PassionMusic:DeepBlueアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 玲梛夜
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 5.5万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 05/23〜05/25

●本文

 『Passion Music』という看板がライヴハウスにかかる。
 その看板がかかると同時に、そこには収録の機材が運び込まれセットが始まる。
 それが完了するとそこにロッカーたちが現れて熱い熱いライヴを。
 いつ、どこでするのかはわからずゲリラ収録のロックライヴ番組。
 収録に出会えるかどうかは時の運。
 そこでプレイするロッカーたちにも場所のイメージは伝えられるが前日まで明確な場所は明かされない。
 集合場所、集合時間指定を受け、暗幕の張られたバスに乗せられてその場所へと連れて行かれる。
 準備の終わったライヴハウスでは今か今かとロック好きの観客がテンションをあげて、待っているのだ。
 ぱっと、舞台上にスポットがあたる。そこにはマイクとカンペを持った司会者、渋谷蓮(しぶや・れん)。
「久しぶりの色お題! ディープブルー、藍色。濃い青でっす! てことでーライトも青く染めてみましたっ」
 舞台の照明がばっと明るくなる。
 最高のプレイを、そこで‥‥!

『Passion Music』出演者募集
 ゲリラロックライヴ番組収録、出演者募集
 こちらから指定するのはライヴ日の集合場所、時間のみ。
 今回はテーマは「藍色」から受けるイメージを含む曲。
 ライヴハウスの舞台は一般的なものです。
 ソロ、グループを組む、は自由です。
 収録に取り直しはありません、一発勝負です。

 なお、日程は以下です。
 初日  参加者顔合わせ
 二日目 スタジオでのリハーサルなど
 三日目 ライヴハウスでの演奏、収録

 ドラムセットやピアノ等大きな楽器は備え付けのものがあります。
 バックバンドが必要であればこちらで用意します。
 グループ掛け持ちは禁止。
 演奏順は特に希望が無ければ阿弥陀くじです。

●今回の参加者

 fa2657 DESPAIRER(24歳・♀・蝙蝠)
 fa2837 明石 丹(26歳・♂・狼)
 fa3398 水威 礼久(21歳・♂・狼)
 fa4852 堕姫 ルキ(16歳・♀・鴉)
 fa5035 ラファエロ・フラナガン(12歳・♂・狼)
 fa5181 雪架(18歳・♂・小鳥)
 fa5241 (20歳・♂・蝙蝠)
 fa5331 倉瀬 凛(14歳・♂・猫)

●リプレイ本文

●ライヴが始まるその前に
「拉致バスに詰め込まれてようこそいらっしゃいませー。今日はこのライヴハウスでっす!」
 詰め込まれたバスの扉があいて、降りるとそこには先に来ていた渋谷蓮。
「蓮さーんっ!」
「どふぅあっ!」
 最初にバスから飛び出してきたのは堕姫 ルキ(fa4852)。飛び出してタックルどーん。
「激しいアタックありがとうありがとう!」
「イベントで絡めなかった分、ここで‥‥!」
「イベントっていえばお星さまになりましたよね。まさか体現するなんて‥‥ツボって笑い転げてました」
 イベント繋がりで思い出すように雪架(fa5181)は言って、思い出して笑う。
「相当笑ってたよな、うん」
 そしてそれを見ていたらしい欅(fa5241)も少し笑って。
「今日もアネモネらしくよろしくね。お星様はね、うん、いい体験ってことにしておこうと思う」
 ライヴハウスの中に移動しつつわいわい。
 水威 礼久(fa3398)は中に入り、練習できる場所を見つけそこへ座りこむ。
「礼久君熱心だ。彼、ソロだっけ、DESPAIRER嬢もソロだよね」
「はい‥‥」
 DESPAIRER(fa2657)は静かに頷く。
「中弛みしないようきちっとしめてくれるの期待してまっす!」
 言葉で答えず笑顔でDESPAIRERは答える。
「で、まだくっつきむし中のルキ嬢はいつまでこのままなのかね」
「気が済むまでかな。ほら、やっぱ堕天使としちゃ男のコを惑わしたいからさ」
「なるほど。あれここ納得するとこ? これでいいの、僕ってば」
「いいと思うよ」
 面白そうに笑って、明石 丹(fa2837)は言う。
「今日もよろしくお願いします」
「二回目出演、俺も頑張ります!」
「自分もがんばります!」
 倉瀬 凛(fa5331)とラファエロ・フラナガン(fa5035)、まだまだ若い二人はこれからの成長が楽しみなもの。
「うん、ファイト! 若い二人はたくさん色々経験してくといいよ。熟練の技は盗むものです、丹君の流し目とかね」
「流し目」
 丹はそれに笑う。
「で、まだくっついて」
「うん」
 収録始まるちょっと前まで、くっつきむしさんのルキなのでした。
 

●藍色ノスタルジア ―アネモネ
「今日もいつも通りってことで」
「いつも通りいつも通り」
「いつも通りキングと毛髪アンテナ」
「おい」
 雪架の言葉に欅はつっこみだけでもう何も言わない。
 二人のいつも通り。

