヴォル、酒‥‥」
 この騒ぎを聞いてやってきたヘルヴォル。なんだか楽しそうな雰囲気をみていると、へろへろでやってくるパズスがそこに。
 だるだるでへろへろ。
 そんなパズスをひっつかんでヘルヴォルはいずこかへと向かう。
「酒蔵につれていってくれてるのか?」
「ついてのお楽しみ」
 にっこり笑顔、放り込まれた先は酒蔵ではなく。
「大丈夫、30分も入ってたら目が覚めるよ」
 ヘルヴォルはサウナの中に笑顔で言葉を向ける。
 服のままで叩き込まれたパズスは茹っていた。
「さ、酒を要求しただけで何故‥‥!」
 サウナ前で見張り中。そこへ天真爛漫な声が響く。
「あぁ! ヘルヴォルこんなところにいた〜!」
 みつけた〜と嬉しそうな声をだして走ってくるファーブニル。
 伸ばされた腕は、抱きつこうとする行動しか連想させない。
「‥‥抱きつかれたら死にますっ!」
 毎度抱きつかれては生死の境目をさまよっている。
 反射的に、ダッシュ。
「なんで逃げるの〜?」
「来なくていいからー!」
 追いかけっこ、だが勝つのはいつもファーブニル。
「ヘルヴォル〜えへへ、遊んでくれた!」
 ぎゅーっと力の限り抱きしめられてくたりと力尽きるヘルヴォル。
 抱きつきが生きがいのようなファーブニルはまだ抱きついていない、アデランメルクに走る。
「はっ! このパワー! ‥‥ポォォズ!」
「え? こう? こうかな?」
 ぎゅーっと思いきりの力に電波がずびしゃんとやってきたアデランメルクはメジャーを構え、瞬間的に3サイズを採寸。そしてどこからともなく記事を取り出し。
「おやつ入ポケット付ですぅ」
「ありがとぅー! あれ?」
 感謝を抱きつきで伝えようとするがスカっとずべしゃ。
 アデランメルクは弱っているヘルヴォルを背後から採寸攻撃していた。
「あ、ちょ、何して‥‥」
「お疲れにはぁ‥‥メルヘン腹巻ですぅ♪」
「あ、ありがとう‥‥」
 よくわからないまま腹巻き受け取って見つめる。
「ちゃんと使ってくださいよぅ」
「‥‥腹巻き‥‥」
 どうしようこれ、というような呟き。
「もらったものはちゃんとつかうんだよヘルヴォル」
 にこっとしっぽをばったばったしながらファーブニルはいう。
 そして、やっぱりこの後に待つのは抱きつき。 

●惨劇の宴会
「くっ、死ぬところだった‥‥」
 ヘルヴォルに叩き込まれたサウナから脱出してきたパズスはそのままずるずると張って、本能の赴くまま酒蔵へと向かう。
 そして酒蔵に入ってしばらくして、生き生きとして出てくる。
 手にはもちろん酒、酒、酒。
「お、ベリアルいい所に、酒盛りだ酒盛り」
「酒盛り? ‥‥まぁいいか。警護することもないしな‥‥」
 あの面々に手を出そうとするものはよっぽど肝が据わっているか怖いもの知らずしかない。
「護衛っぽいことしてないが、手当はしっかりもらってやる。適任でいってこいって言われてもおしつけだしな」
「うっぷんたまってるんだな。まぁ、ぐいっと」
「ムッツリ野郎ども、その酒を何処から持ってきやがった!?」
 と、ファーブニルの抱きつき攻撃から復活したヘルヴォルはこの様子をみつけダッシュ。
 だがいつの間にか混ざって酒飲み大会に。
「宴会だ宴会!」
 そこへ観光ぐるっと一周してきた面々も、通りがかる。
「宴会! お別れ会!」
 何やら変な方向に思考が走ったらしいガルムは、耳としっぽをピーンとさせ、オーディンの前に正座する。
「お手紙でいったけど」
 指ついて、ガルムは頭を垂れる。
「ご飯モリモリ食べてマス風邪引いてマセン、お友達たくさん増えまシタ! えと‥‥今までありがとうゴザイマシタ! 向こうでも元気に楽しく過ごす事を誓いマース!」
「ガルム‥‥」
 涙きらり、オーディンはガルムから先日届いた手紙をぎゅっと握り締める(手紙はいつも懐に入っていたらしい)。
「お前なら大丈夫だ、頑張れよ!」
 ガルムにオーディンは涙しつつ微笑みかける。
 そのとき、だった。

 ブッ!!!

 ほとばしりまくりの赤。
 オーディンはそのまま倒れ
「オ様ー!!!!」
「とうとうセーレ薬が‥‥」
「HANADIチャぁぁンス!」
 と、今の今までチャンスをうかがっていたアデランメルクは最大の獲物、オーディンの採寸をあふれる赤の中で開始する。
 表情はとてもイイ笑顔で汚れることもかまわずに。
「今あなたに必要なのは薬じゃなく優しい肌触りのこのティッシュ‥‥!」
「セーレ‥‥や、ティッシュじゃなく止血薬‥‥を」
 きゅっと握りこまされたティッシュも一瞬で色が赤。
 青い顔で、最後の力でオーディンは言って、ぱたりと力尽きる。
「セーレの薬一気飲みなんてチャレンジャー、お前くらいだ」
 オーディンの反応は、ない。
「‥‥誰かー、誰かこいつはこんでやってー」
「ディン子ってばしょうがないわねぇ」
 オカンの入ったセーレは能力使ってオーディンを運ぼうとする。
 だがその前に響いた声一つ。
「出来ましたぁ♪ えぃ!」
 神速お針子は血まみれになりながら血の痕がつく花柄マントと鼻栓を作り上げる。
 採寸関係ないのはいつものこと。
「鼻栓はやめとけ、まだでてるしな」
「ルー、ガルム頼む。ファーブ、オーディン様の部屋ってどこかな?」
 今までぶんぶん振りまわしつつもっていた鎖を渡しつつ、ふっとセーレは素の柔らかな笑みでファーブニルに問う。
「こっちだよ〜」
 セーレとファーブニルは仲良く、歩いて行く。
「なぁガルム」
「ワン」
「あのセーレ、素だよな」
「ワン」
「あとな、もう帰っていいか」
 まだまだ続きそうなこの雰囲気に、引きこもりたい人の気持ちはギリギリだった。

●お手紙配達
「部屋、最高‥‥」
 どたばたの北欧から戻ってきて、部屋に引きこもるルシファ。
「ルー様散歩!」
「部屋の中でな」
「ほらほらガルム、私がいってあげるわ。あ、ルー子、ディン子からお手紙」
「手紙ー?」
 セーレは届いた手紙を渡す。そしてそれを開封して読むルシファ。

『数が多くてもお前の所は変な奴ばかりだな』

 手紙を読んだ後、ルシファは近くにあったテーブルの上のものを、のける。
「あの子何してるのかしら」
「? お片づけ!」
 いやいやいや。
「‥‥‥‥そんなん言われなくとも」
「?」
「わかってるっつーの!!」
 がしゃーんとちゃぶ台返しならぬテーブル返し。
 その後オカンに怒られたのは言うまでもない。