「はい、収録の開始でっす! 今日のPassionはここでー。はい出会えたお前らラッキー!! 今日のトップは、アネモネ! 知名度も上がってきて知らない人はあんまいないかな? やらかく優しくノスタルジックに『藍色ノスタルジア』」
 暗い舞台、ふっと白くにじむような光に包まれる。
 オレンジでアクセントの入った紺の七分袖シャツ、黒のぴったりしたパンツ、そしてシルバーアクセサリーを手首以外にじゃらりとつけた雪架はピアノの前に。
 そしてもう一人、欅は藍色のYシャツに黒のデニムとラフに。ただ髪は緩くウェーブさせて。
 足元からは緑のライトが柔らかく映える。

 始まりは雪架のピアノから。
 音はそれだけ。
 ノスタルジックなメロディに軽やかな歌声が乗っていく。

「 雨降りの日曜日
  午前10時に見た空は 泣き顔 」

 歌の途切れに、音が加わって厚くなる。
 賑やかになった音の中、狭い音域でボーカルがスムーズに流れていく。それはどこか哀愁漂わせて。

「 風に揺られたてるてる坊主が
  首を傾げているように見える
  軒下のネコも気だるそうに鳴いて
  耳に届くのは カエルと奏でる不思議なハーモニー 」

 そこに加わる欅のコーラスは、曲に動きを作る。
 波打つように声も音も踊るように響いてゆく。
 そして高音が高く短く、雨が遊ぶように、降り注ぐように。

「 藍色の空から降り注がれた
  暖かなギンイロの雨が
  ボクの足元に じわじわ染み込んでいく 」

 その跳ねる音とはまた違ってドラムとベースは裏拍を押し出し、少しずつ強まっていく。
 音はしっかりと響いて鳴っているのに、それは軽やか。
 陽気な音の中、欅の視線は観客と、そして舞台の上にともにいる雪架と、他のメンバーの中も移っていく。

「 まだあどけない姿のボクが
  哀愁も愛情も吸って大きくなっていく
  日差しが照らすななつ月の頃には
  ひとまわりたくましくなっているといいな 」

 変化をつけた音は遊ぶように。
 歌が終わって、音だけ響く。
 短い音と長い音がきっちり別れてコントラストつけつつも、混ざり合う。
 最後はピアノの和音と、他の音と合わせて最後まで遊びを入れて。
 重なる音は、重なっても軽く響く。
 曲の雰囲気を最後までしっかりと響かせて、観客の上に陽気に二人は音の雨を落としていった。

●Horizon ―水威 礼久
「久しぶりにソロ‥‥バンド解散後初の活動になるな。一人でもしっかりやってやらないとな、草葉の影で見守ってる奴もいるだろうし」
 礼久はぐっとベースを持つ手に力を込める。
「う〜‥‥スランプ気味だぜ、こんなんじゃ彩音社長に見せられねぇ」
 しっかりやってやる、と心にちゃんと持って。
 舞台に呼ばれる前、一人でいるこのふとした静かな空気に身を置いて気持ちを高める。 
 周りの音は、音にならず聞こえない。

「てことで、アネモネの曲であったまったとこに、二番手は水威 礼久、曲は『Horizon』!」
 蓮の声がかかり、ライトで照らされる階段。
 だが礼久は現れない。
「‥‥あれ? おーい」
 と、練習に熱が入り、呼ばれたのに気がつかず、スタッフが声をかける。
「あ、すまない、出番か」
 礼久は少しあわてつつ、舞台の上へ。
 ギリギリまで練習したその音が絶えず体の中に、気持もテンションも舞台の上へ持っていく。
 迎えられる歓声に応えるように、ベースをかまえて。
 一瞬静まった所に音を、緩やかに、流していくように。
 ベースの音を響かせていく。
 歌よりもそれを支える音を観客に聴かせていく。

「 空と海が同じ色に染まる静寂の時
  このまま君と二人世界に溶け込みたい 」

 低音がしっかりと深く響く、その音は海を表現。
 そしてそこから音は上がって、空へと向かっていくように。
 それは藍を含んだ夜明けのように、響きわたる。

「 風よ全てよ
  深き青に染まれ 」

 フレーズにかけてベースの音を早く駆けあがらせていく。
 フィニッシュは、そのまま弾きあげるとともに拳を突き上げて。
 勢いよく切り上げられた音は、会場に響きを残す。
 

●あいの幻 ―DESPAIRER
「さらにテンションあがったところで、ちょっと雰囲気を変えて。中盤をしめるのは、あの人です。僕個人的に音楽性超好きなんですよ。言葉に多重の意味を込めて、それも一つの魅せ方‥‥重ねただけそれを深く響かせる、DESPAIRER、『あいの幻』」
 ふっと消えたライト。
 それが明るくなる。
 光の中には濃紺のドレスをまとったDESPAIRER。
 ふっと瞳を閉じて流れだす音に声を乗せる。

「 今も忘れ得ぬ 帰らぬあなた
  身体は海へ 魂は空へ
  そして思い出は 今もこの胸に
  星のように 波のように 煌めき続けて 」

 静かに、しみじみと。
 昼から夕方へと日が落ちていくように照明の色も変わっていく。
 DESPAIRERは感情ものせて観客に伝えていく。

「 あなたと私を あなたとあなたを 隔てる水平線を
  あの夕焼けが 真っ赤な炎で 燃やし尽くしてくれたら 」

 歌も音も徐々に強められていく。
 それとは反対に、照明はおとされ闇色に近くなっていく。
 ふっとめぐる視線にも歌に込められた意味。

「 深い藍色に 空と海が融けあうとき
  その真ん中で もう一度あなたに逢える
  そんな気がして 」

 想いをさらにのせて歌は続く。
 こめられた想いのようにギターは強く響く、けどもその中にバイオリンが哀しさを少しのせていくように音を響かせていく。
 言葉も、強めて弱めて。
 短い間奏のあとに、もう一度サビを繰り返す。

「 深い藍色が 空と海に眠るあなたを
  一つにして もう一度逢わせてくれる
  そんな気がして 」

 ふっと短い間。
 あたりはうす暗く、照明とディーのドレスの色はまじりあうように一体となっていた。
 最後に、囁くように。

「 そんな気がして 」

 言葉の響きとともに暗闇と静寂が降りてくる。

●宵の帳 ―テンポラリ・ブルー
「今日の最後は、四人組みテンポラリ・ブルー、突発で組んで、歌ってくれます! ご存じ、アドリバティレイアの明石丹、堕天アイドル、堕姫ルキ、登場二回目、倉瀬凛と初登場ラファエロ・フラナガン! 曲は『宵の帳』」
 光がおちて、また明るくなる。
 舞台の上には、四人がスタンバイ。
 丹は手にベースをもち、胸元まで襟を開いた白のシャツと、シンプルなレザーパンツ。首にかかった大きさの違うフレアクロス二つは、動きに合わせ揺れている。
 ルキはワンピースに薄手のケープ、腰はベルトで締め、白系統。
 そして凛は白のシャツにオフホワイトのジャケット、ブルージーンズl。手には演奏するギターを。
 ラファエロはマントをはおり、その下にはレザージャケットとシルバーアクセサリ、スカートをズボンが一体になったような服装で。
 下から呷るようなライトが、彼らを照らす。
 透き通るように優しく美しく、けれどもどこか物悲しいメロディライン。
 優しく抑えたドラムとベース、メロディアスなバイオリンと凛の弾くギターから生まれる音に丹の声が甘く切なく、しっとりと。
 下方を向きながら、瞳は正面に、視線は遠くを見るように動いて行く。
 ゆったりと波間に揺れるような歌声。

「 ばらばらに散っていく愛 手を伸ばした
  深く 深く 彷徨うように流される 」

 一フレーズ、そして強めるようにルキとラファエロの声が重なるユニゾン。
 重なる声は調和を持たせて重なり合う。
 多重に響きあうけれども、響きあわずひとつを結ぶように。
 音は薄く、けれどもそこにある。
 それは声を響かせるのを支えるためだけに。
 ギターの音には、爪弾くだけのベースの音がふと混ざる。

「 僅かな時間を つぎはぎ 合わせただけのものでも
  ただ 抱きしめていたかった 」

 丹の声がふっと消え、二人のユニゾン。
 そしてまた加わる歌声でメリハリが生まれる。
 ルキは体の正面、腹の前で組んでいた手を胸の前へ。
 胸元を抑えるようにもっていき、振りにも感情をこめていく。

「 すりぬけた全てが どんな形していたかも忘れてしまって
  ああ 漂うカケラは静かに 」

 ふっと切なそうな表情を丹が浮かべる。
 静かで哀しげに。
 ルキは両手を広げて、曲の盛り上がりを動きでも示す。
 三人のユニゾンに加えて、凛もコーラスを合わせる。

「 月が祈りの姿 明かしてしまう前に
  この夜の果てが世界を包む前に 」

 音は強まってもどこか静かに。
 けれども広く響き、浸透していく。
 バイオリンが、物悲しく、美しく。

「 深く 深く 触れた指先から染まっていく 」

 三人のユニゾン、優しく哀しく、けれどもどこか安らぐ音。
 余韻を残すようにヴァイオリンとギターの短い演奏が続く。
 その音は闇に溶け込むように。
 静寂のあとに、観客からはそれぞれを呼ぶ声。
 手を振って笑みを返す。
 ふっと瞳を閉じて顔をあげた丹。笑みを観客に返すと黄色い声が響いた。

●ライヴハウス『HIRAHANA』
「今日のライブはどうだったかー! ってもうそういうのきかなくてもじゅーぶん、お前らの顔見てたらわかるんだけどね。そして明日もどこかで収録がある罠ですよ」
 ふっと照明はテーマに合わせて暗めの中、蓮は観客を見渡す。
 照明が暗くても、その表情はよくわかる。
「ってことで、今回のテーマはどーでしたかっ! そのお答えをお願いいたしましょう‥‥!」
 最後の締めはいつものように。
「今日のライヴの感想はーーーーっ!!!!!」